Sunday, September 20, 2020

R.I.P. RBG



ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事が、アメリカ時間の9月18日に亡くなった。享年87。

1999年に大腸癌、2009年には膵癌と診断されながら、放射線治療や化学療法を受けて闘病。小柄な身体ながら、病院で治療を受けた翌日には法廷に出るタフさは伝説的だった。 2016年に、大統領選でヒラリー・クリントンが予想外の敗退を喫した際は、予定していた引退を取りやめ、ドナルド・トランプがホワイトハウスを去るまでは 現役を退かない覚悟を決めたという。 

ニューヨーク、ブルックリンのユダヤ系の家庭に育ち、奨学金を受けてコーネル大学に進学。そこで出会ったマーティン・ギンズバーグとコーネル大卒業と同時に結婚し、長女を出産した後、マーティンが進学したハーバード大学ロースクールに進学。マーティンがニューヨークに弁護士の職を得ると、コロンビア大学ロースクールに転学し、同院を主席で卒業した。にもかかわらず、ルースは、女性であるという理由だけでニューヨークの法律事務所から全て門前払いされる。後年、女性の権利のために闘うことになったのは、この時の経験が大きく影響しているのではないかと思う。

ルース・ベイダー・ギンズバーグは、とりわけ進歩的な考えを持つ人ではなかったようだが、本人曰く、最高裁に保守派判事が増えて、どんどん保守寄りになっていく過程でリベラル派とされるようになったとか。 保守派の判事たちが、女性やマイノリティの権利を侵害しかねない評決を出すと「I dissent.(異議あり)」とキッパリと自分の主義を表明する姿は、若い女性たちの間で共感を呼び、2013年には、当時、ニューヨーク大学ロースクールの女子学生が、ラッパー、ノートリアスB.I.G.にひっかけて「Notorious R.B.G.」と題するブログを開設すると、RBGの名声はネットを中心に一気に拡散。2018年には「RBG 最強の85才」というドキュメンタリーが製作され、高く評価された。
   
 
DVDも出ています: 

 RBGについては、「実話に基づいた劇映画」、「ビリーブ 未来への大逆転」(ちょっとセンスの無い邦題だな…原題は"On the Basis of Sex”)も製作されている。  

 個人的には、前者のドキュメンタリーのほうがずっと好き。 RBGのような、実話だけで充分すごい話は、実際の人物が登場して事実をそのまま伝えるほうがずっとパワフルだという良い例だと思う。

Friday, September 11, 2020

”ステイングホーム・ライフ”で見ているテレビドラマ

 いや〜〜〜、このブログ、ずいぶん御無沙汰しちゃいました。

最後の更新はなんと去年の11月。コロナウイルス禍とは無縁で、映画もガンガン観に行けた幸せな日々…


今年は、4月初め〜6月半ばの10週間をコロナウイルス禍が深刻化していた日本で過ごし、帰って来たら今度はカリフォルニアも大変な事になっていたのだけれど、元々、おうちが好きで、インターネットと好きなドラマ、好きな本でもあれば、1週間家におこもりしていても平気な性分ゆえ、おそらく世間一般の人々よりは”コロナストレス”にはなっていないような気がする。

でも、やはり映画に行けないのは辛い…気持ち的にも辛いし、映画について書く仕事をしているから、仕事面でも辛い。

非常事態下、2号分休載にはなった後はそれまで通りに連載を書かせていただいているのだけれど、新作映画が封切られないので、世間一般の皆さんと同じように新作をネット配信で観たり、生まれて初めてドライブインシアターで映画を観てみたりと、cinemanerd=映画オタクとしては妥協以外の何物でもない映画の鑑賞で我慢している状態が続いて、もうすぐ3か月になる。


そんな中で毎日欠かさず見ているのは、録画してあるテレビドラマ。

最近は、夕飯食べながら1本、デザート食べながら1本と、毎日2本のテレビドラマを見るのが日課になっている。

現在、ローテーションして見ているのは、50年代の同名ドラマをリブートした”Perry Mason”(HBO)、「レイ・ドノヴァン」(Showtime、シーズン7=最終シーズン)、「ブラックリスト」(NBC)、「S.W.A.T.」(CBS)、「マニフェスト」(NBC)、そして今年の2月から放映が始まったものの、わずか12話でキャンセルになってしまった警察もの”Tommy”(CBS)の6本。

その中で、ダントツに面白いのは”Perry Mason”。

オリジナル版を再放送で見たことがあるという私の配偶者曰く、オリジナル版は弁護士ペリー・メイスンの活躍を描く型通りの法廷ものだったそうだが、2020年版”Perry Mason”は、1930年代のロサンゼルスを舞台にメイスンを私立探偵として登場させ、乳児誘拐事件から端を発する殺人事件を追うという、ノワール仕立てのドラマになっている。

私は大のミステリ好きゆえwhodunitとして展開するストーリーを大いに楽しんでいるが、同時に1930年代のLA街並みや建物、ファッション、小物などが完璧に再現されている贅沢な製作ぶりにも目の保養的な楽しみを味わっている。