Thursday, September 29, 2016

「マグニフィセント・セブン」


先週のことになってしまうけれど、アントワーン・フークア監督の「荒野の七人」のリメイクを試写で観た。

ストーリーは、オリジナル版「荒野の七人」、そしてその元となった黒澤明の「七人の侍」同様、悪者たちに搾取されている村人をアウトロー的な寄せ集めの七人の男たちが救うというお話。
新鮮だったのは、その7人の顔ぶれが、デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、韓国人俳優イ・ビョンホン、メキシコ人俳優マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ネイティブ・アメリカン俳優マーティン・センスマイヤーという面々であること。オリジナル版の7人が全員白人俳優だったのに対し、新版では7人中白人は3人だけという点だろう。7人が救うのも、メキシコの村ではなく西部の白人の町だし、悪者たちも白人。マイノリティ優勢の集団が弱き白人のために悪しき白人と戦うという点が2016年のアメリカ映画らしい。

「トレイニングデイ」や「イコライザー」といった都会を舞台にした犯罪アクション映画を得意とするフークアだけあって、アクションの描き方はかなり派手。古き良き西部劇を期待した向きにはしっくりこなかったのか、映画評は辛口のものも少なくないようだが、個人的には娯楽映画としてしっかり楽しめた。7人のガンマンたちの個性もそれなりに出ていたし、カッコ良かったし。
「七人の侍」はもちろん、「荒野の七人」との比較なんかしないで観れば、充分面白く観られると思う。

Thursday, September 15, 2016

HBOによる力作ドラマ:「The Night Of」


夏の間の限定シリーズ「The Night Of」を先週、観終わった。素晴らしいクオリティのドラマだった。

「The Night Of」の主人公はクイーンズに住むパキスタン系の大学生、ナズ(リズ・アーメッド)。或る夜、いとこの車でパーティに繰り出すはずだったのに、ドタキャンされてしまう。どうしてもパーティに行きたかったナズは、タクシーの運転手をしている父親と同僚2人が共同所有するタクシーを内緒で拝借してマンハッタンに向かうが、天井灯の消し方を知らないために、道に迷って停車している際に、客待ちタクシーだと思った客が乗り込んできてしまう。営業中でないことを説明して降りてもらうナズだったが、3回目、若い女性が乗り込んできた時には彼女の物憂いな美しさに魅かれてつい乗車を許す。
その女性、アンドレア(ソフィア・ブラック=デリア)は「ビーチに連れて行って」とせがむが、マンハッタンにビーチは無い。仕方ないので、 ハドソン川のほとりに連れて行く。アンドレアは、そこでナズにドラッグ(エクスタシー?)を渡す。躊躇うナズだが、アンドレアに誘われるまま飲むナズ。2人はその後、アンドレアの家に向かい、一夜を共にするが…

ナズを演じるアーメッドは、ラッパーとしてスタートしたパキスタン系のイギリス人だが、眼だけで演技できる生来の俳優。最近は、ラッパーとしての活動より俳優としての仕事の方が多いそうだが、むべなるかな。
リズ・アーメッド
眼力がすごい

アーメッドをはじめとして、「The Night Of」はとにかくキャストが素晴らしい。後にナズを弁護することになるしがない弁護士にジョン・タトゥーロとナズを追及する刑事に舞台俳優として知られるビル・キャンプが、報われることの多くない仕事なのに力のある限りを尽くさずにはいられない中年男たちを演じて、とりわけ良かった。
弁護士のジョン・ストーン役のジョン・タトゥーロ
「ザ・ソプラノズ」の故J・ガンドルフィーニが演じるはずの役だったとか

刑事デニス・ボックス役のビル・キャンプ
ストーンが”狡猾な動物のような男”と称したベテラン刑事を好演

こういう役者たちの演技を見ると、やっぱりアメリカの俳優のストックって凄いなあ、と思わざるを得ない。

「The Night Of」は、一応、犯人探しのジャンル、who-done-itに該当する推理ものゆえ、これ以上、ストーリーを語るのは”反則”になりかねないので、とりあえずHBOによる予告編のリンクを貼っておきます:



予告編を見るとわかると思うけれど、寒々しい蒼色を基調とした映像も、作品全体のムードによく合っていて賢い選択。

あと、オープニング・クレジットの音楽が私はとても好きだった。
我が家は、基本的にはドラマは録画して見るので、最初のクレジット・シークエンスはたいがい早送りするのだけれど、「The Night Of」だけは音楽が良かったので、早送り無しでした。音楽を担当しているのは、TVドラマ版「ファーゴ」の音楽を担当したジェフ・ルッソ。



オープニング・クレジットは映像も美しい。

「The Night Of」、日本でも放映されるといいのですが…

Monday, September 12, 2016

東海岸大学見学ツアー

もう1ヶ月以上前のことになってしまいますが、7月の終わりから8月にかけて、東海岸にある評判の良い大学のキャンパスを訪ねて歩きました。今年の夏は、娘がピッツバーグ・バレエのサマープログラムに参加したので、迎えに行きがてら、東海岸にある大学をまだ見たことの無い娘に見せて、大学受験準備の刺激にしようという魂胆でした。(笑)

典型的な東海岸のキャンパス風景
広々とした芝生に18~19世紀築の建物が並んでいて素敵〜

ピッツバーグのあるペンシルベニア州を出発点にして、マサチューセッツ州まで東へ車で移動して12日間で計10校の大学を見学するという強行軍でしたが、東海岸の大学のキャンパス・ツアーは私も初めてだったので、とても興味深く、勉強になりました。

どの大学も1時間ほどのインフォメーション・セッションという簡単な説明会が設けられていて、Admission Officeのスタッフが、自分の大学の特色や大学生活のハイライトを紹介します。大学によっては、在校生も参加してスタッフの人との会話スタイルで進めていくところもありました。
その前後には、キャンパス・ツアーの機会も設けられていて、在校生が1時間〜1時間半にわたって、キャンパス内を案内して回ってくれます。

どの大学もキャンパス内に居たのは2時間半〜3時間半ほどの短さではありましたが、それでも、それなりにその大学の雰囲気、スタッフや在校生のタイプといったものが感じられて、娘なりに「ここの大学は雰囲気が好き」、「ここの大学はすんなり馴染める気がする」、「ここの大学は何か違うなあ」、「ここは絶対、入りたくない」とそれぞれに感想を話してくれて、以前、訪問した大学でツアーをしてくれた在校生が、「この大学を選んだ理由は?」と聞かれた時に「ピンときたとしか言いようがない」と言っていたことを思い出しました。
確かに、どこの大学でも「matching」とか「right for you」とか、相性のことを強調するスタッフや在校生が多かったです。日本同様、アメリカでも大学ランキングといったものが存在しますが、そういうランキングの上位20〜30位ぐらいに入っている大学に関しては、5位になっていようが、15位になっていようが、教育の質には変わりがないということも聞きました。要は、自分のキャラやニーズに一番合った大学に行くのがベストということなんでしょうね。

某大学の近くのアイスクリーム屋さんにて
娘はほとんどの大学街でアイスクリームを食していました。
アイスクリームの質で大学を選んでいるという噂もアリ(笑)

Friday, September 2, 2016

ピッツバーグ・バレエ インテンシブ・サマー・プログラム

わー、なんと2ヶ月近く更新をサボっておりました〜〜。
そうしたら、ドメインを登録している会社への登録料の支払いをしていたクレジットカードが無効になっていることを忘れ、知らない間にブログのアドレスが無くなっちゃって大慌て。すぐに更新手続きを取ったのでアドレスも無事奪還できました。(知らせてくれたK子さん、どうもありがとう!)

さて、書く事はいっぱいあるのですが、まずは時系列順に、娘が参加したピッツバーグ・バレエのサマー・プログラムのことから書くことにします。

今年のサマー・プログラムは6月20日から7月23日までの5週間。内容はまあ、去年のカンザス・シティ・バレエのプログラムと似通ったものだったようですが、大きな違いは振り付けのワークショップがあったことでしょうか。また、寮生活では、普段通っているバレエ教室で仲の良いお友達とルームメイトになれたので、非常にリラックスして過ごせたようです。そのせいか、去年に比べストレスが少なかったのか、故障も少なく、フィジカルセラピストに何度か通った時にクラスを休んだぐらいで、丸1日休んだ日が全く無かったのが本人としては嬉しかったようでした。

プログラムは23日(土)に終わったのですが、その前日の金曜日の夕方に、振り付けのワークショップの発表会があったので、木曜日の深夜出発の夜行でピッツバーグまで飛び、ワークショップの発表会を見てきました。
娘の作品は、ダンサーのGちゃんが堂々と踊ってくれてソロながら迫力があってなかなか良かったです。他の生徒の作品でも、「お〜」と感心させられるものが多くて、高校生でこれだけのダンス作品が創れるなんて大したものだなあと思いました。

最終日の発表会も観に行ってきましたが、娘のレベルはクラシックは「ラ・バヤデール」とモダンの2つの演目を披露してくれました。場所は一番大きなスタジオだったものの、生徒たちの家族全員を収容するほどの座席スペースが確保できないため、各生徒の役によって午前と午後に分かれてのパフォーマンスでした。
娘はラッキーにも、午前中は「ラ・バヤデール」のデュエットの役をもらい、午後は同作のコール・ドと両方に出させてもらえたので、午前中のパフォーマンスはダンナと鑑賞し、午後は娘の友達のママに付き添う形で2度見られたのがラッキーでした。

残念ながら、パフォーマンスは写真撮影もビデオ撮影も禁止なので、載せる写真が無いので、パフォーマンス前に食べに行ったアイスクリーム屋さんの写真を載せておきます。(笑)


1923年創業のKlavon's。店内は創業当時のままのたたずまいで、素敵〜〜。
ピッツバーグ・バレエから歩いて5〜10分ぐらいの距離のところにあるので、娘たちもレッスンの合間によく通ったそうです。