Saturday, November 24, 2018

「バスターのバラード」


ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の新作「バスターのバラード」を観た。
「バスターのバラード」は、コーエン兄弟にとって初めての6話から成るオムニバス形式の作品。各話どんな話なのかをざっと紹介すると:
第1話「The Ballad of Buster Scruggs」:バスター・スクラグス(ティム・ブレイク・ネルソン)という名のカウボーイが、歌を唄いながら町の酒場にやってくる。賞金がかかったお尋ね者のバスターは、行く先々で銃口を向けられるが…
第2話「Near Algodones」:荒野の中にポツンと立った銀行で強盗をはたらこうと立ち寄ったカウボーイ(ジェイムズ・フランコ)だが、思わぬ展開に…
第3話「Meal Ticket」:両腕両脚の無い青年にストーリーテリングをさせながら、あちこちの村々を渡り歩く男(リーアム・ニーソン)だが、次第に客が減って行き…
第4話「All Gold Canyon」:ロバを連れた初老の男(トム・ウェイツ)が美しい河のほとりで金脈を見つけようとひたすら穴を掘り続け…
第5話「The Gal Who Got Rattled」:オレゴン移住を目指して兄と妹の2人連れが大平原を横断するキャラバンに参加するが…
第6話「The Mortal Remains」:駅馬車に乗り合わせた5人の乗客。1人1人が自分の身の上話を語り始める…

「バスターのバラード」は、25年ぐらい前からコーエン兄弟が、暇を見つけては書きためてきたショート・ストーリーに基づいているとか。6話全てに共通しているのは「死」というテーマ。最終話が、そのテーマを見事にまとめてくれている。

日本でも11月16日からNetflix配信によって観られるそうなので、Netflixの会員になっている人は是非、観てください。

Saturday, November 3, 2018

「ファースト・マン」


アポロ11号で月面着陸を果たし、人類で初めて月に降り立った(ゆえにfirst man)ニール・アームストロングを主人公とした「ファースト・マン」を観た。

実話に基づいた宇宙飛行士の映画ですぐに思い出すのは「ライトスタッフ」や「アポロ13」だけれど、これら2作と異なり、「ファースト・マン」は、宇宙計画や月面飛行計画に焦点を当てているというよりは、宇宙計画に臨むアームストロングの仕事面と私生活面とを等しく描写。目立つ事を嫌い、自分の事を語りたがらなかったというアームストロングの人となりを深く掘り下げようとする姿勢が印象に残る。

演じるライアン・ゴスリングは、口数が多くはなかったアームストロングに扮しているゆえ、台詞の量は多くないが、代わりに顔の表情、特に眼の演技でアームストロングという人間を演じきっている。静かなる男を静の演技で体現しているというべきか。

それにしても、監督のデイミアン・チャゼルは、まだ33歳。26歳で「市民ケーン」を発表したオーソン・ウェルズほど早熟ではないが、監督3作目にして「ラ・ラ・ランド」を創り、4作目で「ファースト・マン」を創ってしまった力量は凄い。