Sunday, November 8, 2015

「くるみ割り人形」2015


娘のバレエ教室、ウエストサイド・バレエ、毎年恒例の「くるみ割り人形」、今年は感謝祭の週末の土日と翌週の木曜日〜日曜日の計9公演の上演となりました。

ニューヨークだったらニューヨークシティ・バレエ、サンフランシスコだったらサンフランシスコ・バレエ、ボストンだったらボストン・バレエと、アメリカの大都市には、その名前を冠した有力バレエ団があって、クリスマスには「くるみ割り人形」を観るという街の人々は、そんなバレエ団の「くるみ割り人形」を観に行くわけですが、ロサンゼルスの場合は、ちょっと事情が違います。
ロサンゼルスにも、2005年に創立されたロサンゼルス・バレエ(LAB)というプロのバレエ団があるにはあるのだけれど、このLAB、本拠地とする劇場も無ければ、生のオーケストラ演奏で踊るでもないサビシいバレエ団。そんな事もあって、ロサンゼルスとその周辺は、戦国時代よろしく、ありとあらゆるセミプロのバレエ団やバレエ教室が「くるみ割り人形」を上演してきたのですが、今年から、ロサンゼルスから車で1時間ちょっと南下したオレンジ郡で、なんとニューヨークの大御所バレエ団アメリカン・バレエ・シアターが「くるみ割り人形」戦争に参入。競争激化に追い打ちをかけることになりました。

とまあ、前置きが長くなっちゃったけれど、そんな“くるみ割り戦争”に勝つには先手を打たねば、ということで、ウエストサイドの「くるみ割り人形」は9月の中旬から早くもチケット販売開始。その甲斐あって、2週めの土曜日と日曜日のマチネの回は既にチケットは売り切れに近い状況、なのは非常にありがたいのですが、困ったことにその時点ではキャスティング未発表。親の私たちは、自分の子供が何の役で、どの日のどの回に踊るのか、まるで判らない状態。ソロイストたちのためには、1人4枚まで良い席のチケットが確保されてありましたが、そうでない場合は、10月中旬のキャスティング発表までチケット購入はお預け。子供たちも、自分がどの役で何回踊らせてもらえるのか判らないまま、とりあえずリハーサルに出ねばならない状態。
まあ、「数週間のあいだにグンと上手くなる子も居たりするからキャスティングできない」というのがディレクターの言い分なのですが、実際は、早いうちにキャスティングを発表してしまうと役が就いたということで安心して怠け始める子や、逆に希望の役が就かないことでふてくされて真面目にリハーサルに来ない子やらが続出してしまうからなのではないかと。

そのキャスティング、今年は、去年や一昨年のように主役のシュガープラムにプロのダンサーをゲストに迎えること無く、ウエストサイドの卒業生で現在、ニューヨークシティ・バレエの付属バレエ学校SABの通年制に通っている17歳の子と、今年の「くるみ割り人形」が最後となる高校シニアの子、それに、プリバレエの時から先生のお気に入りでスター・ダンサー的な存在である高校ジュニアの子の3人がシュガープラムを踊るという、女性キャストに関しては久しぶりに100%ノンプロフェッショナルなダンサーたちによる公演になっています。

気になる娘の役ですが、彼女、「くるみ割り人形」のオーディション直後にサマーインテンシブで痛めた右足首の症状が悪化。フィジカル・セラピーには通っていたけれど、どうも症状が改善されないので、整形外科医に診てもらいました。整形外科医の所見はフィジカル・セラピストの所見と同じではあったものの、「完全に治したいのであれば、3〜4週間、ブートを履いて固定治療をするべき」という意見を言われ、娘はその場で「ハイ、じゃ、そうします」と返事。私は、バレエ教室のディレクターに相談してからの方が良いんじゃ...?なんてちょっとオロオロしちゃったけれど、本人いわく「今から3〜4週間休んでも10月上旬には復帰できる。今年踊らせてもらえそうな役は多分、去年と同じ。それだったら振付は完全に判っているから公演まで1ヶ月あれば大丈夫」とのこと。本人の意志がそこまでハッキリしているならそれを尊重するのが一番だと思い、ディレクターには本人と私から説明。ディレクターはさすがに心配そうだったけど、公演までの日数を数えて「なんとかなるでしょう」という結論を出してくれました。

ということで、今年は去年より役が減っても仕方ない、群舞の他に何回か、去年と同じ役を踊らせてもらえばラッキーと考えるようにしていたのですが、フタを開けてみたら、去年と同じ役を同じ回数踊らせてもらえることになったうえ、去年踊ったリード・エンジェルのうちソロの部分があるセンター・エンジェルの役を、1回だけですが、踊らせてもらえることになりました。4週間もリハーサルを休んだにもかかわらず、わずかながら去年より役をアップグレードしてくださったキャスティング担当の先生方には感謝、感謝です。

「くるみ割り人形」まであと3週間を切り、来週末は早くも第1回めのスタジオ・ドレス・リハーサルです。