Thursday, December 31, 2015

「スポットライト 世紀のスクープ」


キネマ旬報誌の「冬の増刊号」という臨時号に2016年のオスカー候補作の予想記事を書くのにあたり、いろいろとリサーチした中で「絶対、観たい!」と思ったのが、「Spotlight」(邦題「スポットライト 世紀のスクープ」)という作品。

“スポットライト”というのは、長期に渡ってリサーチ、取材が必要なトピックを追って記事にする4人の新聞記者から成るボストン・グローブ紙の特捜記者チームの名称。
フロリダからやってきた新任のエディター、マーティン・バロン(リーヴ・シュライバー)は、グローブ紙の小さなコラムで採り上げられていたボストンのカトリック司祭が子供の信者たちを性的に虐待していたという事件に注目。スポットライト・チームのロビー(マイケル・キートン)、マイケル(マーク・ラファロ)、サーシャ(レイチェル・マクアダムス)、マット(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)に、事件を掘り下げて追ってみるよう指示する。カトリック教会が絶大なる権力を誇るボストンで、司祭を犯罪者として糾弾するような取材は容易なものではなかったが、スポットライト・チームは持ち前のカンと粘り強さを発揮して、真相を究明するべく取材に乗り出す...

監督のトム・マッカーシーらが、ピューリッツァー賞に輝いたボストン・グローブ紙のスポットライト・チームに映画化の話を持ちかけた際、ロビーことウォルター・ロビンソンをはじめとした記者全員、「映画化してくれるのは構わないけど、コツコツとリサーチしたり取材したりする地味〜な我々の仕事を再現しても退屈なだけ」と思ったそうだが、退屈どころか、無駄なシーンなどいっさい無しに遅過ぎず速過ぎずのペースで進んでいくドラマはミステリ小説の映画化作品ばりにスリリングで超一級のエンタテイメントだった。
私にとっては、2015年ベスト1の作品になると思う。

日本用の予告編はまだ出回っていないようなので英語版で:


余談だが、いつも御仕事をさせていただいているスーパードラマTVさん放映の「レイ・ドノヴァン」の取材でリーヴ・シュライバーに電話グループ・インタビューした際、途中で電話が切れてしまったことがあった。またつながってインタビューが再開した時、シュライバーが「今、電車でボストンに向かっているところなので電波が切れちゃったみたいだね」と言ったので、ジャーナリストの1人がボストン行きについて聞いたところ「カトリック牧師の児童虐待についての映画を撮っているところなんだ」という返事が返ってきたのだけれど、今思えばそれが「スポットライト」だったんですねえ。

Tuesday, December 15, 2015

「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」


「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を一般公開より一足早く、試写で観た。

私はSWオタクとかではないので、「スター・ウォーズ」に関する事細かな知識は持ち合わせていないのだけれど、それでも、ハリソン・フォードやチューバッカら懐かしいオリジナルSWのメンバーに再会した瞬間は嬉しかったですね。

それと、「フォースの覚醒」は、強いヒロインが大好きなJ・J・エイブラムスが監督なだけあってヒロインをもりたてている構成になっているのも良かった。ネタばれになっちゃうから敢えてここでは書かないけれど、女性の私たちだったら思わずほくそ笑んでしまうシーンが結構あって楽しかった。

ちなみに、試写会場はバーバンクのディズニー・スタジオだったのだけれど、まず駐車場に車を停めて出て来た所で写真付きIDを見せてチェックインして手首にバンドのようなものを付けてもらい、そこから歩いて試写会場の劇場に着いた所でまたまたチェックインして違う色のバンドをもらうという二重チェックインがあった。通常の試写ではチェックインは1回のみだし、IDも見せたことなんて無い。おまけに、携帯電話は全て預けていかないとダメという念の入れよう。「フォースの覚醒」は全世界的で3日後の12月18日に一斉公開されることになっているから海賊版なんて作ろうとする人も居ないと思うんだけど、その辺、さすが何でも管理したがるディズニーらしい。試写の回数も今日だけで4回。ジャーナリストのみが対象の試写でもそれぐらいの上映回数にしないとさばききれないほど観に来るということなのでしょう。

ディズニー・スタジオ内の試写会場入り口。
SW専用の看板まで作ったんですね〜。

Sunday, November 8, 2015

「くるみ割り人形」2015


娘のバレエ教室、ウエストサイド・バレエ、毎年恒例の「くるみ割り人形」、今年は感謝祭の週末の土日と翌週の木曜日〜日曜日の計9公演の上演となりました。

ニューヨークだったらニューヨークシティ・バレエ、サンフランシスコだったらサンフランシスコ・バレエ、ボストンだったらボストン・バレエと、アメリカの大都市には、その名前を冠した有力バレエ団があって、クリスマスには「くるみ割り人形」を観るという街の人々は、そんなバレエ団の「くるみ割り人形」を観に行くわけですが、ロサンゼルスの場合は、ちょっと事情が違います。
ロサンゼルスにも、2005年に創立されたロサンゼルス・バレエ(LAB)というプロのバレエ団があるにはあるのだけれど、このLAB、本拠地とする劇場も無ければ、生のオーケストラ演奏で踊るでもないサビシいバレエ団。そんな事もあって、ロサンゼルスとその周辺は、戦国時代よろしく、ありとあらゆるセミプロのバレエ団やバレエ教室が「くるみ割り人形」を上演してきたのですが、今年から、ロサンゼルスから車で1時間ちょっと南下したオレンジ郡で、なんとニューヨークの大御所バレエ団アメリカン・バレエ・シアターが「くるみ割り人形」戦争に参入。競争激化に追い打ちをかけることになりました。

とまあ、前置きが長くなっちゃったけれど、そんな“くるみ割り戦争”に勝つには先手を打たねば、ということで、ウエストサイドの「くるみ割り人形」は9月の中旬から早くもチケット販売開始。その甲斐あって、2週めの土曜日と日曜日のマチネの回は既にチケットは売り切れに近い状況、なのは非常にありがたいのですが、困ったことにその時点ではキャスティング未発表。親の私たちは、自分の子供が何の役で、どの日のどの回に踊るのか、まるで判らない状態。ソロイストたちのためには、1人4枚まで良い席のチケットが確保されてありましたが、そうでない場合は、10月中旬のキャスティング発表までチケット購入はお預け。子供たちも、自分がどの役で何回踊らせてもらえるのか判らないまま、とりあえずリハーサルに出ねばならない状態。
まあ、「数週間のあいだにグンと上手くなる子も居たりするからキャスティングできない」というのがディレクターの言い分なのですが、実際は、早いうちにキャスティングを発表してしまうと役が就いたということで安心して怠け始める子や、逆に希望の役が就かないことでふてくされて真面目にリハーサルに来ない子やらが続出してしまうからなのではないかと。

そのキャスティング、今年は、去年や一昨年のように主役のシュガープラムにプロのダンサーをゲストに迎えること無く、ウエストサイドの卒業生で現在、ニューヨークシティ・バレエの付属バレエ学校SABの通年制に通っている17歳の子と、今年の「くるみ割り人形」が最後となる高校シニアの子、それに、プリバレエの時から先生のお気に入りでスター・ダンサー的な存在である高校ジュニアの子の3人がシュガープラムを踊るという、女性キャストに関しては久しぶりに100%ノンプロフェッショナルなダンサーたちによる公演になっています。

気になる娘の役ですが、彼女、「くるみ割り人形」のオーディション直後にサマーインテンシブで痛めた右足首の症状が悪化。フィジカル・セラピーには通っていたけれど、どうも症状が改善されないので、整形外科医に診てもらいました。整形外科医の所見はフィジカル・セラピストの所見と同じではあったものの、「完全に治したいのであれば、3〜4週間、ブートを履いて固定治療をするべき」という意見を言われ、娘はその場で「ハイ、じゃ、そうします」と返事。私は、バレエ教室のディレクターに相談してからの方が良いんじゃ...?なんてちょっとオロオロしちゃったけれど、本人いわく「今から3〜4週間休んでも10月上旬には復帰できる。今年踊らせてもらえそうな役は多分、去年と同じ。それだったら振付は完全に判っているから公演まで1ヶ月あれば大丈夫」とのこと。本人の意志がそこまでハッキリしているならそれを尊重するのが一番だと思い、ディレクターには本人と私から説明。ディレクターはさすがに心配そうだったけど、公演までの日数を数えて「なんとかなるでしょう」という結論を出してくれました。

ということで、今年は去年より役が減っても仕方ない、群舞の他に何回か、去年と同じ役を踊らせてもらえばラッキーと考えるようにしていたのですが、フタを開けてみたら、去年と同じ役を同じ回数踊らせてもらえることになったうえ、去年踊ったリード・エンジェルのうちソロの部分があるセンター・エンジェルの役を、1回だけですが、踊らせてもらえることになりました。4週間もリハーサルを休んだにもかかわらず、わずかながら去年より役をアップグレードしてくださったキャスティング担当の先生方には感謝、感謝です。

「くるみ割り人形」まであと3週間を切り、来週末は早くも第1回めのスタジオ・ドレス・リハーサルです。

Tuesday, October 20, 2015

「The Knick」


ここのところ、映画のことばかり書いてきたので、久しぶりにTVドラマのことを...

去年の夏にケーブル局シネマックスで放映開始された「The Knick」をやっと観始めたら、これがすこぶる面白くて、毎エピソードを楽しみに観ている。

「The Knick」は、1900年のニューヨークはニッカーボッカー病院(通称:“ザ・ニック”)を舞台にした医療ドラマである。
生と死のドラマが繰り広げられる医療現場はTVドラマの格好のネタになるということで、アメリカのTVドラマでは医療ドラマが尽きる事無く作り続けられているが、「The Knick」は1900年という時代背景ゆえ異彩を放つ作品になっている。
ニューヨーク、特に貧民街では衛生環境が非常に悪いから伝染病は簡単に流行るうえ、人々の衛生観念も乏しいから調理人によって腸チフスが広められたりする始末。さらに、ペニシリンをはじめとした治療薬も開発されていないし、医療機器はまだまだ原始的なものだし、手術の技術も充分に開発されていないとなれば、現代なら簡単に治る病気や成功する手術も困難な課題となって、患者たちはあっけなく死んでいく。

そんな医療の黎明時代の状況を観るだけでも、医学に興味のある私のような人間には面白いのだが、さらにザ・ニックの登場人物が実に面白味のあるキャラクターで、彼らの言動を観るのもとても楽しい。
まず主役のDr.ジョン・サッカリー(クライヴ・オーゥエン)。ザ・ニックを背負って立つ天才外科医だが、コカイン中毒者である。そのサッカリーの配下には、一見優秀そうに見えるが実は凡庸なDr.ギャリンジャー、良家のぼんぼんでサッカリーを崇拝している素直な青年ドクター、バーティ、そしてヴァージニア出身の若き看護婦ルーシー(U2のボーカル、ボノの娘で新進女優のイヴ・ヒューソン)らで構成されたチームが控える。
一方、病院の理事長の娘で父親の代理としてザ・ニックの経営サイドを担うコーネリアは聡明で思いやりもある女性だが、強靭な意志とプロ根性も持ち合わせている。
ザ・ニックには、その他、私利私欲を優先させることが多い狡猾な番頭役のハーマン・バロウ、救急車のドライバーで診察料を払える患者を獲得することでバロウから報奨金を得ているクリアリー、ザ・ニックに付属している孤児院の責任者のシスター・ハリエットなどなど、個性的なキャラクターが揃っている。

「The Knick」の第1話では、ザ・ニックの主任外科医を務めてきたドクターが前置胎盤の妊婦の帝王切開手術がなかなか成功させられないことを苦に自殺。その結果、サッカリーが主任外科医に昇格させられ、それまでサッカリーが務めてきた副主任のポジションに空きができる。サッカリーは、自分の下で外科医を務めてきたギャリンジャーを推すが、理事長は自宅の使用人の息子で自分が後援してハーバード大学で医学を勉強したうえヨーロッパでさらなる技術を学んできた青年、アルジャーノン・エドワーズを雇用するよう指示してくる。理事長の指示なら従わざるを得ないと考えるサッカリーだが、ザ・ニックにやってきたエドワーズを見て愕然とする。エドワーズは黒人だったからである。1900年のニューヨークでは、白人の患者が来る病院に黒人の医師が勤務することなど言語道断だった。「The Knick」では、それぞれの主義や立場を固持しながらも、優れた医師として互いに敬意を持ち合うようになるサッカリーとエドワーズの関係を中心に、20世紀初頭の医療現場における登場人物たちの生き様が丁寧に描かれていく。

「The Knick」は全エピソードをスティーヴン・ソダーバーグが監督しているが、生と死を扱っているだけにともすればセンチメンタリズムにはしりがちな医療ドラマをほどよくドライなタッチで描いているのが嬉しい。
キャストも、主演のオーウェンをはじめ、アメリカではそれほど有名ではないがイギリスの舞台などで活躍している俳優たちを多く起用しているだけあって、1人1人のキャラクターにしっかりした存在感がある。
が、私のような骨董好きな人間にとって何よりもたまらないのは、1900年代のニューヨークを再現したプロダクション・デザインの質の高さだろう。街頭ロケは、歴史的建築物が多く残るブルックリンの一部を使っているそうだが、ザ・ニックの建物内部や小道具の意匠、時代考証に基づいた医療器具や登場人物の衣装など、スタッフの素晴らしい仕事ぶりがうかがえる。

「The Knick」を観て、久々にアメリカのTV界の実力の凄さを見せつけられる思いがした。

Saturday, October 17, 2015

「ザ・ウォーク」


ロバート・ゼメキスの新作「ザ・ウォーク」を試写で観た。

フランスの大道芸人、フィリップ・プティが1974年8月にワールド・トレード・センターのツインタワーの屋上に渡したワイヤーを命綱無しで渡るという世紀の綱渡りは、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したドキュメンタリー「マン・オン・ワイヤー」に記録されているが、その世紀の綱渡りをロバート・ゼメキスが劇映画に仕上げたのが「ザ・ウォーク」である。

「ザ・ウォーク」では、ジョセフ・ゴードン・レヴィットが演じるプティがいかにしてツインタワーで綱渡りをするかという大胆不敵なプロジェクトを実現させるかという戦略を練るところが丁寧に描かれているが、そのクライマックスは何といっても、ゼメキスが得意とするCG技術によって再現された綱渡りのシーンだろう。特に試写はIMAX 3Dのシアターで上映されたので、そのリアルさ、迫力はハンパではなかった。
ストーリーと台詞はやや型通りのところがあるのが残念だけれど、ゼメキスが地上400m以上の高さでの綱渡りを再現した映像を観るだけでも価値のある映画かもしれない。

Sunday, October 11, 2015

「オデッセイ」


リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演の「オデッセイ」を試写で観た。

「オデッセイ」は、火星探索に出向いた宇宙飛行士チームが突然の嵐に遭遇した際、チームの1人が宇宙飛行船に戻りきれずに置き去りにされたものの、持ち前の知恵と強い意志で生き抜いていくという、シンプルなストーリーだが、“宇宙版ロビンソン・クルーソー”とでも呼べる主人公をマット・デイモンが好演。監督のリドリー・スコットによる熟達なる演出と、完璧なCGI、脇を支えるジェシカ・チャステイン、マイケル・ペーニャ、キウェテル・イジョフォー、ジェフ・ダニエルズの的確な演技で、実に上質なSFサスペンス映画に仕上がっている。

ちなみに、「オデッセイ」の予告編で、宇宙に置き去りにされたマット・デイモンを見た途端、「インターステラー」のことが思い出されて、「あらまー、マット君はまたまた宇宙に置き去りですか」とちょっと気の毒になった。ジェシカ・チェステインまで出ているし、こんなキャスティングして良いのだろうか、と思ったら、案の定LAタイムズ紙のインタビューでデイモンも「僕はリドリーに『惑星に取り残された人間を演じたばかりだから、それに続いて惑星に取り残された人間を演じる映画に出演するべきじゃないと思うんだけど』と言ったんだよ」と語っていて、やっぱり〜〜と思ったのでした。(それに対するスコット監督の返事が、「そんな事、憶えてる人間なんて居ないから大丈夫だってば!」だったというのにも笑ってしまったけれど)

Wednesday, October 7, 2015

「ブラック・スキャンダル」


1970年代にボストンの“Southie”(サウジー)と呼ばれる南部地域を中心に暗躍したジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを主役にした犯罪映画。
最初は小悪党に過ぎなかったバルジャーが、FBIに務める幼馴染みのジョン・コノリーに声をかけられて、イタリア系マフィアに対する犯罪捜査に協力する密告屋になってからは、自分たちの犯罪は見て見ぬ振りをされるようになったのをいいことに、やりたい放題やらかして一気に権力を得ていく。
最終的には、地方検察官の人事異動をきっかけにバルジャーの手下の1人に密告されて、バルジャー一家のメンバーが次々に逮捕され、バルジャー本人は逃走。16年間の逃亡生活の後、2011年にサンタモニカのアパートに隠れ住んでいるところを逮捕されている。

映画化にあたっては、バルジャーの悪行が次々と描かれていくものの、事実に忠実にしようとしたためか、ストーリーに起伏が乏しく盛り上がりに欠けるのが惜しかった。
ただし、それを補って余りあるのはジョニー・デップの演技。特殊メイクアップを施して、デップ本人の面影はほとんど消えて(撮影現場入りしたデップを見た映画関係者が「で、バルジャー役のあの俳優は誰?」と聞いたほどだったとか)、完全にバルジャーになりきったうえに、途轍もない凄みを出していて素晴らしかった。これでオスカー・ノミネートは確実でしょう。
ベネ様こと、大好きなベネディクト・カンバーバッチが出ているのも楽しみにしていたんだけど、出番は少ないし、別にベネさんじゃなくても務まる役だったのは残念な限り。

「エベレスト 3D」

バレエのサマーインテンシブ中に痛めた足首を完治させるために娘がバレエを休んでいたのをいいことに9月に入っても映画三昧が続きました。

まずは、1996年に起きたエベレスト大量遭難事故を映画化した「エベレスト3D」。


冒険好きでリッチな素人登山家を募ってエベレスト登頂ツアーをコーディネートしてきたアドベンチャー・コンサルタンツのリーダー、ロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は、テキサスの医師ベック(ジョシュ・ブローリン)、郵便配達員のダグ(ジョン・ホークス)、六大陸最高峰登頂に成功していた日本人女性の難波康子(森尚子)などのクライアントたちを引率していた。ロブらがベース・キャンプに到着してみると、スコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)が主宰するアメリカのライバル・ツアー会社マウンテン・マッドネスの一行も来ていることが判明。その他に南アフリカの登山グループ
なども居て、エベレストはいつにない混雑ぶりを見せ、登山ペースの遅れを心配したロブはスコットに協力し合いながら登山することを提案して、スコットも同意する。スケジュールに従って登山を開始したものの、荒れ模様の天候で一時は登頂が疑問視されたが、突然吹雪が止んだことで一行は頂上を目指して登山を開始する...

よく知られている事件を基にした映画では、観ているこちらも結末がどうなるのかはわかっているわけで、この「エベレスト」でも誰が生還して誰が生還ならないまま終わるのかを知りながら観ているのは、やや辛いものがあった。
それと、どうも自分個人は登山はもちろん、アウトドア・スポーツ全般にあまり興味が無いので、登場人物が危険にさらされたり困難にぶち当たったりするたびに、「なぜ、こんなにまでして山に登るかなあ...?」という問いが浮かんでしまい、よけい虚しくなった。同じ山岳遭難ジャンルの「八甲田山」も虚しい映画だったけれど、あの話は少なくとも軍隊の演習であり、参加した人たちも軍人の務めとして参加したという背景があったので、まだ納得(?)できる。でも、エベレスト登頂に臨んだ人たちはあくまで自分の意志で、しかも参加料6万ドル(約700万円)を支払って命を危険に晒していたということで、「Why??」という疑問符が何度も頭をよぎったのでした。

IMAX 3Dでの画面はさすがに迫力があったので、山岳映画が好きな人、主人公たちが困難に立ち向かっていくのを観るのが好きな人にはオススメできる映画ではあります。

Saturday, September 19, 2015

夏のTVドラマ:「MR. ROBOT」&「HUMANS」

かつてアメリカのTV界の1年間は9月に始まり5月に終わるものだった。
アメリカ人たちは夏はTVなんて観ないものという前提で、新エピソードの放映は5月に終え、6月〜8月は新エピソードの放映は無し。9月最初の月曜日であるLabor Dayが終わると、各局は前年度から続投する人気番組の新たなエピソードを放映し始め、終了した番組を埋め合わせる新番組の放映を開始する。

ところが、5年前ぐらいから、従来のスケジュールで放映されるドラマが夏休みに入った途端に開始する番組が増えてきた。
「Mr. Robot」と「Humans」は、今年の夏にデビューしたドラマの中でも特に優れもののドラマだった。

Mrロボット(クリスチャン・スレイター)とエリオット(ラミ・マレック)

「Mr. Robot」の主人公、エリオットはニューヨークのサイバー・セキュリティ会社オールセイフに勤めるエンジニア。天才的なハッカーだが、人付き合いが大の苦手。同僚のアンジェラに密かに好意を寄せているが、ぎこちない会話しかできない。或る日、エリオットは、オールセイフにとって最大のクライアントであるEコープのサーバへのサービス攻撃に対処するため、同社の施設に出向くがそこで「fソサエティ」という名の付けられたファイルに遭遇する。かねてから巨大企業であるEコープに不信感を抱いていたエリオットは、「こっそり残しておいて欲しい」というメッセージを発信するfソサエティのファイルを咄嗟に削除せずに休止状態にして残してしまう。その直後、エリオットは地下鉄でfソサエティのリーダーで「ミスター・ロボット」と名乗る中年の男から接触を受ける。fソサエティはハッキングによって人々の負債の記録を消すというデジタル革命を計画しており、エリオットはミスター・ロボットから仲間にならないかと誘われる...

私はコンピュータやサイバー・ワールドに疎い限りなくローテクな人間なので、「Mr. Robot」に出てくるちょっとした専門用語がわからなかったり、ハッキングの過程がすぐに飲み込めなかったりして、家族に迷惑をかけながらの視聴だったが、それを除けば、「Mr. Robot」は滅法面白いドラマだった。先読みのできないストーリー展開もさることながら、カメラの構図や照明などが全くTVドラマのスタイルとはかけ離れていて、むしろインディーズ映画かヨーロッパ映画(特にデンマーク映画あたり)を想起させるような映像が実に新鮮だった。




もう1つの「Humans」は、近未来のイギリスを舞台に、「シンス(=Synth、synthetic=合成品の略)」と呼ばれるヒト型人工知能に関わる人間たちを描いたドラマ。

ジェンマ・チャンが人間そっくりの人工頭脳を演じる「Humans」

シンスは、メイドや看護師など、人間たちの日常生活のアシスタントとして広く普及しているという設定になっていて、ホーキンス家で働くことになるアニータもその1人だった。ホーキンス家の母親ローラは弁護士業が忙しく、3人の子供たちを含む家族の世話まで手が回っていないと思った夫のジョーは、黒髪が美しい東洋系の顔立ちをしたシンス、アニータを購入したのだった。末っ子のソフィはすぐさまアニータになつき、ジョーも息子のトビーも魅力的なアニータが家族の一員になったことにまんざらではない様子だが、ローラだけはどこか他のシンスたちとは異なるように思えるアニータが自分の家庭に入り込んできたことに違和感を覚える。それもそのはず、アニータは他のシンスたちと違い、感情や記憶、自分の意志さえも有するという「知覚型シンス」だったのである...

ヒト型人工知能の在り方について問う作品では何と言っても「ブレードランナー」が有名だが、「Humans」でも、もし人工知能がほとんど人間と変わらない存在になったら?という問いが繰り返される。
ちなみに「知覚型シンス」の誕生の背景には、ほぼ手塚治虫の「鉄腕アトム」と同じバックストーリーが用意されていて、クリエイターたちは「鉄腕アトム」のことも知っていたりしたのかしら?と思ったりした。



Tuesday, September 1, 2015

これまたちょっと惜しかったアクション映画2題/「コードネームU.N.C.L.E.」と「Hitman: Agent 47」

8月も終わり、娘の学校も始まり、試写行き放題の夏が終わりました。
その夏の最後の試写で観たアクション映画2題は、ちょっと残念な出来でした。

まずは1960年代のスパイものTVドラマ「0011 ナポレオン・ソロ」を、ガイ・リッチーが映画化した「コードネームU.N.C.L.E.」。


「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「シャーロック・ホームズ」など、スタイリッシュな映像で小気味良くアクションを見せるのが得意なリッチーなので、60年代のオシャレめレトロな楽しいアクション映画を期待して観に行ったのだけれど、なんか全体が固い印象。悪くはなかったんだけど、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の時のように爽快感に欠ける気がしたのと、クスッと笑えるユーモアもそれほど無くて、味付けが薄過ぎる料理を食べた時のようになんか物足りない読後感ならぬ「観後感」があったのは残念。
その物足りなさの原因の1つはキャスティングかも。オリジナルのTVドラマ版でロバート・ヴォーンが演じたナポレオン・ソロは新スーパーマンのヘンリー・カヴィル、デヴィッド・マッカラムが演じたイリヤ・クリヤキンはアーミー・ハマーが演じているんだけど、この2人、妙に真面目くさっているというか、硬直している感じでスパイものヒーローに必要なしなやかさが無いような気がした。2人に絡むヒロインを演じているアリシア・ヴィキャンデルもそれほど美人でもないしセクシーでもないし、それを補うような愛嬌も無いし。
まあ、退屈はしなかったけれど、続編も観たい!と思わせる作品でも無かったかな。




それよりさらに惜しかったのは「Hitman: Agent 47」。


予告編を観たらスピーディなアクションが面白そうで、B級作品だというのを承知で観に行ったのだけれど、映画というよりはビデオゲームを映画のフォーマットに直しただけのような作品で、少し時間が経ったらどのようなストーリーだったかをさっぱり忘れてしまうのではないかと思うほど薄っぺらなストーリーだった。
観た後で知ったのだが、この映画、2007年の米仏合作映画「ヒットマン」のリブート作品だったようで。オリジナル版はビデオゲームを映画化したものだと知り、大いに納得。でも、オリジナル版も、映画評を総括したロトゥントマトズによると好意的な評を書いたのはアメリカ&カナダの映画評論家のうち14%。そんな作品をわざわざリブートする必要ってあったのだろうか??



映画本編は予告編を25倍の長さに延ばしただけってな感じの映画でした。

Saturday, August 22, 2015

ハズレの試写会/「ピクセル」と「ファンタスティック・フォー」

 言うまでもないけれど、試写会はタダである。
 私の場合は、映画雑誌に定期的に記事を書いているということで米国映画協会を通して大手の映画会社から試写の招待が来るのだが、その多くは一般公開の数日前に行なわれるので、いち早く新作が観られるという有り難みはあまり無い。
 でも、何と言ってもタダである。ロサンゼルスでも最近は映画の入場料は平均15ドルぐらいするので、家族と行けば30ドルの得である。30ドルと言えば、ランチ御二人様分ぐらいになる。映画会社によってはポップコーンと飲み物のサービス付きである。私は、飲み食いしなくても全く構わず映画を観られる人だが、配偶者などは「ポップコーンが無いと映画の楽しみが半減する!」と言い切る、典型的アメリカンなので、無料のポップコーン+飲み物は有り難い。

 というわけで、経済観念の発達した兼業主婦としては試写会を利用しないテは無い。
特に夏休み中は、娘の夕方のバレエクラスの送迎の必要が無くなるから試写会行き放題である。
 でも、そうやって無差別に試写会に行けば、当然、「ハズレ」の映画にも当たったりする。今年の夏は、80年代のビデオゲームにインスパイアされたという「ピクセル」と「ファンタスティック・フォー」がハズレだった。

 「ピクセル」は、フランス人アニメーターが2010年に作った短編映画「Pixel」を長編映画化した作品。80年代のビデオゲームを入手したエイリアンが、パックマンやスペースインベーダーなどのゲームは自分たちへの宣戦布告だと勘違いして地球を攻めてくるという設定で、アダム・サンドラーやケヴィン・ジェームズ、ミシェル・モナハンらが、ビデオゲーム・オタクのスキルを駆使して迎え撃つという内容になっている。
 80年代のビデオゲームにハマった人間だったら、パックマンやスペースインベーダー、ドンキーコングなどが登場するシーンにノスタルジーをおぼえて楽しめるところもあるかもしれないが、ストーリーもキャラクター設定もとにかく子供だましで、中学生以上の年齢の観客は飽きること間違い無し。
 原案の短編映画「Pixel」は確かに面白い。



 ヴィジュアル・アイディアはなかなかのものだし、見ていてクスリとさせられるオチも多い。でも、これはあくまで2分半の短編映画。人間のキャラは出て来ないし、なぜニューヨークが「ピクセル・アタック」に遭うのかという説明も無い。アートっぽく抽象的な作品である。映画「ピクセル」は、それを無理矢理コメディ映画にしてしまったという強引さが、失敗の原因だったように思えた。

映画版の予告編はこちら:


 それでも、「ピクセル」には、ところどころ笑えるシーンがあったからまだ良い。いわば他愛のない子供の絵本を読まされている気分になるだけで。しかし、「ファンタスティック・フォー」の方は、そういうユーモアのセンスすら乏しくて、子供時代に従弟に付き合わされて見させられた日本のチープなスーパーヒーロー・ドラマを思い出した。

 今回公開された「ファンタスティック・フォー」は、2005年に製作されて2年後に続編も作られた「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」のリブート作品という位置づけである。
 2005年版の「ファンタスティック・フォー」では、既に4人組がスーパーヒーローとしての地位を確立していたのに対し、今回のリブート版では、その4人がいかにして“ファンタスティック”になったか、という「ルーツを明らかにする」のに前半が費やされる。この前半は、「セッション」のマイルズ・テラーや「ビリー・エリオット」のジェレミー・ベルなど、素朴さがウリの若手スターの好演もあって、まだマシ。が、4人と後の悪役ヴィクター・フォン・ドゥームが実験事故に遭って特殊能力を身につけてからの後半が、完全に先読みできてしまう凡庸な出来で、とにかく退屈。ヴィジュアル・エフェクツも、今どきのテクノロジーのレベルを考えると低質な仕上がり。
 派手な娯楽作には採点が甘いアメリカ人映画ファンだが、さすがにここまで出来が悪いとそっぽを向いてしまうようで、公開後2週間の興行収入はアメリカ国内でわずか4700万ドル。その他の海外市場を入れても1億700万ドルで、製作費の1億2200万ドルに到達すらしていない。マーケティング費や配給にかかるコストを加えると約2億ドルの出費ということになるらしいが、劇場公開収入だけでそれだけの金額は取り戻せないだろう。
 この失敗で、製作サイドでは、新人監督の仕切りが悪かった、いや新人監督に不必要なプレッシャーを与えたうえ最終的な編集の権限を奪った映画会社側が悪い、といった責任のなすり付け合いが展開しているとか。やれやれ...

Sunday, August 2, 2015

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」


「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を試写で観た。

1960年代のTVシリーズ「スパイ大作戦」を映画化したシリーズも、今回で5作目。フランチャイズ作品は、普通、製作を重ねるごとにパワーダウンしたり、マンネリ化したりすることが多いものだが、この「M:I」シリーズは数少ない例外の1つ。(ジョン・ウーが監督した2本目が一番物足りない作品だったというのが個人的な意見だけれども、それでも駄作というほどではなかったという記憶がある。)本作「ローグ・ネイション」も期待に応える上質な娯楽作に仕上がっている。

アクション映画の定石の1つに、しょっぱなからインパクトの強いシーンを見せて観客を映画の世界に一気に引きずり込むという構成の仕方があるが、「ローグ・ネイション」もそれに倣い、物語は背景などの前置き無しでいきなりトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが、テロリストが飛行機で毒ガスを持ち去ろうというのを止めようとするアクション・シーンから始まる。(このシーン、007映画をはじめとしたスパイ映画によくあるような荒唐無稽なアクションが披露されるが、驚くべきことに、CGなどは使わず、スタントマンすら使わず、クルーズが実際に敢行したとのことで、それを後で知ってド肝を抜かれました。)
ハント率いるIMFのメンバーが次に取り組んだのは、ザ・シンジケートと呼ばれる国際的な犯罪組織を追うことだったが、ロンドンで不意打ちをくらったハントは逆にシンジケートに捕まってしまう。“ボーン・ドクター”と呼ばれる男に拷問されそうになったハントを救ったのは、イギリスの諜報機関MI6の元エージェントでシンジケートの一員になったイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)だった。
一方、アメリカでは合衆国上院の監視委員会でCIA長官のハンレイ(アレック・ボールドウィン)が、ザ・シンジケートの存在を否定すると共にIMFの解体を提言。同席したIMF主任分析官ブラント(ジェレミー・レナー)の反対にもかかわらず、解体は受け容れられ、ハントはIMFのサポートを受けられないばかりか、追われる身になってしまう。そんなハントに出来る事は、シンジケートのリーダー格、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)を捕獲することだった...

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の見どころの1つは、何と言っても、トム・クルーズの身体を張ったアクションだろう。クルーズは今年の5月で53歳になったのにもかかわらず、その肉体派ぶりは御見事。上述した飛行機を追跡するシーンや、カー/バイク・チェイスシーン、潜水シーンなど、全てスタントマンを使わずに自ら挑んだ姿勢には拍手を送らざるを得ない。以前、会った御本人はかなり変わった御仁だったけれど、俳優としてのプロ根性には脱帽である。
クルーズ演じるハントを支えるIMFのメンバーたちを演じる俳優もイイ。ヴィング・レイムスは1996年に公開されたシリーズ第1作からずっと参加している唯一のキャスト・メンバーゆえ懐かしの友人に再会できたような嬉しさがあるし、第3作から参加しているサイモン・ペグは相変わらず可笑しくて善い人というキャラにはパーフェクト。前作の第4作から参加しているレナーも、シリアスな中に時々ユーモアをチラ見させるところがナイス。本作紅一点のファーガソン(イギリス人を母に持つスウェーデン人女優)は、筋肉がしっかりついたアスリート体型ゆえ、綺麗だけど細過ぎる今どきの女性のアクション・シーンよりも説得力があって良かった。

それにしても、これだけの質を保ちながらフランチャイズ化させていくというのは、作るたびにハードルの高さを上げていっているようなもので、製作者たちにはなかなかしんどい事なんだろうなあ、と要らぬ心配をしたりしてしまったのでした。



ちなみに、↑は日本向けの予告編ですが、0:25と1:18に登場するレナーは、別シーンから引っ張ってきたもので、あまり感心する編集ではないです。まあ、ネタばれするとか、誤解を招くほどのインパクトは無いのだけれど、ここに入れる必要も無いだろ、と存在理由の理解に苦しむ編集だったりします。

Sunday, July 26, 2015

カンザスシティ・バレエ、サマーインテンシブ、まとめ

KCBサマープログラムの会場、トッド・ボーレンダー・センター

カンザスシティ・バレエ(KCB)のサマーインテンシブ・プログラムについて参加した娘の経験を簡単にまとめてみます。

[プログラムの内容]
*クラシック・バレエのクラス
テクニーク、ポアント、ヴァリエーション、レパトワール、パドドゥ
*その他のダンスのクラス
コンテンポラリー、ジャズ、フラメンコ、ヒップホップ、キャラクター、インプロヴィゼーション
*ダンス・コンディショニング
ピラティス、ヨガ、フロアバー、解剖学
#上記のクラスのうち、テクニークとポアントは月〜金の午前中に毎日履修。それに加え、ヴァリエーションかレパトワール、パドドゥのいずれか1つが、午後にあって、計3クラスがクラシック・バレエに充てられ、もう1つ、その他のダンスが1枠、ダンス・コンディショニング系のクラスが1枠と、毎日5クラスをこなしていたようです。
#ヴァリエーションは、「白鳥の湖」のパドトロワ、黒鳥のヴァリエーション、ポーランドの王女、「ドンキホーテ」のキトリ、「眠れる森の美女」の銀の精、「ライモンダ」、「リーズの結婚」、バランシンの「バロ・デラ・レジーナ」、ウィリアム・フォーサイスの「In the Middle, Somewhat Elevated」などを習ったそうですが、いずれも1回のクラスで習って踊っただけだったので、踊りによっては踊り込みが足りなくて消化不良な気分になったとか。

[指導陣]
KCBスクールの常任教師に加えて、サンフランシスコ・バレエ・スクールの教師やプリンシパル・ダンサー、ボストン・バレエ・スクールやパシフィック・ノースウェスト・バレエ・スクールの教師らのゲスト教師がそれぞれ1週間ずつクラスを受け持ちましたが、さすがに素晴らしい指導だったそうです。それと、KCBのジュニア・カンパニー、KCB IIのディレクターを務める先生のクラスがとても楽しくて、「一番好きな先生だったかも〜」とのこと。指導陣全体に関しては、1人の先生を除いては、どの先生のクラスも楽しく充実していたそうです。

[レッスンについて]
本人に依ると、KCBのサマープログラムで一番の収穫は、コンテンポラリーやジャズのスキルが上がったことだったそうです。ウエストサイドでは、常任のジャズの先生は1人だけ。サマープログラムでも、コンテンポラリーは1人の先生から習ったのみだったので、バレエ団の作品の振付を担当したりするレベルの先生に習えたことは、とても良い経験だったようです。確かに、デモンストレーションでも、コンテンポラリーを踊るのを観て、私の眼からも上達したように思えました。
一方、クラシック・バレエでは、パドドゥやこれまで習った事の無いヴァリエーションを習えたりといった新しい経験はあったものの、同じグループの生徒たちの実力レベルがけっこうバラバラだったこともあって、去年参加したCPYBでのクラスのようにじっくりとテクニックを上達させるという機会には恵まれにくかったように思ったそうです。
今回は、膝と足首を故障して全てのクラスに出席できなかったのも残念な経験となりました。

[寮での滞在]
初めて親元を離れての寮滞在でしたが、ルームメイトや同じフロアの友達に恵まれ、とても楽しい経験だったようです。「脚の故障もあったから5週間というプログラムの長さはちょうど良かったと思うけれど、友達とはもっと長く一緒に居たかった」と言っていたほど。寮の食事も美味しく、その点もプラスだったようですが、困ったのは、そのせいもあって太って帰ってきたこと。行く前にキチンと体重測定をしていかなかったので、正確な数字はわからないのですが、5週間で3kgほど太ったのではないかと。(汗)まあ、高校生ということで太る時期ではあるのですが、身長があるだけに体重も60kg超過。これじゃあ、足にも負担がかかるし、パドドゥのクラスなどでは相手の男の子がかわいそう過ぎるので、夏の間にせめて50kg台に戻させようと思っていますが、食べることが大好きな人間なので、どうなることやら...*タメイキ*

[最後に]
KCBは、アメリカ国内では中堅どころといった位置づけのバレエ団です。娘が属していたレベルは6レベル中、上から2番目のレベルだったこともあって、時々、KCBの団員も一緒にレッスンを受けに来たりしたそうですが、プロのダンサーと一緒にクラスを受けるのは良い刺激になったようです。レッスン会場も、普段、KCBの団員がレッスン&リハーサルをする施設なので、非常に立派で気持ち良くレッスンできたことだったと思います。その点では、去年参加したCPYBよりもベターな環境だったと言えるでしょう。
その一方で、CPYBでは年齢に全く関係無く、同じようなレベルで似たような問題を抱えている生徒を集めてクラスが構成されていたため、先生の指導がピンポイントで行き届き、生徒たちは上達に意識を集中させて取り組むことが出来たという印象を受けました。

KCBのサマープログラムは、娘が初めて参加したバレエ団付属校のプログラムだったゆえ、他のバレエ団付属校のプログラムとの比較ができないのが残念ですが、去年CPYBのプログラムを終えた際にとても上達したという達成感は無かったものの、いろいろと得るところはあった、というのが娘の感想です。

Friday, July 24, 2015

カンザスシティ・バレエ サマーインテンシブ、デモンストレーション

レベルEの生徒たち。デモンストレーションの前にハイ、ポーズ

カンザスシティ・バレエ(KCB)の5週間に渡るサマーインテンシブは、7月17日に無事終了。
娘をカンザスシティまで迎えに行きがてら、最終日のデモンストレーションを観に行きました。

デモンストレーションは、レベルA〜Cが午前中に、D〜Fが午後にと、分かれてスケジュールされており、Dはジャズとレパトワール、Eはコンテンポラリーとレパトワールと2つずつでしたが、一番上のFは、コンテとレパトワールの他に、「白鳥の湖」のパドドゥの一部と、KCBのアーティスティック・ディレクター、デヴォン・カーニーが振り付けて今年初めて披露するという「くるみ割り人形」の中から「花のワルツ」の一部抜粋を習って見せてくれました。(一般に公開するのはこれが初めてとのことで、写真撮影及び録画は禁止でした。)

娘の属していたレベルEのレパトワールは、先生の1人がフォーキンの「レ・シルフィード」にインスパイアされて振り付けたという作品で、ショパンのワルツの生ピアノ演奏で踊られました。振付自体はクラシックで綺麗だったのだけれど、娘は履くつもりでいたというベストのポアントシューズを間違って荷造りしたスーツケースの中に入れてしまい、捨てるつもりでリボンとゴムを外してしまっていたポアントシューズしかバッグに入っていなかったという超御間抜けなミスをしでかして、死んでいたシューズに急いでリボンだけ縫い付けて踊ったため、途中で何回か靴が脱げるという事態に。ビデオを撮っていて「なんか変だなあ〜」と思ったら、後でそういうハプニングがあった事を告げられました。撮影中は気がつかなかったけど、後で動画を観たら、靴がすっぽ抜けてデミポアントで立っている所が何箇所か見つかってガッカリ... これまで公演などではそういうミスをしたことが無かったので、ちょっと驚きましたが、ドミトリーの退出時間が決められていて大急ぎで荷造りして慌てちゃったんでしょう。まだまだ未熟やのう〜〜

レベルE、レパトワール。最後のポーズはこんな感じ

コンテンポラリーの方は、KCBの団員で、これまでKCBのためにも振付を手がけたことがあるという先生の作品で、テクノ/ダンス・ミュージック(?)のMIAの「Bird Flu」という曲を使ったもの。曲のタイトルにちなんで、ちょっと鳥っぽい動きとかが入れられていました。私はコンテンポラリーって、それほど好きではなかったんだけど、このダンスは面白かったですねえ。

「Bird Flu」、最後のポーズ〜

レベルDとFのジャズやコンテは短過ぎてあまり面白くなかったので、レベルEの子たちはちょっと得したかな〜という感じ。
でも、逆にDのレパトワールは、ネオクラシカルな作品で非常に面白かったです。娘も「あっちの方が踊りたかった〜〜」だって。欲を言えば、振付に対してDの子たちの技術力と表現力とがちょっとついていっていなかったかも。あの作品はFの子たちが踊ったらもっと違った印象の作品になったのではないかと。
一方、Fのレパトワールは、ハチャトゥリアンの「マスカレード」を使った作品だったのですが、18人の女性に9人の男性という人数だったので、ちょっとゴチャゴチャしちゃったかなというのが正直な感想。「マスカレード」は、ウエストサイド・バレエの故イヴォンヌ校長先生もオリジナル振付作品に使っていて、身びいきながらイヴォンヌ先生の作品の方が良かったかな〜なあんて、こっそり思っちゃったりしました。

レベルEの場合、レパトワールは2週目ぐらいから週2回の練習を始めたそうで、練習量としては7〜8時間ぐらい。コンテの方はもっと少なくて計3時間で振付を憶えて踊らねばならなかったそうです。デモンストレーションの際に校長先生もおっしゃっていましたが、プロになると、急遽、振付の変更や追加があったりして、それをすぐに会得してステージで踊るレベルに仕上げなければならないという能力も要求されるから、このデモンストレーション・パフォーマンスは、そういう能力を鍛える意味もあるとのこと。なるほどねえ。

デモンストレーションの後は30分ぐらい、生徒たちはクラスメイトとの別れを惜しんだり、迎えに来た親たちは先生に御礼を言ったり、他の親と挨拶を交わしたり雑談したりしてから、それぞれの帰途に着きました。

Friday, July 17, 2015

カンザス・シティに再びやって来ました

今日は、娘が参加しているカンザスシティ・バレエのサマーインテンシブ最終日で、簡単なデモンストレーション・パフォーマンスがあります。

6月に娘を連れて来た時には、前日の夕方に着いて翌日の夕方に出てしまうという24時間ステイだったので、今度は少し街も見て、ついでに娘のクラスも覗こうということで、朝5:50発の飛行機でLAを出発。ということで起床3:45am。眠ーい...

飛行機の窓から覗いた朝日に輝く雲。なかなか綺麗でした

御昼過ぎに到着してレンタカー借りて、まずはスタジオへ。その日の時間割によると、到着時はランチタイムなので、御友達と食べている娘を襲撃。(笑)その後、コンテンポラリーのクラスをドアのガラス越しに見学。本当はバレエのクラスを見学したかったのだけれど、テクニークもポアントも午前中に終わってしまっていて残念。

こんな感じで覗き見。
マジックグラスになっていて、向こうからこっちは見えないんだそうで

今日のデモンストレーションでも、この先生(カンザスシティ・バレエの現役ダンサー)の作品を踊ることになっています。

コンテンポラリーのクラスの後は、そのデモンストレーションのリハーサルがあって、見学はできないと諦めていたら思っていたら、教室にあっさりと入り込めて観られちゃいました。ラッキー♪
おかげで、今日のビデオ撮影のプレビューができて良かったです。
デモンストレーション・パフォーマンスについては、また改めて書きます。

スタジオに寄った後は、ホテルにチェックインして、近くのカントリークラブ・プラザというショッピング街をブラブラしに行こうと思ったのですが、すごい暑さで散歩する余裕も無く、下調べしておいたサンドイッチショップでサンドイッチとスムージーの遅い昼食を取りました。

近くの公園からカントリークラブ・プラザを臨む
のどかな光景に見えるけど灼熱の暑さでへばりました〜〜

スムージーは、美味しかったけど、作ってくれたニイチャンが気前良くフローズンヨーグルトをたっぷり入れるものだったから、お腹いっぱい〜〜。夕食抜きで腹持ちしちゃいましたわ。

ミックスベリー・スムージー。
写真ではよくわからないかもしれないけれど結構なボリュームでした

ホテルはさっきチェックアウト。Free WiFiを使ってホテルのロビーでこのブログを書いています。この後、デモンストレーション・パフォーマンスを観に行きます。

Wednesday, July 15, 2015

「アントマン」


「アベンジャーズ」フランチャイズの最新作「アントマン」を試写で観た。

アントマン=ant-man=アリ男
って、「アリのサイズのスーパーヒーローなんて、敵に踏みつぶされて終わりになりそう。いかにも弱そうじゃん〜」と思っていたら、作り手も、そういう一般ピープルの反応を先読みしてシリアスなヒーローものにしても突っ込まれそうだと考えたのか(あくまで私の想像だけど)、それを逆手に取り、コメディ仕立てのスーパーヒーローものの作品を製作。なかなか楽しく笑える娯楽作に仕上がっている。

アントマン/スコット・ラングを演じるのは、いかにもスーパーヒーローっぽくないポール・ラッド。金庫破りの名人として裏稼業の人間たちには知られた存在だったが、或る仕事をしくじって刑務所入り。御務めを終えて出てきたけれど、妻は刑事の男と婚約し、養育費も払えないスコットには娘と会う資格なんて無いと冷たく言い渡す。出所した時は堅気になるつもりだったスコットだが、娘に会うことができるよう養育費を捻出するため、昔の仲間ルイ(マイケル・ペーニャ)たちが計画した金庫破りを請け負うことにする。スコットは名人芸を発揮して手強いハードルがいくつもある金庫を開けることに成功するが、そこには古ぼけたスーツが無造作に置かれているだけだった。金目の物が全く無かったことにガッカリして仕方なくそのスーツを持ち帰ったスコットが仲間に内緒でこっそり着てみると...

「アントマン」の予告編も、この間、書いた「ターミネーター:ジェニシス」の予告編のようにネタばれが結構あったので、予告編のリンクの代わりに、スコットが初めて「アントマン」に変身するシーンの動画を:



アリぐらいのサイズだと、水がこんな風に見えるのか、というミクロな視線で作られたCGが良く出来ています。

上でも書いたように、アントマンはシリアスにスーパーな(?)他のアベンジャーズのメンバーたちとは一線を画した存在ということで、コミカルなシーンや台詞も多かったのだけれども、出演者の中ではマイケル・ペーニャがサイコーに可笑しい。

セニョール・ペーニャ

派手なアクション映画にしようか、笑えるコメディにしようか、どっちを観ようかな、と迷う時にはピッタリの映画でしょう。


試写に向かう時に見つけた「アントマン」の大型野外宣伝。ビルの側面いっぱいに拡大された電気のスイッチの上にアントマンがちょこんと乗っている(写真で見えるかな〜?)騙し絵的な3Dっぽい写真。サンセット・ブルヴァードを運転しているドライバーへのアピール力は抜群でした。

Friday, July 3, 2015

カンザスシティ・バレエ サマーインテンシブ 折り返し点を過ぎました

カンザスシティ・バレエのFacebookより
週末のアクティビティの写真

速いもので、娘のカンザスシティ・バレエのサマーインテンシブも今週の水曜日で折り返し点を過ぎました。

今週初めに脚が痛くなって(膝と足首)、水曜日は踊らず見学、木曜日にフィジカルセラピーに行って施術してもらい、金曜日には復活したようです。
でも、踊らないで1日中見学するようなことになる前に、ちゃんと対処して欲しかったですねえ。高校生になっても、その辺の加減がまだまだわからないのはちょっと困りもの、だと思います。自分の身体のコンディションを見極めてメンテナンスが出来るようにならないと。まあ、今回のことで少しは学習したなら良いのですが。

もう1つ困りものなのは、とにかく連絡して来ない!(怒)
電話は毎日は無理でも、テキストで簡単な報告ぐらいすればいいのに、こっちから何度もテキストで「おうかがい」して、ようやっとテキストが返って来るような始末。しかも、返事も「良かったよ」「好きだった」「嫌い」と一言だけ。少しは、「こういうところが良かった」とか「〜なので好きだった、嫌いだった」と、説明を付けてくれたってバチ当たらないと思うんですけど〜〜〜
幸い、KCBのFacebookを見ていてSI参加生徒のブログを偶然発見。この御嬢さんがまた筆まめ(ブログまめ)で毎日、更新されているので、何とか様子を知ることができるんですけどね。
何千ドルもかけてSIに参加させてあげているんだから、感謝の気持ちで報告ぐらいしてこいや〜〜と思うんだけど。(ブツブツ)

ということで、テキストは隔日ぐらい、電話はたま〜〜にしかかかってこないのですが、それでわかったことは:

*ゲストの先生たちは皆、とても良かった。キチンと見て、直しを入れてくれるし、為になったと思う。

*男の先生たちは、全員ナイスだし面白くて、クラスがとても楽しい。

*あまり好きじゃない先生も1〜2人居るけど、教えるのは週1〜2回の頻度だから、それほど気にはならない。

*パドドゥが楽しい。いつもの教室だと、相手は大人のクラスの素人のオッサンたちがほとんどだけど、KCBのSIでは、当たり前だけど、しっかりバレエを習っている男の子たちなので、踊りやすい。ただし、2つある男性クラスでは、やっぱり上のレベルの子たちの方がサポートが上手くて踊りやすかった。

*ジャズやコンテンポラリーが意外に楽しい。特にブロードウェイ・ジャズはすっごく楽しかった。


寮生活については、食事が意外に美味しくて充実しているようです。
朝食は、すごくバラエティがあるみたいで、キッシュなんて日もありました。ランチは、サンドイッチとかラップをパックしてくれて、スタジオで渡されるのですが、「アタリ」の日と「ハズレ」の日があるので、食べたくない時は食べなくて済むよう、朝食を多めにとっておくようにしているとか。夕食も、けっこう美味しくて、餃子とか焼きそばとか中華まで出て来て、その時には感激して写真を撮って送って来ました。(笑)

週末のアクティビティも楽しいらしく、これまた写真を撮って送って来ます。きっと毎週末、遠足気分なんでしょうね。

充実している模様のSIもあと2週間。
5週間って、始まる前はえらく長く感じられたけど、いざ始まってしまったらあっという間です。

Thursday, July 2, 2015

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」


「ターミネーター」シリーズ最新作、「ターミネーター:新起動/ジェニシス」の試写を観に行く。

「ターミネーター」シリーズは、ジェームズ・キャメロンが監督した第1作、第2作があって、一応、それに続く形でジョナサン・モストウの「3」が製作された後、リブートのような形でマックGの「4」が製作されてきた。(リブート版の「4」の原題は「Terminator Salvation」で、1〜3とは差別化されている。)
さらに、「4」が公開される直前に、「ターミネーター サラ・コナー・クロニクル」などというTVドラマまで放映された。
そういう経緯があるので、「ジェニシス」は、オリジナル版の系列には入らないし、かといってリブートの続編でもないし、一体全体何物??という位置づけになっている。(メディアによっては、re-imagingなどという意味が解るようで解らない呼称を使っているものもあったけれど。)

という正体不明(?)の「ターミネーター」が「ジェネシス」なわけなんだけれど、その中身もかなり怪しい(笑)。
「ジェネシス」は、元祖「ターミネーター」と同じ、2029年の地球から始まる。マシーンが人類を滅亡寸前まで追い込んでいる近未来。少年カイル・リースは、マシーンが地球を征服する前の世界を知らずに育ってきた。カイルは両親を失い、ターミネーターに殺される寸前に人類の救世主、ジョン・コナーに救われる。天性のリーダーであるジョンは遂にマシーンに勝利するかと思われたが、マシーンが最後の戦略としてジョンの母親サラを殺してジョンが生まれないようにすべく殺人マシーン、ターミネーターをタイムマシーンで過去に送り込んだことを知り、自分の右腕に成長したカイルを過去に送ってサラを守らせようとするが...

スカイネットが過去に送り込む殺人マシーンのターミネーターは、84年版の「ターミネーター」のシュワちゃんをCGIで作り上げたものなんだけど、それが到着するシーンは84年版とまるで同じに再現。ゴミ処理場でクレーンを操作するオッサンが太った黒人で、「What the hell?」と言う台詞まで一緒なのは笑っちゃったんだけど、「こんなディテールまで一緒にするってことは、ガス・ヴァン・サントの『サイコ』みたいな映画になっちゃうわけ??」と思って観ていたら、アレ?アレレレ?という事になりまして〜〜〜

後は観てのお楽しみ。

個人的には、そこそこ楽しめる映画だったし、「ターミネーター」のフランチャイズ作品の中では、「1」や「2」にはかなわないけど、「3」や「4」とは同程度の出来だと思った。
が、アメリカの評論家たちは相当辛口。ロトゥントマトズでは、フランチャイズ5作品の中で最低スコアが付けられていて、ちょっと気の毒になりました。まあ、時間軸の点とかが「は?え?え?」となっちゃう所も多かったので、評論家たちの言い分も確かに当たってはいるんだけどね。
まあ、「ターミネーター」なんてこれまで観たこと無い、という人はスルーしても全然問題無い作品だと思うけれど、これまでの「ターミネーター」は全部観たという人は、とりあえず一見しておいても損はないかなあ、と思いました。

*いつもは、最後に予告編動画のリンクを貼っておくのですが、この映画に限ってはかなりネタばれしているので、予告編は観ないで本編を観ることをオススメします。

Thursday, June 25, 2015

カンザスシティ・バレエ、サマーインテンシブのレッスン

カンザスシティ・バレエのFacebookより

入寮した翌日の月曜日にプレイスメント・クラスがあって、そのまた翌日の火曜日にレベルが発表になりました。
去年はレベルA〜Eと、5レベル(Eが最上級)あったのだけれど、今年は参加人数が増えたのか、A〜Fと6レベル。娘はレベルEに振り分けられました。
レベル分けは、能力と年齢の両方を考慮して行なわれるということだったので、参加対象年齢11歳〜21歳中、真ん中あたりの位置づけだと思われる15歳で上から2番目のレベルというのは、まずまずと言うべきでしょう。(クラスの中で多分、若い方から2番目だそうです。)
各レベル25人以下だとは聞いていましたが、レベルEの人数は19人。もっと人数の多いレベルもあるそうなので、20人以下だというのはラッキー。

クラスは、月〜金の週5日。ほぼ毎日午前9時〜5時の間、日替わりで5枠のクラスがあります。1時間のランチブレイクの他、クラスとクラスの間には15分間の休憩がありますが、あとは空き時間はほとんど無い模様。CPYBは、1週間に1度、コンテンポラリーのクラスがあった以外はテクニークとポアントのみというクラシック・バレエ・オンリーのプログラムでしたが、カンザスシティ・バレエ(以下KCB)では、毎日あるテクニーク、ポアントに加え、ヴァリエーション、レパトワール、パドドゥというクラシック・バレエのクラスの他、ジャズ、コンテンポラリー、モダン、キャラクター、ヒップホップといったクラス、そしてヨガやピラティス、セラピーといったダンスコンディショニング系のクラスが週1であるようです。
実際のスケジュールは、こんな感じ:
月曜日:
9:00 ~ 10:45  テクニーク
11:00 ~ 12:00 ポアント
12:00 ~ 1:00 マットピラティス
1:00 ~ 2:00 ランチ
2:00 ~ 3:30 パ・ド・ドゥ
3:45 ~ 5:00 コンテンポラリー
火曜日:
9:00 ~ 10:45  テクニーク
11:00 ~ 12:00 ポアント
12:00 ~ 1:00 セラピー
1:00 ~ 2:00 ランチ
2:00 ~ 3:30 ヴァリエーション
3:45 ~ 5:00 ジャズ
水曜日:
9:00 ~ 10:45  テクニーク
11:00 ~ 12:00 ポアント
12:00 ~ 1:00 ニュートリション(栄養学)
1:00 ~ 2:00 ランチ
2:00 ~ 3:30 レパトワール
3:45 ~ 5:00 キャラクター

うーん、これはかなりハードです。ポアントで立つクラスが毎日2枠、計2時間半踊ることになるので。まあ、ポアントシューズは履き慣れたものを2足、1〜2回しか履いていないほぼ新品のものを4足、まっさらな新品を1足と、計7足持って行ったので、なんとか5週間もつでしょうが。

先生は、毎日、いろいろな先生が教えているようです。上に書いた今週の3日間、クラシックのクラス(テクニーク、ポアント、パドドゥ、ヴァリエーション、レパトワール)だけを取っても6人の先生が入れ替わり立ち替わりで教えていました。
当然のことながら、先生の好き嫌いはあって、今のところ、クラシックを教えている先生のうち1人、「あまり好きじゃない」先生が居るようですが(これが謎の先生で、KCBのウェブサイトに載っていないばかりか、ググっても全然出て来ない!偽名??)、一方で、「すごく好き〜!」という先生も居るので、ま、こんなものかな、と。

実は、先週、実際にクラスが始まってから2日目の水曜日に眼が充血して、眼科の先生に診てもらう騒ぎがありました。結膜炎か、コンタクトの出し入れ時に眼に傷をつけたのか、どちらかは判らなかったようですが、両方の場合を考慮した目薬を処方してもらい一件落着。翌日の木曜日にはレッスンに復帰したそうです。その際は、寮生の御世話をしてくれているdorm mom(寮母さんみたいなものですね)が、いろいろと御世話してくれたようで、その対処が非常に的確で感心しました。(聞いたところによると、同じレベルのクラスメイトのお母さんだとか。)
心配していた脚や足の故障は今のところは無し。これまた心配していた早起きも今のところ、自分でちゃんと起きているようだし。寮での食事も、朝は種類が多い上、ボリューミーで楽しめるみたいだし、夕食はたまに中華が出たりしてなかなか美味しいようだし。(太って帰って来るなよ〜〜〜)

ということで、KCBのサマーインテンシブ、とりあえずは順調に進んでいるようです。

Wednesday, June 24, 2015

カンザスシティ・バレエ、サマーインテンシブ始まりました

カンザスシティ・バレエの本拠地、トッド・ボレンダー・センター

今年、娘が参加することになった、カンザスシティ・バレエ・スクールのサマーインテンシブ・プログラムが始まりました。

カンザスシティ・バレエの在るミズーリ州カンザスシティには土曜日の夕方に着いてホテルに一泊。翌日、日曜日の午前中に、寮生活に必要な細々としたものをショッピングした後、御昼頃に入寮手続き。寮は、カンザスシティ・バレエの本拠地、トッド・ボレンダー・センターから車で10分ぐらいのところにあるカンザスシティ・アート・インスティテュートという美術大学の寮。2人部屋で、娘のルームメイトは同じカリフォルニア出身で、1学年上で16歳のクロエちゃん。

荷解きをしてベッドメーキングをしたり、ドレッサーに洋服などを入れたりしてから、トッド・ボレンダー・センターを見学。

トッド・ボレンダー・センター、入り口を入ったところ
壁にはカンザスシティ・バレエの歴史を綴った写真付きパネルが展示してある

トッド・ボレンダー・センターは、すぐ近くにあるアムトラック鉄道のユニオン・ステーションの発電所として1914年に建てられたビルを修復して、2011年からカンザスシティ・バレエの本部として使用されているとのこと。
レトロなレンガの壁を活かしたインテリアがなかなかカッコいい、建築的にもナイスな建物です。
内部は3層に分かれていて、一番上に中程度の広さのスタジオが4つ、2階には大きなスタジオが2つ、そして3層ぶち抜きで、カンザスシティ・バレエのホームシアターであるカウフマン・センターと同じ大きさのスペースを持つシアター・スタジオがあります。

2階にある大きなスタジオ2つのうちの1つ
ウエストサイドの一番大きなスタジオと同サイズぐらい、かな?

観客席(180席)付きの一番大きなスタジオ
最終日のデモンストレーションはここで行なわれるそうです。楽しみ〜

去年の夏に受講したCPYBの施設もバレエ学校としては上等だと思いましたが、やっぱりバレエ団付属のバレエ学校となると施設のレベルが違いますね。
こういう所で毎日レッスンできるバレエ少女たちは幸せだと思います。

Saturday, June 20, 2015

「カリフォルニア・ダウン」


英語でguilty pleasure=認めたくはないが実は好きなもの、という言葉があるが、私のギルティ・プレジャーの1つにパニック映画がある。
古くは「大空港」や「ポセンドン・アドベンチャー」、「タワーリング・インフェルノ」、最近では「ボルケーノ」とか「デイ・アフター・トゥモロー」。名作などではないけれど、楽しめなかったと言ったら絶対ウソになる映画だ。

というわけで、ロック様ことドウェイン・ジョンソンが主役の「カリフォルニア・ダウン」だって観ないわけにはいかない。
ということで、試写を観に行ったのだけれど、けっこうトンデモ映画でしたねえ、これが。

物語は、山間をぬうカーブの多い道を飛ばしていくブロンド女子から始まる。「ああ、こりゃ、道から外れて落ちるよね、絶対」と思っていたら、案の定、落石が起きて、ブロンドは道から外れて宙ぶらりんになった車の中で絶叫。
そこに救出に来るのがロック様ことLA消防隊のレイ。もちろん危機一髪のところで自慢の筋力でブロンドを見事救い出します。

一方、地震予知を研究しているポール・ジアマッティ演じるカリフォルニア工科大学の教授は、同僚と共にフーバーダムで研究調査を実施している最中に、マグニチュード7.1の地震に見舞われる。その衝撃でダムは決壊。同僚は決壊したダムに飲み込まれてしまう。

レイには、別居中の(あるいは離婚した)妻エマが居て、ティーンの娘ブレイクは母親とその彼氏ダニエルと同居しているんだけど、ネバダを襲った地震の救援活動のため、レイはブレイクをサンフランシスコに連れて行く約束を反故にするハメになる。ガッカリするブレイクだが、所用でサンフランシスコに行くというダニエルに彼の自家用機で連れて行ってもらうことに。
独り残ったエマは、ダニエルの姉と高層ビルの最上階のレストランで会食することになるが、その時、ロサンゼルスも巨大地震に襲われる...

フーバーダムやロサンゼルス、サンフランシスコが揺さぶられるシーンはなかなかの迫力があって、今どきのハリウッドのCG技術の凄さを再認識させられる。
が、いかんせん、御都合主義な展開があまりにも多過ぎ〜。ま、パニック映画というジャンルでは、御都合主義が多かったりするのは解るんだけど、それにしても過剰投与気味。「いや、それはいくら何でも無理だろ」とツッコミたくなるところが次から次へと出てきて、映画館の暗闇で何度失笑させられたことか。
それと、高層ビルの倒れ方がものすごくウソっぽい。べガスの老朽ホテルの取り壊しじゃあるまいし。それだけでもかなり興ざめ。
地震学の専門家によると、断層や津波の描写もあり得ないとのことだし、映画ではサンアンドレアス断層が史上最大であるマグニチュード9.6の地震を引き起こしたという事になっているけれど、同断層はマグニチュード8.3以上の地震は起こし得ないんだとか。

映画は絵空事だというのは解っているけれど、せっかく地震学者のキャラも登場させて、ちょっとした地震の説明とかもさせているんだから、科学考証をもうちょっとキチンとしてもらいたいと思ったのでした。

Tuesday, June 2, 2015

試写の連チャン:「Spy」と「トゥモローランド」

もう先々週のことになるが、月曜日、火曜日と連チャンで試写。締め切りの合間で比較的暇だったので、こういう時に試写状が来ると嬉しい。

月曜日に観に行ったのは、コメディアンヌとしては今、アメリカでNo.1なんじゃないかと思うメリッサ・マッカーシー主演の「Spy」。


メリッサ演じるスーザンは、CIAのアナリスト。現場にこそ出ないが、CIAの本部オフィスで花形エージェントのブラッドリー・ファイン(ジュード・ロウ)に対する遠隔支援で素晴らしい実績を挙げていた。ところが、いつものように任務をこなしていたファインが敵の罠にはまって殉職してしまう。ファインのやり残した任務を引き継ぐには敵側に顔の割れていないエージェントでないと危険だが、該当するエージェントは居ないと、途方に暮れるチーフ(アリソン・ジャネイ)を見たスーザンは、ファインの仇を取りたい一心でファインの後任に立候補するが...

「Spy」の見どころは何といってもマッカーシーのパフォーマンス。「ブライズメイズ」でも一見、単に変わり者のデブ女だと思われたのが実は有能で思いやりもあったりするイイ女だったというキャラを演じて、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたマッカーシーだが、どう転んでもスパイには見えないルックスながら本当は頭脳明晰でアクションだってバリバリだったという「意外性の面白さ」を備えたスーザンを好演している。





翌火曜日に観に行ったのは、「Mr.インクレディブル」や「レミーのおいしいレストラン」、「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を監督したブラッド・バードの新作「トゥモローランド」。


題名はディズニーランドのトゥモローランドにちなんでいるし、実際、ニューヨーク万博に出品されたトゥモローランドの代表的アトラクション、「イッツ・ア・スモールワールド」も登場するが、映画全体とディズニーランドとの関係はほとんど無し。

映画は、1964年、フランクという名の少年が「ロケッティア」に出てくるような噴射パワーで飛行する装置を発明・製作してニューヨーク万博の「発明コーナー」のような所に持ち込むところから始まる。フランクは、発明コーナーに居合わせたアテナという謎めいた少女に誘われて「イッツ・ア・スモールワールド」のアトラクションに乗り込むが、アテナに渡されたバッジがスキャンされるやいなや、未来社会にトリップしてしまう...
月日は現在へと流れ、ストーリーのフォーカスは、父親が勤務するNASAの宇宙ステーションの閉鎖を何とか食い止めようとするティーンエージャー、ケイシーに当てられる。科学オタクで父親がNASAに勤めていることが嬉しいケイシーは、ステーションが閉鎖されることが受け容れられず、毎晩、ステーションに忍び込んでは作業機器を故障させていたが、そんなケイシーを遠くから見つめている少女が居た。いつものようにステーションに忍び込んだケイシーだが、運悪く待ち構えていた警察に不法侵入のかどで逮捕されてしまう。ケイシーは、父親に迎えに来てもらって留置場を出る際、いったん没収されて返却された持ち物の中に見たことも無いバッジを発見。何気なく手に取った瞬間、自分が麦畑のど真ん中にトリップし仰天するが、何度か試しているうちにバッジのパワーが切れたのか、ただのバッジに戻ってしまう。バッジの威力で経験した事が忘れられないケイシーは、同じバッジを売買している店をインターネットで見つけて訪ねてみるが...

映画の出だしは、大昔、「不思議の国のアリス」を初めて読んだ時を思い起こさせるような、「何なの、これ?え?え?それでどうなっちゃうの〜〜?」みたいなワクワク感に満ちていたが、クライマックスから最後にかけては思ったよりも陳腐な展開に落ち着いてしまったのがちょっと残念。
演技陣の中では、謎の少女アテナを演じていた12歳のイギリス人女優ラフィ・キャシディが、独特の雰囲気を漂わせていてなかなか良かった。

Thursday, May 21, 2015

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」


オーストラリア人監督ジョージ・ミラーの「マッドマックス」シリーズのリブート作品「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を試写で観た。

「マッドマックス」シリーズは、第1作が1979年に公開された後、2作めが1981年に、3作目が1985年にそれぞれ公開されているが、そのリブート的作品となる本作が製作、公開されるまでに30年間かかったことになる。
それゆえ、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」主役のマックス・ロカタンスキーは、メル・ギブソンからトム・ハーディにバトンタッチされている。

本作でマックスのパートナー的役割を果たすフリオサを演じているのはシャーリーズ・セロン。他に、1979年版の「マッドマックス」で敵役を演じたヒュー・キース・バーンが、砂漠のコミュニティに君臨するイモータン・ジョーを演じている。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」は、カーチェイス・シーンに始まってカーチェイス・シーンで終わる。とにかく、悪の軍団が我らがヒーローと仲間たちを追って追って追いまくる。余計な回想シーンや息をつかせるシーンはほとんど無い。
それなのに、120分間、全く飽きさせない。その馬力はすごい。
監督のジョージ・ミラーは70歳。古稀の年齢の人間がこんな作品を作っちゃうんだから、やっぱり肉食人種は違うなあ。それとも、それこそがオージーのバイタリティなのだろうか、と耕作文化の国から来た者として感心してしまった。

肉食人種と言えば、出ている俳優たち、特にセロンの逞しい肉体は感動もの。これなら男たちと互角に闘えること間違い無し感たっぷり。ワークアウトして筋肉つけましたという感じじゃなくて、生まれつきそういう骨格をしているからなのだと思うのだけれど、特大サイズの戦闘型トラックの運転手がよく似合っていた。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」、映画評論家たちからの評価もバッチリ。北米の映画評を総括したサイト、ロトゥントマトズでは、なんと98%の映画評論家たちから褒められている。純然たるアクション映画でこんなスコアは珍しい、とロサンゼルス・タイムズ紙には書かれていたけれど、本当に純正なアクション映画、アクション映画の真髄を究めたような作品だったからこその高得点という気がする。

Saturday, May 16, 2015

2015年春公演

「卒業記念舞踏会」のパドドゥ。
踊っているのは娘のクラスメイトのモリー、16歳。

先週末、娘のバレエ教室の春公演がありました。
今年は「Spring Fling(春の軽い試み、といった意味)」と称して、「楽しいバレエ」を揃えておりますという趣向で、以下のようなプログラムでした:

ACT 1
*教室の卒業生でニューヨークシティ・バレエの付属学校School of American Ballet (SAB)を去年修了したリリカ・ブランクファインと男性ゲストダンサーによるパドドゥ「Spring Waters」

*ジョージ・バランシン振付による「Who Cares?」から、10人で踊る「Sweet and Low Down」、ソロで踊る「My One and Only」、5人で踊る「Somebody Loves Me」の3作品

*目下、先生たちの期待を一身に集めている“天才バレエ少女”シェルビー (14歳)による「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(パドドゥ+ヴァリエーション+コーダ)

*同名ミュージカルをジャズダンスに振付し直された「ヘアスプレー」

<休憩>

ACT 2
*教室の大人のクラスを教えている先生によるネオクラシカル・バレエ「Journey」

*今年、卒業する高校生ケイリーンと男性ゲストダンサーによる「パリの炎」のパドドゥとヴァリエーション(+コーダ)

*年少レベルの主任の先生の振付による最年少レベル(9歳〜12歳)が踊る「Cappriccioso」

*デヴィッド・ラシーン振付のコメディバレエ「卒業記念舞踏会」

娘は、このうち「Sweet and Low Down」と「ヘアスプレー」、「卒業記念舞踏会」の3つに出ました。
「Sweet and Low Down」は、去年の「ワルツ・ファンタジー」に次いで大好きなバランシンの振付作品を2年連続で踊れたのが嬉しかったようだし、「ヘアスプレー」は群舞の1人に過ぎなかったものの、派手な赤毛のカツラをかぶって60年代風の衣装を着るというコスプレもあって楽しめたそうですが、「卒業記念舞踏会」では、長身ゆえ、一番出番の少ないシニア女学生の役だったのがつまらなかったようです。
まあ、去年は3役とも素晴らしい役を踊らせてもらった(去年の公演の様子はこちら)ので、今年は地味な役でも仕方ないよね、と母娘で話し合った次第。

余談ですが、今年は公演前日になって「卒業記念舞踏会」で主役の2人のうちの1人にキャストされていた子が、背中の故障で急遽出演を辞退するという騒ぎがありました。
出演をドタキャンした子は、テックリハーサルでは背中の調子が良くないからということで、しっかり踊らなかったんです。にもかかわらず、止せばいいのに、ドレスリハーサルでは「卒業記念舞踏会」の振付顧問のような女性が観に来ていたものだから良い格好しようと張り切って踊っちゃって、その結果、背中を悪化させて、公演前日になって背中が痛くて踊れませんって、あーた...
この子、実は、去年も公演前々日のテックリハーサルの時に足首を捻挫して出演をドタキャンした前科があったんですよね〜。その時も、彼女が出演していた踊りを振り付けた先生は急遽、振付やキャスティングを変更。クラスメイトたちも、公演前日のドレスリハーサルで変更箇所をマスターしなくてはならなくて大変だったのだけれど、足首の捻挫はあくまで事故だからケガをした彼女に対しては「可哀想に」というスタンスだったとか。が、今回は、以前から自分の背中の故障を知りながらフィジカルセラピーのようなケアを何もしなかっただけでなく、リハーサル中にええ格好しいで無理した結果、本番の舞台に穴をあけてしまったという無責任きわまりない行動を取った結果、周囲に迷惑をかけたということで、同情する声は無く、皆ムッとしていたそうです。やれやれ...
幸い、急遽、主役を踊らねばならなくなった子が(その前に1度しか振付を踊ったことが無かったにもかかわらず!)実に素晴らしく踊ってくれたゆえ、裏事情を知らない観客にはトラブルがあったことも悟られず、無事、2回の公演を終えることができましたが、先生たちも今後は、“ドタキャン娘”に主要な役を踊らせる時は必ずダブルキャストにするか、アンダースタディを用意しておく措置を取ってもらいたいものです。

今回の公演では自ら「卒業記念舞踏会」に青年兵士役で出演したビデオグラファー/エディターの人が作ってくれた宣伝用クリップです⬇



同じ人の編集による「ヘアスプレー」のクリップ⬇




Monday, April 20, 2015

「ストレイン」


アメリカでは去年の夏に放映開始されたTVドラマ・シリーズ「The Strain」を観始めた。

観始めるのに半年以上もかかったのは、観始める勇気が無かったから。(笑)
だって私の苦手なホラー・ジャンルのドラマなんだもん。そう簡単に観始めるわけにいかない。心の準備というものが必要だったのであーる。

ぢゃ、わざわざそんなもの観なくたっていいじゃないか、と言われるかもしれないけれど、この「The Strain」、そんじゅそこらのホラーとはちょっと違う。何が違うかというと、クリエイターが「パンズ・ラビリンス」や「ヘルボーイ」の監督、ギレルモ・デル・トロなんですな。最近、アメリカ映画界で実力を見せつけている「バードマン」のアレハンドロ・イニャリトゥ、「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンと一緒にメキシコ出身監督3人組“トレス・アミゴス”を成している鬼才がクリエイターとなっているなら見逃すテは無いというわけで。

物語は、ベルリン発ニューヨーク行きの飛行機リージス航空753便の中で、何事かが起きたところから始まる。この飛行機、管制塔からの呼びかけには全く応じず、テロリストによる立てこもり事件が疑われるが、中からの応答が全く無いことで、機内の乗客乗員が伝染病に罹った可能性が出てきて、疫病対策センター(CDC)のDr.エフレイム・グッドウェザー(「ミッドナイト・イン・パリス」でヘミングウェイを演じたコリー・ストール)が同僚のDr.ノラ・マルティネス(ミア・マエストロ)やジム・ケント(「ロード・オブ・ザ・リング」のサム)と共に召集を受ける。防護服を着て機内に入ったグッドウェザーとマルティネスは、乗客が眠ったように死亡しているのを発見するが、4人の生存者を発見する。機内の貨物室からは、所有者不明なドクロの彫刻が施された木製の大きな箱が発見されるが、中には土が入っているだけだった。不可思議な事故の報道を聞いて報道陣や乗客乗員の家族が空港に駆けつけるが、その中に仕込み杖を携えた老人(「ハリー・ポッター」シリーズのアーガス・フィルチことデイヴィッド・ブラッドリー)の姿があった。エイブラハム・セトラキアンと名乗るその老人は、その大きな箱を空港内から決して出さないよう警告する。一方、いったんは空港内に留められた4人の生存者たちは、グッドウェザーたちが反対したにもかかわらず、空港から解放されてしまう...

いや〜〜、かなり怖いです。オカルト的な恐さではなくて、「エイリアン」的な怖さ。ビジュアルもかなりグロい。ホラーがダメな人だけでなく、グロ系がダメな人はかなり心して観ないとキビシイと思う。

第1話はここで無料視聴できるようです。(期間限定となっているのでいつまで観られるか、わからないけれど)

http://video.foxjapan.com/tv/otameshi_fox/movie/strain/season1.html

アメリカでの予告編はこちら




Saturday, April 11, 2015

春休みは日本で

3月下旬から4月初めにかけて日本に帰省してきました。

春の日本は実に12年ぶり。
楽しみにしていたのは、親戚や御友達との再会だけではなく、桜が観られるということ。
滞在中にタイミング良く満開になって、上野公園まで桜を観に行きました。

人だらけの上野公園〜

平日だったのに、上野公園は人、人、人。外国人も多くて、近年、外国人たちの間で日本の桜を目当てに訪れるのが流行っているというニュースを実感。

上野公園にいくついでに、近くにある旧岩崎邸も訪問。見学ツアーに参加して、明治時代のリッチ&フェイマスのライフスタイルが垣間見られて、満足でした。

旧岩崎邸の偉容。
設計は英国出身のジョサイア・コンドル


日本でのもう1つの楽しみは、食べること〜〜〜
日本はどこに行っても、そこそこ美味しい食べ物にありつけるのが嬉しい限り。
そして今回は、外食だけでなく、名シェフである叔母や従姉、映画評論家の御友達の手料理と、短い滞在期間に3回も最高の家庭料理も御馳走してもらって、とっても幸せでした。

甘いもの好きな私にとってはスイーツも必食。大好きな地元のパティスリーの御菓子は3度も食べて、これまた大満足。上野では季節感あふれる桜風味のアイスクリームのついたクリームあんみつを食べられたし。

上野の有名な甘味処、みはしの桜クリームあんみつ


やっぱり日本は良いなあ〜〜〜
でも、滞在期間12日間というのは、やっぱり短過ぎました。
次は、1ヶ月ぐらい滞在したいものです。

Tuesday, March 17, 2015

「チャッピー」



「第9地区」で注目されたニール・ブロンカンプの新作「チャッピー」を試写で観た。

「チャッピー」の舞台は、「第9地区」と同じ近未来の南アフリカのヨハネスブルグ。極めて治安の悪いヨハネスブルグは、もはや人間の警察官では取り締りしきれず、警察はテトラヴァール社の人間型ロボットに頼っていた。ロボットを発明した技術者のディオン(デヴ・パテル)はテトラヴァール社のブラッドレイ社長(シガニー・ウィーヴァー)に高く評価されていたが、それとは対照的に、巨大な戦闘型ロボットを開発したムーア(ヒュー・ジャックマン)は、役立たずの商品を開発した技術者として社長からは冷たくあしらわれ、嫉妬からディオンを逆恨みする。人間のような思考能力を持った革新的なロボットの開発を自宅で密かに進めていたディオンは、プログラミングを完成させ、不良品としてお払い箱になったロボットを実験用に払い下げてくれるよう社長に頼み込むが、そのようなロボットなど商品価値は無いとして断られてしまう。
新型ロボットを完成させることを諦めきれないディオンは、こっそりお払い箱になったロボットを車に積み込んで自宅に持ち帰ろうとするが、その途中で警官ロボットを開発したディオンに銀行強盗ロボットを作らせようと企むチンピラ3人組に誘拐されてしまう...

「チャッピー」は、かなり過激な暴力描写もあったりするが、物語の中心はチャッピーの成長物語であり、ロボットにとっての自我とは何か、という問いである。その点では、レプリカントが生きる意味を探る「ブレードランナー」と似ているが、映画としてのスタイルはもっと単純で解りやすい。
その点が映画評論家たちはお気に召さなかったのか、「チャッピー」に対してポジティブな映画評を書いたのは1/3に過ぎなかった。ストーリーのテンポは良いし、ハラハラさせるところ、笑えるところ、ホロリとさせるところが沢山あって、すごく楽しめたんだけどなあ。何より、無垢なロボットのチャッピーがすごくキュートで愛らしくて良かった。
「チャッピー」は、「kawaii」文化が根付きやすい日本の観客の方が、案外、良さを解ってあげられる映画かもしれない。


Sunday, March 8, 2015

「アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場」



「glee」のクリエイター、ライアン・マーフィが手がけたホラー・ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」は非常に評判の良い番組だが、ホラー映画が苦手な私は、シーズン1「呪いの館」のパイロット・エピソードを見始めたけれど、あまりの恐さに最後まで観られず挫折。
シーズン2の「精神科病棟」もいかにも恐そうなポスターを観ただけで、もうダメ。病院ってタダでさえ、恐ーい雰囲気の場所なのに、そこを舞台にホラー・ストーリーが展開するなんて聞いただけで気絶しそうなくらい怖い。

と、最初の2シーズンは観ないまま終わっていたのだけれど、ブロガーの御友達から「シーズン3は、それほど恐くないからJBさんでも観られるんじゃないかな〜」と言われ、一応録画。そのシーズン3「アメリカン・ホラー・ストーリー:魔女団」は、2013年10月から2014年1月にかけて放映されたのだが、1年以上遅れた今年の1月に昼間の時間限定で(だって夜だと恐くて眠れなくなったら困るもんね〜笑)観始めてみたら、これが滅法面白い!まあ、クリエイターがマーフィで、出演陣がジェシカ・ラング、キャシー・ベイツ、フランセス・コンロイ、ダニー・ヒューストン、アンジェラ・バセットなんて面々が揃えば、面白くないわけがない。比較的暇な日のランチタイムは「アメリカン・ホラー・ストーリー」タイムになった次第。

「魔女団」に続いて2014年10月から2015年1月に放映された「アメリカン・ホラー・ストーリー:フリークショー」も観始めたけれど、これも「魔女団」に勝るとも劣らない面白さで、第1話からハマりましたねえ。
「フリークショー」の舞台は、1950年代、フロリダ州マイアミの郊外の町ジュピター。ジュピターにやってきたフロイライン・エルサズ・キャビネット・オブ・キュオシティのオーナーで団長のエルサ・マース(ジェシカ・ラング)は、世界各地で発掘してきた“フリークス”たちで構成された見世物小屋ショーを開催していた。エルサが集めてきた団員には、“ヒゲ女”のエセル(キャシー・ベイツ)と奇形の両手を持つ“ロブスター・ボーイ”のジミーの母子、両腕が極端に短い“アシカ男”のポール、身長が約60cmほどしかないインド人女性のマ・プティ、下半身の無いレッグレス・スージー、2mを超える身長を持つ女性アマゾン・イヴなどが居たが、エルサは母親殺しの容疑で病院に拘置されていた双頭のシャム双生児、ベットとドットを連れ出して仲間入りさせる。
そんな折、ジュピターの町では殺人・誘拐事件が連続発生して町民たちを震え上がらせていた...

「アメリカン・ホラー・ストーリー」の面白さは、物語の中心に殺人や狂気や暴力といったホラー的要素を配しながら、サブストーリーとして、母と娘の確執や同性同士のライバル意識、権力への欲求といった人間ドラマをうまく織り込んでいるところに負うところが大きいと思う。ありきたりのホラーものでは、主人公たちがいかに恐怖の連鎖をくぐり抜けて行くかということだけに終始するから、登場人物たちはゲームの駒に過ぎず、見ている側の興味を魅き付けることはほとんど無い。が、「アメリカン・ホラー・ストーリー」の登場人物たちは、善い行いをすることもあれば悪行に手を染めてしまったりすることもあるし、人間関係も複雑だから、ストーリーの先読みもできず、エピソードを観終わるたびに「次はどうなる?」という期待ともどかしさの入り交じった気持ちで続きを観たくてしょうがない気持ちにさせられる。

「フリークショー」は今、半分ほど観終わったところだが、今年の10月に放映が開始される新シーズンはホテルが舞台だとか。
うーん、ホテルかあ〜〜
ホテルと言えば、ホラー映画の名作「シャイニング」のこともあるし、呪われた家や精神病院と同じぐらい恐そう... 観る度胸があるかどうかは自信が無いけれど、少なくともトライするだけの価値は絶対ある!と思っています。






Tuesday, February 24, 2015

「バレエ422」

マグノリア・ピクチャーズのサイトより拝借しました

バレエ・ドキュメンタリー「Ballet 422」を観に行った。

「Ballet 422」は、ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)の団員、ジャスティン・ペックが、NYCBにとって422本目となるオリジナル・バレエ作品を振り付けるプロセスを追ったドキュメンタリーである。
撮影当時25歳だったペックは、映画完成後、ソリストに昇格されたものの、この映画の撮影が進行していた時点ではバレエ団では一番ランクの低いコール・ドの一員に過ぎなかった。そんな彼が、タイラー・ペックやスターリング・ハイルティン、アマー・ラマサーといったプリンシパル・ダンサーを起用してオリジナルのバレエを作れるというところがいかにもアメリカ的で良い。

欲を言えば、振付のプロセスやダンサーも交えての試行錯誤のプロセスが観ていて非常に面白かったので、その過程を時間軸に従ってもう少し丁寧に追って欲しかったと思うのだが、一般の観客にはこの程度に編集されたものの方が飽きないということなのだろうか。







Thursday, February 19, 2015

捨てる神あれば拾う神あり

先週末、カンザス・シティ・バレエのオーディションを受けてきました。

カンザス・シティ・バレエ(KCB)、実は1月中旬に娘のホーム・スタジオでもオーディションがあったのですが、その日はちょうど、フィジカル・セラピーの先生を招いてケガの防ぎ方、みたいな必修セミナーがあったのでスタジオには居たものの、オーディションには参加できませんでした。

ま、「オーディション受けたいので」と言えば、セミナーの方は欠席可だったと思いますが、失礼ながら、KCBなんてその時まで存在すら知らなくて、全然視野に入っていなかったのです。KCBのことを知ったのは、元PNB団員のS先生が熱心に薦めたのがきっかけでした。前述のフィジカル・セラピー・セミナーに出席していた娘たちを待っている時に、S先生が通りかかったので「S先生、PNBのオーディションに合格する秘訣って何なんですかねえ?」と何げに話しかけたら、「僕が今年強く薦めたいのはKCBなんだよ。ゲストの指導陣がすごく良さそうだから。結局、サマーインテンシブって、誰が教えるのかということに尽きると思うんだよね」という返事がかえって来たのでした。

幸い、KCBはLAの他に南カリフォルニアではオレンジ郡のアーバインで2月の中旬にもう1度オーディションを受けるチャンスがあることが判り、それにチャレンジすることにしたのですが、当日、オーディション会場に行ってみたら、なんと受験者は娘ともう1人の2人だけ。こりゃあ、ボロ出せないわ...と娘はビビったとか。
オーディションの間は、ダンナと2人でカフェで待機。私は仕事の締め切りがあったのでオーディション終了後、ダンナ1人を迎えに行かせたのですが...
戻って来た2人が話すことには、オーディション後、先生(KCBスクールのディレクター=校長先生)が傍にやって来て「あなた、とても良かったわ。非公式だけど合格にします。向こうに戻ってから予算を確認しないといけないけれど、受講料も一部スカラシップを出せるかもしれません」と告げたとか。これまでスカラシップなんてまるで無縁だったウチの娘もダディも、一瞬ポッカーン状態だったそうで。(笑)
正式な通知は10日後ぐらいにメールで、とのことだったけれど、オーディションの翌々日にメールで、合格の旨と500ドルのスカラシップを出しますとの通知がありました。
500ドルなんて大した金額ではないけれど、「私たちの学校に是非、来てください」という招待を受けたことになるのだと考えるとありがたい限りです。

ウエイト・リストになっているボストン・バレエは3月1日までに合否の返事をくれることになっているけれど、娘の気持ちは早くもKCBに傾いているようです。
それまでのオーディションが全て思い通りにいかなくて、それなりにガッカリしていただけに、オーディション終了後、その場で合格をもらい、おまけに少額ながらスカラシップも出たことにだいぶ気を良くしているみたいで。(笑)

KCBスクールのサマーインテンシブのプロモビデオ。0:15ぐらいに登場するのがオーディションをしたディレクター先生。



Wednesday, February 18, 2015

「キングスマン:ザ・シークレット・サービス」


もう先週のことになってしまうけれど、「キック・アス」や「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」の監督、マシュー・ヴォーンの新作「Kingsman: The Secret Service」を試写で観た。

ハリー・ハート(コリン・ファース)は優秀なるシークレット・サービス・エージェントだったが、捕えたテロリストが爆弾を持っていることを見抜けずに部下を死なせてしまう。「夫を返して!」と泣いて責める部下の妻に言葉を失ったハリーは、部下が遺した幼い息子に「一生に一度の困った事になったらこの番号に電話しなさい」と、番号の付いたメダルを息子に渡して去る。
17年の歳月が過ぎ、幼かった息子エグジー(タロン・エガートン)は、暴力を振るう継父に支配された荒んだ家庭に育ち、敵対関係にある近所の不良の車を盗んで大破させたかどで逮捕される。弁護士に頼む余裕も無く窮したエグジーは、ふと17年前にもらったメダルのことを思い出し、裏に書かれた番号に電話してみると...

「Kingsman: The Secret Service」は、コミックを原作としているだけあって、アクション・シーンはすごく漫画的。ヴォーンも、同様の作風をウリにしている映画作家なので、素材と監督との相性が実にピッタリと合って成功している。ただし、漫画的とはいえ、或る1シーンは凄まじいバイオレンスが展開するので、そういうのが弱い向きにはオススメできないかも?
それにつけても、コリン・ファースにしてもスパイ中のスパイ、ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグにしても、英国人俳優はスーツを着こなすのが本当に上手い。本物のMI6のエージェントたちが実際にスーツを着て活躍しているのかどうかはわからないけれど、「高級スーツを隙無く着こなすこと」というのがエージェントの条件の1つなんじゃないかと思うぐらい完璧な装いっぷりでした。




Wednesday, February 4, 2015

さあ、どうしたものか...

先週末のパシフィック・ノースウェスト・バレエ(PNB)は、予想通り、今年もダメでした。2012年、2013年、2014年、2015年と4年連続の玉砕でございます。
本人曰く、オーディション自体は楽しかったんだけど、やはり、過去に3年連続不合格だったという先入観があったからか、受けている最中に「ダメかも〜」と思い始めてしまったとか。
それを聞いて何だか、かわいそうになっちゃいました。

実は、数週間前に、PNBの団員だった、ホームスタジオの先生とオシャベリする機会があって、PNBがどんな人材を求めているのかを聞いたら、5〜6年前に元NYCBのピーター・ボールがディレクターになってからは、背が低めで筋肉がガッツリついたタイプが好まれるようになったとか。(詳しくはこの日の日記のコメント欄参照してください。)
フィジカル・セラピーの先生にその話をした時も、「そう言えば、2年前ぐらいにPNBの公演を観たら、出てくるダンサー出てくるダンサー、皆、器械体操の選手みたいな感じで、全然バレリーナっぽくなかったわね」とのこと。

片思いなんですかねえ、やっぱり...

もちろん、背が高くたって実力があってしっかり受かっている人も沢山居ると思いますが、うちの娘はその限りではなかったということなのでしょう。

その前週末に受けたボストン・バレエも、ウエイト・リスト(合格者の辞退待ち)という結果に終わり、受講許可をもらったABTのカリフォルニア会場はやはり行きたくない、ということで見送り、結果、今年の夏はどこにも行く所が無い〜〜〜という状況になっています。

来週末以降に受けられるバレエ学校のオーディションも一応、何校かあって、その中では、前述の元PNB団員の先生がオススメだと言っていたカンザスシティ・バレエも含まれているので、あともう1校だけ受けてみようか、と話しています。

それにしても、サマープログラムのオーディション、年齢が上がるにつれ、合格が難しくなるとは聞いていましたが、本当にその通りだったという事を身をもって体験している娘なのでした。

Monday, January 26, 2015

ボストン・バレエ オーディション

写真はSouth End Bostonというサイトから拝借しました

先週末は、オーディション第3弾、ボストン・バレエのオーディションがありました。

ボストン・バレエは、10歳〜14歳がニュートン・スタジオ、15歳〜19歳が本拠地のボストン・スタジオで行なわれるゆえ、オーディションも10歳〜14歳と15歳〜19歳の2グループに分けられていました。
ただし、ウチの娘のように、サマー・プログラムが始まる前に15歳になる応募者は、他の年齢グループとは分けられ、アプリケーション・フォームも違う色の物が渡されたとのこと。

じゃ、オーディションの内容も違ったの?と聞いたら、それは一緒だったと。
ということで、10歳の子でも踊れるようなコンビネーションばかりだったので、オーディションの内容自体はかなり易しいものだったそうです。
でも、娘たち、「もうすぐ15歳グループ」は、ボストン校のプログラムを対象に審査されると思うので、それだけ基準も厳しくなるはずだから、ちょっと心配... 
10歳〜14歳の参加者は全部で70人。うち10人ぐらいが「もうすぐ15歳グループ」だったそうですが、去年のボストン・バレエのオーディションについて書いたブログをチェックしてみたら、去年の参加者は37人だったので、今年はその倍近い人数となり、その分、競争率も上がっていることになり、それも不安材料です。

今年は、先に書いたサンフランシスコ・バレエは不合格。ABTも、希望のニューヨーク会場への参加は許可されず、2年前と同じカリフォルニア会場への参加のみ許可されたという結果になっているので、娘の自信はかなり落ち込み状態。
来週末に控えているPNBは、過去3回、全て不合格だったから、今年も合格は望めないゆえ、せめてボストン・バレエには受かってもらいたいものですが、どうでしょうか...

Tuesday, January 13, 2015

2015年、オーディション・シーズンが始まりました

今年も、バレエ学校のサマーインテンシブ・プログラムのオーディションが各地で始まりました。

娘が今年チャレンジすることにしたのは、去年と同じPNBことパシフィック・ノースウェスト・バレエ(永遠の片想いバレエ学校—笑)、ボストン・バレエ、一昨年に友達の付き合いで受けてみたら合格したけれど参加は見合わせたABTことアメリカン・バレエ・シアター、そして初挑戦のサンフランシスコ・バレエの4校です。

今年の最初のオーディションは、サンフランシスコ・バレエ(SFB)。

写真はサンフランシスコ・バレエ・スクールのサイトから拝借しました

会場は、娘のホームスタジオだったので、同級生も多く、リラックスした雰囲気の中で受けられましたが、100人以上の応募があったため、2グループに分けてオーディション。娘は2番目のグループになってしまったため、3時半にチェックインしたけれど、終わったのは7時半。「待ち疲れたよ〜〜」とブツブツ言っておりました。
SFBのオーディションは、他の学校のオーディションに比べると、若干、難易度が高かったそうですが、すぐに出来ないようなコンビネーションは無かったし、転んだりグラついたりすることも無く、無事に踊れたそうです。SFBはバランシン・スタイルではないので、ピルエットの構えの脚などが違ったそうですが、それも何とか周りに合わせることができたようです。ただ、ポアントは、センターでコンビネーションを2つ踊らされただけで、拍子抜けしたとか。もっとも、他の学校のこれまでのオーディションでも、ポアントを履かせる時間はすごく短かったので、少なくとも15歳ぐらいまでの年齢グループは、ポアント以外の点に重点が置かれているということになるのかと思います。


SFBのオーディションの翌日は、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)のオーディションがありました。
写真はアメリカン・バレエ・シアターのサイトから拝借しました

ABTは全米にサマー・インテンシブ会場が5箇所もあるゆえ、オーディション会場も26箇所に上り、毎年、大人数が参加するため、娘が参加したカリフォルニア州ロングビーチの会場では、土、日の2日間、オーディションが行なわれ、最初から2グループに分けられてのオーディションになっています。
ABTのオーディションでのルーティンは、SFBより難易度は低かったそうですが、さすがに2年前に受けた時より年齢グループが1つ上がったことで、憶えている限りでは2年前のオーディションよりもう少し難しいことをやらせたそうです。ただ、ここでもポアントは最小限しか踊らなかったそうで、センターでのコンビネーションを1つやったのみ。娘より1つ下の年齢グループ(11歳〜13歳)では、ポアントはバーにつかまっての動きだけだったとか。

結果が判るのは、いずれも2週間後ぐらい。
サマーインテンシブに初チャレンジした3年前は、結果が出るのをすごーくヤキモキして待ったものですが、今年はオーディションを受けるのも4回目で、「まあ全部落ちちゃったら、去年と同じCPYBに行くという選択は残されているわけだし、あるいは夏休みは日本に帰省して、戻ってからホームスタジオのサマープログラムを受けてもいいしね〜」と、何だか御気楽に考えているところがあります。慣れって恐いですな。