Friday, June 28, 2013

「ホワイトハウス・ダウン」


ローランド・エメリッヒの「ホワイトハウス・ダウン」を試写で観てきました。

内容を一言で表すならば「ホワイトハウスでの『ダイ・ハード』」ですね。(笑)
「ダイ・ハード」のコピーはこれまでも山ほどあるけれど、今回、単身でテロリスト・グループと戦うのは、大統領のシークレット・サービスを志願しているジョン・ケール(チャニング・テイタム)。現在は、従軍中に救った同僚兵士の父親であるアメリカ合衆国下院議長のイーライ・ラファエルソン(リチャード・ジェンキンス)付きの合衆国議会警察員を務めているが、政治オタクの娘エミリー(「ダークナイト・ライジング」のジョーイ・キング)に尊敬されたい一心でシークレット・サービスに応募するが、履歴書を見た限りではシークレット・サービスに適任ではないと判断したシークレット・サービスの一員、キャロル(マギー・ギレンホール)に門前払いをくわされる。ガッカリするケールだが、せっかくホワイト・ハウスに来られたのだからとエミリーにせがまれて、ホワイト・ハウスのツアーに参加する。
それと同じ頃、大統領、ジェイムズ・ソイヤー(ジェイミー・フォックス)の中東政策を不満に思うテロリスト・グループがホワイト・ハウス攻略作戦を着々と進めていた...

サスペンス・アクション映画のサブジャンルである「ダイ・ハード」タイプ作品の御約束事はキチンと踏襲しているけれど、そこは職人芸監督のエメリッヒ。話の先が読めても決して退屈させません。
極めてシリアスなシーンでも、クスリと笑ってしまうようなユーモアを入れ込んであるのも個人的には好きです。ハラハラドキドキさせられてばかりじゃ肩が凝っちゃうものね。
ストーリー展開にはリアルさを欠くところもあるけれど、そんな所を「ま、いっか〜」と流せたら楽しめること間違い無しの夏休み向けポップコーン・ムービーの王道的作品と言えるでしょう。

ちなみに「ダイ・ハード」の文字通りdie-hard fan(筋金入りファン)だったら、そこここに「ダイ・ハード」のオマージュ的なディテールが散りばめられてあるので、それもお楽しみに。
あと、楽屋落ち的ジョークがあって、私は大笑いしたんだけど、一緒に笑った観客があまり居なかったのは意外でした。皆、自分が観た映画の監督のことなんか意に介さないのかなあ...



Tuesday, June 25, 2013

2013年のサマープログラムが始まりました

今年も、普段通っているバレエ教室のサマープログラムが今週から始まりました。

一昨年、去年と、ニューヨーク・シティ・バレエの付属校スクール・オブ・アメリカン・バレエ(SAB)がロサンゼルスで開講するようになったヤングダンサーたちのためのワークショップに参加してきましたが、今年は会場が車で1時間半ほどかかるところに移ってしまったのと、「もう2年連続して受けたから得るところはあまり無いかも」という娘の感想を聞いて、久しぶりにいつものバレエ教室、ウエストサイド・バレエのサマープログラムを1つ受けるだけにしました。

このプログラム、2010年から毎年、受けているのだけれど、一番上のレベルに上がった去年は、「もしかしたらSABのワークショップより多くを学べたかも」という感想を持った子が多かったぐらい充実していたので、今年も娘は大いに楽しみにしているようです。
ただ、ちょっと不満なのは、去年は週3回あったピラティスのうち2回を削って代わりにヒップホップを入れたこと。ヒップホップが習いたい子は、他にいくらでも教える教室があるのだからそっちで習えば良いわけで、バレエ中心に習っている子には、ピラティスで身体の使い方を教えてあげた方がずっと為になると思うんですけどねえ...

サマープログラムのスケジュールは以下の通り:

月曜日:バレエ/ポアント/ヒップホップ/フラメンコ/
リハーサル(=サマープログラム最終日のパフォーマンス用の作品の練習)
火曜日:バレエ/ジャズ/ヴァリエーション/フラメンコ
水曜日:バレエ/ピラティス/ポアント/モダン
木曜日:バレエ/ジャズ/ヴァリエーション/ヒップホップ
金曜日:バレエ/リハーサル/モダン/栄養学
土曜日:バレエ/パドドゥ/フィジカル・セラピー

時間は朝の9時半から始まって、途中ランチタイムや休憩時間があるけれど、終わる時間は午後4〜5時(曜日によって違う)という、まさに1日中踊っているスケジュール。若いからこそ出来ることですな。

ちなみに、娘は「フラメンコは面白くないし、膝が痛くなるからやりたくない」と言って、校長先生から許可をもらってパスすることにしたようです。
フラメンコ自体は習っておいて損は無いと思うのですが、フラメンコを教える先生(常駐スタッフではなくて、外から教えに来ている先生)の教え方がどうやら面白くないらしい。確かに、去年も一昨年の最終日のパフォーマンスのフラメンコの振付もかなり退屈なものでしたからねえ...

最終日のパフォーマンスでは1作はクラシック・バレエの古典を教えてもらうことになっており、去年は「ラ・バヤデール」と「チャイコフスキー・パドドゥ」だったけれど、今年は何を披露してくれるのか、観る方も楽しみです。♪

Thursday, June 20, 2013

バレエシューズだって選ばなきゃね

これまでポアントシューズ探しの話はさんざん書いてきたけれど、バレエシューズに関してはこれまでかなりおざなりに選んできてしまっていた。
でも、良く考えてみれば、バレエシューズの方がポアントシューズよりも履く時間がずっと長い。1回1時間半、週6回履くシューズなんだからもっと慎重に選ばなきゃと思うようになると同時に、娘の方も、「このシューズは履き心地が悪い」、「このシューズだとターンする時に具合が悪い」と、いろいろ履き心地で注文を出すようになった。

そこで、バレエのクラスメイトの薦めに従って、バレエ教室の隣にある小さなバレエショップで試着させてもらったのが、カナダのブランド、アンジェロ・ルジオのカンバス製バレエシューズ。

ストレッチする布地を使っているとのことで、確かに手に取った時の感触が他のバレエシューズと違う。化学繊維っぽい光沢があって、かなりしっかりした厚めの布地。娘のクラスメイトによると、保ちもかなり良いとのこと。もう1つ、他のバレエシューズと違うのは、左右が指定されていること。


靴の中のレベルにright、leftと書かれてあるけれど、さっと履く時に判りやすいように、マジックで右、左と書いてあげた。ちなみに、ポアントシューズでもそうだけど、右と左をマーキングする時には漢字を使っている。娘曰く、漢字で書く子は彼女だけなので名前代わりにもなるんだそうな。

さて、そのアンジェロ・ルジオを使った感想は...
「うん、すっごく踊りやすかったよ!バッチリだった」とのこと。
めでたし、めでたし。

Friday, June 14, 2013

ミッキーマウス、ベトナムに行く

雑誌の連載コラム執筆のためにニュースねたを探していて行き当たったクリップ。
ディズニーの珍しい反戦動画です。
右翼、タカ派で有名なディズニーゆえ、当然、この動画もタブー視されて廃棄処分になったらしいけれど、密かに隠し持っていた人が居てネットに流出した次第。
サイレントだし、すごくシンプルだけど、子供に愛されるミッキーマウスが主人公だけにラストシーンのインパクトはかなりのもの。
自社作品には異様なほどのコントロールをきかせるディズニーゆえ、この動画もいつ観られなくなるかわからないので、急いでアップしてみました:



今さっきブログを開いてみたら、案の定vimeoの映像が発禁処分になっていたので、YouTubeの方で探してみました。



コントロール・ナチのディズニーのことだから、こっちもいつ発禁処分になるか、わからないけど...

Wednesday, June 12, 2013

それほど...太っていないキアヌ君(笑)

ちょっと前のミクシィでキアヌ・リーヴスの激太りした写真が反響を呼んでいたみたいだけど、監督デビュー作「Man of Tai Chi」の予告編では、昔に比べたら線が太くなったけど、一応(笑)アクションしているらしき姿も見られます。



ま、キアヌ君も、もう立派な中年なんで多少ガッチリしてくるのは仕方が無いにしてもカンヌで見せたジェラール・ドパルデュー路線を予想してしまうような体型の崩れは避けていただきたいところ。

Thursday, June 6, 2013

新たに観始めたドラマ2本

前回は観るのを止めたドラマ「ザ・フォロウィング」について書いたが、捨てるドラマあれば拾うドラマあり(?)で、この春、2本のドラマを観始めた。

1本目は、4月4日にアメリカでの放映が始まった「Hannibal」。
言うまでもなく、トーマス・ハリス著の「レッド・ドラゴン」や「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」に登場するシリアル・キラー、ハンニバル・レクター博士を主人公にした犯罪ドラマである。
ハンニバルが主人公、と書いたが、ドラマは元FBI捜査官ウィル・グレアムの視点で展開する。このドラマでは、レクターが「究極のグルメ食」を採っていることが示唆されてはいるが、FBIが捜査の協力を要請するぐらいなので既に殺人犯として登場する「レッド・ドラゴン」よりも前の年代設定になっていると思われる。
タイトル・ロールのハンニバル役には、「007 カジノ・ロワイヤル」の悪役、ル・シッフルを憎々しげに演じたマッツ・ミケルセン。いったい何を考えているのか全くわからないようなポーカー・フェイスでハンニバルに適役だが、デンマーク出身で訛りのある英語を静か〜に話すので、聴き取れない時があるのが難。(苦笑)
対するウィル・グレアムを演じるのは、イギリス人俳優のヒュー・ダンシー。線が細い感じのダンシーは、殺人犯と共鳴することが特殊能力を捜査に活かすものの、その能力に悩まされているグレアム役がピッタリ。
エキセントリックな主役2人をバランス良くサポートするような位置づけに置かれているFBI主任捜査官のジャック・クロフォードには、ローレンス・フィッシュバーンがキャストされている。
左からヒュー・ダンシー、ローレンス・フィッシュバーン、マッツ・ミケルセンの面々

もう1本は、5月20日に放映が開始された「Motive」。
Motive、すなわち「動機」というタイトルからも判るように、事件発生→捜査→犯人判明という流れで物語が進んでいくことが多い他の犯罪ドラマとは違って、まず犯人と犠牲者を特定してから、事件が発生し、警察が犯人を捕まえてその動機を探るという、ミステリ小説のジャンルで言えば、倒叙物にあたるのが新味。
主役の刑事でシングルマザーのアンジー・フリンには、ドラマ「THE KILLING〜闇に眠る美少女」で政治家の恋人/アシスタント役で出演しているクリスティン・レーマンがキャストされている。
「Motive」は、実はカナダ製のドラマ。自国製ドラマで充分事足りているアメリカではカナダ製のドラマが放映されるのは珍しいが、2月に本国で放映された際に大いに人気を博したということで、アメリカでの放映が決まったという経緯があったらしい。倒叙物である上にカナダ製という変わり種なので、犯罪ドラマ・フリークの私としてはこれからの展開が楽しみなドラマである。
ルイ・フェヘイラ、クリスティン・レーマン、ブレンダン・ペニー
(いずれもカナダ人俳優)


Wednesday, June 5, 2013

「ザ・フォロウイング」をフォローするのを止めた件について



1月31日付けの日記で、ケヴィン・ベーコンがドラマ・シリーズに初のレギュラー出演している「The Following」(日本では7月にWOWOWで「ザ・フォロウイング」として放映されることになっているらしい)について書いたが、第9話「Love Hurts」を最後に観るのを止めた。(シーズン1は15話まである。)

理由は簡単に言ってしまえば、観ていて楽しむことができなくなったから。

どうして楽しむことができなくなったかという理由の理由は...


以下ネタバレ有りなので、これから観るつもりの人は御自分で判断して読み進めて下さい








1.ジョー・キャロルを崇拝する“フォロワー”=信奉者たちの設定が非現実的
エドガー・アラン・ポーの研究者であるジョー・キャロルには、彼のために自分には何の縁もゆかりも無い人間を惨殺することもいとわない信奉者たちが至る所に居るという設定になっているが、信奉者の面々のほとんどがミドルクラス〜アッパーミドルクラス出身の人間にしか見えない。そういう人間たちが狂信的なカルト集団を形成しないと断言できるわけではないが、キャロルを盲信する妨げになりそうな知性や分別が無く、自分の命さえ犠牲になるかもしれないリスクをおかしても構わない、自分の価値をそれだけ軽くみているような人間たちには見えないのである。(さらに細かい事を書くと、彼らが集まってキャロルと一緒に生活しているのは億万長者が住みそうな大邸宅だが、その費用はどこから出ているのか?カルト犯罪者集団が貴族のように暮らしているなんて首をかしげたくなる設定ではないか。)その疑問は、信奉者の1人が自分が指揮した作戦が失敗したからと言ってキャロルに自分を殺すよう懇願するシーンで頂点に達した。作戦失敗を誰かに責められているわけでも何でもないのに「あなたに殺してもらえば自分は本望です」って、何じゃ、そりゃ??? としらけちゃうのでは、やっぱり楽しめない。

2.ジョー・キャロルのカリスマ性に疑問
もしかしたら、個人的な好みの問題なのかもしれないけれど、ジョー・キャロルを演じるジェームズ・ピュアフォイにさっぱり魅力を感じない。老若男女を問わず人を惹き付けてやまないようなカリスマ性があるようには、どうしても思えないのである。信奉者たちに魅力的に微笑んでいるつもりなのかもしれない顔でさえ、目尻を下げた嫌らしい中年男にしか見えないんだもん。(ファンの人が居たらゴメンナサイ〜)
ドラマの質が主演俳優だけで決まらないのは、解ってはいるのだけれど、信奉者たちが今にもヨダレを垂らしそうなうっとりとした顔でピュアフォイを見つめているのを観ると、「ケッ!」としか思えないのでは、やっぱり楽しめない。
この人のためにあなたは死ねますか?(笑

3.感情移入できる人物が居ない
それだけキャロルと信奉者たちに嫌悪感を持つのであれば、反動でケヴィン・ベーコン演じるライアン・ハーディを応援したくなりそうなものだが、ライアンはライアンでキャロルの別れた妻クレアと恋仲である設定になっていて、逃亡したキャロルの再逮捕よりもキャロルに狙われているクレアの安全ばかり気にしていて「ちゃんと仕事しろよ!」とツッコミを入れたくなるようでは、やっぱり楽しめない。

4.不愉快な殺人
キャロルや信奉者たち、あるいは彼らが敵とみなすライアンには全く無関係な人たちがほぼ毎回むごたらしく殺されていくのだが、とにかく観ていて不愉快。例えば、FBIがかくまっているクレアをおびき出そうという意図で、クレアと同姓同名であるクレア・マシューズという女性をランダムに殺していくというエピソードがあったが、殺し方も銛を矢にした弓で射抜いたり、窓から突き落としたりと、容赦無い。サディストじゃない限り、不快を覚えるような殺人を見せつけられたのでは、やっぱり楽しめない。

5.血みどろの中にもユーモア、が無い
血みどろの死体や生々しい殺害シーンが出て来るのは、私たちお気に入りのドラマ「デクスター」も同じ。でも、「デクスター」にはユニークなキャラがたくさん出て来るし(特にデクスターの同僚、マスーカは最高!)、デクスターのドライなユーモアが滲み出る独り言、思わず吹き出したくなるほど口の悪いデボラの台詞の数々など、笑える部分もたくさんあって、陰惨な殺人シークエンスと対照的で一息入れることができる。が、「ザ・フォロウイング」ではそのようなシーンは全く無い。ライアンも周囲の人間たちもほとんど笑わないし、キャロルや彼の信奉者たちもまるで人間的な顔を見せない。こんな息が詰まってしまうようなドラマじゃ、やっぱり楽しめない。

と、「ザ・フォロウィング」の問題点を羅列してきたけれど、ここで観るのを止めて唯一後悔しそうなのは、キャロルと信奉者たちが崩壊していくところが観られないところかな。このドラマがどれだけ続くのかは判らないけれど、最後は絶対正義が勝つのがアメリカのドラマの常なので。

それにしても、こういう観ている者を不快にさせるようなドラマが続いて、丁寧に作られていた「Golden Boy」のようなドラマがキャンセルされてしまうのは、ちょっと納得できない。(「Golden Boy」については以下のサイトで簡単な解説が読めます: http://dramanavi.net/special/sp-61-la/06.html )