Thursday, February 12, 2009

CORALINE


書くのが1週間遅れになってしまったが、「Coraline」という映画を観た。

「Coraline」は、イギリスのファンタジー作家、ニール・ゲイマンの同名ファンタジー小説を、「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のヘンリー・セリックが映画化したストップモーション・アニメーションである。

11歳のヒロイン、コラライン(声:ダコタ・ファニング)は、両親と共にピンク・パレスという名前は立派だが、実際は古ぼけたビクトリアン様式の家に引越してくる。
引越してすぐ、コララインは、家主の孫だという少年と出会うが、ちょっと生意気な彼女は、この少年ワイビーを「うるさくて変なヤツ」としか認識できなくて友達になろうとはしない。しかし、引越したばかりの彼女には友達も居ないから退屈でしょうがないが、両親は自分たちの仕事や雑務で忙しくて、ちっとも構ってくれない。
退屈して邪魔ばかりするコララインに痺れを切らした父親の「この家を探検でもしてみたら」というサジェスチョンを実行に移したコララインは、リビングルームの片隅に小さなドアを発見して「秘密の抜け穴かも?」とワクワクするが、せっかく母親にもらった鍵で開けてみたら戸口はレンガで塞がれていた。ガッカリするコララインだが、その夜、何かの物音で目が覚め、音の正体を探りにリビングルームに来てみたら、小さなドアからトンネルが続いているではないか。迷わずトンネルの中に這い込んで、出口のドアを開けてみたら...!
そこには、入って来たのと全く同じリビングルームが!いや、同じじゃない。何だか良い匂いがする。匂いにつられてキッチンに行ったコララインがそこで出会ったのは...「ママ?」「おバカさんね、私はあなたのもう一人のママじゃない!」コララインが入り込んだのは、現実の世界と並行する「もう一つの」世界だった...

ちょっと「不思議の国のアリス」めいていて、「千と千尋の神隠し」に通じるところもあるファンタジーなのだが、ストーリーの摩訶不思議さとダークさが、とにかくセリックのストップモーション・アニメーションの造形と実にピッタリなのである。まるで、ゲイマンがセリックのためにストーリーを書き下ろしたかのように思えてしまうほど。「コラライン」の世界を具現化するには、CGではもちろん、手書きのセルアニメーションでも実現が難しい世界観と美的感覚が必須だから。

この映画、Laikaという聞きなれないアニメーション・プロダクション会社によって製作されているのだが、Laikaは、なんとナイキの社長、フィル・ナイトが創設した会社で、「コラライン」のリード・アニメーターを務めたのはナイトの実の息子、トラヴィス・ナイト。世界的に有名なスポーツ用品ブランドを創り出した会社と、手作り感が売りの1つであるストップモーション・アニメーションが関係しているなんて、ちょっと意外だけど、ちょっと素敵だと思う。

「Coraline」は、英語圏の映画評論家の87%から絶賛されていると共に、興行ランキング第3位でデビュー。商業的にも成功を収めそうで、嬉しい限りである。
ちなみに、私が試写で観たのは3Dバージョン。ストップモーション・アニメーションは被写体が3次元的な物なわけだから、3Dというのは道理がかなうし、「Coraline」のファンタスティックな世界が、よりリアルで、より活き活きと観えた。「Coraline」は、出来れば3Dで観て欲しい作品である。

Wednesday, February 4, 2009

PINK PANTHER 2


昨日は、「PINK PANTHER 2」の試写に行った。

この「PINK PANTHER 2」は、60年代から70年代にかけて作られた「ピンク・パンサー」シリーズを、ピーター・セラーズの当たり役、ジャック・クルーゾー警部をスティーヴ・マーティンが演じて2006年に復活させた新版「ピンク・パンサー」のシリーズ第二弾。
2006年に新シリーズ第1作めを子供に見せたら、何だか知らないけど気に入られたようで、今回も子供にせがまれての試写会行き。

そのほとんどがスラプスティックで、ベタなギャグばかりなので、作り手は笑わせようとしているけれど、どうにも笑えないシーンも随分あった。でも、まあ試写だからタダだし、子供は気に入ったようだからOKとしようというのが正直な感想。

でも、映画ファンとして一番驚いたのは、そのキャスト。1作目でもマーティンの相棒として登場したジャン・レノとか彼の上司役のジョン・クリースは解るけど、マーティンと一緒にチームを組むことになる各国の探偵の中に、アルフレッド・モリーナとかアンディ・ガルシアが居たり、マーティンに今どきのPC ( politically correct )なマナーを教えるインストラクターにリリー・トムリン、さらに驚いたのは数シーンの登場だけだったけど、胡散臭いイタリア人富豪役で出演していたジェレミー・アイアンズ。いずれも大スターというわけではないけれど、それなりの実績がある俳優たちだけに、こんな軽いコメディに出演していて良いのか…??エージェントも何も言わなかったのか?あるいは出演料が悪くなかったから、エージェントがプッシュしたのか?などなどと、映画を観ながら頭の中を疑問符がくるくると回っていた。

ちなみに、日本人刑事の役で、「硫黄島からの手紙」に出演していた松崎悠希という俳優さんが出演していた。日本出身の人なので、ところどころにはさむ日本語は当然ながらちゃんとした日本語だったし、英語の台詞も聞きやすくしゃべっていて、観ていて気持ち良かった。TVシリーズ「HEROES」のアンドウ君とかも、こういう俳優さんを起用してあげれば良いのに…