Sunday, December 18, 2011

WAR HORSE 戦火の馬



「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」の翌日にも試写。この日はスティーヴン・スピルバーグの新作「WAR HORSE(邦題:戦火の馬)」を観た。

イギリスの小さな村で一頭の馬が生まれる。その出産を観た少年、アルバートは生まれたばかりの子馬に魅せられる。子馬は美しく成長し、村の競りに出される。農耕馬を買いに来たアルバートの父テッドは、大嫌いな地主がその馬を買おうとしているのを観て、農耕馬には適さないのを承知で高値で買ってしまう。妻の怒りをかうテッドだが、アルバートは憧れていた馬が自分の家に来て大喜び。ジョーイと名付けて、農耕馬として飼えるよう必死に訓練する。アルバートの努力が実り、ジョーイは速さと強靭さを備えた美しい馬に成長するが、大雨でのせいで農作物がダメになってしまったことで、テッドはやむなくジョーイを軍隊用の馬として売ってしまう。ジョーイを買った心優しき司令官は「ジョーイは僕がキチンと面倒をみて、君のところに無事に返すから」と、アルバートに約束してくれるが...

「戦火の馬」は、イギリスの児童書だったのものが舞台劇に脚色され、それを観たスピルバーグのプロデューサー・パートナー(「インディ・ジョーンズ」シリーズや「シンドラーのリスト」などを手がけた)、キャスリーン・ケネディがスピルバーグに映画化を薦めたという経緯がある。原作と舞台劇では、軍隊用の馬=war horseとなったジョーイのたどる数奇な運命をジョーイの視点から描いているとのことだが、動物が話すディズニー・アニメのようにはできなかったということで、映画では「運命の饗宴」(1942)のように第三者の視点で描いている。
「運命の饗宴」はフランスの監督、ジュリアン・デュヴィヴィエがハリウッドに渡って撮った作品だが、「戦火の馬」は、まさしく1940年代から1950年代のハリウッド映画のような撮り方をしている。(特に「風とともに去りぬ」とジョン・フォードの映画。時としてその時代の映画を観ているような気持ちにさせられた。)既に映画監督として超大物になったのに、そうやって過去の作品から学んで、作品の内容に相応しい映画言語で撮ろうとした姿勢は尊敬に値すると思う。

PG13にはなっているけれど、小学校高学年以上の御子さんには充分、観られる作品だし、観て欲しい作品です。

Saturday, December 17, 2011

SHERLOCK HOLMES: A GAME OF SHADOWS シャーロック・ホーム シャドウゲームズ



このシーズンになると、ホリデー映画とアカデミー賞狙いの映画が一気に放出されて、試写会も毎週のように招待状が来る。

その1つ、ガイ・リッチー監督+ロバート・ダウニー・ジュニア主演版の「シャーロック・ホームズ」シリーズ第2作目、「SHERLOCK HOLMES: A GAME OF SHADOWS (邦題:シャーロック・ホーム シャドウゲームズ)」を観に行ってきた。

この2作目も1作目同様、サー・アーサー・コナン・ドイルによるホームズ・シリーズの中の一編の映画化というわけではなく、ホームズやパートナーのドクター・ワトソン、モリアーティ教授といったキャラクターが登場するだけで、ストーリーは映画独自のオリジナル・ストーリーということになっている。
前作では、個人的に持っていた、謎めいた皮肉屋で頭脳明晰な名探偵というイメージのホームズとはほど遠いロバート・ダウニー・Jrのホームズに対する違和感が大きくて、映画を素直に楽しめないところがあったのだが、今回はもう慣れたというか「これはドイル原作の探偵小説の古典とは別物の映画」と割り切って観ることができたので、そこそこ楽しめた。
特に、CGIによる19世紀末のロンドンの風景や、その頃の衣装、小道具などの風俗は観ていて楽しかった。こういう映画の美術係や小道具係、衣装係の仕事は楽しいだろうなあ。

Monday, December 12, 2011

「くるみ割り人形」、無事終了



12月3日、4日、10日、11日と、4日間、8公演にわたる娘のバレエ学校の「くるみ割り人形」の公演が、昨晩、無事終了しました。

今回も去年同様、踊るのは一曲だったけれど、その一曲が初めてのポアントシューズでの踊りだったことで、本人もそれなりに満足して出演していたので良かったです。
今年は、先日の日記でも書いたロサンゼルスタイムズ紙の記事の効果か、例年より客の入りが良かったようで、チケット売り切れ=満員御礼の回が2回もあったそうです。
一方で、バレエの公演につきもののドラマ、しかもそのうちのいくつかは甚だ不愉快なドラマも少なくなく、舞台で踊る子供たちの楽しそうで幸せそうな顔と裏腹に、胸につっかえが残るような気持ちにさせられたのは残念でした。

ま、子供がバレエをやっている以上、そういう事にも慣れていかなきゃいけないんだろうけれどね。

Friday, December 9, 2011

YOUNG ADULT ヤング≒アダルト



シャーリーズ・セロン主演、ジェイソン・ライトマン監督の新作「YOUNG ADULT」を観に行った。(ところで、邦題は「ヤング≒アダルト」となっているんだけど、「≒」マークって「ほぼ等しい」という意味のはず。YOUNG ADULTは、文字通り、「youngなadult」という意味であって、youngとadultが「ほぼ等しい」って意味不明なんだけど...配給会社さん、シャレてみたつもりなのかもしれないけど、意味不明の邦題つけてどうすんのよ?)
セロン演じるヒロインのメイヴィスは、ミネソタ州内の大都市、ミネアポリスに住む37歳の独身女。最初の数分の映像で、彼女の暮らしぶりが理想的でもなく充実しているわけでもないことが、ハッキリと判る。落ち目になってきているヤング・アダルト小説シリーズのゴーストライターをして生計を立てている彼女は、今日もやる気が出ないまま、コンピューターに向かって新作の草稿を書き始めるが、高校時代のボーイフレンドが、彼女を含むクラスメイトたちに送ってきた娘が生まれたという写真付きEメールを読み、衝動的に故郷のミネソタ州マーキュリーを訪ねてみることにする。高校時代に聞いた思い出の曲をカーステレオでガンガン鳴らしながら、故郷へのフリーウェイをひた走るメイヴィスの心にはある計略が宿っていた...

「ヤング・アダルト」(意味不明な「≒」はウザイので以下、それを無視してこう書かせていただく)の脚本を書いたのは、「ジュノ」で脚本家デビューするなりいきなりオスカーを獲ったディアブロ・コーディ。ニューヨークにでも出て、自分の名前で本を出版して成功している作家、というわけではなく、ミネソタ州の田舎町から同じ州の大きな都市であるミネアポリスに移り、ゴーストライターをしているだけで、「自分はマーキュリーなんかに留まったルーザーたちとは違うんだから!」というオーラをまき散らしているイタいヒロイン像を鮮やかに書き込んでいる。そして、それを「マイレージ、マイライフ」のライトマンが実に細やかに演出。そして、それを呆れるほどのリアリズムで演じているセロンに大いに感心した。コメディっぽい演技は、なかなかアカデミー賞に認められにくいものだけれど、この映画でのセロンはオスカー候補になる価値が充分ある仕事をしていると思う。
日本では、2012年2月公開予定。オススメです。




追記:この項、最初のバージョンではミネアポリスを「ミネソタ州の州都」と書きましたが、以前、ミネソタ州に住んでいた友人から、ミネソタ州の州都はセントポールだと教えてもらいました。(K子さん、ありがとうね)はからずも、アメリカの地理に対する私の知識の無さが露呈してしまって恥ずかし〜〜〜。去年、娘がアメリカの州とその州都を答えるテストの準備勉強をしていたけど、私も一緒に勉強すれば良かったってか...

Wednesday, December 7, 2011

TERRA NOVA



スティーヴン・スピルバーグがプロデュースしている、今シーズン注目株の新ドラマ「Terra Nova」をやっと観始めた。

地球の汚染が進み、人類生存のために別の新天地を探していた未来の人々は、恐竜たちの住んでいた太古の昔にタイムトラベルすることによって、「歴史をやり直す」ことにする、というのが、SFドラマ「Terra Nova」の設定。

CGIの進歩で、最近ではTV番組でもかなりリアルなスペシャル・エフェクツが楽しめるようになったおかげで、恐竜出演が出血大サービスされている「Terra Nova」のようなドラマも成り立つことになったわけだけれど、TVドラマにせよ映画にせよ、やはり根っこはストーリーとキャラクターたち。
人類が生き延びるために、宇宙旅行して新天地を探すというこれまでのSF映画のパターンから脱却して、集団規模でタイムトラベルするという発想は面白いけれど、とにかく毎回のエピソードの展開がありきたり。「こうなるだろうな」と思った通りにストーリーが進むし、登場人物の間の台詞まで、「**って言うよ、きっと」と冗談半分に配偶者と話していたら本当にその通りになって、カウチからずり落ちそうになることもしばしば。登場人物の構成も、主人公、その妻、3人の子供(ティーンの息子と娘+小さい娘)に、テラノバ=新世界のリーダー(「アバター」と同じような役を演じている強面俳優、スティーブン・ラング)が中心で、そこに、息子と娘が恋愛対象になる女の子と青年が絡み、さらに妻の昔の同僚/恋人みたいな男が現れて、って、ジュラシックの時代に来てまで、いかにもありがちな恋愛関係、三角関係を持ち込まなくても良いだろうが、と突っ込みたくなるほどのキャラクター構成。

発想は新鮮だし、ビジュアル的にも良く出来ているんだけど、陳腐なストーリーやキャラクター設定をどうにかしてくれないと、そのうち、食傷気味になってしまいそうで、それがちょっと心配なドラマなのでありました。

Friday, December 2, 2011

Westside Ballet がロサンゼルス・タイムズ紙に載りました



下の日記でも書いた娘の教室ウエストサイド・バレエの「くるみ割り人形」が、今日=12月2日付のロサンゼルス・タイムズ紙に採り上げられました。
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-et-yvonne-mounsey-20111202,0,1816758.story
上の写真の真ん中が、校長先生のイヴォンヌ。今年でなんと92歳ですが、いまだに週2クラスのバレエを教えています。やっぱり、ニューヨーク・シティ・バレエのようなバレエ団で鍛えた身体は違うんだなあ...

オンライン版のロサンゼルス・タイムズですが、こんな写真も載っていました↓



約1名、独りでめっちゃ背が高く写っていますが、おそらくトウで立っているんでしょう...

「くるみ割り人形」週間

今週末と来週末は、娘の「くるみ割り人形」の公演があります。マチネーと夕方の1日2回で、2週末の土・日だから、計8回。
前日のドレスリハーサルも入れると、計10回踊ることになります。

今日は、会場となるWadsworth Theatreでのテック・リハーサル。

主に照明と立ち位置を確認します。

明日は、本番通りの通しで行なうドレス・リハーサル。フォトグラファーが写真を撮ってくれるので、メイクもキチンとして臨みます。

今年踊らせてもらう演目は、「くるみ割り人形」の前奏曲を使ったバレエ教室オリジナルの「Candy Cane」。ポアント・シューズで初めて踊ります。

Thursday, November 24, 2011

THE DESCENDANTS(ファミリー・ツリー)



下に書いた「ヒューゴの不思議な冒険」よりも前に観たのだけれど、アレクサンダー・ペインの新作「THE DESCENDANTS」を観た。
追記:この日記を書いた時には日本公開タイトルが未定だったのだけれど、今日、届いたキネマ旬報誌を見て、「ファミリー・ツリー」になったことを知る。ファミリー・ツリー(family tree)=系譜、家系図という意味なわけだけど、カタカナ英語になっていない言葉を聞いただけで理解できる日本人がどれぐらい居るんだか…

タイトルの「descendant」とは子孫という意味だが、主人公のマット・キング(ジョージ・クルーニー)は、ハワイの王家とイギリスの実業家の血を引く名家の子孫。一族を代表して御先祖様が残したとてつもなく価値がある不動産の管理を任されている。
億万長者でありながら、自分の仕事である弁護士業からの収入だけでフツーに暮らして来たマットだが、或る日、妻が水上スキー中の事故で昏睡状態におちいる。家庭のことをいっさい任せていた妻が居なくなり、17歳と10歳の娘たちの面倒をみるのに困惑してばかりのマットだが(「僕は予備の親だったから。代役の親みたいな存在だから」とマットはモノローグで語る)、半分グレて寄宿者学校生活をしてきた17歳の娘から「ママは浮気していた」と聞かされる...

これまで自分が普通に生きてきたつもりの人生、これからもずっとこうやって生きていくだろうと思って来た人生が、突然、足下から崩れさってしまうという設定は、同監督の「アバウト・シュミット」に近い。現実に転がっていそうなドラマだが、ちょっとした人間の感情や行動が実に細やかに描かれていて、「サイドウェイズ」でも、そうやってヒーローでもなんでもない人間の喜びや怒り、哀しみや葛藤を見事に描いたペインの演出力が冴えている。そして、いつもはカッコ良いヒーローを演じているジョージ・クルーニーが、フツーの中年男を演じているのもナイス。(それでも、一般のオッサンよりはやっぱりずっとカッコ良くなっちゃうんだけどね。)

観終わった後、ふと思ったこと:見当違いかもしれないが、アレキサンダー・ペインという作家は、故向田邦子に似ていると思った。もちろん、生きている時代も文化も社会も違うけれど、人間観察力の鋭さと、思ってもみなかった瞬間にコメディを見いだす才能は近いものがあるんじゃないのかなあ...

HUGO ヒューゴの不思議な発明



マーティン・スコセッシが初めて3Dの子供向け作品に挑戦した「ヒューゴの不思議な発明」の試写に行った。

「ヒューゴの不思議な発明」(以下「ヒューゴ」)の主人公は、パリの駅に住むヒューゴ・カブレ。時計職人の父と仲良く暮らしていたが、父を失ってからは駅の時計塔の中でこっそり独りで暮らしている。
大時計のネジを巻くことを仕事とするクロード伯父さんに連れられて来た時計塔だが、伯父さんはヒューゴを連れて来て間もなくどこかへ行ってしまったので、今では時計のねじ巻はヒューゴの仕事だ。でも、ヒューゴにはもう1つの「仕事」があった。それは、父が遺した自動筆記ロボットを修理すること。ヒューゴは、父がロボットに何かのメッセージを託したと考えているからだ。
ロボットの修理に必要な部品をあちこちから盗んで来たヒューゴは、駅にある小さな玩具店でもねじ巻式のネズミを盗もうとするが、店の老主人に捕まってしまう..

ということで、ヒューゴの冒険が始まるのだが、話はロボットの謎から意外な方向へ進んで行く。この話の展開については、何も知らないでも観た方が嬉しい驚きが大きいのでここでは何も書かないが、とにかく映画好き(というかシネアスト、あるいは映画マニア)にとっては至福の瞬間が何度もあるので、お楽しみに。
それから、スコセッシが初挑戦した3D映像もとても見応えがある。1930年代のパリの駅の雑踏が、すごい臨場感で再現されているので、是非、大劇場のスクリーンの3Dで観て欲しい。

Monday, November 21, 2011

「glee」セットビジット


人気TV番組「glee」のセットビジットに行って来ました。

今回の取材ではジャーナリストではなく通訳として参加。
中庭や体育館が使われるというハリウッドに在る高校や、パラマウント・スタジオ内に在る撮影セットを訪問。実際の撮影現場も覗かせてもらって、大満足!(って、一般ファンのノリになってるし...)

インタビューでも、前回、御会いできなかったカートことクリス・コルファーや、スー・シルヴェスターことジェーン・リンチ御本人にインタビューできたのもすごく嬉しい取材でした。


スーのオフィスのセット。机の後ろにあるトロフィー・ケースには、撮影の際、照明が反射しないようにガラスがはまっていません。




レイチェルのロッカー。フィンの写真が飾ってあるのが可愛い。アメリカの女子高生たちは、実際にこうやってロッカーを飾り立てます。

Saturday, November 12, 2011

Vegas, Baby

今週の火曜、水曜と1泊2日でラスベガスへ。と言っても、ギャンブルしに行ったわけではありません。
ヒストリー・チャンネルの「PAWN STARS」という人気リアリティTVのインタビュー取材でした。


こちらが“Pawn Stars”=質屋三代の面々。


「PAWN STARS」はラスベガスにある質屋Gold & Silverを経営するハリソン一家の日常を追うリアリティTV。べガスの質屋を訪れる人々や、彼らが持ち込むユニークでレアな“お宝”を、ハリソン三代が値踏みして買い取り交渉をする様子を追う。
「PAWN STARS」はアメリカでも日本でもヒストリー・チャンネルで放映されている番組だが、世界中で大人気を博している。この取材から帰って来た翌日に足のドクターの診察に行った際、その取材の話をしたら「ああ、あの番組ね。いつも観ているよ」などと言われてこっちがビックリしたぐらい。

「PAWN STARS」についての詳しい話は、また後日、御紹介するとして、今回は久しぶりに訪れたべガスについて。
前々からわかっていたことではあるけれど、べガスはとにかく何でもデカイ!
1つ1つの建物もデカイし、食事の量もデカイし、歩いている人たちのサイズもデカイ。
泊まったホテルも、その例外には漏れず、部屋のサイズなんて独身だったら充分暮らしていけるワンルームマンション並みに広くてビックリ。

これは入り口に近いリビングルームのようなスペースからベッドルームを観たところ。無駄に広い...
べガスなんて確かに砂漠のど真ん中に位置する街だからスペースなんていくらでもあるんだろうけれど、建物のサイズを大きくすれば建材費だって光熱費だってそれだけかかるはず。地球温暖化が叫ばれ、皆がエコ生活を意識している御時世にこんな街が存在していいんだろうか、と疑問に思ってしまった。ギャンブルが主要産業であるべガスはSin City=罪深き街というニックネームが付いているけれど、貴重な地球資源を無駄遣いしているという点でも罪深き街なんじゃないのかなあ...

Monday, November 7, 2011

LINCOLN LAWYER



今週末は珍しく書かなければならない原稿の締め切りが無かったので、調子に乗って、昨日に引き続き、今日も最近見落としていた映画をDVDで観ることにする。

今夜のチョイスは、今年の3月に公開された「LINCOLN LAWYER」。
タイトルの「リンカーン」は、エイブラハム・リンカーンからではなくて、アメリカではよくリムジンサービスなどで使用されることが多い高級セダン車、リンカーン・コンチネンタルのこと。主人公のミッキー・ヘイラー(マシュー・マコノヒー)は、刑事事件を専門とする弁護士だが、同業者のようにオフィスを構えることなく、アシスタントのアールに運転させるリンカーン・コンチネンタルの中で仕事をする「リンカーン弁護士」だ。
ヘイラーのクライアントは、モーターバイク・ギャングだったりドラッグ関連のつまらない犯罪に関わる「小物」の犯罪者が多いのだが、或る日、裁判所で保釈金立替業者のヴァル(ジョン・レグザイモ)に呼び止められ、ビバリーヒルズで不動産業を営む青年ルイス(ライアン・フィリップ)の弁護を頼まれる。ルイスは娼婦に対する暴行罪を問われていたが、裕福な自分を狙った「被害者」にハメられたのであって自分は無罪だと主張する。ヘイラーも、最初は、状況証拠を見た限りでは確かにルイスを金づるとみた娼婦の狂言暴行事件だと考えるが、被害者の写真を見ているうちに、過去に自分が担当した殺人事件のことを思い出す...

「LINCOLN LAWYER」は、プロットはそれほどひねられておらず、複雑な謎も秘められていたりしないので、結末近くにあっ!と驚くどんでん返しが待ち構えているというタイプのサスペンス・スリラーではなく、前半が終わる頃には事件の全容が明らかにされる。それ以降、サスペンスの主眼は、我らが探偵役がどのように事件を解決していくかというプロセスに移行する。大ざっぱな括り方をすれば、「コロンボ」タイプのストーリー構成に近いとも言えるだろう。
このようなタイプのサスペンス作品で非常に重要なのは、探偵役のキャラである。観客は、探偵役が事件を解決、収束させていく過程を楽しむわけだから、この探偵役が魅力的でないと、興味は半減してしまう。その点、「LINCOLN LAWYER」の主役を演じたマコノヒーは、適役だった。「評決」でポール・ニューマンが演じたフランク・ギャルヴィンが20年前はこんな感じだったかも?と思わせる雰囲気がある。若い時はいかにも甘い美形のプレイボーイといった感じだったマコノヒーは、40過ぎて良い感じの中年になってきており、ちょっと不良っぽいけど正義感の強い弁護士にピッタリはまっていた。

「LINCOLN LAWYER」は、いわゆるブティック・スタジオと呼ばれる小規模の映画会社ライオンズ・ゲイトの作品ということもあり、現時点では日本公開は決まっていないようだが、上述した俳優たちのほか、マリサ・トメイ、ウィリアム・H・メイシー、ジョシュ・ルーカス、フランセス・フィッシャーといった芸達者な俳優たちがしっかり脇を固めている良質な作品なので、是非、日本でも劇場公開されることを祈りたい。

Sunday, November 6, 2011

MADE IN DAGENHAM



ハリウッドの大手映画会社の作品は、たいがい試写で行けたりするが、インデペンデント系スタジオの作品や外国映画だと、インタビュー取材などの仕事をしない限りは試写状はもらえないし、一般公開も劇場が限定されていたり、公開期間が短めだったりして、観たいと思っていてもなかなか観る機会が見つけられないうちに公開が終わっていたりして、悔しい思いをすることが多い。そのような映画は極力、憶えておいて、DVDが出てから観ようと努めている。

今夕観た「Made in Dagenham」もそんな映画の1本。
イギリス東部のエセックス郡のダーゲンハムに在る米自動車会社フォードの工場で、1968年に実際に起きた女子工員たちのストライキを素材した、いわゆる実話もの。
ダーゲンハムのフォードで働くリタ(サリー・ホーキンス)と彼女の同僚たちは、決して理想的と言えない環境の工場で、毎日、フォード車のシートに使われる合成皮革のカバーを縫う毎日をおくっていた。そんなある日、労働組合のオルグのアルバート(ボブ・ホスキンス)が、彼女たちは「非熟練工」とみなされることになったと告げる。劣悪な労働環境で長時間働いていた彼女たちの不満は、この決定で爆発する。男性メンバーが圧倒的に多いフォード社の労働組合は、アルバートを除いて、会社側の言い分を聞いて丸く収めようとするが、事の本質は熟練/非熟練の問題ではなく、男女で賃金差があることに根ざしていることをアルバートから聞いたリタは、自分のため、自分の同僚たちのため、そして全世界の働く女性たちのために、立ち上がることを決心する...

DVD観賞後、ちょっと調べてみたら、リタのキャラクターは、実際に起きたストライキに関与した複数の女性たちを組み合わせたものらしいが、それでも、ごく普通の労働者階級の女性たちが、1960年代に賃金の男女格差の不平等さに気づいて、大企業と闘って勝利を収めたというのはすごい事である。
こういう話は、いかにもアメリカ的だが、実際にはイギリスで起こり、それが世界の産業国での賃金の男女格差の撤廃につながっていったという史実は興味深いと思った。

ところで、この「Made in Dagenham」って日本未公開なんですね。DVDですら公開されていないのは、かなり意外。
まあ、2010年の作品なので、来年あたり公開されることになるのかもしれないけれど、アメリカでは80%の評論家の支持を集めた評価の高い作品なので、強いヒロインが好きな人、弱者が強者に闘いを挑むといった話が好きな人にはオススメの作品であります。

Wednesday, November 2, 2011

ANONYMOUS



締め切りがすんごいことになっているけど、ずーっと更新していないので、先週観た映画「Anonymous」の感想を簡単に書くことにする。

「Anonymous」は、シェイクスピアの名作の数々を書いたのは、ウィリアム・シェイクスピアという名の人物ではなく、素晴らしい文才を持ちながら貴族という身分上、戯曲を書くことなど許されていなかったというオックスフォード伯、エドワード・ドゥヴィヤーではないかという仮説に基づいた歴史サスペンス・スリラー。監督は、「ID4」や「デイ・アフター・トゥモロー」などパニック映画を得意とする事で知られているローランド・エメリッヒという、ちょっと意外な人選。
エリザベス一世時代の歴史に詳しければ、もっとずっと面白く観られたと思うのだけれど、高校時代、西洋史はあまり真面目に勉強しなかったのがたたって、ウィリアム・セシルって誰だっけ?スコットランドのメアリーとエリザベス一世の関係は?今の英国王室の先祖じゃないんだよね、この人たちは...?などと、途中で何度も「?」マークが去来したのがつらかった。
でも、完全にCGIで再現したロンドンの街や、ロンドン塔、グローブ座などは、さすがCGI慣れしているエメリッヒだけあって、見応えがあった。

ただ、史実に物言いをつけて構築した仮説を基にした作品でも、その仮説を論証しようとするだけでなく、その事象に関わる人物たちを細やかに描いていないと、厚みの乏しい作品になってしまう。その点で、「Anonymous」は例えば「アマデウス」にはちょっとかなわないかなあ...という気はした。

シェイクスピア贋作説については、IMDBからリンクされているクリップでエメリッヒ本人が解説しています:
http://www.imdb.com/video/imdb/vi1157013017/

Sunday, October 23, 2011

他人の空似

土曜日の夜、図書館から借りて来たジョディ・フォスター主演の「ガス燈」タイプのサスペンス・スリラー、「フライトプラン」を観る。

突っ込みどころが無いこともないのだが、土曜日の週末にテイクアウトのキューバ料理を食べながら観るにはちょうど良いぐらいのB級度で、けっこう楽しめた。
夫の死に遭遇し、異国の地から夫の亡骸と共にベルリンからアメリカに帰る母娘。ところが、フライトの最中に6歳の娘がこつ然と消えてしまう。「ダイ・ハード」×「96時間」みたいな、いたってシンプルな設定のサスペンス・スリラーだが、ヒロインを演じるジョディ・フォスターのブチ切れ演技でぐいぐいと引っ張られて一気に見せてしまう。後から考えれば、「アレ?」と思わない箇所も無いのだけれど、まあいっかーと思わせるぐらいジョディの押しはスゴイ。ジョディ無しでは成立しなかった映画でしょうね、これは。

ところで、この映画に登場するキャストの中で一人、気になった人。オーストラリア出身のケイト・ビーハンという女優さんなのですが、



あれ、金髪碧眼の浅丘ルリ子さん??

最近のルリ子さんしか知らない人は、「え”〜〜〜〜」と思うかもしれないけれど、
こんな頃のルリ子さんとか

こんなルリ子さんだったら

納得してもらえるでしょうか...?

西洋人ー東洋人の間の他人の空似って意外と多いような気がします。

Thursday, October 20, 2011

漢方のことを書いたついでに

下で漢方のことを書いたついでに思い出した事を。

物書きという職業上、慢性の肩こりにずーっと悩まされ続けて来たが、ここのところ特に首のこりがハンパじゃなくなってきた。
首がこりすぎて、左右に首が回せなくなってしまったのである。
普通だったら、人間の首は真横90度まで回せるはず。それがガチガチに固まってしまって45度ぐらいしか回らない。
これは困る。
一番厄介なのは車の運転でバックする時。身体ごとひねらないといけなくて、なんだかロボコップ状態である。


首と肩だけこういうのを着させられているかのようにガッチガチ状態。早く人間に戻りたい。



それで、大昔通ったことのあるカイロプラクティックに行くことを思いついた。
Grouponという、クーポンクラブでちょうどカイロプラクティック・クリニックが「49ドルで初診、レントゲン撮影、マッサージ付き!」というプロモーションをしていて、家の近くだったので行ってみた。
結果から先に言うと大失敗だった。
初回のマッサージはけっこう気持ち良かったけど、翌日もみ返しが来たし、2回目からの治療は首や腰、背中をボキボキッと補正するんだけど、毎回、症状の変化も確かめずに同じ事を繰り返すだけ。力任せにひねるから、整体慣れしている私でもかなりの痛みを感じて、特に首の施術の際は「痛いのが来るぞ、来るぞ」と身構えて身体が固くなってしまうので、全然駄目。
結局、初回を入れて6回通って止めた。通院中止を告げる時に「効果を全く感じないどころか却って痛くなったような気がする」と言ったら、そこのカイロプラクター、「そうかなあ、もうちょっと続ければ効果出て来ると思うけど」とのたまった。もう6回も続けてきたんですけど?どれだけ金を注ぎ込めばいいんじゃっ??

悪化してしまった首をどうにかしてもらうにはやっぱり行き慣れた鍼でしょ。ということで、昔通っていた鍼灸院に御世話になることに。
健康保険を変えてからは鍼がカバーされなくなってしまったので、自腹を切るのがちょっとつらいけど、背に腹は代えられぬというか、首は何物にも代えられぬというわけで、今週から通い始めました。
東洋人の私には、やはり西洋薬より漢方、カイロより鍼、なんでしょうね。

銀翹散のススメ

子供が風邪をひいたと思ったら案の定、それをもらって風邪をひく羽目に。

今回は、喉が痛くて困ったので、まだ少し残っていた日本製漢方の桔梗湯を飲むも、少しは効くけど治らないまま、在庫切れ。
そこで今年の夏に帰省した際に買った「のどがはれて痛むかぜに」という効能の銀翹散を飲んでみる。



これがめちゃ効き!1日分(3包)にも満たない2包を飲んだだけでのどの痛みが嘘のように無くなった。

銀翹散は、中国製のものだったらチャイナタウンのドラッグストアでも買える。



上の製品はアセトアミタフェン(タイレノールの成分)入り。
これも、けっこう効くけど(中国出身の友人も愛用しているとのこと)、日本製の銀翹散のような即効性は無かった。
でも、中国製のはすごく安くて、10日分にあたる120錠入りが5ドルぐらいで買えてしまう。日本製のは3日分(9包)で1000円以上したと思う。

日本在住の方は、喉が痛くなって始まる風邪には、是非、銀翹散(ぎんぎょうさん、と読みます)をお試しあれ!
アメリカ在住の方は、チャイナタウンに行った際、中国製バージョンを試しに買ってみてください。

Sunday, October 16, 2011

白鳥の湖


「ブラック・スワン」のヒットで、去年から人気が急上昇しているバレエ「白鳥の湖」。私が観たのは、小学生の頃、今からン十年前のことだし、バレエにハマっている娘はまだ観たことが無し。
というわけで、LA近郊での「白鳥の湖」のパフォーマンスを探していたのですが、唯一見つかったのは、ロサンゼルス・バレエ(LAB)の公演。LABは、2006年の「くるみ割り人形」を観ただけなのだけれど、なんといってもプロのバレエ団なのに音楽が生オーケストラ演奏じゃなくてCDなのが、かなり嫌。どんなに「ハイクオリティ」をうたっても所詮は録音。臨場感が無いんですよねえ。
子供に初めて見せる「白鳥の湖」が録音じゃあなあ...と思っていたら、まだ半年以上も先のことだけれど、ボリショイ・バレエが、6月にロサンゼルスのダウンタウン、ミュージック・センターで「白鳥の湖」を上演するということを知って、これっきゃない!と飛びついた次第。
この公演、さらに嬉しいことに、バレエ教室だけに許される特別ディスカウント・チケットで観られるのです。
ボリショイと言えば、ロシアが世界に誇るバレエ団。それの出張公演だから、フツーに買えばけっこうな御値段するわけですが、このディスカウント・チケット、なんと35ドル!(日本円にすると約2700円)手数料が1枚につき8ドル取られるから実質は43ドル(3320円)になるけれど、それでも破格の御値段です。ディスカウント・チケットゆえ、さすがに席は2階の後ろの方だけど、それだって、ディスカウントが無ければ75ドルの席だから、ほぼ半額。日本だったら1万円以上するのではないかと思います。
ダディはどうせ連れて行ったって猫に小判、豚に真珠ということで、同様にバレエを習っている友達の親子連れと行くことにしました。
半年先の話で、あまり実感が涌かないけれど、楽しみだ〜〜〜。♫

Thursday, October 13, 2011

中学校の演劇プログラム

娘の通っている中学校には、放課後に活動する演劇プログラムがある。
一昨年、去年はミュージカルシアターで、今年は即興コメディ。娘も、参加を考えたのだけれど、週4回バレエに通っている現在はスケジュールが超過密になってしまうし、5月のパフォーマンスがバレエの公演とかちあう可能性も大きかったので、断念。
でも、公立の学校がボランティア+寄付金ベースでこういう活動をしているのは素晴らしいことだと思う。

そのミュージカル・ブログラムが、TVドラマ「glee」が主催しているコンテストに映像クリップを応募。サポートを募っていたので、早速投票した。
このブログを読んでいる皆さんも、以下のリンクのクリップを御覧になって良かったら投票してやってください。

http://www.gleegiveanote.com/vote_details.php?id=414

今年の5月、このプログラムのパフォーマンス「Joseph and the Amazing Technicolor Dreamcoat」を観たんだけど、公立中学校の舞台とは思えないほど本格的で、子供たちもすんごく頑張っていて、感心&感動しました。
アメリカの中学校では学芸会みたいなものは無いので、こうやって、長い期間かけて皆が一緒に何かのプロジェクトに打ち込む機会ってとても貴重なのです。

Monday, October 10, 2011

ドラマをめぐるサバイバル・ドラマ

アメリカのTV界はシビアである。視聴率が充分取れないと、充分な広告収入につながらないため、9月に新スタートを切ったドラマでも、10月末までにとっととキャンセルされたりする。
そんなわけで、去年の9月に始まった新シリーズで私たちが観ていたドラマのほとんどがキャンセルされてしまった。中には、「Nikita」や「Hawaii Five-O」のように、私たちの方で観るのをストップしてしまったドラマもあるけれど。その他にも、2009年1月から始まって、3シーズンは生き残ったものの、今年の1月で終わってしまった「Lie To Me」や、今年の1月から始まったばかりなのに5月に終わってしまった「Chicago Code」もあって、これらのドラマを楽しんでいた私たちは、とてもガッカリさせられた。

一方、相変わらずの人気で順調にサバイバルを続けている「CSI」と、一時は継続が危ぶまれているという噂もあった「FRINGE/フリンジ」は無事、リニューアルされて、9月の放映再開を嬉しく迎えさせてもらったが、「CSI」ではまたまたメインキャストが交代。ギル・グリッソムことウィリアム・ピータセンに代わってべガスのCSIチームで活躍していたDr.レイモンド・ラングストンことローレンス・フィッシュバーンに代わって、今度はテッド・ダンソンが起用されることになった。



ダンソンには、どうしてもコメディ俳優というイメージがあって、最初、このキャスティングはどうなんだろう?と思わせられたが、実際にCSIチームに仲間入りして捜査するところを観たら、まあそれなりに馴染むのかもしれないという気はした。
「CSI」フランチャイズは、元祖「CSI」の他、「CSI:マイアミ」、「CSI: NY」も最初は観ていたのだが、「マイアミ」はホレイショ・ケイン演じるデヴィッド・カルーソが、全然カッコ良くないのにカッコいい奴ぶるポースを笑い飛ばすところまで楽しめなくてドロップアウト。「NY」の方は、ゲイリー・シニーズのニコリともしないシリアスで「この世の哀しみを一人で背負っちゃってます」みたいな悲愴感漂うマック・テイラーは観ているだけで疲れてきてしまって、こちらもドロップアウトした次第。
血みどろの犯罪やダークでクレイジーな犯罪者を描くドラマなんだから、ユーモアをたっぷり付け合わせで出してくれないと、どよおおおんとした読後感ならぬ視聴後感が残っちゃうじゃないですか。
そういう意味で、ダンソンの起用は案外、良いアイディアだったのかもしれない。まあ、これから彼の人となりが少しずつ明らかになっていくわけで、このキャスティングの成功の是非はまだまだわからないけれども。

犯罪ドラマにユーモアは必須、というのは、私の個人的で勝手なTVドラマの鉄則(?)の1つみたいですね。

Friday, October 7, 2011

名ばかりの「カスタマー・サービス」



水曜日の夕方にAT&T U-verseのコネクションがつながらない状態になった。
我が家はこのAT&T U-verseを通して電話だけじゃなく、インターネット、TVまで観ているから、これが無いと外界から遮断されてしまった状態になる。
特に困るのはEメール。仕事のメールですぐに返事しなければならないものなどがあったら、最悪、仕事を取り逃しかねない。

ということで、普段はこういう渉外事項は配偶者に任せるのだが、少しでも速く対応した方が解決も速いだろうと思い、AT&T U-verseに電話(家の電話がつながらないので、以下の「電話」は全て携帯からの電話です)。先方がこちらのコネクションをチェックしたところ、何も問題が無いようだったので、問題は家の外だろうということに。ただし、その時点では営業時間が終わっているということで、木曜日の8:00AMから8:00PMの間に修理しますという返事をもらった。こういう時、アメリカの会社に迅速な対応は期待できないというのは、20年以上の在米生活で嫌というほど認識させられているから、翌日の12時間枠内に直すと言われれば、「ハイ、そうですか」と言わざるを得ない。

ところが、木曜日、夜の8時過ぎても、誰も連絡して来ない、つまり修理が出来たのか、出来なかったなどという報告が全く来なかったのである。
しかたなくAT&Tに電話したら、「外の修理は出来ているからつながるはず」と言われた。いったいいつ修理が終わったのか、こっちには全く知らされないまま、とりあえずリブートしようということになったが、どのテも上手くいかない。その時点でカスタマー・サービス係、「これはモデムが駄目なのかも」。おいおい、昨日は「外の問題」だということだったじゃない?そもそも、木曜日の修理が終わった段階で私に連絡を取り、問題が解決したかどうかを確認すれば、その日のうちに解決していたはず。ということで、私はこのエージェントじゃ埒があかないと思ってスーパーバイザーをリクエスト。そうしたら、このスーパーバイザーがまた無能な男で、「修理終了時にカスタマーに連絡取る必要はもともと無かった」と言い張る。「ちょっと待ってよ、そうしたら私たちカスタマーは、いつ修理が終了してサービスが復活しているということをどうやって知るわけ?」と指摘したら、「それはカスタマーの方がチェックして、ムニャムニャ...」と歯切れが悪いことしか言えず、話を明らかにそらそうとする。でも、問題が24時間以内に解決しなかった原因はそこにあると思った私は追究の手を緩めず問いただしたところ、やっと「修理が終わった時点で連絡が行くべきだった。誰かがそれを怠った」ということを認めた。
それって、つまり向こうの落ち度なわけで、向こうのポカで私は2日間もネットや電話、TVが観られなかったんだから、「当然、何らかの補償をしてくれるんでしょうね?」と詰め寄って、最終的には使用料のディスカウントをゲット。っていうか、そんなの、そっちからオファーするのが、「サービス」ってものじゃないの??

AT&T U-verseが無能な会社だということが露呈したこの事件、これだけにはとどまらず、「金曜日の12時〜4時の間にモデムの修理にうかがいます」ということになったので、「御願いだから12時直後に来るようにアレンジしてよ」とプッシュにプッシュを重ねて、前述のスーパーバイザーも「全力でそうします」と言ったのに、2時を過ぎても何の音沙汰も無し。業を煮やした私は、またまたAT&T U-verseに電話。「まだ4時になってませんから」とのうのうと言いやがるエージェントに、再びスーパーバイザーをリクエスト。そのスーパーバイザーに全ての事情を話した後で、「今すぐ技術者を修理に寄越さないなら、まともなサービスを提供するプロバイダーに乗り換えてやる」と脅して、やっと「今、技術者の空きが出ましたから、すぐに彼を派遣します」というところまでこぎ着けた。っていうか、何で私がそこまでプッシュしないと動かないかなあ...で、「じゃあ、今度こそ、修理が終わったら必ず必ず連絡してよね!」と念押し。先方も昨日の事があるから、それを確約。

それから約2時間後の4時を過ぎても相変わらず何の連絡も無く、いい加減ウンザリしていた時にふと電話機のディスプレイを見たら平常通りに戻っているではありませんか?そこで、電話をオンにしたらつながっていることが判明。もう脱力...あれだけ修理が終わったら連絡するよう言ったのに、何の改善も無し。故障が直ったのは嬉しかったけど、サービス上の問題は何の進歩も無かったわけで、時間の無駄を承知で再度電話。新たなエージェントに、一連の経過を説明したうえで、1.今回の故障の原因と対応、2.なぜ連絡すべき事を何度も怠ったか、3.今後の改善方策について、しっかり説明するレポートを要求した。それが実行されるかどうか、これまでの経緯を見ればはなはだ怪しいけど、リクエストするだけはしておかないと。

アメリカの会社(しかも大会社)のカスタマー・サービスというものが、いかにカスタマーをないがしろにしたサービス不在のものであるかを実感した2日間でした。

Saturday, October 1, 2011

秋のTV新シーズン(その2):Person of Interest, Prime Suspect

前項に引き続き、観始めた新ドラマ・シリーズを簡単に御紹介。

まずは「Person of Interest」。



ニューヨークの地下鉄で、若いチンピラの集団に絡まれたホームレス風の男が、いきなりシャープな動きを見せて、一瞬の間にチンピラたちを叩きのめしてしまう。その様子はどこからか撮影されており、そのクリップは何万もの映像クリップの1つとして記録される。警察の取り調べを受けた後、解放された男を待ち構えていたのは、謎の億万長者。彼はホームレス風の男が、記録上は死んだことになっている元CIAの特殊工作員であることを知っており、或る仕事をしないかと持ちかけてくる。この億万長者Mr. フィンチは、9月11日テロのような事件を防止するために政府が世界中を監視できる装置を発明したが、政府が関心を寄せるのは国家を巻き込むような大事件であって、日常的な犯罪などは見過ごされていると言う。そこで、彼は元CIA工作員だったジョン・リースに、そのような犯罪を防ぐ仕事を依頼して来たのだった。フィンチには、政府が収集する情報へのアクセスがあり、それを基に近い将来犯罪に関わることになる人物を特定することができるが、問題はその人物が被害者になるのか加害者になるのか判らないということ。リースの任務は、その人物を追って犯罪を未然に防ぐことになる...

この政府の監視装置というのが映画「イーグル・アイ」に出て来たような監視カメラを用いたものなのだが、私たちが常に監視されているという「1984」めいた管理社会がちょっとSFっぽさを出していること、既に起きてしまった犯罪を解決するのではなく、これから起きる犯罪を未然に防ぐことにフォーカスが置かれているのが、この番組の新味。ここらあたりに、エグゼクティブ・プロデューサーを務めているJ・J・エイブラムスらしいクリエイティビティがうかがえて嬉しい。俳優も、フィンチ役に「Lost」のマイケル・エマーソンを、リース役にマッチョ・ヒーローとは一線を画すようなキャラを得意とするジム・カヴィーゼルを、それぞれ配したところが、なかなか巧い。フィンチにもリースにも、こみいった過去のストーリーが用意されていそうで、それが徐々に明らかになっていく予感がするのも楽しみだ。
リピーター確実なドラマですね、これは。

もう1つ、リピーターになるつもりなのが「Prime Suspect」。



こちらはヘレン・ミレン主演のイギリスの犯罪ドラマ「第一容疑者」のアメリカ版リメイク。ヘレン・ミレンに代わって、マリア・ベロが主役を務めている。残念ながらオリジナルのイギリス版を観たことが無いので、ミレンとベロの女刑事ぶりの比較ができないのだが、ベロが演じるジェーン・ティモネイは、能力もガッツも同僚の男性刑事たちに負けない女性刑事。彼女は、凶悪な犯罪者と共に男社会丸出しの署内の雰囲気とも戦っていかねばならないということが、初回のエピソードから前面に出されている。女刑事が登場する他の犯罪ドラマ(「LAW & ORDER:性犯罪特捜班」とか「CSI」シリーズとか)では、彼女たちは男性刑事たちとフツーに仲間扱いされているが、アメリカの警察も場所と状況によっては、ティモネイが経験しているような性差別があるに違いないだろうから、そういう警察のネガティブな現実も見せてくれるドラマとして評価できそう。ベロも、男勝りだけど繊細な弱さもあるヒロインをバランス良く演じていて好感が持てる。
ところで、初回エピソードを観ていてちょっと嬉しかったのは、脇役キャストになじみのある顔があったこと。その筆頭がベロの上司を演じているアイダン・クィン。(上の写真の左、座っているのが彼。写真はクリックすると大きくなります)昔はなかなか良い映画にガンガン出ていたものだったのが、最近は御無沙汰気味だったので懐かしく思った。(ただ、染めている髪の色が全然似合っていないのが残念。って、細かいことだけど...)それから、あまり知られていない俳優ではあるけれど、映画ファンだったら「観たことある!」ときっと思うはずの、名脇役俳優、ブライアン・F・オバーン。(上の写真の右端)「ザ・バンク 堕ちた巨像」での辣腕暗殺者やTVドラマ「フラッシュフォワード」での女性兵士の父親役が印象的だった。「Prime Suspect」では、ティモネイに反感を持っている刑事を演じている。ちょっと驚いたのは、同じくティモネイの同僚役を演じているカーク・アセヴェド。(上の写真では右から2番目)彼は「フリンジ」でセミ・レギュラー出演しているから。ネットワーク局のドラマでは、同じ俳優が違うドラマに同時期にレギュラー出演していることがほとんど無いので、新シーズン「フリンジ」の方での出番が削られたかな?と勘ぐったりして。(9月23日に再開した「フリンジ」新シーズンはこの時点では未見なので)

犯罪ドラマおたくの私としては、この2作品のようなドラマを観るたびに、毎年、いろいろな新手で犯罪ドラマの新番組を作ってくれるアメリカTV界に感謝したい気持ちになります。

Tuesday, September 27, 2011

秋のTV新シーズン(その1):Ringer, Unforgettable, The Hour + The Killing

9月から始まったアメリカのTV新シーズンで、面白そうな番組を録画。
先週からボチボチ観始めました。

新番組視聴の初めはサラ・ミシェル・ゲラーの産休後復帰第1作となるサスペンス・ドラマ「Ringer」(放映局:「ゴシップガール」と同じCW)。


**左側、髪をアップにしているのがシォバーンで、右がブリジット


番組タイトルのringerとは、「生き写し」といった意味で、主人公はシォバーンとブリジットという双子の姉妹。リッチな夫を持ってNYでハイソな生活をしているシォバーンに比べ、ブリジットは前科者という設定。当然ながら、2人はほとんど連絡を取っていない絶縁状態にあるが、或る日、シォバーンがブリジットを呼び出し、2人はシォバーンの別荘のあるリゾート地でバケーションを楽しむが...
ということで、観ている者の予想通り、或る事件をきっかけに1人がもう1人の替え玉になるという展開になるわけだが、演出・演技とも昼メロ仕立てで、こういうのに慣れている視聴者には別にどうということはないのだろうが、私と配偶者はかなりウンザリ。台詞も、何だかどこかで何度も聞いたような陳腐な文句が続いてげんなり。もう1つ、鼻白んでしまったのは、いくつかのシーンに使われていたスクリーンプロセスの御粗末さ。なんかヒッチコックの映画を観ているような幼稚な技術にビックリ。TV製作に予算が無いのはわかっているけれど、今どき、こんな御粗末なSFXを使う番組も珍しいかも。
配偶者には「僕はもう観たくない。君が観続けたいならどうぞ」とサジを投げられてしまったけれど、私の個人的ポリシーは「新番組には必ずセカンドチャンスをあげよう」というものなので、もうあと1エピソードを観てから、観続けるかどうか決めたいと思う。

次に観たのは、「Without a Trace(邦題:FBI 失踪者を追え!」に出ていたポピー・モンゴメリー主演の「Unforgattable」という犯罪ドラマ。(放映局:「CSI」と同じCBS)


**主演のポピー・モンゴメリー。子供を産んで、雰囲気がちょっと大人っぽくなったかな?


こちらの設定は、1度見聞きしたことは忘れることができない(ということでタイトルがUnforgettable)という元刑事のヒロインが、たまたま隣人の殺人事件に遭遇し、やはり刑事は天職だと悟って再出発することに決める、というのがパイロット(第1話)エピソード。ヒロインは、hyperthymesiaという超記憶力とでも呼べるような能力の持ち主で、それを犯罪捜査に活かすというのが、このドラマのウリである。これまでも、数学理論をFBIの捜査に活かす数学の天才学者や、サイキックにみまがうような行動心理学に通じた人間、嘘を見抜く天才などが活躍するドラマがあったことだし、hyperthymesiaというのは実際に存在することが立証されている能力なので、信憑性は“合格”。モンゴメリーも、スーパー能力を持っている人間にあるエキセントリックなキャラを体現できていたように思えたので、犯罪ドラマおたくの私としては、続けて観ていきたいと思わせられるドラマだった。

新着ドラマ3作目は、私の得意分野から少し外れてはいるが、とりあえずサスペンス的要素が入っている政治/陰謀ジャンルのドラマ「The Hour」。(放映局:BBCアメリカ)


**中央、ヘクター役のドミニク・ウエストの隣の緑のドレスがベラ、その隣がフレディ


製作はBBC。出演陣も全てイギリス人である。時は1956年。BBCテレビの報道部に所属しているフレディとベルは、野心的なジャーナリストで、それぞれ今のポジションからのキャリア・アップを狙っている。新番組「The Hour」で、取材すると同時にキャスターも務めたいと上司にかけあうフレディだが、キャスター役はハンサムでカリスマたっぷりのヘクターに取られてしまう。プレイボーイなヘクターは、フレディが憎からず思っているベルにも色目をつかい、フレディはそれも面白くない。そんなおり、フレディの幼なじみで最近婚約を果たしたデビュタンテが、不穏な政治的暗殺についてフレディに相談を持ちかけてくるが...
1950年代のイギリスのジャーナリズム界が舞台で、主人公たちが早口のイギリス英語をまくしたてるとあっては、私の英語力では会話のすべてを理解するというわけにはいかないところがちょっとつらかったが、それでも充分面白く、今後の展開に大いに期待したい。キャスト陣はほとんど知らない顔ぶれだが、唯一、ヘクターを演じているのが、個人的にTV史上ベスト・ドラマだと思っている「The Wire」のドミニク・ウエストで、ボルチモアの労働者階級出身のマクノルティから一転、彼本来のアッパーミドルな英国人英語で話しているのが、不思議であるやらおかしいやら。

最後、おまけ、というか、4月3日から始まったものの、録画しっぱなしで、8月からやっと観始めたことができた「The Killing」(放映局:「MAD MEN」と同じAMC)について一言。


**サラ役のミレイユ・イーノス。フツーの美人タイプじゃないところがイイ。


「The Killing」がデンマークのドラマ、 Forbrydelsen(「犯罪」の意だそうだ)のアメリカ版リメイク。シアトルで、女子高校生が行方不明になる。間もなく、そのティーンエージャー、ロージーは、溺死体で車のトランクから発見される。捜査にあたるのは、シアトル警察のベテラン刑事サラ。シングルマザーの彼女は一人息子を連れて、フィアンセと暮らすべくカリフォルニアのソノマに引っ越す直前だったのだが、彼女の若きパートナー、スティーヴンだけでは心もとないということで、上司に引き止められ、しぶしぶ捜査を続けていく...
「The Killing」のシーズン1は13話構成で、現在、5話目を見終わったばかりだが、実に面白くてぐいぐい引き込まれる。美しく人気があったティーンエージャーが死体で発見されてドラマが始まるという設定や、舞台がシアトルであることから、「ツインピークス」を想起させるところもある「The Killing」だが、前者がデヴィッド・リンチという作家性の強いクリエイターの作品でシアトルという北部の街が舞台ながら、どこか乾いたアメリカ西部の香りがしたのに対し、後者は太陽が照ることが少ない非常に湿った、いかにも北の街という彩りのドラマであり、作品のカラーはかなり対照的だ。デンマーク製のオリジナル版は観ていないけれど、非常に雰囲気が近いのだろうということが容易に想像できる。物語の展開が、犯罪捜査が中心となりながらも、犯罪そのもの自体よりも、その犯罪によって人生が変わってしまう周囲の人間にフォーカスが当たっており、大袈裟な喩えではあるが、ちょっとベルイマン作品を観ているかのようで、そのあたりもアメリカの刑事物ドラマに慣れている私たちにとっては非常に新鮮である。今、一番ハマっているドラマだ。

*今調べたら、「The Killing」は、「THE KILLING ~闇に眠る美少女」という付けなきゃ良い副題付きで、日本でも11月28日からFOX CRIMEチャンネルで放映が決まっているみたいですね。同局が観られる人は是非!
サイト:http://tv.foxjapan.com/crime/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/1336

Sunday, September 25, 2011

猫を洗う



犬のシャンプーは月に1回とか2回とか実施している人が多いと思いますが、猫はあまりシャンプーをしません。
猫は水が大嫌いだという性格の問題もあるでしょうが、犬だってうちの犬のように濡れるのがあまり好きでは犬も多いかと。
それに、下のYouTubeのクリップでも指摘されているように猫だって、決して自然にキレイになっているわけではないはず。

インストラクション・ビデオ(?)「猫の洗い方」


ということで、今日は私以外の家族のメンバー2名が猫を洗いました。



洗われた直後の猫って、猫に見えない...
新種のエイリアンみたい...

Friday, September 23, 2011

今日は御彼岸なので

今日は御彼岸ということで、柄にも無くおはぎを作ってみました。

ちゃんと小豆から煮て、餅米炊いて。
今朝、思い立ったので、一晩小豆を水に浸さなくても煮られるレシピをクックパッドにて調達。
うっかりして砂糖を買い置きしていなかったのであるだけの砂糖しか入れなかったゆえ、かなり甘さ控えめ、ヘルシー(?)なおはぎになりました。



なんかゴツゴツしていて見栄えのしない出来上がりになってしまいましたが、味は悪くなかったです。子供も、美味しい!と言ってくれたし。

余ったあんこは、冷蔵庫と冷凍庫へ。
バニラアイスにあんこ乗せて食べると美味しいのよね〜♫(子供はおはぎを1つぺろっとたいらげた後→アイスクリームにあんこを乗せて食べ→TJで買ったMade in Thailandのあられを食べ→最後にシリアルでフィニッシュしていました。なんでそんなに食べられるんじゃ〜〜〜)

Saturday, September 17, 2011

「くるみ割り人形」シーズン



今年も「くるみ割り人形」のシーズンに入った。
オーディションは8月20日に行なわれ、その約2週間後に役の発表が始まった。

娘が今年いただいた役は「キャンディ・ケーン」。一般の「くるみ割り人形」には無い演目だが、創始者のイヴォンヌ・モーンジーが、序曲を使って、ポアントシューズで舞台デビューする生徒たちのために振り付けた作品である。(上の写真は、その「キャンディ・ケーン」の衣装合わせ光景)
振り付け自体には大して難しい技巧は含まれていないが、なんといってもポアントで初めて踊れる役なので、娘のレベルの生徒たちにとっては一番踊りたい役だが、クララ役のダブルキャストの子を入れて9人しか踊れないので、選ばれなかった子たちはガッカリ。毎年のことではあるが、「くるみ割り人形」の役が発表される9月はスタジオの雰囲気もピリピリとしたものになる。
それでもまだ、役が発表されたのは群舞のみの段階なので静かなものだが、これから、センターと呼ばれる周囲のダンサーたちに囲まれて踊る役の発表の時期になると、「どうしてあの子があの役なの?私の方が上手いのに!」的な感情が流れて、これぞ「ブラック・スワン」の世界!...というのはオオゲサだが、山岸凉子のバレエ漫画に描かれてもおかしくないような世界が展開する。中でも一番、困るのはモンスターペアレントの存在。「ウチの娘はどうして一役だけなのか?」、「ウチの娘だけどうしてあの役を踊れないのか?」などなどと、不満をたっくさん抱えた親たちが不満を訴えたりする。親と生徒の中には、何げにイヴォンヌ校長の注意を引こうとわざとらしく自己紹介したり、担当教師に花を届けたりと、露骨なPR作戦に出る人たちも居たりして、スタジオのロビーに居るとTVドラマを観ているより面白いと思う話が見聞きできる。
嗚呼、これだからバレエ・ママは止められん!

Saturday, September 10, 2011

CONTAGION コンテイジョン



スティーヴン・ソダーバーグ監督の新作「CONTAGION」を試写で観てきた。

contagionは、日本語に訳すと、接触感染とか伝染という意味。要は病気がうつるということ。
「CONTAGION」は、まさにそのタイトル通り、それまで経験したことの無いほど強力な感染力を持つインフルエンザのような病気が、あっという間に世界中に広まってしまうという話。MEV-1と名付けられるこの伝染病、致死率も非常に高く、感染後、数日で死に至る。世界中の医療機関が、早急なワクチンの開発に乗り出すが、その間にも次々に世界各地で人々が死んでいくと同時に、パニックにおちいった人たちが薬局を襲ったり、普通の家に強盗に入ったりしていくところが非常に怖い。

話のスタイルとしては、同じソダーバーグの「トラフィック」のように何組かの登場人物たちの話が並行して描かれていく。
医療サスペンスとしては実に無駄が無く効果的に語られて観客は引き込まれっぱなしになり、非常に現実性の高い伝染病の恐怖を描くことには成功しているものの、この各組の登場人物たちの接点がほとんど無いので、テーマ的なもの、全体に1本通っているメッセージのようなものの不在が気になった。
もしかしたら、クセのある映画作家、ソダーバーグは、敢えてそのようなメッセージを排除して、純粋に人間たちが目に見えないほど微細な病原菌を相手に敗北感をおぼえていくところを描いていきたかっただけなのかもしれないけれど。

ちなみに出演陣はかなり豪華。上に載せたポスターの上段左から順に、ローレンス・フィッシュバーン(「CSI」でのドクター役のイメージが定着していることを前提にしたような巧いキャスティング)、マリオン・コティヤール(ちょっともったいない使い方だけど)、マット・デイモン、ジュード・ロウ(汚れ役。巧い)、ケイト・ウィンスレット、グウィネス・パルトロウらの出演。ポスターには載せられていないけれど、ワクチンの開発に奮闘努力するジェニファー・イーリー(「英国王のスピーチ」でジェフリー・ラッシュの奥方を演じた女優さん)がとても良い。

ところで、この映画の邦題は「コンテイジョン」となっているけど、そんなカタカナ題名にして映画の内容がわかる人がどれだけ居るのだろうか?そのものズバリ「感染」とか「接触感染」という名前にした方がインパクトも強いだろうし、わかりやすいだろうに...

Sunday, September 4, 2011

久しぶりに「ジョーズ」を観てみる



今週末、アメリカはLabor Dayという国民の祝日で月曜日が休みの3連休ということで、図書館で何枚かDVDを借りて来た。

で、土曜日の夜は外食ではなくて家にこもって、最近ちょっとハマっているインド料理店サモサハウスのテイクアウトを食べながら映画を観ることにした。

私のファーストチョイスは、「ジョーズ」だったんだけど、「怖過ぎる」という娘の異議が通って、結局、テリー・ギリアムのファンタジー「バロン」になる。1時間半ぐらい観たところで、娘のベッドタイムになったので、残りは日曜日に観ることに。(ところで、「ジョーズ」はPGレーティングが付いている。確かにそれほどグロなシーンは無いけれど、恐怖の度合いで言ったらPG-13が妥当だと思うのだが。でも、もっと驚いたのは図書館で見かけた「ポルターガイスト」がPGだったこと。アメリカ版「呪怨」がPG-13だと知った時と同じぐらい驚いた。)

娘が寝てからは、大人たちのTVタイムになるのが我が家の週末なので、今度こそ「ジョーズ」を観ることになった。
ここで告白すると、私は「ジョーズ」を劇場では観ていない。日本で劇場公開された時は、まだ1人で映画を観に行くことができなかった年齢だったし、その後も名画座で観る機会は無かったから、TVのカットされていたに違いない吹き替え版の放映を観たのみである。

作られてから35年以上の歳月が経っている「ジョーズ」だが、実に良く出来ている。原作者のピーター・ベンチリーも加わっていた脚本は上手く構成されているし、演出にも無駄が無い。登場人物も、かなりステレオタイプ的ではあるがストーリーを語っていくうえでは効果的な人物像設定だ。
あと、今回、特に気づいたのは、全体的にTVムービーっぽい作りになっていること。冒頭のクレジットからして、TVっぽいし、画面構成や照明(というかレフ版の使い方など)もあまり映画的ではない。スピルバーグが、TVシリーズ、TV映画の監督として出発した名残がまだ見られるというのは、個人的な新発見だった。(こんな事は、たぶんあちこちで言われ尽くされていることなのだろうけれど。)

夜も遅いし、途中まで...と思って観始めたけど、結局最後まで観ちゃいました。「ジョーズ」みたいな映画を途中まで観てストップできる映画ファンなんて居ないよ、ね?

Sunday, August 28, 2011

2011夏のバレエ・レッスン 総括


<<エドガー・ドガ、「バレエ・リハーサル」>>




きちんとしたバレエ・スタジオでバレエを習い始めて、この9月でちょうど満5年を迎える娘だが、今年の夏は、4カ所、4グループの先生からバレエ・レッスンを受ける機会があったので、ここで総括してみることにする。(レッスンを受けた娘本人の評価も付け加えてみました。)

6月20日〜7月9日:スタジオP(東京)
2007年から、東京に帰省している夏の間だけクラスを取らせていただいているスタジオPのレッスンも、今年で5年目。昨年に引き続き、おさらい会を控えているということで、普通にバー・レッスンした後は、各自、課されているバリエーションを踊るというレッスン内容になっていたので、娘も「眠れる森の美女」から「夾竹桃の精」をポアントにて踊らせてもらう。
バー・レッスンは、これまで同様、姿勢や足の位置など、基礎の基礎をきちんと直してもらえるのでありがたい。
バリエーションのレッスン中は、待ち時間が長い一方で、かなりの種類のバリエーションの振り付けを観られるので、勉強になる。
ただ、欲を言えば、アダージオを1つぐらいセンターでレッスンしてもらえたら、もっと理想的だったかもしれないが、そうするとただでさえ1時間半から2時間に延長されているレッスン時間をさらに延ばすことになるので、無理なのでしょう。
娘の評価:B+

7月11日〜29日:Wバレエ(ロサンゼルス)
普段、通っているホームスクールのサマーコース。今年は、後述するNew York City Balletの付属校、School of American Ballet(SAB)のワークショップに会場を貸す関係上、今年は、1セッションが例年の4週間から3週間へと短縮された。1/4削られただけだと思ったが、最終日に披露されたミニ発表会を観て、削られた1週間というのはけっこう大きかったのではないかと思わされたのは残念。
カリキュラムは、バレエ・テクニックが毎日(月〜金)、ポアントが週2回、ジャズが週3回、フラメンコが週2回、モダンが週1回、ピラティスが週2回、マイムが週1回。その他に、最終日のミニ発表会に向けての、バレエ・リハーサル、ジャズ・リハーサルの時間がある。時間的には平日の11時から4時、または4時半まで。
このサマーコース、去年、初めて受講して、普段は取っていないジャズを取ったりしたのが楽しかったので、今年も是非!取りたい!と言われたから仕方なく、日本の滞在をわずか3週間にしてLAに戻って来たものの、今年は、初めてだった去年のような新鮮さは失せ、さらに、3週間に短縮されたため、ミニ発表会の演目も振り付けが非常にシンプルな「ラ・バヤデール」の「影の王国」を習わされたということで、ちょっと不満が残ったようだった。
去年同様、一番楽しかったのはジャズのクラスで、発表会でも、ジャズの演目が一番楽しそうだった。
ちなみに、サマーコースの御値段は3週間で900ドル(約7万円)、1日5時間スタジオに居て60ドル(約4620円)だから、かなりリーズナブル。
娘の評価:B−

8月1日〜12日:SAB: Los Angeles Workshop for Young Dancers
SABのワークショップについては、先にブログで簡単な感想を書いたが、いつもとは違う先生に習うことで緊張感が生まれ、さらに普段のレッスンより難しめのルーティンをこなさねばならないということで集中力が養えたと共に、他所のスタジオから来た上手い生徒たちと一緒にレッスンしたことも大いに刺激になったようだった。
欲を言えば、クラスのサイズ(23人)が、もう少し小さめで、かつ、先生がもう少しまんべんなく注意したり、直しを入れてくれたなら、理想的なレッスンになっていたと思う。
娘の評価:A−

8月22日〜26日:E先生による少人数のサマーワークショップ
ホームスクールの仲良しクラスメイトに誘われて、14日の日曜日、彼女が母親と一緒にレッスンを受けることがあるというE先生のレッスンを試しに受講。小さいスタジオながら、10人ぐらいの大人(年齢は推定20代〜50代という幅広さ)に交じって11歳児が2人レッスンを受けるという形になったが、足の位置から姿勢、手の挙げ方などかなり細かく指導してくれて、普段、緩めのレッスンを受けて来た娘にとっては非常に良い経験になった。そのE先生は、その次の週から2週間、月〜金で少人数のワークショップを開くということだったので、2週目の1週間、受けさせてもらうことにした。
E先生はロシア出身の30代(多分)の男性バレエダンサー。Tシャツにジーンズにスニーカーという、およそバレエ教師らしからぬ格好で教えるのだが、レッスン内容はけっこうハードコア。「そんな5番じゃ全然だめだ」、「腕は高く、もっと高く!」、「ピルエットの時に猫背になってるぞ!」と注意が飛ぶこと、飛ぶこと。
そんな調子で2時間半(最後の15分間はストレッチ)。生徒は4人だったが、うち2人は50代とおぼしき中年のオバさん。自然、先生の目は娘と、ロサンゼルス・バレエに通う高校生との2人に集中しがちになるのも、或る意味、ラッキー。でも、娘にはかなりキツいレッスンだったようで、「フルに2週間続けてたら死んでたかも〜〜〜」だって。それでも、何度か「11歳にしては悪くないな」と言われたり、「Good!」という言葉もかけてもらったとのことで、それなりに達成感があったようだった。
ちなみに、このE先生のワークショップ、5日間で350ドル(約2万7000円)。1日(2時間半)に直すと70ドルで、最初は、ちょっと高いかも?と思ったけど、SABのワークショップが、23人のクラスで1日(3時間)で100ドルだったことを考えると、4人のクラスで2時間半が70ドルというのは、かなりお得な値段だったと思う。
娘の評価:A+

ということで、日本のスタジオPでは、週4回通うという、普段と同じペースだったが、ホームスクール、SAB、E先生と、月〜金で毎日踊ったのが、合計6週間。11週間の長さの夏休みのうち、半分以上の期間で、週5日、バレエ・レッスンを受けた形になる。
その成果が、来月6日から始まるレッスンでちゃんと反映されていることを願いたいものです。

Friday, August 26, 2011

是非、親子役を

最近、とみに注目されている若手実力派俳優、ライアン・ゴスリング。



先月観たロマコメ「Crazy, Stupid, Love」でも良い味出していました。

でも、この人に似た人を知っているんだけど誰だったっけ...
と、しばらく考えていたことがあって、この間、それが判明。


この御方でした:



似てませんか〜〜?
クリストフ・ヴァルツ、「イングローリアス・バスターズ」の怪演でオスカー獲ったオーストリア人俳優です。

ゴスリングも演技派、ヴァルツも演技派ということで、親子役で是非、共演していただきたいです。

Thursday, August 25, 2011

デヴィッド・ハミルトン?

6月に空き巣に入られた際、コンピューター3台&TVと共に盗まれてしまった娘のiPod Touchでしたが、ようやく下りた保険金にて代替品を購入。先代の購入から1年も経っていないうちに新型が登場していて、カメラが付いているものだから、調子に乗って写真を撮りまくる娘。

今日は何やらウチの猫をモデルにしていると思ったら...

こんな写真を撮っていました。




ちょっとデヴィッド・ハミルトンの写真みたいだね。



iPod Touchで11歳児が撮った写真と比べられちゃ、ハミルトン氏もたまらんでしょうが、逆に言うと、iPod Touchを使った写真もなかなかのクォリティなんだということで。

Tuesday, August 23, 2011

ティム・バートン展


<<LACMA入り口の所に並ぶ、街灯オブジェ。ナタリー・ポートマンとアシュトン・カッチャーの「抱きたいカンケイ」にも登場してました。>>




この間の日曜日、ロサンゼルス郡立美術館(LACMA)で開催中のティム・バートン展を観に行った。


<<展示場に続く回廊に下がっていたバナー。YouTubeなどで観られる短編アニメ「Stain Boy」が御出迎え。>>



ティム・バートンのスケッチ(ちゃんとした紙に書いたものではなくて、紙ナプキンやホテルのメモ帳、新聞の広告欄に書いたものまで展示されていた。ちゃんと保存していたのもすごい)、水彩画、油彩画、オブジェから、「シザーハンズ」でジョニー・デップが着た衣装や、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」で使われたジャック・スケリントンの百面相状態の頭部といった映画で使用されたもの、バートンの初期の短編ビデオなども公開・展示されており、なかなか見応えのある展覧会になっていた。バートン・ファンだったら、半日、居ても飽きないかも。


<<中は撮影禁止なので、入り口だけ撮影。>>

Thursday, August 18, 2011

Krav Maga



レストランや店、その他のサービスを割引で使えるクーポンを購入できるGrouponというクラブに入っていて、時々、近場のレストランのクーポンが出ると利用していたのですが、今回は、イスラエルの武術、Krav Maga(クラヴ・マガ)のレッスンが4回で30ドルというオファーがあったので、トライすることにしました。(上の写真は、道場のサイトから拝借。主催者のロイ先生が実践技術を指導中のところみたいです。)
クラヴ・マガは、もともと軍隊訓練を正式に受けていない市民を即戦力にするために編み出された武術なので、実用的で自己防衛のスキルとして人気があります。これからは女の子も強くなきゃいかん!というのが私の持論ゆえ、4月で極真空手を止めた娘には前々からクラヴ・マガを試させたかったので、良い機会だと思った次第です。

ところが、残念ながら子供向けクラヴ・マガのクラスは9月までお休み、ということで、代わりに同じ道場のヨガに挑戦させたら、「動かないからつまらない」と苦情が出たので、昨日は「総合フィットネス」みたいなクラスに送り込んでみました。体育はずっとA、今年の4月まではバレエを週4回、空手を週2回続けてきた娘なので、余裕かと思ったら、そこはさすがクラヴ・マガの大人用クラス、最初からいきなり10分間の縄跳び。次に腕立て10回、腹筋10回、スクワット10回を数セット。次は道場内で何周かランニング。このあたりで、娘は文字通りアゴが上がってしまった状態に。続いてキックミットむかってキックを左右で15回といった具合に、休み無く1時間みっちりトレーニングで、もう最後はヘロヘロ状態。
で、今朝起きたら、腹筋だの大腿四頭筋だのが「超痛〜〜〜い」と悲鳴を上げていました。
恐るべし、クラヴ・マガ。まあ、自分を守るにはまず相手をねじ伏せられる腕力と、とっとと逃げ出せる体力が必要ということですかね。

ダディは、昨夜、娘からの報告を聞いて、「へえ、先週2週間、週に15時間バレエを踊っていても、そうなのか?」と嫌み無しに感心していたけど、私も同感。でも、きっと使う筋肉が違うんでしょうね。
でも、あのトレーニング、週2回やるだけでも、すごく鍛えられるだろうな...

下の動画は、別の道場のサイトにあったものですが、こんな感じに鍛えてもらえば理想的。