Saturday, December 21, 2013

その余裕がス、テ、キ

アクション・スターといえばタフガイを売り物にすることが多いと思うのだけれど、年齢を重ねていくにつれ、アクションするのも厳しくなってくる。だったらいっそ、セルフパロディで笑いを取ってやろうじゃないの、という開き直れる余裕を見せているな、と最近、感心したのがジャン・クロード・ヴァンダム。
ヴァンダムと言えば、180度+の開脚で有名だけど、それをセルフ・パロディして評判になったのがコチラ:



それをさらにパロディしたのがチャック・ノリス。というか、ノリスに「出演」してもらってクリップを作ったヴィジュアル・エフェクツ会社。



こういう余裕ってイイなあ〜。

Friday, December 20, 2013

「俺たちニュースキャスター2」


「俺たちニュースキャスター2」の試写に行ってきました。
いや、日本公開の情報が見つからなかったので邦題がわからなかったのですが、1作目が「俺たちニュースキャスター」だったので、続編の本作には「俺たちニュースキャスター2」と仮題を付けてみました。
っつか、1作目は日本では劇場未公開だったんですね。日本ではいまだに外国映画のコメディというのは売るのが難しいのでしょうか... そうなると続編の劇場公開も難しいのかなあ...

それはともかく...
ウィル・フェレル演じるロン・バーガンディと彼の仲間のキャスターたちが活躍するお馬鹿コメディ第2弾。
ストーリーは紹介するほどのものではありませんが(コラ!)、全編に惜しみなく散りばめられたお馬鹿ギャグを楽しむために存在する映画なんで、なーんにも考えずにバカ笑いしていればいいや、という向きにはおススメのホリデー映画です。ちなみに、或るシーンのカメオ出演の豪華さは特筆物でした。

Thursday, December 19, 2013

「LIFE!」


「ウォルト・ディズニーの約束」の試写の翌日には、「LIFE!」(原題:「The Secret Life of Walter Mitty」)を観た。

「LIFE!」は、ジェームズ・サーバー著の短編「虹をつかむ男」の映画化なのだが、同著は1947年にダニー・ケイ主演で「虹を掴む男」として映画化されていて、子供の頃、TV放映されていたのを観た記憶がある。もうン十年昔のことだから、詳しくは憶えていないけれど、ケイ演じるウォルター・ミティがぼんやりしていると「ポケタポケタポケタ」という音が聞こえてきて、次から次へと脈絡無く現実から遥かに離れた想像の世界に飛び込んでしまうという映画だったような気がする。

今回映画化された「LIFE!」(それにしても、どうして配給会社は邦訳書のタイトルである「虹をつかむ男」として公開しなかったのだろう?)でウォルターを演じているのは、ベン・スティラー。「メリーに首ったけ」や「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」のベタなコメディの時とは違う、ユーモアとペーソスを程よくバランスさせていて好感が持てる。何より、ウォルターが考えてもみなかったような冒険を経験していくうちに、顔立ちまで変わっていくのが良かった。
このウォルターも、いきなり夢想の世界に入ってしまうのだが、ストーリーとしては「虹を掴む男」よりもプロットがハッキリした話になっている。それでも意表を突くような想像の世界(そして“現実”の世界)が次々と展開して楽しい。

観た後で、久しぶりにダニー・ケイの「虹を掴む男」を観たくなってDVDレンタル・サービスのNetflixで探したけれど見つからなかった。図書館のカタログでもサーチしたけれど、あるのはVHSのコピーのみ。(今どき、VHSの映画をレンタルする人なんて居るんですかねえ...)Netflixで無いということは、もしかして廃盤??と思ってAmazon.comでサーチしたら、ちゃんとあるではないですか。再映画化版が公開されたのを機に1947年版も入れてくださいよ、Netflixさん〜。



こちらは、1947年版の予告編



Wednesday, December 18, 2013

「ウォルト・ディズニーの約束」


毎年この時期になると、各映画会社はオスカー狙いの作品をどっと放出する。オスカー狙いの作品=秀作とは限らないが、大物監督だったり実力派俳優がキャストされていたりするから、こちらとしても観たくなる作品が多いのも確か。

そんな作品の1つ、「ウォルト・ディズニーの約束」を試写で観た。

ディズニーがした「約束」とは、「メアリー・ポピンズ」が大好きな娘たちに同書を映画化してやると言ったこと。その約束を守るために、ディズニーは辛抱強く20年もの間、「メアリー・ポピンズ」の原作者P.L.トラヴァースに 映画を承諾するよう頼み続けるが、トラヴァースは「メアリー・ポピンズは売り物ではありませんから」と頑に断り続けてきた。が、トラヴァースも「メアリー・ポピンズ」シリーズを書かなくなってからは経済的に余裕が無くなってきており、エージェントの強い勧めで渋々、ロサンゼルスに行ってディズニーと会うことを承知するが...

要は、この映画は「メアリー・ポピンズ」製作秘話といった作品なのだが、ディズニー製作による映画なので、ほぼ綺麗事しか描かれていない。
例えば、最初は非常に非協力的で難癖ばかりつけているトラヴァースがどんどん懐柔されていくように描かれているが、実際は彼女は最後まで映画化作品に不満だったらしい。「メアリー・ポピンズ」の続編の映画化には決して承諾することが無かったことでも、彼女の苦々しい後悔が推し量れるだろう。また、ウォルト・ディズニーも何かとネガティブな逸話の残る人物だが、ここではトム・ハンクスによって、狡猾なビジネスマンというよりは苦労人で好人物な社長的さんといったイメージに仕立てられてる。(何と言っても演じているのが私生活でもナイス・ガイであることで知られているハンクスですからね〜)

そういう甘さが鼻につくことはあっても、この作品を駄目にしていないのは、ひとえにトラヴァース役を演じているエマ・トンプソンのおかげだろう。いかにもイギリスの(トラヴァースは実際にはオーストラリア出身なのだが)インテリ女性の高慢を絵に描いたような人物を完璧に体現していて、甘過ぎるプロットを救っている。
甘い、甘い和菓子を食べた後にいただく抹茶のさわやかな苦味を思い出した。





Thursday, December 5, 2013

「くるみ割り人形」公演

御約束のクリスマスツリーがぐんぐん伸びていくシーンより

アメリカの祝日、サンクスギビングの週末の土日に娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」公演がありました。

ここの教室の「くるみ割り人形」は1973年が初演なので、今年は40周年記念公演ということで、生演奏のオーケストラ付きでの上演になりましたが、これが大変でした。
テックリハーサルでは、音楽とダンサーたちのタイミングが合わない場面が続出。公演前日のリハーサルでも、何度か音楽を止めたりしてタイミングを調整していましたが、本番でも「うわ、これ、速過ぎるでしょ!」という踊りもあったりしてヒヤッとしちゃいました。でも、回を追うごとにオーケストラ側もダンサー側もお互いに慣れてきていたかな。まあ、アマチュアの小学生〜高校生のダンサーたちが初めて生のオーケストラに合わせて踊ったという事実を考えれば上出来だったのではないかな。(親の欲目というのも、もちろんあるけれど−笑)

肝腎の踊りの点で、気づいたことをいくつか...
*適材適所のキャスティング
生徒たちの家族や友人たちが来るだけの発表会とは違い、一般の御客さんも観に来るのが「くるみ割り人形」ゆえ、どうしても上手い子に役が集中しがちなのですが、今年は、それでも適材適所のキャスティングだったような気がしました。もちろん、上手い子は沢山出番があるのですが、例えば、笑顔が輝くような明るい雰囲気のMちゃんは可憐なキャンディケーンの踊りのセンター、大袈裟な見栄を切ってドヤ顔で踊るクセのあるJちゃんには派手な踊り方をした方がカッコ良く決まるスパニッシュのセンター、ブロンドでクラシックな美人顔のBちゃんには優雅な振付のエンジェルのセンター、といった具合に。
*ゲストダンサーは上手いけど...
今年のシュガープラム・フェアリーには、上級クラスでダントツに上手いLちゃんとサンフランシスコ・バレエのソリスト、ジェニファー・スタールがキャストされました。これまで、デュードロップ・フェアリー、センター・スパニッシュ、スノウ・クィーンなど、主要な役をこなしてきたLちゃんですが、シュガープラムは今年が初めて。パドドゥを堂々と踊り、ヴァリエーションもほぼ完璧に踊ったLちゃん、コーダではさすがに疲れが出たのか、土曜日も日曜日もコーダ後半のフェッテでよろけてしまいました。その点、ジェニファーは、最初から最後まで観客に判るようなミスはほとんどせずに踊り通して、さすがにプロの貫禄を感じました。ただね、観ていて心が躍るような気持ちにはならなかったのです。なんか、間違いなくそつなく踊ればそれでいいでしょ、みたいに踊っている感じ。その点、Lちゃんは失敗こそあったけれど、彼女自身のキャラや、役に対する思い入れみたいな気持ちが感じられる踊りのように思えたんですよね。
ゲストのSFバレエのソリスト、ジェニファー・スタールとルーク・インガム

*皆の成長が観られたのは嬉しい
当たり前のことながら、どの生徒も去年より今年の方が上手くなってますね。(1、2の例外はあったけど−苦笑)特に、去年と同じ役を踊った子で、去年は「うーん、イマイチだなあ」と思った子が、今年は技術的にも表現力的にもずっと上手くなっていて嬉しく観ていました。「くるみ割り人形」って来る年も来る年も同じ踊りを踊るわけだけど、こういう成長ぶりが観られるのは、アマチュアの子供たちが踊る公演ならではの楽しみだと思います。

さて、うちの娘、今年は「雪の精」と「花のワルツ」の群舞のほか、「リード・エンジェル」と「スペインの踊り」、「葦笛の踊り」という3〜5人で踊る役をいただいたわけですが、まずまずの出来でした。リハーサルで1度、隣で踊っていた子の手が誤って当たり、持っていた葦笛が落ちてしまうというハプニングがありましたが、本番では大きなミスもなく綺麗に踊れていたと思いました。衣装も、親バカ視点で見ればなかなか良く似合っていたし。中でも、今年新調された葦笛の踊りの衣装は、最初、子供たちの間では不評だったようですが、いざ舞台に上がってみたらなかなか舞台映えがしてナイスでした。

葦笛の踊りの衣装。ちょっと秋葉原あたりのコスプレっぽい??
写真は教室付きのフォトグラファー、Todd Lechtick氏のサイトから拝借しました

「くるみ割り人形」が終わり、皆、気が抜けたのか、疲れが出たのか、今日のレベル6+7の合同クラスは、全員揃えば20〜25人ぐらいのところ、7人しか居なかったとか。
教室がこうして静かになるのも1ヶ月ほど。年が明けるとすぐに、来年夏のサマープログラムのオーディションツアーが始まります。

Thursday, November 28, 2013

ステージ・テックリハーサルwithオーケストラ!

Act 1のパーティシーン。手前にオーケストラ・ピットが見えます

一昨日の火曜日、昨日の水曜日と、サンタモニカのBroad Stageでテックリハーサルがありました。
テックリハーサルとは、ステージ上の立ち位置などを確認しながら照明や舞台装置のタイミングや具合を観るリハーサルで、例年は一部の踊りしか実施しなかったのですが、今年はオーケストラ付きなので、「マザージンジャー」の踊り以外は全部、テックリハーサルをすることにしたようです。

生徒たちは全員、生オーケストラ付きの舞台は初めてなので、演奏が速過ぎたり遅過ぎたりして、ディレクター(バレエ学校の校長先生)が「マエストロ、今のは速過ぎます」と演奏を止めて、テンポの調整をすることもしばしば。オーケストラの方も、弾き慣れてないのか、演奏がバラバラになったり調子が出ていない楽器があったりと、まだまだコンディションが調整されていない模様でした。

明日の金曜日、2回のドレスリハーサル(うち1回は御付き合いのある非営利団体の皆さんを無料招待して休憩時間付きで上演するほぼ本番のようなパフォーマンスになりました)を経て、明後日の土曜日はいよいよ本番です。皆、大丈夫か〜〜〜??


Saturday, November 23, 2013

スタジオ・ドレスリハーサル

娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」まで、ちょうどあと1週間の今日は、スタジオで2回目のドレスリハーサルがありました。


第2幕のプロローグのシーン。
娘はフレーム外で写っていませんが、真ん中、紫のレオタードに青いレッグウォーマーを付けているのと隣の男性が、サンフランシスコ・バレエのゲスト・ダンサーさんたち。

Thursday, November 21, 2013

ボリショイの闇



昨日のロサンゼルスタイムズの束からエンターテイメント関係記事が載るCALENDARセクションを引き抜いてビックリ。アメリカ人女性として初めてボリショイ・バレエに入団したジョイ・ウォマックが同バレエ団を辞めた記事が、一面に大きな写真入りで掲載されていたから。
ジョイ退団のニュースは、バレエおたくのママ友さん(Kちゃん、あなたのことよん♪)が教えてくれたダンスマガジン誌のサイトで読んで既に知っていたけれど、ハリウッド城下町のロサンゼルスの主要紙でバレエの話題がこんなに大きく採り上げられるとは予想していなかったから。

ジョイは、娘のバレエ教室に通っていたことがあり、その縁で今は亡き校長先生の遺志をくみ、去年、娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」でゲストアーティストとしてシュガープラムを踊ったバレリーナ。
アメリカで行われたボリショイ・バレエ・アカデミーのサマープログラムに参加した際に認められて、本国のアカデミーに入学。激しい競争を勝ち抜いてバレエ団に入団した経緯は、アメリカのメディアでも誇らし気に報道されていた。

LAタイムズの記事に依ると、ソリストとして契約して入団したものの、ソロのパートはおろか、群舞の役すら回って来ない。代役要員としてリハーサルには出ても、舞台には立たせてもらえない。ボリショイに在籍した1年間でジョイが踊ったのは、「くるみ割り人形」のスペインの踊りを1回、そしてその他の3公演に群舞として計7回出ただけ。いつも舞台袖で他のダンサーたちが踊っているのを眺めるだけの彼女について、意地悪なロシア人の同僚は“アメリカン・チアリーダー”とジョークのねたにしたとか。

思いあまったジョイが団の上層部の人間たちに相談した際、返って来た答は「もっと頭を使って上手く立ち回れ」、「短いヴァリエーションを踊りたいなら1万ドル払って自分が真剣であることを訴えろ」と、暗に賄賂を示唆するものだったと言う。

ボリショイで成功していくにはそれしか無いことを思い知らされたジョイは、団に辞表を出した。それは「初恋の人に別れを告げるぐらい辛いことだった」とジョイはLAタイムズのインタビューに答えている。

世界三大バレエ団の1つとして讃えられるボリショイ・バレエ団だが、華やかな舞台裏にはこういう闇も潜んでいるということか...


Thursday, November 7, 2013

「くるみ割り人形」全席売り切れ!

Photographed by Todd Lechtick
写真はホームページから拝借しました
クララ役は娘のクラスメイトのMちゃん

11月30日(土)、12月(日)と、感謝祭の週末に予定されている娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」の公演が4回とも全てチケット売り切れになりました。(今年の「くるみ割り人形」の詳細はこちらこちら
会場となるブロードステージは客席数499席だから、4回でのべ2000人近い御客さんに観ていただくことになります。
今年は、それに加えて同じ週の水曜日にサンタモニカの小学校の生徒さんたちを招いた短縮版パフォーマンスがあるのと、金曜日夜のドレスリハーサルを内々に招待した御客さんに観ていただくことにもなっています。

去年の9月に校長先生が亡くなって、去年の「くるみ割り人形」は、彼女を偲ぶと同時に、ボリショイに入団した教え子ダンサーが恩師の遺志を継いで金平糖の精を踊るなど、校長先生の存在を大きく感じさせる公演だったけれど、今年は新しいディレクターのもと、新体制になって初めての公演になります。
40周年記念公演という、過去の歴史もふまえながらも、新しい劇場でオーケストラの生演奏付きという、ダンサーたちにとっては初めての経験にもなる公演。さてさて吉と出るか、凶と出るか。恐いような楽しみに思えるような今年の公演も、あと3週間余りとなりました。

Friday, October 25, 2013

リハーサルに熱が入ってきました

「くるみ割り人形」のキャストが発表されたことは、先日の日記で書きましたが、その「くるみ割り人形」まであと1ヶ月とちょっと。
4回公演のうち、一番人気の日曜日の回は、4〜5席を残してほぼ売り切れ状態。その他の回も499席中100席が残っているかどうかという順調な売れ行きを見せています。

そんな中、生徒たちがしごかれる(笑)リハーサルにも熱が入って来ました。
うちの教室は、「くるみ割り人形」公演前でもレッスンは通常通り行ない、土曜日の午後に集中してリハーサルを行なうことになっているのですが、上級クラスでは、公演1ヶ月前ぐらいから、テクニック(普通のクラシックバレエのレッスン)のクラスは普通にレッスンし、その後に続くポアントのクラスを返上してリハーサルされるようになります。
例えば、娘の今週1週間のレッスン・スケジュールはこんな感じ:

月曜日:テクニック+ポアントクラス
火曜日:テクニック+リハーサル:葦笛の踊り、スペインの踊り、天使の踊り
水曜日:テクニック+リハーサル:雪の精の踊り
木曜日:テクニック(ただしポアントシューズ着用)
金曜日:テクニック+リハーサル:雪の精の踊り
土曜日:テクニック
  午後のリハーサル:花のワルツ、天使の踊り、スペインの踊り

時間にすると、普通のレッスンが10時間半(うち3時間がポアント)、リハーサルが6時間半、合わせて週17時間、踊っていることになります。

こんな過酷スケジュールなので、さすがに日曜日はもうぐったり...
宿題は何とかやっているようだけど、それ以外は他に何もする元気が無い様子。
まあ、こんな重労働じゃあ、若くても疲れるだろうけれど、「くるみ割り人形」まで頑張ってください。

ポアントシューズも3足を履き回し。
本番近くになったら本番用のゲイナーミンデンを
履き慣らしていく予定だそうです


Thursday, October 24, 2013

「悪の法則」


リドリー・スコットの新作「悪の法則(原題:The Counselor)」を試写で観る。

物語の主人公は、簡単にカネが稼げるからという軽い気持ちで麻薬輸入の片棒をかつぐ弁護士(マイケル・ファスベンダー)。(彼の名前は劇中ではいっさい言及されず、単に“The Counselor”と呼ばれる。)ロールスロイスのスポーツカーを乗り回し、高級なスーツに身を包んで、恋人のローラ(ペネロペ・クルス)と贅沢な暮らしを楽しんでいる。彼に裏社会の仕事を依頼する実業家で麻薬取引商のライナー(ハビエル・バルデム)は陽気な男だが、恋人のマルキナ(キャメロン・ディアス)は、どこかしら油断ならない印象を持つ女である。或る日、The Counselorは、ライナーの友人ウェストレイ(ブラッド・ピット)を紹介され、 仕事を依頼されて引き受けるが、何者かによる邪魔が入り、人々は破滅へのスパイラルに巻き込まれていく...

「悪の法則」は、コーエン兄弟作品「ノーカントリー」の基になった「血と暴力の国」を書いたコーマック・マッカーシー。「ノーカントリー」もそうだったけれど、まともな人生をおくってきた人間が、ふっと魔がさしたように出来心で犯罪行為に手を出してしまう。「There is no harm.」、「悪い事にはならないだろう」と気軽にやってしまった行為によってのっぴきならぬ状況に追い込まれる恐怖を描かせたら、マッカーシーの右に出る者は居ないかもしれない。

そういうストーリーだから、観ていて決して楽しくなる映画ではない。或る意味、訓戒的な話かもしれない。(ちなみに、訓戒的な話=cautionary taleのcautionaryという言葉も、劇中、しっかり登場するので、マッカーシーが実際にそういう意味合いも込めて書いたとか?と思ったりした。)

ところで「悪の法則」をロンドンで撮っている時、リドリー・スコットは、弟、トニーの自殺の報せを聞いた。兄スコットは決して軽めの作品を作る監督ではないのだけれど、「悪の法則」は彼の作品歴の中でも特にダークな作品である気がするのは、作った時に彼自身の人生にも暗い闇がさしていたからかもしれない。



Sunday, October 13, 2013

「くるみ割り人形」のキャスト発表

去年のプログラム
Design by Artemis Graphics

娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」のチケットが発売開始されたことは水曜日の日記で書きましたが、自分の子供が踊るのを観るためには、どのチケットを買えば良いの?と悩む親たちのために、今回は、早くもキャスティングが発表されました。これまでは、公演前1ヶ月を切らないと発表されなかったので異例の措置と言えます。

娘は、予想通り、「雪の精」の群舞は、4回全回出演。それに加えて、去年、踊った「花のワルツ」も、サンフランシスコ・バレエのソリスト、ジェニファー・スタールルーク・インガムの2人がゲスト出演する回、2回と初回の計3回は、慣れたダンサーたちに踊ってもらいたいからという先生たちの希望で、去年のキャストが一部再出演することになったので、再度、踊ることに。
Featured Roleと呼ばれる3〜5人で踊る踊りの方は、第二幕のプロローグとなる「天使たちの踊り(The Magic Castle)」、「スペインの踊り(別名:チョコレート)」、そして「葦笛の踊り(別名:マージパン)」の3役をいただきました。「天使」と「葦笛」は、練習への参加を名指しされていたので、おそらく1度は踊らせてもらえると思っていたのですが、「スペイン」はちょっと意外でした。しかも「天使」と「葦笛」は2回ずつ踊らせてもらえるようで、予想外の出演回数の多さに、娘も私も驚くやら喜ぶやら...
娘には、これで安心しないで、より一層、練習に励んでもらいたいものです。

4回公演中、3回でFeatured Roleを踊るので、踊る演目の違う回を2回、ダンナと観に行き(ダンナは「え〜、1回で良いじゃん」だって。娘の晴れ舞台っつーのに。プンプン!)、あと1回は友達でも誘って観に行こうかな〜と考えています。
もちろん、舞台リハーサルの際はママラッチ撮影班もしますよ〜。母も応援、頑張ります!

⬇ちなみに娘の教室の「葦笛の踊り」は、こんな振付です。(動画は去年の公演より。娘は真ん中の主役を囲む4人の1人を踊ります)


⬇「花のワルツ」はこちら。これも去年の公演からで群舞の中には娘も混じっております。

Friday, October 11, 2013

「キャプテン・フィリップス」


2009年、アフリカのソマリア沖で、アメリカ合衆国籍の貨物船が、ソマリアの海賊たちにハイジャックされた事件を映画化した「キャプテン・フィリップス」を試写で観た。

2009年4月、貨物船マースク・アラバマ号はソマリア沖でいきなりソマリアの海賊4人組に襲われる。乗組員たちは、フィリップス船長と数人のクルーを操縦デッキに残し、全員、エンジンルームに身を潜める。海賊4人組のリーダーは、“スキニー”と呼ばれる小柄なソマリア人、ムセ。4人の中で英語が一番堪能で、かつ度胸と判断力も備え持つ侮れない相手だった。海賊たちに船を思い通りにされないよう、フィリップス船長とクルーは、海賊たちの眼を盗んで、アラバマ号を動かないようにするが...

ソマリア沖2009年4月12日の事件のように、実際に起きた事件を基にした場合、観客はストーリーがどのように終わるか、判っていることになる。結末がわかっていながらも面白い映画にするためには、ストーリー・テリングをスリリングなものにしなければならないが、監督のポール・グリーングラスは無駄な時間をいっさい使わず、事件の最初から最後までをかっきりと追う。その構成は、スタンリー・キューブリックの「現金に体を張れ」と通じるところがあるように思えた。グリーングラスはドキュメンタリー出身だけあって、手持ちカメラを多用した撮影が効果的に使われているし、ソマリア人海賊役には、アメリカに移住したソマリア人コミュニティでオーディションして、演技経験の無い人間を起用したとのことで、それも作品のリアリズムを倍増させていたと思う。

1つだけ、ちょっとな〜と思ったのは、アメリカ海軍が出てくるシーン。まるで海軍のプロモビデオのような映像は、アメリカ人ではない私には軍事力を誇示しているかのように映って、興ざめしそうになった。

それにしても、秋は「ゼロ・グラビティ」や「キャプテン・フィリップス」のような力作が次々と出てくるから油断できない。派手なだけの大味な大作ばかりがハリウッド映画ではないと認識させられる時期でもあるが、興味深いことに、「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンはメキシコ人だし、「キャプテン・フィリップス」のグリーングラスはイギリス人。そういった海外の才能たちも積極的に取り込んで、アメリカ映画産業に貢献してもらうのも、昔からのハリウッドの得意技。映画界も移民の国アメリカの縮図になっているというわけか...






Wednesday, October 9, 2013

「くるみ割り人形」チケット販売開始!

写真は教室のサイトから拝借しました

娘の教室の毎年恒例の「くるみ割り人形」。
今年は40回目の記念すべき公演ということで、親たちによるファンドレイジングにも力が入り、なんと、サンタモニカ・カレッジの新しい劇場、ブロード・ステージにて、オーケストラの生演奏で上演されることになりました。
日時は、サンクスギビングの週末、11月30日(土)1時&5時、12月1日(日)1時&5時の4回。

生徒たちは9月の初めからリハーサルに励んでいますが、昨日から早くもチケット販売開始。今年が40周年記念公演であること、オーケストラの生演奏付きであることに加え、会場となるブロード・ステージは、座席数499席と、これまで上演してきたワズワース・シアターの約半数の席数であることなどで、チケットの販売ペースはすごいことになっている様子。
さっき、ちょっと数えてみたら、4回の公演中、毎年一番人気となる日曜日の昼の回は、なんと2日間で300席以上が売れていました。これじゃ、この回は一般の御客さんが当日チケットを買う前に、バルコニー以外の席は売り切れてしまいそうな勢いです...

ちなみに、娘はおそらく「雪の精」の群舞はおそらくキャスティング確定。でも、あとのfeatured roleと呼ばれる3〜5人で踊る踊りは、まだキャスティング待ち状態。「いったい、どの回を観に行けば良いんじゃっ!」と親の私たちは困り果てましたが、キャスティング決定を待っていたら、回によってはチケットが売り切れてしまうことは確実なので、半ばヤケクソで全回2枚ずつ買いましたよ、もう!
ま、これだけ売れていれば、買い損ねて「チケット買います!」状態になる親が出ることは間違いなさそうなので、当日、劇場前で「チケット、ありまっせ〜」なんて言って回る怪しいダフ屋もどきのことはしなくて済みそうですが。(苦笑)

Friday, October 4, 2013

「ゼロ・グラビティ」


アルフォンソ・キュアロン監督、サンドラ・ブロック主演の「ゼロ・グラビティ」(原題:「Gravity」)を試写で観た。

ブロック演じる医療技師のドクター・ライアン・ストーンは、初めてのスペースシャトル・ミッションに従事していた。随行しているのはベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。スペースシャトルの機器のチェックに専念しているストーンの傍らで、コワルスキーは呑気に宇宙遊泳をしているが、間もなくヒューストンの管制塔から宇宙ゴミの襲来を告げられる。ストーンたちに逃げる暇を与えずに襲来した宇宙ゴミは、彼らが乗って来たシャトルを破壊。ストーンとコワルスキーの他は乗員も死亡。宇宙に取り残されたストーンとコワルスキーは、宇宙服に搭載された酸素がどんどん減っていく中で地球への帰還を試みるが...

「ゼロ・グラビティ」は、或る意味、非常にシンプルな映画である。ヒロインが突然のトラブルに巻き込まれる。それを解決しようと頑張って何とか難局を乗り切るが、すぐに次のトラブルに見舞われる。映画全体がその図式で展開する。しかも舞台は宇宙空間のみ。回想シーンも何も無し。登場人物もほとんどストーンとコワルスキーだけ。
でも、ものすごく面白い。いっときも飽きる時が無かった。

その鍵を握っていたのは、映像のクオリティが超絶的に素晴らしかったことと、サンドラ・ブロックの圧倒的な親近感だと思う。

撮影監督はキュアロンと長年仕事をしてきたエマニュエル・ルベツキ。(余談だが、ルベツキ氏、実は、今年の春まで娘のバレエ・クラスメイトだったAちゃんのパパだったりする。)映画が始まって間もなく、スペシャル・エフェクツが使われていることなど全く意識しなくなってしまうかのごとく、観客たちは宇宙空間に吸い込まれていってしまう撮影マジックを経験する。ちなみに、試写は3Dの映画館で上映されたが、この映画ほど3Dで観て本当に良かったと思えた映画は他に無い。逆に、乗り物に酔いやすい人や高所恐怖症の人は要注意かもしれないけれど。(笑)

サンドラ・ブロックは、「スピード」での親しみやすいキャラ、アニーでブレイクした女優だが、「ゼロ・グラビティ」の親近感は別の次元のものだ。観客は、ブロック演じるドクター・ストーンが最初のトラブルに巻き込まれるや否や、彼女にどっぷり感情移入してしまう。この映画は、ヒロインに観客が感情移入できなければ、面白さが半減してしまうところがあると思うので、ブロックをヒロインにキャストできたのは、キュアロンにとって本当にラッキーだったと思う。(なんでも、最初はアンジェリーナ・ジョリーにオファーされた役だったとか。ジョリーも優れた女優ではあるけれど、ドクター・ストーンを演じるには美人過ぎるし強過ぎたかもしれない。)

「ゼロ・グラビティ」、劇場公開時に是非、大型スクリーンの3Dフォーマットで観て欲しい名作です。



Saturday, September 28, 2013

「S.H.I.E.L.D.」


この秋にデビューして観始めたTVドラマ〜その2は、「Marvel's Agents of S.H.I.E.L.D.」。
言わずと知れた「アベンジャーズ」のスピンオフ・ドラマである。

題名からも簡単に推測できるように、「S.H.I.E.L.D.」の主役は、S.H.I.E.L.D.、すなわちStrategic Homeland Intervention, Enforcement and Logistics Division(敢えて訳すなら戦略的国土介入実施後方支援部?)と、まあ長ったらしくて、どう見てもshield(盾、防御)という言葉にするために無理矢理とって付けたような単語を並べただけにしか見えない(笑)機関の捜査官たちである。
その中心人物は、映画「アイアンマン」シリーズや「マイティ・ソー」、「アベンジャーズ」に全て共通して登場したフィル・コールソン捜査官(クラーク・グレッグ)。「アベンジャーズ」で殉職したキャラクターだが、本ドラマの第1話で、その生還の秘密がそれとなく匂わせられている。

第1話では、S.H.I.E.L.D.のメンバーやS.H.I.E.L.D.の使命などが紹介されると共に、スーパーパワーを与える装置を身に付けた男が登場。その装置を開発したと思われる女性科学者も悪役的な雰囲気を漂わせながら出て来る。一応、1話完結型のドラマになっているようだが、S.H.I.E.L.D.に対抗する何らかの悪の組織が登場して、連続的なストーリーも並行して展開していくような印象を受けた。

第1話を観る限り、「HEROES/ヒーローズ」っぽい感じのドラマになりそうな気がしたが、「アベンジャーズ」という“ブランド”のスピンオフなので、それなりの世界が既に構築されているゆえの楽しさも加わりそうで、楽しみ。

Tuesday, September 24, 2013

「ブラックリスト」


先週ぐらいから続々、新番組が始まっているアメリカのTV界。
その皮切りに観たのは、ネットワーク局NBCが最も期待を寄せていると言われているスパイ・アクション・サスペンスドラマ、「ブラックリスト」。

「ボストン・リーガル」以来、TVドラマのレギュラー出演からは御無沙汰していたジェイムズ・スペイダーが、レイモンド・“レッド”・レディントンという謎だらけの天才犯罪者を演じているのだが、LAタイムズ紙の評でもとにかくスペイダーを誉めている。確かにスペイダーのレディントンを観るだけでも価値があると思えるぐらい、久々のハマり役かも。
レディントンの指示に従って、次々に知られざる大物犯罪者たちの捜査を進めて行くエリザベス・キーン(LAW & ORDER: LAのメーガン・ブーン)との関係が、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターとクラリスを想起させるあたりも、サスペンス・ジャンル好きには興味深く思える。

「ブラックリスト」は、日本でもスーパードラマTVが放映することが決まっており、詳しい内容については、同局のホームページを参照してください。

Saturday, September 21, 2013

夏の間に始まったドラマ2題:「ブリッジ」と「レイ・ドノヴァン」

9月が学校の新学期となるアメリカでは、TV界でも9月中旬ぐらいから続々と新番組がデビューし、生き残って続投する番組の新シーズンが始まるが、その前に、夏の間に始まって注目しているドラマ2題について書いてみることにする。

「ブリッジ〜国境に潜む闇」


「ブリッジ〜国境に潜む闇」は、同名題(「The Bridge」)のスウェーデン/デンマーク合作ドラマのアメリカ版リメイク・ドラマ。日本でも放映が始まっているようなので、内容などは公式サイトを参照していただくとして、一言で感想を述べるならば、やっぱり北欧産のドラマは暗いのう...ということですかね。(笑)
アメリカ−メキシコ国境付近で、次々と猟奇的な殺人事件が起きるという設定だから暗くて当たり前ではあるんだけど、邦題にある「闇」を意識したカメラワークとか、登場人物たちの闇の部分、過去の闇なんかを引き出してきて描いているあたりが、やはり純粋にメイド・イン・アメリカの刑事ものとは違うという感じがする。
それでも、「クリミナル・マインド」みたいに救いようが無い気持ちにならずに引き続き観たい!と思わせるのは、ダイアン・クリューガー演じるテキサスの女性刑事ソニア・クロスと、デミアン・ビチル演じるメキシコ側の刑事マルコ・ルイスのキャラに尽きる。ソニアはアスペルガー症だという設定になっていて、「こんな場でそんな事、言うか、フツー?」と突っ込みたくなるような無神経な発言をしたりする。彼女には全く悪気が無いから、唖然とする周囲と彼女のあっけらかんとした表情のコントラストが笑える。マルコは、ちょっと若い頃の三船敏郎を想起させるような二枚目半的なルックスで、愛妻家なのにウッカリ浮気して、それがソニアの例によって無神経な行動であっさり露見し、奥さんから追い出されてしまうという間抜けな所もあるが、暖かみのある昔風刑事という味が良い。ソニアの上司のハンクには、テッド・レヴィンが扮しているが、レヴィンは連続猟奇殺人をテーマにした「羊たちの沈黙」でシリアル・キラー、バッファロー・ビルを演じたことがあったりするので、ちょっと面白いキャスティングだと思った。

「Ray Donovan」

一方の「Ray Donovan」は、と言うと、さて、どのジャンルのドラマだと言えば良いのだろう?
タイトル・ロールのレイ・ドノヴァン(リーヴ・シュレイバー)は、ハリウッドのセレブたちの問題・苦境を公ごとにせずに陰で解決するフィクサーだ。その「解決」には、事実の歪曲(あるセレブと一緒に居たベッドの中で冷たくなっていたコールガールを、ゲイの噂があるスターと一緒に居たことにさせる)や、脅し(アイドル・スターのストーカーの部屋で待ち受けて「今度ストーキングしたらバットを御見舞いするからな」と凄む)、買収の仲介(音楽界の大物プロデューサーが、ヤク中の親を持ちながらも才能の片鱗を見せる少年を養子にするために金でカタを付けようとする)なども含まれる。
そんなドノヴァン自身にも、問題が発生する。殺人のかどで20年間の刑を受けていた父親ミッキー(ジョン・ヴォイト)が、いきなり出所してくる。おまけに、ボストンで、レイの弟バンチー(ダッシュ・ミホク)を子供時代に性的虐待したとされた神父を銃殺してからロサンゼルスに来るというトンデモ親父の帰還に、レイはトラブルを予想して苛立つが...
こんなレイ・ドノヴァンの周囲には、他に、郊外住宅地にウンザリしてビバリーヒルズに引っ越すことを夢見るレイの妻のアビー(ポーラ・マルコムソン)、ボクシングジムを経営するテリー(エディ・マルサン)、レイに仕事をふるハリウッドのプロデューサーの1人、エズラ(エリオット・グールド)らが登場する。
強いて言えば、「ザ・ソプラノズ」に雰囲気が似ているかもしれないが、ロサンゼルスのセレブ文化を舞台にしている点で映画の「ザ・プレイヤー」を想起させるところもある。このドラマも、下手をすればタブロイド雑誌のような猥雑な印象を残すだけの作品になる可能性もあるところを、シュレイバーやヴォイト、グールドやマルサンといった、映画界でも活躍している実力派の俳優を起用することによって、深みのあるドラマに仕立ててあるのが嬉しい。

この2本、これからの展開が大いに楽しみな新ドラマです。


Tuesday, September 17, 2013

「Enough Said」


今年の6月に急逝したジェームズ・ガンドルフィーニの遺作「Enough Said」の試写に行った。

ガンドルフィーニと言えば、何と言っても「ザ・ソプラノズ」のトニー・ソプラノズのイメージが強いけれど、この作品ではジュリア・ルイス=ドレイファス(「となりのサインフェルド」のエレイン)演じるヒロインの恋の御相手をつとめている。
ドレイファス演じるエヴァは、LAに住むバツイチのマッサージ師。同居している1人娘のエレンはもうすぐニューヨークの大学に進学するため親元を離れることになっている。友人のセーラ(トニ・コレット)夫妻に誘われて行ったパーティでも魅かれるような男性は居ないとタメイキをつきながら詩人だというマリアンヌ(キャサリン・キーナー)とオシャベリしたりするが、その後、何となく会話を始めた男性2人組の1人、アルバート(ガンドルフィーニ)とは意気投合。「全然ハンサムじゃないし、太り過ぎだけど楽しい人なのよね」と言ってアルバートとの交際を始めるエヴァだが、会うたびに彼に魅かれていく自分を発見する...

ガンドルフィーニもドレイファスも、この映画の撮影時には51歳だったが、“アラフィフ”というのはビミョーな恋愛年齢だと思う。自分が好きな物、やりたい事がハッキリし始めるけれど、まだまだ魅力的な30代から40代はじめの男女だったらハリウッド製のロマコメに出てきそうな恋愛が可能だし、そういう恋愛に興味を持つだろう。逆に60代〜70代になれば、もう恋愛というよりは残りの人生を一緒に楽しく過ごせるようなパートナー、日本語で言えば茶飲み友達のような存在を求めることが多いように思う。でも、50代というのは、若い時のような無茶はできないし、したくもないと思う一方で、まだまだ異性のルックスやセックスアピールが気になるし、冒険もロマンスも体験したいと思うエネルギーも残っている。「Enough Said」はそういう厄介な御年頃の男女の恋愛を、さりげないユーモアと「ある、ある」と思わずうなずいてしまうようなリアリティで細やかに描いていた。

監督のニコール・ホロセフナーは、映画界でスタートしたての頃は継父がウッディ・アレン作品のプロデュースを多く手がけたプロデューサーのチャールズ・H・ジョフィだったこともあり、アレン作品にエキストラで出演したり、プロダクション・アシスタントを経験したりした後、「ハンナとその姉妹」ではアシスタント・エディターを務めていたとか。「Enough Said」は、アレン作品のユーモアとは異質のユーモアを持つ作品だが、会話のところどころにクスッと笑える台詞が交えてあるあたりはアレンの影響があったりするのかもしれない。

映画のエンディング・クレジットの最後に“For Jim”と書かれてあり、試写会ではそこで拍手が起こっていた。
強面マフィアのトニー・ソプラノとは正反対のキャラ、アルバートのようなフツーのアラフィフ男性を演じるガンドルフィーニをもっと観たかったと思ったのは私だけではなかったようでした。



Friday, September 13, 2013

他人の空似シリーズ、その2

雑誌の連載の仕事のリサーチ中、見つけた記事。

ライアン・ゴズリングに似たフットボール・コーチ。
ゴズリングって、意外に筋肉質のナイス・バディしていたりするけれど、フットボール・コーチ、ねえ...と思って写真のリサーチをしたら、あらら、ホントにかなり似てますな:

左がテキサス工科大学のクリフ・キングスベリー・コーチ。
ちょっとティム・ロスにも似てる気がするけど。

こんなコーチが出て来たら女子学生も試合を観に行きたくなるかも〜?と、スポーツ観戦に全く興味の無い映画オタクは考えたりしていたのでした。

Tuesday, September 10, 2013

「ザ・ワールズ・エンド」


「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ホット・ファズ」で知られるエドガー・ライト監督、サイモン・ペッグ&ニック・フロストのトリオの新作「The World's End」を観に行った。

ゲイリー(ペッグ)は、高校時代は仲間4人を引き連れて故郷のニュートン・ヘヴンの町を肩で風切って歩いていたものだったが、今ではロクに仕事もしないアル中の中年男になり果てていた。楽しかった昔が忘れられないゲイリーは、仲間たちと一緒に地元のパブ12軒を一夜で制覇しようとした夜を再現しようと皆を招集する。
ゲイリーと違って、それぞれにキャリアを積んでキチンとした生活をしていた4人は、ゲイリーの誘いに消極的だが、それでも昔のよしみで集合場所にやって来る。集まったのは、不動産エージェントになったオリヴァー(マーティン・フリーマン)、車のセールスマンをしているピート(エディ・マーサン)、建設業を営むスティーヴン(パディ・コンシダイン)、そしてアルコールを断っているゆえ皆が来ないと思っていたアンディ(フロスト)まで集合時間にやって来た。肝腎のゲイリーは1時間も遅れてやって来たが、少しも悪びれず、4人を20年以上前にピートから買い受けたポンコツ車に押し込んで、ニュートン・ヘヴンに出陣する。
20余年経った故郷の町は一見、全く変わっていないように見えたが、住民たちはゲイリーたちを見ても何の挨拶も寄越さない。それでも構わず、相変わらず禁酒中のアンディを除く4人は、パブのハシゴを開始するが...
これ以上のプロットを書くと、せっかくの「お、そう来るか〜?」というちょっとした驚きが弱くなってしまうからここら辺でストップしておこう。観るなら映画評や解説などは読まないで観ることをおススメする。

男の人って、誰でも程度の差はあっても子供大人的なところがあるから、男性の観客だったらゲイリーたちの会話や行動に「ある、ある」とうなずけること請け合い。女性の観客も、「ったく、だから男は...」と呆れるシーンは多いけれど、パブ巡りをする不良中年5人組を演じる俳優たちのダメ男君的魅力に免じて楽しんで観られる。

ライト+ペッグ+フロストのトリオらしい、チャーミングなコメディだった。

Friday, September 6, 2013

ポアントシューズ、再び

またまたポアントシューズのネタです。
バレエに興味の無い方、バレエには興味あるけどポアントシューズなんて関係無いし...という方は、スルーで御願いします。

8月末に、娘のバレエ教室で「くるみ割人形」のオーディションがありまして。
まだ役は全然、決まっていないのですが、今週末からリハーサルが始まるということで、現在、2足しか使えるポアントが無いので、おなじみダンスストアでポアントフィッティングに出かけました。

ポアントを履き始めたばかりの子だったら、週1〜2回、バー中心のレッスンをするだけだと思うので、ポアントは半年ぐらい保ちます。というか、ポアントが潰れる前に足が成長して履けなくなって買い替えということになることがほとんど。うちの娘も最初の3足ぐらいまではそうでしたからね。
逆に、ポアントを週単位で履き潰してしまうようなレッスン量、レッスン内容をこなしているポアント中級〜上級の子だと、だいたい自分に合うポアント、自分が好きなポアントのサイズやモデルは決まっているから、値段が安いインターネットで買ったり、御店に買いに行ったとしても「**の##を2足。サイズは8のXXで」みたいに試し履き無しで買うパターンが多いと想像。

そのいずれにも当てはまらないのが我が娘。
ポアントを履き始めて丸3年が過ぎたのに、まだブランドもモデルも定着していない状態。ダンスストアのジェニーさんも内心、呆れてるんじゃないかと思う今日この頃。
まあ、フィッティングに手間暇かかる客ではあるけれど、2足買うことも多い客だからしゃーないか、と思って付き合ってくださっているのでしょう。

さて、今回、初めて試してみたのは、カペジオのプリエIIというモデル。


カペジオのポアントの例に漏れず、ヴァンプが短めだけど、ゲイナーに近いほど柔らかめだから「スッと履ける」そうで、おろしたてなのに「ピルエットなどがきれいに回れた!」と喜んで帰って来ました。ただ、すんなり履けるポアントは潰れやすいのではないかとも思うので、それがちょっと心配。

もう1足は、7月に買ったミレラと全く同じものをもう1足。いろいろ試し履きしたけれど、やはりミレラが好き、という結論に達したようです。
実は、ミレラは7月末、日本に行く前の週に既に2足目を買っています。
この時は、サテンのもので娘のサイズが切れていたのでキャンバス地のものを買いました。

キャンバス地だとちょっとバレエシューズみたい?
アップで写すと...

こんな感じ。このポアントはもう4回ぐらい履いているのですが、先端が全然傷んでいません。生地の点ではキャンバス地の方が丈夫みたいだから、練習用には良いのかも。ただし、おろしたてはちょっと硬くて、さすがの娘も閉口してアルコールを付けて柔らかくしていました。

ということで、現在、所有のポアントは、ミレラ/ウィスパー(キャンバス+サテン)、カペジオ/プリエ、そして、おそらく本番舞台用になるゲイナーのハードタイプの4足。
とりあえず、週3回の練習日には、ミレラを交互に履き、リハーサルにはカペジオ、そして11月に入ったらゲイナーもリハーサルに履き始めるといった段取りにしているようです。
ただ、これから3ヶ月間、ポアントのクラスが週3回+毎週土曜日のリハーサルと、最低でもポアントで週4時間、本番の週はそれぞれ6〜7時間は踊る計算になるので、4足で4時間×11週間+6時間×2週間=56時間分保つかどうか、といったらかなり怪しい...
「くるみ割」が終わる前に、もう1度はダンスストア参りをするハメになりそうです。やれやれ...

Thursday, September 5, 2013

キモ可愛い公共広告

もう2〜3ヶ月経ったネタなので知っている人も多いかもしれないけれど、娘に教えてもらった動画が可愛かったので...



オーストラリアの鉄道会社のキャンペーン・アニメーションだそうです。

http://matome.naver.jp/odai/2137173556487693801

粋だね。

Tuesday, August 20, 2013

世界最強の和風パフェ!

今日は御友達御一家と原宿で遊ぶ。

美味しい野菜中心の昼ご飯を食べた後、キディランドや100円ショップのダイソーでショッピング。
帰る前に御茶しましょうということで、友達が探してくれた甘味処、徳屋へ。

そこで食べた和風パフェが絶品。
もしかしたら今までの人生で食べたパフェの中で一番美味しいパフェだったかも。


御値段は1300円と、決して安くはないけれど、抹茶スイーツ好きだったら絶対に食べる価値のある逸品です。

Monday, August 19, 2013

読書の悦び

日本に帰省すると必ず行くのが、実家近くの図書館。
普段は、日本語の本を入手するのが容易ではないものだから、読書の渇きを満たすかのように本を借りまくり、読みまくるのが常、なのですが...
今回は3週間足らずの帰省で、とにかくやる事を詰め込み過ぎたこともあって、読む暇がなかなか無く、滞在最後の週にやっと1冊読み終わる始末。ガクッ...

その読み終わった1冊は、北村薫の「街の灯」。
昭和初期の東京を舞台に、女性のお抱え運転手、通称“ベッキーさん”にサポートされた“御嬢様探偵”の活躍を描く“ベッキーさんシリーズ”最初の中編3作を収録した書。
懐古趣味の私には、古き良き東京の昔の姿が描かれるのが非常に魅力だし、強く賢く魅力的なベッキーさんの描写にもワクワクさせられる。特にシリーズ第1作の「虚栄の市」は、江戸川乱歩の話なども出て来て非常に面白く読んだ。
「街の灯」に続くベッキーさんシリーズも是非、読んでみたいと思っている。

Saturday, August 10, 2013

バレエ・コンクールを観に行って来ました

ただ今、日本に帰省中。

先日、小学校2年生の時から御世話になっているバレエ教室の御友達が出場するという某バレエ・コンクールを観に行って来た。

アメリカでは、バレエ・コンクールと言えばYAGPぐらい。他にもマイナーなコンクールはあるのかもしれないけれど、娘の通っている教室はコンクールに全く熱心ではないので(聞くところによるとロシア系の教室は熱心らしい)、有名バレエ学校のサマー・インテンシブにスカラシップをもらって参加するようなすごく優秀な生徒でもコンクールには出場したりしない様子。
なので、私たちもコンクールというのを観に行った経験が無いので、興味津々。

私たちが観に行ったのは決戦のみだったのだけれど、それでもジュニアの部、シニアの部合わせて100人以上のヴァリエーションが次々に踊られていくし、同じヴァリエーションが何度も出て来るので、最後にはどんな子がどんな風に踊ったのか、全くわからなくなってしまう始末。それでも、印象に残る踊りを披露していた子は居たし、逆に娘と一緒に顔を見合わせてしまうような踊りも出て来たりして、決戦だというわりにはレベルがかなりマチマチのような気がした。

それともう1点、気になったのは、ヴァリエーションの選択。自分の顔立ちや体型、全体の雰囲気にあまり合っていないヴァリエーションを踊っている子が居たのが、ちょっと気になった。例えば「白鳥の湖」の「ブラック・スワン」ヴァリエーション。ブラック・スワンは、ジークフリート王子を誘惑する役だから、大人の色気があって官能的な雰囲気を醸し出すのが理想、だと思うんだけど、観に行ったコンクールで「ブラック・スワン」を踊ったのはいずれもかなり小柄で、ブラック・スワンというよりは可愛らしいブラック・バードという感じ?そういう体型&雰囲気だったら「スワニルダ」とか「シルヴィア」なんかを踊った方が良いんじゃないのかなあ...と思わせられた。もちろん、自分の得意技が多く含まれている踊りを選ぶというのも大切な戦略だろうから、それで「ブラック・スワン」を選んだのかもしれないけれど、バレエはやはり視覚芸術だから、どんなに技巧的に上手くても観ていて「綺麗だな、素敵だな」と思わせてくれないと、ちょっと、ね...

でも、初めてのバレエ・コンクール観戦、とても面白かったし、いろいろと勉強になりました。アメリカでも、今度はYAGPの予選とかを観に行こうかな。

Friday, August 9, 2013

サマープログラム:スタジオ・パフォーマンス

もう1週間以上前になってしまうけれど、娘のバレエ教室のサマー・プログラムのスタジオ・パフォーマンスがあった。

スタジオ・パフォーマンスは、午前中に8歳〜10歳のレベル(レベル2&3)、午後に11歳以上のレベル(レベルA〜C)と2つに分けられて行われる。

レベルA〜Cでは、各レベルとも、クラシック・バレエの作品(古典的作品の1場面が踊られることが多い)、ジャズ、モダン、フラメンコ、そして今年加わったヒップホップそれぞれの演目が踊られる。レベルCでは、さらに年長の生徒の中から選ばれた数人がヴァリエーションを踊ることになっている。
今年、娘が踊ったのは、クラシック・バレエでは「ラ・バヤデール」の第3幕からの一場面と講師の先生が振り付けたネオ・クラシック作品の群舞。

「ラ・バヤデール」。衣装は自前の黒いレオタードと練習用チュチュというシンプルな物。

ジャズは「42番街」の一場面、モダンはバルセロナのカフェでの1シーンというイメージで作られた作品、ヒップホップは80年代のダンス・バトルをインスピレーションにした作品。(フラメンコは本人の希望で、今年、クラスを受けなかったので無し。)

モダンの演目の一場面。赤いレオタードに黒いミニスカート、レギンズという衣装。

これらレベルCの演目に加え、娘はジャンプが得意ということで(ホントか?)、レベルBの「ジゼル」第2幕のウィリーたちの踊りのミルタを踊った。(レベルBには、去年の夏に初めてポアントシューズを履いたという生徒も混じっていたため、「ジゼル」はバレエシューズで踊られた。)

娘はミルタと同時にウィリーたちのリーダーのような役も兼任(?)。

今年のサマー・プログラムは6週間というこれまでで最長の期間だっただけあって、スタジオ・パフォーマンスの内容も、去年より充実していたように思われた。

サマー・プログラムが終わって、バレエ教室の夏も終わり。2週間の休みを経て、8月19日から2013−2014年度が始まり、24日には早くも11月/12月の「くるみ割人形」のオーディションが行われることになっている。


Tuesday, July 23, 2013

「ウルヴァリン:SAMURAI」



「X−メン」シリーズのスピンオフ「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」の続編「ウルヴァリン:SAMURAI」(原題はシンプルに「The Wolverine」)の試写に行った。

「ウルヴァリン:SAMURAI」は、タイトルでも示唆されているように日本が舞台。物語は、長崎で原爆が落とされる瞬間から始まる。枯れた井戸に捕虜として収監されていたウルヴァリンことローガンは、原爆が落とされる直前に彼を脱出させようとした日本兵ヤシダに出会う。時は流れ、世捨て人のような生活をしていたローガンの前に、日本人女性が現れ、死ぬ前にどうしても御礼が言いたいという人間が居ると伝えるが...

アメリカ映画に日本や日本人が登場すると、当の私たち日本人からすれば「はあああ??」と言いたくなる設定や人物、台詞などが出て来ることが常だが、「ウルヴァリン:SAMURAI」はその点、まあ合格点をあげても良いかと思った。それは、同作はキチンと日本でロケ撮影して、極力、日本人俳優をキャストしたという製作姿勢に依るところが大きいと思う。
その日本人俳優たちの中では、福島リラがとても良かった。アメリカに住んでいたことがあるだけに、英語はかなり上手いし、何より主役のヒュー・ジャックマンと並んでもひけを取らない存在感がある。モデル出身だから、正統派女優である菊池凛子のようなシリアス・ドラマ・ジャンルの映画には向かないかもしれないけれど、今回の作品のようなアクション主体の映画だったら、アメリカの映画でもドラマでも充分やっていけそう。
ヒロイン役の岡本多緒もなかなか良かった。彼女もモデルだけど、“目ヂカラ”が結構あって、台詞が無くてもジッと見つめるだけで多くを語れるような表現力が備わっているように思えた。「ラスト・サムライ」の小雪なんかよりはずっと良かったよ。

映画全体としては、見せ場もたっぷりあるし(私のお気に入りは疾走する新幹線の屋根の上での死闘。まるでコミックそのもの!というバカバカしさがサイコー)、誰が真のワルなのか、というひねりも悪くないのだけれど、アクションが間延びしてしまっている箇所や、何人かのキャラクターの掘り下げがいかにも足りないところがあったのは残念。



ちなみに、東京に住んでいる人間だったら、アレ?アレレレ?という地理的な矛盾が出て来ます。
(ヒント:東京タワーがすぐ近くに見える寺(芝の増上寺)→髙田の馬場→上野は徒歩じゃ行けないよ〜)

タイラー・ペック&ロバート・フェアチャイルドが教える1週間

娘の教室、ウエストサイド・バレエのサマー・プログラムも早いもので5週目に入りました。
今週1週間は、ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、タイラー・ペックとロバート・フェアチャイルドがバレエ、ポアント、ヴァリエーションを教えてくれます。

こちらはタイラー・ペック嬢。
11歳の時にウエストサイドでバレエを習っていたこともあるそうです。

こちらはロバート・フェアチャイルド氏。
タイラーとは婚約者同士でもあります。

娘はロバートの方が好きなんだそうで。理由は「教え方が面白い。ナイスだしフレンドリー」だそうで、今日はヴァリエーションのクラスで「Good!」と言われて名前を聞かれた!と舞い上がっておりました。そんな事で舞い上がるなんて可愛いもんですわ。(笑)

ロバートが教えているのは、バランシンが振り付けたニューヨーク・シティ・バレエの看板バレエ(?)の1つ、「スターズ・アンド・ストライプス」の女性ダンサーのヴァリエーション。



この動画の5:12から始まって6:25に終わるヴァリエーションだそうです。
1分ちょっとの長さのヴァリエーションだけど、まあ良く飛ぶわ、良く回るわで、さすがバランシンという感じの振付。でも、娘曰く「すっっっっごく楽しいんだよ!」だそうで。
まあ、普段のクラスでは習えないヴァリエーション。夏こそ、いっぱい学んでくださいな。

Saturday, July 20, 2013

ポアント・ジプシー、続行中(とほほ...)

去年、しばらくの間、履いていたブロックのソナタとは破局を迎えた(笑)うちのバレリーナさん(a.k.a.我が娘)、カペジオのグリッセとブロックのBモーフに出会った経緯は5月の日記に書いたけれど、その後、ブロックのBモーフは「足のアーチに合わない、まっすぐ立てない」とクレームがついて、10時間履くか履かないかのうちにお払い箱(74ドルもしたんですけど?−涙)。
カペジオのグリッセは調子が良いようなので、常連ショッパーとなっているAll About Dance(一般の店で買うより1〜3割安い+買い物額関係無しで送料無料+オレンジカウンティに在るので注文後2〜3日で届く)で、現在使っているものと全く同じものを一足、注文。めでたく到着後、ゴムとリボンを縫い付ける前に念のため試し履きしてもらったら、

「キツイ、足が入らない、痛くて立てない」

え?だって、今日もレッスンで履いたのと同じモデル、サイズ、タイプのポアントシューズでしょ?

「うーん、今履いているのは履き慣れたから履けてるけど、新しいのはダメ」

ええ〜〜?そんなのアリですか?

6月下旬から始まった教室のサマー・プログラムで週6日、毎日、ポアントを履くから、やっぱり2足をローテーションしているのでは不安だし、そのうち1足はゲイナー。ゲイナーは出来るだけ履いて欲しくないので、どうしても3足目が無いと...

というわけで、再びダンス・ストアのジェニーさんにフィッティングしてもらう。

まずは念のためにカペジオのグリッセを。

「やっぱりダメ。合わない」

そこで、また1からスタート。カペジオの他のタイプ、サフォーク、ソーダンカと、娘は次から次へと履いていくけれど、「うーん」、「ダメ、全然ダメ」、「ピンとこない」と次から次へとリジェクト。

タメイキが出始めたジェニーさんだったけど、「じゃあ、これは?」と持って来たのはミレラ(Mirella)。前回、娘のクラスメイトに薦められてミレラを試し履きしたものの、合わなかったので「ミレラはダメなんじゃ?」と言ったら、「これ、今週、入って来た新しいモデルなのよ」とのこと。
で、履いてみたら

「うん、良い感じ。好き〜」

あーー、良かった。なんだか、ガラスの靴がシンデレラにピッタリだった、の逆バージョン、シンデレラにピッタリのガラスの靴を掘り当てた気持ちになりましたよ、母は。

これがミレラの新しいモデル、ウィスパー(Whisper)。
(2回履いた後なので、若干クタっとなってますが...)

横から見たところ。ヴァンプが比較的薄め。すごく軽量なのも特徴。

今のところ、まだ3時間分しか履いていないけれど、調子が良いようなので、まずはホッとしました。
ミレラのウィスパー、まあ平均的な値段なんだけど、ミレラを扱っているネット・ショップが少ないのはちょっと困る。現在、新発売のウィスパーを扱っているのはさらに少なくて、アメリカ国内でも2サイトのみ。いずれも送料無料ではないので、結局、ダンス・ストアで買うのと変わらない値段になってしまう。(ダンス・ストアもメジャーなバレエ教室の生徒には10%割引してくれるのです。)それだったら、ダンス・ストアで買った方が試し履きできて安心だからね。
ウィスパーは、すごく軽くて華奢な感じのポアントなので、どれぐらい保つかが問題かな。

ところで、耐久性では定評のあるゲイナー。ところが、今、履いているゲイナーはクラス/リハーサル時間を20時間オーバーしたところなのだけれど、先端のサテンが破けて、中から黄緑色のプラスティックが見えてきました。

キチャナイ画像でゴメンナサイ。
丈夫が身上のゲイナーさんですが、2〜3足ローテーションして4ヶ月でこんな状態に...
いったいどういう踊り方してるんだ??

娘の話だと、仲良しのクラスメイトのSちゃんのゲイナーはもっと酷い状態だけど、Sちゃんはそのまま踊り続けているし、教室で現在実力No.1のスター・ダンサー、Lちゃんのゲイナーも似たような状態なのだとか。
ゲイナー は、プラスティックが見えて来たら先端だけスウェードを張り替えることができるというのを聞いたことがあったので、それをジェニーさんに聞いたら、「うーん、できることはできるけれど、その後、それほど保たないことが多いのでおススメできません」とのことでした。
ジェニーさんは、こういう状態のゲイナーで踊り続けるのは危ないから早いところ交換した方が良いという意見だったので、早速All About Danceで購入。All About Danceだと定価116ドルのゲイナーが87ドル。さらに、ちょうどやっていた「48時間限定15%オフ」というセールを利用したので、73.95ドル+taxという、定価の2/3以下の御値段で買えてラッキー♪でした。
ただ、ゲイナーはゴム付けがもんのすごく大変。ダンス・ストアでもゴム付け+リボン付けの有料サービスをしているけれど、他のメーカーが10ドルなのに対してゲイナーは15ドルと割増料金になっているのも納得の大変さなのよねえ...うーん、憂鬱...

Thursday, July 18, 2013

「パシフィック・リム」


先週の7月10日、ギレルモ・デル・トロの新作、「パシフィック・リム」の試写に行った。

「パシフィック・リム」は、太平洋の海底から巨大怪獣が次々と生まれて来て、環太平洋(Pacific Rim)沿岸の大都市を攻撃してくるのに対し、人類が国際的に団結して、怪獣たちと同サイズのロボットを開発して戦う、という話である。

アレ、それってどこかで聞いた設定なんですけど??

と思う日本人は絶対多いはず。
だって、それって「ウルトラ・シリーズ」そのものだから。

それもそのはず。「パシフィック・リム」はデル・トロが少年時代に愛してやまなかった円谷プロの「ウルトラ・シリーズ」のオマージュなのである。
それが一番顕著に現れているのは、この映画の悪役である巨大怪獣たちが「kaiju」と呼ばれていること。monsterでもcreatureでもなくkaiju。
そして、そのkaijuたちを倒すロボット(こちらはなぜか「ハンター」を指すドイツ語のJaegerと呼ばれている)のパイロットの1人が菊池凛子演じる日本人女性だったりするのも、日本の怪獣映画・ドラマへのオマージュと取れるだろう。

ということで、まあ、ストーリーは予想通りに展開するし、登場人物も「ああ、この人たちは戦死するな...」(苦笑)なんて簡単に先読みできてしまったりするのだけれど、とにかく全編にデル・トロの「怪獣映画愛」が溢れているし、CGIの出来も素晴らしいから、こういうジャンルの映画のファンでなくても充分楽しめる出来になっている。
ちなみに、デル・トロ作品の常連役者、ロン・パールマンは今回もぶっ飛び演技を見せてくれて笑えます。(彼のファンだったら、エンド・クレジットが始まっても席を立たないよーに!)
それから、私の大好きなTVドラマ「The Wire/ザ・ワイヤー」のストリンガーベルこと、イドリス・エルバ(スタッカー・ペンテコスト司令官役)の存在感が実に素晴らしい。彼は本当に立っているだけで絵になる。喩えが変かもしれないけど、東映任侠映画時代の高倉健の存在感につながるものがあるという気がしました。



Tuesday, July 16, 2013

屋外バレエでバランシンを観る

もう既に1週間以上経ってしまったけれど、ロサンゼルスのダウンタウンに新しく出来たGrand Parkという公園の野外ステージで、ロサンゼルス・バレエがバランシン作品、「アゴン」と「ジュエルズ」からの抜粋シーンを踊るのが無料で観られるということで、家族3人で観に行って来ました。

バレエ、しかもバランシンの作品なんて観に来る人はそんなに居ないだろうとたかをくくって30分前に会場に着いたら、既に野外ステージ前の芝生は観客でぎっしり。後ろの方に何とか座れるスペースを見つけ出して、窮屈な姿勢はちょっと苦痛だったけれど、「アゴン」も「ジュエルズ」も未見だったので観られて良かったと思いました。

「アゴン」のパ・ド・ドゥ

ロサンゼルス・バレエのダンサーについては、ソロやパ・ド・ドゥを踊ったプリンシパル・ダンサーたちはさすがに上手かったけど、後ろの方で踊る群舞のダンサーたちは、動きにキレが無くてちょっとイマイチだったかなあ...男性ダンサーたちも、背が低かったりテクニックのレベルが高くなかったり、これまた残念。
「アゴン」も「ジュエルズ」も、全幕版はやはりニューヨーク・シティ・バレエか、せめてパシフィック・ノースウェスト・バレエで観たいと改めて思わせられたのでした。

Monday, July 8, 2013

「The Way, Way Back」


ジョージ・クルーニー主演の「ファミリー・ツリー」の脚色で、監督のアレクサンダー・ペインと共にアカデミー賞を受賞したジム・ラッシュとナット・ファクソンが監督デビューした作品「The Way, Way Back」を観た。

「The Way, Way Back」の主人公は、14歳の少年、ダンカン。両親が離婚して、母親と暮らしているが、母親が交際中のボーイフレンド、トレントは、嫌なヤツで好きになれない。なのに、今年の夏は、トレントのビーチハウスで休暇を過ごすという。ただでさえ憂鬱な気持ちを抱えているダンカンなのに、ビーチハウスに向かうドライブの車中でトレントに話しかけられる。同行している母親と、トレントのティーンの娘は眠りこけていて、ダンカンには逃げ場が無い。
トレント「自分を1から10のスコアで評価すると何になると思う?」
ダンカン「わからないよ」
トレント「何、言ってんだ。よく考えてみろ」
ダンカン「6、かな」
トレント「俺は、おまえは3だと思う。頑張りが足りないからな」
ダンカン「...」

映画は、こうやって、ダンカンの思いっきり沈んだ気持ちを観客にいきなり共有させる。
上手い導入部だと思う。

「The Way, Way Back」は、そんなダンカンが、トレントと母親との関係に悩まされると同時に、ビーチタウンで出会う人々に癒される一夏の経験を描いているが、大事件が起こるわけではないけれど、大笑いさせられたり、ホロリとさせられたり、全く飽きさせることなく、観客を最後まで楽しませてくれるのは、ひとえに登場人物たちのキャラクターの面白さと、それを演じる俳優たちの演技力の賜物だろう。特に、ダンカンを演じる19歳のリアム・ジェームズの自然さは凄い。演技しているようには見えないけれど、しっかりした演技だということも同時にわかる上手さ。そんなダンカンに対する対照的な大人たちをそれぞれ演じるのは、サム・ロックウェルとスティーヴ・キャレル。ロックウェルが演じるのは、ダンカンの兄貴分的存在になるオーウェン。大人にしてはすごくいい加減だけど憎めないナイスガイ・キャラを好演している。一方、珍しく悪役を演じているキャレルもさりげなく憎らしさを出していて巧い。

派手なアクションやSFXが満載の夏休み映画がひしめきあっているこの季節、こういう映画は、こってりとした料理の間に食べるソルベのような涼味を提供してくれること、間違い無しでしょう。


Friday, June 28, 2013

「ホワイトハウス・ダウン」


ローランド・エメリッヒの「ホワイトハウス・ダウン」を試写で観てきました。

内容を一言で表すならば「ホワイトハウスでの『ダイ・ハード』」ですね。(笑)
「ダイ・ハード」のコピーはこれまでも山ほどあるけれど、今回、単身でテロリスト・グループと戦うのは、大統領のシークレット・サービスを志願しているジョン・ケール(チャニング・テイタム)。現在は、従軍中に救った同僚兵士の父親であるアメリカ合衆国下院議長のイーライ・ラファエルソン(リチャード・ジェンキンス)付きの合衆国議会警察員を務めているが、政治オタクの娘エミリー(「ダークナイト・ライジング」のジョーイ・キング)に尊敬されたい一心でシークレット・サービスに応募するが、履歴書を見た限りではシークレット・サービスに適任ではないと判断したシークレット・サービスの一員、キャロル(マギー・ギレンホール)に門前払いをくわされる。ガッカリするケールだが、せっかくホワイト・ハウスに来られたのだからとエミリーにせがまれて、ホワイト・ハウスのツアーに参加する。
それと同じ頃、大統領、ジェイムズ・ソイヤー(ジェイミー・フォックス)の中東政策を不満に思うテロリスト・グループがホワイト・ハウス攻略作戦を着々と進めていた...

サスペンス・アクション映画のサブジャンルである「ダイ・ハード」タイプ作品の御約束事はキチンと踏襲しているけれど、そこは職人芸監督のエメリッヒ。話の先が読めても決して退屈させません。
極めてシリアスなシーンでも、クスリと笑ってしまうようなユーモアを入れ込んであるのも個人的には好きです。ハラハラドキドキさせられてばかりじゃ肩が凝っちゃうものね。
ストーリー展開にはリアルさを欠くところもあるけれど、そんな所を「ま、いっか〜」と流せたら楽しめること間違い無しの夏休み向けポップコーン・ムービーの王道的作品と言えるでしょう。

ちなみに「ダイ・ハード」の文字通りdie-hard fan(筋金入りファン)だったら、そこここに「ダイ・ハード」のオマージュ的なディテールが散りばめられてあるので、それもお楽しみに。
あと、楽屋落ち的ジョークがあって、私は大笑いしたんだけど、一緒に笑った観客があまり居なかったのは意外でした。皆、自分が観た映画の監督のことなんか意に介さないのかなあ...



Tuesday, June 25, 2013

2013年のサマープログラムが始まりました

今年も、普段通っているバレエ教室のサマープログラムが今週から始まりました。

一昨年、去年と、ニューヨーク・シティ・バレエの付属校スクール・オブ・アメリカン・バレエ(SAB)がロサンゼルスで開講するようになったヤングダンサーたちのためのワークショップに参加してきましたが、今年は会場が車で1時間半ほどかかるところに移ってしまったのと、「もう2年連続して受けたから得るところはあまり無いかも」という娘の感想を聞いて、久しぶりにいつものバレエ教室、ウエストサイド・バレエのサマープログラムを1つ受けるだけにしました。

このプログラム、2010年から毎年、受けているのだけれど、一番上のレベルに上がった去年は、「もしかしたらSABのワークショップより多くを学べたかも」という感想を持った子が多かったぐらい充実していたので、今年も娘は大いに楽しみにしているようです。
ただ、ちょっと不満なのは、去年は週3回あったピラティスのうち2回を削って代わりにヒップホップを入れたこと。ヒップホップが習いたい子は、他にいくらでも教える教室があるのだからそっちで習えば良いわけで、バレエ中心に習っている子には、ピラティスで身体の使い方を教えてあげた方がずっと為になると思うんですけどねえ...

サマープログラムのスケジュールは以下の通り:

月曜日:バレエ/ポアント/ヒップホップ/フラメンコ/
リハーサル(=サマープログラム最終日のパフォーマンス用の作品の練習)
火曜日:バレエ/ジャズ/ヴァリエーション/フラメンコ
水曜日:バレエ/ピラティス/ポアント/モダン
木曜日:バレエ/ジャズ/ヴァリエーション/ヒップホップ
金曜日:バレエ/リハーサル/モダン/栄養学
土曜日:バレエ/パドドゥ/フィジカル・セラピー

時間は朝の9時半から始まって、途中ランチタイムや休憩時間があるけれど、終わる時間は午後4〜5時(曜日によって違う)という、まさに1日中踊っているスケジュール。若いからこそ出来ることですな。

ちなみに、娘は「フラメンコは面白くないし、膝が痛くなるからやりたくない」と言って、校長先生から許可をもらってパスすることにしたようです。
フラメンコ自体は習っておいて損は無いと思うのですが、フラメンコを教える先生(常駐スタッフではなくて、外から教えに来ている先生)の教え方がどうやら面白くないらしい。確かに、去年も一昨年の最終日のパフォーマンスのフラメンコの振付もかなり退屈なものでしたからねえ...

最終日のパフォーマンスでは1作はクラシック・バレエの古典を教えてもらうことになっており、去年は「ラ・バヤデール」と「チャイコフスキー・パドドゥ」だったけれど、今年は何を披露してくれるのか、観る方も楽しみです。♪

Thursday, June 20, 2013

バレエシューズだって選ばなきゃね

これまでポアントシューズ探しの話はさんざん書いてきたけれど、バレエシューズに関してはこれまでかなりおざなりに選んできてしまっていた。
でも、良く考えてみれば、バレエシューズの方がポアントシューズよりも履く時間がずっと長い。1回1時間半、週6回履くシューズなんだからもっと慎重に選ばなきゃと思うようになると同時に、娘の方も、「このシューズは履き心地が悪い」、「このシューズだとターンする時に具合が悪い」と、いろいろ履き心地で注文を出すようになった。

そこで、バレエのクラスメイトの薦めに従って、バレエ教室の隣にある小さなバレエショップで試着させてもらったのが、カナダのブランド、アンジェロ・ルジオのカンバス製バレエシューズ。

ストレッチする布地を使っているとのことで、確かに手に取った時の感触が他のバレエシューズと違う。化学繊維っぽい光沢があって、かなりしっかりした厚めの布地。娘のクラスメイトによると、保ちもかなり良いとのこと。もう1つ、他のバレエシューズと違うのは、左右が指定されていること。


靴の中のレベルにright、leftと書かれてあるけれど、さっと履く時に判りやすいように、マジックで右、左と書いてあげた。ちなみに、ポアントシューズでもそうだけど、右と左をマーキングする時には漢字を使っている。娘曰く、漢字で書く子は彼女だけなので名前代わりにもなるんだそうな。

さて、そのアンジェロ・ルジオを使った感想は...
「うん、すっごく踊りやすかったよ!バッチリだった」とのこと。
めでたし、めでたし。

Friday, June 14, 2013

ミッキーマウス、ベトナムに行く

雑誌の連載コラム執筆のためにニュースねたを探していて行き当たったクリップ。
ディズニーの珍しい反戦動画です。
右翼、タカ派で有名なディズニーゆえ、当然、この動画もタブー視されて廃棄処分になったらしいけれど、密かに隠し持っていた人が居てネットに流出した次第。
サイレントだし、すごくシンプルだけど、子供に愛されるミッキーマウスが主人公だけにラストシーンのインパクトはかなりのもの。
自社作品には異様なほどのコントロールをきかせるディズニーゆえ、この動画もいつ観られなくなるかわからないので、急いでアップしてみました:



今さっきブログを開いてみたら、案の定vimeoの映像が発禁処分になっていたので、YouTubeの方で探してみました。



コントロール・ナチのディズニーのことだから、こっちもいつ発禁処分になるか、わからないけど...

Wednesday, June 12, 2013

それほど...太っていないキアヌ君(笑)

ちょっと前のミクシィでキアヌ・リーヴスの激太りした写真が反響を呼んでいたみたいだけど、監督デビュー作「Man of Tai Chi」の予告編では、昔に比べたら線が太くなったけど、一応(笑)アクションしているらしき姿も見られます。



ま、キアヌ君も、もう立派な中年なんで多少ガッチリしてくるのは仕方が無いにしてもカンヌで見せたジェラール・ドパルデュー路線を予想してしまうような体型の崩れは避けていただきたいところ。

Thursday, June 6, 2013

新たに観始めたドラマ2本

前回は観るのを止めたドラマ「ザ・フォロウィング」について書いたが、捨てるドラマあれば拾うドラマあり(?)で、この春、2本のドラマを観始めた。

1本目は、4月4日にアメリカでの放映が始まった「Hannibal」。
言うまでもなく、トーマス・ハリス著の「レッド・ドラゴン」や「羊たちの沈黙」、「ハンニバル」に登場するシリアル・キラー、ハンニバル・レクター博士を主人公にした犯罪ドラマである。
ハンニバルが主人公、と書いたが、ドラマは元FBI捜査官ウィル・グレアムの視点で展開する。このドラマでは、レクターが「究極のグルメ食」を採っていることが示唆されてはいるが、FBIが捜査の協力を要請するぐらいなので既に殺人犯として登場する「レッド・ドラゴン」よりも前の年代設定になっていると思われる。
タイトル・ロールのハンニバル役には、「007 カジノ・ロワイヤル」の悪役、ル・シッフルを憎々しげに演じたマッツ・ミケルセン。いったい何を考えているのか全くわからないようなポーカー・フェイスでハンニバルに適役だが、デンマーク出身で訛りのある英語を静か〜に話すので、聴き取れない時があるのが難。(苦笑)
対するウィル・グレアムを演じるのは、イギリス人俳優のヒュー・ダンシー。線が細い感じのダンシーは、殺人犯と共鳴することが特殊能力を捜査に活かすものの、その能力に悩まされているグレアム役がピッタリ。
エキセントリックな主役2人をバランス良くサポートするような位置づけに置かれているFBI主任捜査官のジャック・クロフォードには、ローレンス・フィッシュバーンがキャストされている。
左からヒュー・ダンシー、ローレンス・フィッシュバーン、マッツ・ミケルセンの面々

もう1本は、5月20日に放映が開始された「Motive」。
Motive、すなわち「動機」というタイトルからも判るように、事件発生→捜査→犯人判明という流れで物語が進んでいくことが多い他の犯罪ドラマとは違って、まず犯人と犠牲者を特定してから、事件が発生し、警察が犯人を捕まえてその動機を探るという、ミステリ小説のジャンルで言えば、倒叙物にあたるのが新味。
主役の刑事でシングルマザーのアンジー・フリンには、ドラマ「THE KILLING〜闇に眠る美少女」で政治家の恋人/アシスタント役で出演しているクリスティン・レーマンがキャストされている。
「Motive」は、実はカナダ製のドラマ。自国製ドラマで充分事足りているアメリカではカナダ製のドラマが放映されるのは珍しいが、2月に本国で放映された際に大いに人気を博したということで、アメリカでの放映が決まったという経緯があったらしい。倒叙物である上にカナダ製という変わり種なので、犯罪ドラマ・フリークの私としてはこれからの展開が楽しみなドラマである。
ルイ・フェヘイラ、クリスティン・レーマン、ブレンダン・ペニー
(いずれもカナダ人俳優)


Wednesday, June 5, 2013

「ザ・フォロウイング」をフォローするのを止めた件について



1月31日付けの日記で、ケヴィン・ベーコンがドラマ・シリーズに初のレギュラー出演している「The Following」(日本では7月にWOWOWで「ザ・フォロウイング」として放映されることになっているらしい)について書いたが、第9話「Love Hurts」を最後に観るのを止めた。(シーズン1は15話まである。)

理由は簡単に言ってしまえば、観ていて楽しむことができなくなったから。

どうして楽しむことができなくなったかという理由の理由は...


以下ネタバレ有りなので、これから観るつもりの人は御自分で判断して読み進めて下さい








1.ジョー・キャロルを崇拝する“フォロワー”=信奉者たちの設定が非現実的
エドガー・アラン・ポーの研究者であるジョー・キャロルには、彼のために自分には何の縁もゆかりも無い人間を惨殺することもいとわない信奉者たちが至る所に居るという設定になっているが、信奉者の面々のほとんどがミドルクラス〜アッパーミドルクラス出身の人間にしか見えない。そういう人間たちが狂信的なカルト集団を形成しないと断言できるわけではないが、キャロルを盲信する妨げになりそうな知性や分別が無く、自分の命さえ犠牲になるかもしれないリスクをおかしても構わない、自分の価値をそれだけ軽くみているような人間たちには見えないのである。(さらに細かい事を書くと、彼らが集まってキャロルと一緒に生活しているのは億万長者が住みそうな大邸宅だが、その費用はどこから出ているのか?カルト犯罪者集団が貴族のように暮らしているなんて首をかしげたくなる設定ではないか。)その疑問は、信奉者の1人が自分が指揮した作戦が失敗したからと言ってキャロルに自分を殺すよう懇願するシーンで頂点に達した。作戦失敗を誰かに責められているわけでも何でもないのに「あなたに殺してもらえば自分は本望です」って、何じゃ、そりゃ??? としらけちゃうのでは、やっぱり楽しめない。

2.ジョー・キャロルのカリスマ性に疑問
もしかしたら、個人的な好みの問題なのかもしれないけれど、ジョー・キャロルを演じるジェームズ・ピュアフォイにさっぱり魅力を感じない。老若男女を問わず人を惹き付けてやまないようなカリスマ性があるようには、どうしても思えないのである。信奉者たちに魅力的に微笑んでいるつもりなのかもしれない顔でさえ、目尻を下げた嫌らしい中年男にしか見えないんだもん。(ファンの人が居たらゴメンナサイ〜)
ドラマの質が主演俳優だけで決まらないのは、解ってはいるのだけれど、信奉者たちが今にもヨダレを垂らしそうなうっとりとした顔でピュアフォイを見つめているのを観ると、「ケッ!」としか思えないのでは、やっぱり楽しめない。
この人のためにあなたは死ねますか?(笑

3.感情移入できる人物が居ない
それだけキャロルと信奉者たちに嫌悪感を持つのであれば、反動でケヴィン・ベーコン演じるライアン・ハーディを応援したくなりそうなものだが、ライアンはライアンでキャロルの別れた妻クレアと恋仲である設定になっていて、逃亡したキャロルの再逮捕よりもキャロルに狙われているクレアの安全ばかり気にしていて「ちゃんと仕事しろよ!」とツッコミを入れたくなるようでは、やっぱり楽しめない。

4.不愉快な殺人
キャロルや信奉者たち、あるいは彼らが敵とみなすライアンには全く無関係な人たちがほぼ毎回むごたらしく殺されていくのだが、とにかく観ていて不愉快。例えば、FBIがかくまっているクレアをおびき出そうという意図で、クレアと同姓同名であるクレア・マシューズという女性をランダムに殺していくというエピソードがあったが、殺し方も銛を矢にした弓で射抜いたり、窓から突き落としたりと、容赦無い。サディストじゃない限り、不快を覚えるような殺人を見せつけられたのでは、やっぱり楽しめない。

5.血みどろの中にもユーモア、が無い
血みどろの死体や生々しい殺害シーンが出て来るのは、私たちお気に入りのドラマ「デクスター」も同じ。でも、「デクスター」にはユニークなキャラがたくさん出て来るし(特にデクスターの同僚、マスーカは最高!)、デクスターのドライなユーモアが滲み出る独り言、思わず吹き出したくなるほど口の悪いデボラの台詞の数々など、笑える部分もたくさんあって、陰惨な殺人シークエンスと対照的で一息入れることができる。が、「ザ・フォロウイング」ではそのようなシーンは全く無い。ライアンも周囲の人間たちもほとんど笑わないし、キャロルや彼の信奉者たちもまるで人間的な顔を見せない。こんな息が詰まってしまうようなドラマじゃ、やっぱり楽しめない。

と、「ザ・フォロウィング」の問題点を羅列してきたけれど、ここで観るのを止めて唯一後悔しそうなのは、キャロルと信奉者たちが崩壊していくところが観られないところかな。このドラマがどれだけ続くのかは判らないけれど、最後は絶対正義が勝つのがアメリカのドラマの常なので。

それにしても、こういう観ている者を不快にさせるようなドラマが続いて、丁寧に作られていた「Golden Boy」のようなドラマがキャンセルされてしまうのは、ちょっと納得できない。(「Golden Boy」については以下のサイトで簡単な解説が読めます: http://dramanavi.net/special/sp-61-la/06.html )







Wednesday, May 22, 2013

再びポアント・ジプシーに(やれやれ)

どのポアントシューズを履いてもしっくりこないと言い張る娘に、ポアントシューズ・フィッターさんがゲイナー・ミンデンを薦め、「禁断のゲイナー・ミンデン」に手を出してしまった話は3月の日記で書いたけれど、そのゲイナーは本当にラクらしい。ラクだもんだから、娘ったら、ゲイナーと交互に履いていたブロックのSonataが潰れかけた時に「もうしばらくはゲイナーだけにしたい〜」と言い出した。Sonataは、履き始めにマメが出来やすい、慣れたと思ったらすぐに潰れる(使用時間にすると10〜11時間しか保たなかった−泣)から、もう嫌だと。
でも、ポアントシューズに詳しい先生たちや、日本で出会ったポアントシューズ作りの職人さん、あとは読み拾ったネットの記事などから、異口同音に聞こえるのは「ゲイナーは足/脚が完成しているプロのダンサーや、筋力が落ちている年配のダンサー向け。まだトレーニング中の若いダンサーが履いたら、ゲイナーしか履けない足/脚になってしまう」という声だったので、安易な方に流れようとする娘を説得。4月の終わりに再びダンスストアへ。

例によってあーでもない、こーでもない、と10種類以上のポアントを試し履きした結果、これなら良いかな...と“お許し”(笑)が出たのは、カペジオのGlisseとブロックのB-Morph。

向かって左がGlisse、右がB-Morph

Glisseは、ヴァンプが短めなので、甲が出る娘の足には不向きかと思ったら、爪先の幅が広くてラクなんだとか。B-Morphは、Glisseほどすんなりと馴染まないそうだけど、ちゃんと踊れるので普段のレッスン用には大丈夫だとのこと。
結局、普段のレッスンにはGlisseとB-Morphを交互に履き、週2回あった春公演のリハーサルには本番にも履く予定にしていたゲイナーを履いていました。
GlisseもB-Morphも履き始めてまだ1ヶ月経っていないので(使用時間にするとそれぞれ4〜5時間ぐらい?)保ちの点はまだ判らないけれど、15時間以上保ってくれたら、しばらくはこの2足を履いていってもらうということになりそう。

一方のゲイナーは、しばらく使用を休止。フツーのポアント・クラスが週3回といういつものペースに戻ったし、毎週末のリハーサルも、もう無くなったので、しっかり足/脚が鍛えられるポアントシューズを使わないとね。

Sunday, May 19, 2013

2013 春公演

オープニングのジョージ・バランシン振付による「セレナーデ」より「エレジー」

昨日の5月18日(土)、娘のバレエスタジオの春公演がありました。

今年はジョージ・バランシン没後30周年ということで、オープニングは「セレナーデ」の最終章「エレジー」。
残念ながら出演は最上級クラスとそのすぐ下のレベルだったので、娘は踊れなかったけれど、初めて観る「セレナーデ」の聞きしに勝る美しさにはうっとり。欲を言えば、プロのバレエ団というわけではないから、背がかなりバラバラで、せっかくの配列の美しさの統一感が損なわれてしまった、という点でしょうか。

娘の最初の出番はジャズ。ボブ・フォッシーの振付をベースにした「スイート・チャリティ」からの「リッチマンズ・フルーグ」は、リハーサルの時からそのユニークなダンスに魅了されていたのですが、舞台になったら60年代のナイトクラブを再現するようなセットでさらに感心。ダンサーたちの、いかにも楽しんでいるというエネルギーが観ている者たちにもビリビリ伝わってくる実にエキサイティングなパフォーマンスでした。観客の拍手喝采も一番大きかったんじゃないかな。

「スイート・チャリティ」より「リッチマンズ・フルーグ」
色とりどりの髪は羽毛製のカツラ。ドレスは1つ1つ違うデザインのヴィンテージもの。
皆、ノリノリで踊っていました。


次に踊ったのは、「ジゼル」第一幕からの「ペザント・ダンス」。いかにもクラシック・バレエの古典という振付だったから、胸躍るという踊りではないけれど、こういう踊りをキチンと踊れてこそ、バレリーナなのだろうな、と思わせる作品でした。衣装もなかなか可愛かったしね。

「ジゼル」の第一幕より「ペザント・ダンス」。娘は群舞の1人。
本来はこの列の前でジゼルとアルブレヒトのパドドゥがあるみたいなんだけど、男の子不足なんで(笑)上級クラスの女の子2人がデュエットしていました。


公演の「トリ」は、去年の9月に亡くなったイヴォンヌ校長先生の振付による「クラシカル・シンフォニー」。恩師バランシンの特徴ある振付のエッセンスを散りばめた作品で、ネオクラシカルなプロコフィエフのスコアにぴったりな振付に仕上がっています。

「クラシカル・シンフォニー」のSecond Movement。毎回、背の高い子が選ばれる踊りみたい。
衣装はシンプルな七分袖のレオタードに短いスカート。体型のごまかしが利きません。(汗)

上記の作品以外では、スタジオのスター・ダンサー的存在の15歳の子の「ドンキホーテ」のパドドゥとヴァリエーションが良かったですねえ。彼女は、お母さんがコロンビア人でラテンの血が流れているせいか、スパニッシュ風の踊りや衣装が実に良くお似合い。もちろん、技術的にもダントツに上手いので、安心して観ていられます。

娘の話だと、私たちが観に行った夕方の回より午後の回の方が俄然出来が良かったそうです。夕方の回も決して悪くはなかったんだけど、やっぱりちょっと疲れが出たのか、グラつく子や、ジャンプにいつもの高さが出ていない子が何人か居ました。
なので、DVDは午後の回の方を買うことに決定~。

ともあれ、2月からずっと練習を重ねてきた公演も無事、終了。
アメリカは、あと1ヶ月ちょっとで夏休みに突入します。