Wednesday, April 23, 2014

R.I.P. ZIMA...

飼い始めたばかりの頃(推定年齢2歳)のジマ

我が家の全身白のハスキー犬、ジマ(ZIMA)が、4月22日に逝去した。

イースター週末の金曜日の夜に吐いて、月曜日にかかりつけの動物クリニックに連れて行った時にはだいぶ具合が悪そうだったけれど、注射をしてもらい、水をたくさん飲んだら少し良くなったように思えたので、ホッとしていたら、翌日の火曜日、昼過ぎに外出先から帰って来たら裏庭で動かなくなっていた。

ハスキー専門のレスキュー団体から2006年9月にアダプト。その団体もシェルターからレスキューした犬だったので、正確な年齢は判らなかったのだけれど、獣医が歯の減り具合から判断して2歳ぐらいだと推定。だから、9歳〜10歳だったことになる。

留守番中に泥棒に入られたのに、全く吠えなかったり、逆に人間たちが何かで盛り上がっていると自分が仲間はずれにされたと思うのか必死に吠えて関心を集めようとしたり、お間抜けな所も多い犬だったけれど、人間に良くなつく性格の良い子だった。

「All Dogs Go To Heaven」という映画がある。神の存在も天国の存在も信じていない私だけれど、ジマは、なんか、そういう善い処に行っていたらいいな、と思う。


Thursday, April 17, 2014

タナキル・ルクレールについてのドキュメンタリー


1940年代半ばから50年代初めにかけてニューヨークシティ・バレエで活躍したタナキル・ルクレールについてのドキュメンタリー「Afternoon of a Faun: Tanaquil Le Clercq」を観た。

タナキル、愛称“タニー”は、1929年、フランス人の父とアメリカ人の母との間にパリで生まれる。3歳の時に家族と共にニューヨークに引っ越したタニーは、ジョージ・バランシンが設立したスクール・オブ・アメリカン・バレエに入学。バランシンに才能を見いだされて、15歳の若さでニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)の前身バレエ・ソサエティのメンバーと共に舞台に立った。

タナキル・ルクレール。女優でも通用する美しさ!

長い手足でほっそりとした長身といういかにもバランシン好みのタニーは、バランシンのミューズの1人となり、バランシンは「シンフォニー・イン・C」、「ラ・ヴァルス」、「コンチェルト・バロッコ」、「ウェスタン・シンフォニー」といった名作を彼女のために創り出した。タニーは、バランシン版「くるみ割り人形」の初演時にデュードロップ・フェアリーも踊った。
タニーとバランシン

タニーに惚れ込んだのはバランシンだけではなかった。バランシンと共にNYCBスタイルを確立するのに貢献したジェローム・ロビンズも、タニーの美しさに魅了され、クロード・ドビュッシーの「牧神の午後」を使ったネオクラシカル・スタイルの同名作品「Afternoon of a Faun」を振り付けている。
しかし、1952年、タニーは25歳年上のバランシンと結婚して、タニーを女性としても愛していたロビンズをガッカリさせる。キャリアの上でも私生活の上でも充実した日々をおくっていたタニーだったが、1956年、NYCBのメンバーたちとヨーロッパ巡業に出た際に、当時、大流行したポリオに罹ってしまう...

タニーの悲劇については、同じくバランシンのミューズだったマリア・トールチーフを描いた山岸凉子の短編漫画「黒鳥—ブラックスワン」でさらっと触れられているため、少しばかりの予備知識はあったのだが、ロビンズとの友情やポリオになった後の半生については全く知らなかった。映画は、当時を知る人々とのインタビューや記録映像、スチル写真、そしてタニーとロビンズとの交換書簡などに残るタニーとロビンズの言葉などで綴られるが、最も印象に残ったのは、「Afternoon of a Faun」をタニーと踊ったジャック・ダンボワズのインタビュー映像で、タニーと共に踊ったと同時に、タニーとバランシン、タニーとロビンズの関係を実際に間近で目撃していただけに、途中で「これ以上、話すことは出来そうにないよ...」と苦しそうに言葉に詰まるシーンなど、胸に迫るものがあった。

そのダンボワズの言葉で一番印象に残ったのは、バレエダンサーであれば、タニーのように悲劇的にキャリアに終止符を打たれなくても、遅かれ早かれダンサーでは居られなくなる時がやってくるということ。「自分はもはやダンサーではない。じゃあ、私っていったい誰なの?」という問い。
1人の悲劇的なバレリーナの半生を通してバレエの本質を鮮やかに映し出した素晴らしいドキュメンタリーだった。








Thursday, April 10, 2014

読書した本、2点

3月末から4月はじめにかけて、臨時の御仕事をいただいたため、珍しく多忙な日々。試写にも行けなかったし、ブログの更新もずっとサボってしまった。

久しぶりのブログ、ネタはこれまた久しぶりの読書ネタ。

まずは、以前、ダウンタウンの図書館のインターナショナル・セクションに立ち寄った時に目をつけていた宮部みゆきの「ソロモンの偽証」。
どっしり厚い上に三部作だから、まとまった時間が取れそうな年末年始を狙って図書館にリクエストし、借りて読み始めた。


物語の中心になるのは雪が舞うクリスマス・イヴに、通っていた中学校の屋上から落ちた少年の死。少年が登校拒否になっていたことで、警察も周囲も自殺だったとするが、そこに厄介者として忌み嫌われていた不良少年3人組が殺したという告白状が届いて、その波紋が子供たち、親たち、教師たちを大きく揺らす...

前述したように、「ソロモンの偽証」は3部構成になっていて、第一部は「事件」と題されて、少年の死が与えたインパクトを群集劇風に描く。第二部「決意」は少年の同級生だった女子生徒が、少年の死の真相が解き明かされないまま、うやむやに葬られていくことに我慢できず、自分たちの手で明らかにしようとする過程が描かれる。第三部「法廷」では、少年の死の謎を追及する手段として開かれることになった裁判が展開する。

とにかく、自殺である可能性が高い一少年の死だけを題材にして、2100ページ以上のドラマティックな大作に仕上げた宮部みゆきの筆力はすごい。特に、少年少女たちの人物描写は実に巧く、読み手の頭の中にそれぞれの人物像がくっきり浮かび上がる。私が中学生だったのはン十年前も昔のことだけれど、「こういうヤツ、居る居る」とうなずいたり思わずニヤリとなったり。
日本では映画化が進んでいるようだけれど、こんな大作を2時間ほどの映画にすることによって、登場人物像が薄っぺらくなってしまったり、物語のディテールが省略されてしまったりすることになりそうなのがちょっと心配。こういう作品は、TVドラマシリーズにする方がずっと向いていると思うんだけど。



もう1冊は柚月裕子著の「検事の死命」という短中編を3作あつめた本。


毎週のようにDVDや本を借りてくる近所の図書館の書架で見つけた。柚月裕子という作家の名前は聞いたことが無かったけど、宝島社の「このミステリーがすごい」大賞シリーズという謳い文句に魅かれて借りた。
地方検事が主人公のシリーズものの第3作とのことなので、主人公の検事の過去などを知っていればもう少し楽しめたのかもしれないけれど、扱っている事件が郵便物の紛失事件とか、主人公の父の横領事件、電車の中の痴漢事件、とあまり重大ではない犯罪なので、かなり地味。これも、登場人物の魅力とか作者の描写力で読ませていく類いのミステリなのだろうけれど、個人的な趣味から言えば、ちょっと物足りない気がした。