Sunday, December 18, 2011
WAR HORSE 戦火の馬
「シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム」の翌日にも試写。この日はスティーヴン・スピルバーグの新作「WAR HORSE(邦題:戦火の馬)」を観た。
イギリスの小さな村で一頭の馬が生まれる。その出産を観た少年、アルバートは生まれたばかりの子馬に魅せられる。子馬は美しく成長し、村の競りに出される。農耕馬を買いに来たアルバートの父テッドは、大嫌いな地主がその馬を買おうとしているのを観て、農耕馬には適さないのを承知で高値で買ってしまう。妻の怒りをかうテッドだが、アルバートは憧れていた馬が自分の家に来て大喜び。ジョーイと名付けて、農耕馬として飼えるよう必死に訓練する。アルバートの努力が実り、ジョーイは速さと強靭さを備えた美しい馬に成長するが、大雨でのせいで農作物がダメになってしまったことで、テッドはやむなくジョーイを軍隊用の馬として売ってしまう。ジョーイを買った心優しき司令官は「ジョーイは僕がキチンと面倒をみて、君のところに無事に返すから」と、アルバートに約束してくれるが...
「戦火の馬」は、イギリスの児童書だったのものが舞台劇に脚色され、それを観たスピルバーグのプロデューサー・パートナー(「インディ・ジョーンズ」シリーズや「シンドラーのリスト」などを手がけた)、キャスリーン・ケネディがスピルバーグに映画化を薦めたという経緯がある。原作と舞台劇では、軍隊用の馬=war horseとなったジョーイのたどる数奇な運命をジョーイの視点から描いているとのことだが、動物が話すディズニー・アニメのようにはできなかったということで、映画では「運命の饗宴」(1942)のように第三者の視点で描いている。
「運命の饗宴」はフランスの監督、ジュリアン・デュヴィヴィエがハリウッドに渡って撮った作品だが、「戦火の馬」は、まさしく1940年代から1950年代のハリウッド映画のような撮り方をしている。(特に「風とともに去りぬ」とジョン・フォードの映画。時としてその時代の映画を観ているような気持ちにさせられた。)既に映画監督として超大物になったのに、そうやって過去の作品から学んで、作品の内容に相応しい映画言語で撮ろうとした姿勢は尊敬に値すると思う。
PG13にはなっているけれど、小学校高学年以上の御子さんには充分、観られる作品だし、観て欲しい作品です。
Saturday, December 17, 2011
SHERLOCK HOLMES: A GAME OF SHADOWS シャーロック・ホーム シャドウゲームズ
このシーズンになると、ホリデー映画とアカデミー賞狙いの映画が一気に放出されて、試写会も毎週のように招待状が来る。
その1つ、ガイ・リッチー監督+ロバート・ダウニー・ジュニア主演版の「シャーロック・ホームズ」シリーズ第2作目、「SHERLOCK HOLMES: A GAME OF SHADOWS (邦題:シャーロック・ホーム シャドウゲームズ)」を観に行ってきた。
この2作目も1作目同様、サー・アーサー・コナン・ドイルによるホームズ・シリーズの中の一編の映画化というわけではなく、ホームズやパートナーのドクター・ワトソン、モリアーティ教授といったキャラクターが登場するだけで、ストーリーは映画独自のオリジナル・ストーリーということになっている。
前作では、個人的に持っていた、謎めいた皮肉屋で頭脳明晰な名探偵というイメージのホームズとはほど遠いロバート・ダウニー・Jrのホームズに対する違和感が大きくて、映画を素直に楽しめないところがあったのだが、今回はもう慣れたというか「これはドイル原作の探偵小説の古典とは別物の映画」と割り切って観ることができたので、そこそこ楽しめた。
特に、CGIによる19世紀末のロンドンの風景や、その頃の衣装、小道具などの風俗は観ていて楽しかった。こういう映画の美術係や小道具係、衣装係の仕事は楽しいだろうなあ。
Monday, December 12, 2011
「くるみ割り人形」、無事終了
12月3日、4日、10日、11日と、4日間、8公演にわたる娘のバレエ学校の「くるみ割り人形」の公演が、昨晩、無事終了しました。
今回も去年同様、踊るのは一曲だったけれど、その一曲が初めてのポアントシューズでの踊りだったことで、本人もそれなりに満足して出演していたので良かったです。
今年は、先日の日記でも書いたロサンゼルスタイムズ紙の記事の効果か、例年より客の入りが良かったようで、チケット売り切れ=満員御礼の回が2回もあったそうです。
一方で、バレエの公演につきもののドラマ、しかもそのうちのいくつかは甚だ不愉快なドラマも少なくなく、舞台で踊る子供たちの楽しそうで幸せそうな顔と裏腹に、胸につっかえが残るような気持ちにさせられたのは残念でした。
ま、子供がバレエをやっている以上、そういう事にも慣れていかなきゃいけないんだろうけれどね。
Friday, December 9, 2011
YOUNG ADULT ヤング≒アダルト
シャーリーズ・セロン主演、ジェイソン・ライトマン監督の新作「YOUNG ADULT」を観に行った。(ところで、邦題は「ヤング≒アダルト」となっているんだけど、「≒」マークって「ほぼ等しい」という意味のはず。YOUNG ADULTは、文字通り、「youngなadult」という意味であって、youngとadultが「ほぼ等しい」って意味不明なんだけど...配給会社さん、シャレてみたつもりなのかもしれないけど、意味不明の邦題つけてどうすんのよ?)
セロン演じるヒロインのメイヴィスは、ミネソタ州内の大都市、ミネアポリスに住む37歳の独身女。最初の数分の映像で、彼女の暮らしぶりが理想的でもなく充実しているわけでもないことが、ハッキリと判る。落ち目になってきているヤング・アダルト小説シリーズのゴーストライターをして生計を立てている彼女は、今日もやる気が出ないまま、コンピューターに向かって新作の草稿を書き始めるが、高校時代のボーイフレンドが、彼女を含むクラスメイトたちに送ってきた娘が生まれたという写真付きEメールを読み、衝動的に故郷のミネソタ州マーキュリーを訪ねてみることにする。高校時代に聞いた思い出の曲をカーステレオでガンガン鳴らしながら、故郷へのフリーウェイをひた走るメイヴィスの心にはある計略が宿っていた...
「ヤング・アダルト」(意味不明な「≒」はウザイので以下、それを無視してこう書かせていただく)の脚本を書いたのは、「ジュノ」で脚本家デビューするなりいきなりオスカーを獲ったディアブロ・コーディ。ニューヨークにでも出て、自分の名前で本を出版して成功している作家、というわけではなく、ミネソタ州の田舎町から同じ州の大きな都市であるミネアポリスに移り、ゴーストライターをしているだけで、「自分はマーキュリーなんかに留まったルーザーたちとは違うんだから!」というオーラをまき散らしているイタいヒロイン像を鮮やかに書き込んでいる。そして、それを「マイレージ、マイライフ」のライトマンが実に細やかに演出。そして、それを呆れるほどのリアリズムで演じているセロンに大いに感心した。コメディっぽい演技は、なかなかアカデミー賞に認められにくいものだけれど、この映画でのセロンはオスカー候補になる価値が充分ある仕事をしていると思う。
日本では、2012年2月公開予定。オススメです。
追記:この項、最初のバージョンではミネアポリスを「ミネソタ州の州都」と書きましたが、以前、ミネソタ州に住んでいた友人から、ミネソタ州の州都はセントポールだと教えてもらいました。(K子さん、ありがとうね)はからずも、アメリカの地理に対する私の知識の無さが露呈してしまって恥ずかし〜〜〜。去年、娘がアメリカの州とその州都を答えるテストの準備勉強をしていたけど、私も一緒に勉強すれば良かったってか...
Wednesday, December 7, 2011
TERRA NOVA
スティーヴン・スピルバーグがプロデュースしている、今シーズン注目株の新ドラマ「Terra Nova」をやっと観始めた。
地球の汚染が進み、人類生存のために別の新天地を探していた未来の人々は、恐竜たちの住んでいた太古の昔にタイムトラベルすることによって、「歴史をやり直す」ことにする、というのが、SFドラマ「Terra Nova」の設定。
CGIの進歩で、最近ではTV番組でもかなりリアルなスペシャル・エフェクツが楽しめるようになったおかげで、恐竜出演が出血大サービスされている「Terra Nova」のようなドラマも成り立つことになったわけだけれど、TVドラマにせよ映画にせよ、やはり根っこはストーリーとキャラクターたち。
人類が生き延びるために、宇宙旅行して新天地を探すというこれまでのSF映画のパターンから脱却して、集団規模でタイムトラベルするという発想は面白いけれど、とにかく毎回のエピソードの展開がありきたり。「こうなるだろうな」と思った通りにストーリーが進むし、登場人物の間の台詞まで、「**って言うよ、きっと」と冗談半分に配偶者と話していたら本当にその通りになって、カウチからずり落ちそうになることもしばしば。登場人物の構成も、主人公、その妻、3人の子供(ティーンの息子と娘+小さい娘)に、テラノバ=新世界のリーダー(「アバター」と同じような役を演じている強面俳優、スティーブン・ラング)が中心で、そこに、息子と娘が恋愛対象になる女の子と青年が絡み、さらに妻の昔の同僚/恋人みたいな男が現れて、って、ジュラシックの時代に来てまで、いかにもありがちな恋愛関係、三角関係を持ち込まなくても良いだろうが、と突っ込みたくなるほどのキャラクター構成。
発想は新鮮だし、ビジュアル的にも良く出来ているんだけど、陳腐なストーリーやキャラクター設定をどうにかしてくれないと、そのうち、食傷気味になってしまいそうで、それがちょっと心配なドラマなのでありました。
Friday, December 2, 2011
Westside Ballet がロサンゼルス・タイムズ紙に載りました
下の日記でも書いた娘の教室ウエストサイド・バレエの「くるみ割り人形」が、今日=12月2日付のロサンゼルス・タイムズ紙に採り上げられました。
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-et-yvonne-mounsey-20111202,0,1816758.story
上の写真の真ん中が、校長先生のイヴォンヌ。今年でなんと92歳ですが、いまだに週2クラスのバレエを教えています。やっぱり、ニューヨーク・シティ・バレエのようなバレエ団で鍛えた身体は違うんだなあ...
オンライン版のロサンゼルス・タイムズですが、こんな写真も載っていました↓
約1名、独りでめっちゃ背が高く写っていますが、おそらくトウで立っているんでしょう...
「くるみ割り人形」週間
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