Friday, October 25, 2013

リハーサルに熱が入ってきました

「くるみ割り人形」のキャストが発表されたことは、先日の日記で書きましたが、その「くるみ割り人形」まであと1ヶ月とちょっと。
4回公演のうち、一番人気の日曜日の回は、4〜5席を残してほぼ売り切れ状態。その他の回も499席中100席が残っているかどうかという順調な売れ行きを見せています。

そんな中、生徒たちがしごかれる(笑)リハーサルにも熱が入って来ました。
うちの教室は、「くるみ割り人形」公演前でもレッスンは通常通り行ない、土曜日の午後に集中してリハーサルを行なうことになっているのですが、上級クラスでは、公演1ヶ月前ぐらいから、テクニック(普通のクラシックバレエのレッスン)のクラスは普通にレッスンし、その後に続くポアントのクラスを返上してリハーサルされるようになります。
例えば、娘の今週1週間のレッスン・スケジュールはこんな感じ:

月曜日:テクニック+ポアントクラス
火曜日:テクニック+リハーサル:葦笛の踊り、スペインの踊り、天使の踊り
水曜日:テクニック+リハーサル:雪の精の踊り
木曜日:テクニック(ただしポアントシューズ着用)
金曜日:テクニック+リハーサル:雪の精の踊り
土曜日:テクニック
  午後のリハーサル:花のワルツ、天使の踊り、スペインの踊り

時間にすると、普通のレッスンが10時間半(うち3時間がポアント)、リハーサルが6時間半、合わせて週17時間、踊っていることになります。

こんな過酷スケジュールなので、さすがに日曜日はもうぐったり...
宿題は何とかやっているようだけど、それ以外は他に何もする元気が無い様子。
まあ、こんな重労働じゃあ、若くても疲れるだろうけれど、「くるみ割り人形」まで頑張ってください。

ポアントシューズも3足を履き回し。
本番近くになったら本番用のゲイナーミンデンを
履き慣らしていく予定だそうです


Thursday, October 24, 2013

「悪の法則」


リドリー・スコットの新作「悪の法則(原題:The Counselor)」を試写で観る。

物語の主人公は、簡単にカネが稼げるからという軽い気持ちで麻薬輸入の片棒をかつぐ弁護士(マイケル・ファスベンダー)。(彼の名前は劇中ではいっさい言及されず、単に“The Counselor”と呼ばれる。)ロールスロイスのスポーツカーを乗り回し、高級なスーツに身を包んで、恋人のローラ(ペネロペ・クルス)と贅沢な暮らしを楽しんでいる。彼に裏社会の仕事を依頼する実業家で麻薬取引商のライナー(ハビエル・バルデム)は陽気な男だが、恋人のマルキナ(キャメロン・ディアス)は、どこかしら油断ならない印象を持つ女である。或る日、The Counselorは、ライナーの友人ウェストレイ(ブラッド・ピット)を紹介され、 仕事を依頼されて引き受けるが、何者かによる邪魔が入り、人々は破滅へのスパイラルに巻き込まれていく...

「悪の法則」は、コーエン兄弟作品「ノーカントリー」の基になった「血と暴力の国」を書いたコーマック・マッカーシー。「ノーカントリー」もそうだったけれど、まともな人生をおくってきた人間が、ふっと魔がさしたように出来心で犯罪行為に手を出してしまう。「There is no harm.」、「悪い事にはならないだろう」と気軽にやってしまった行為によってのっぴきならぬ状況に追い込まれる恐怖を描かせたら、マッカーシーの右に出る者は居ないかもしれない。

そういうストーリーだから、観ていて決して楽しくなる映画ではない。或る意味、訓戒的な話かもしれない。(ちなみに、訓戒的な話=cautionary taleのcautionaryという言葉も、劇中、しっかり登場するので、マッカーシーが実際にそういう意味合いも込めて書いたとか?と思ったりした。)

ところで「悪の法則」をロンドンで撮っている時、リドリー・スコットは、弟、トニーの自殺の報せを聞いた。兄スコットは決して軽めの作品を作る監督ではないのだけれど、「悪の法則」は彼の作品歴の中でも特にダークな作品である気がするのは、作った時に彼自身の人生にも暗い闇がさしていたからかもしれない。



Sunday, October 13, 2013

「くるみ割り人形」のキャスト発表

去年のプログラム
Design by Artemis Graphics

娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」のチケットが発売開始されたことは水曜日の日記で書きましたが、自分の子供が踊るのを観るためには、どのチケットを買えば良いの?と悩む親たちのために、今回は、早くもキャスティングが発表されました。これまでは、公演前1ヶ月を切らないと発表されなかったので異例の措置と言えます。

娘は、予想通り、「雪の精」の群舞は、4回全回出演。それに加えて、去年、踊った「花のワルツ」も、サンフランシスコ・バレエのソリスト、ジェニファー・スタールルーク・インガムの2人がゲスト出演する回、2回と初回の計3回は、慣れたダンサーたちに踊ってもらいたいからという先生たちの希望で、去年のキャストが一部再出演することになったので、再度、踊ることに。
Featured Roleと呼ばれる3〜5人で踊る踊りの方は、第二幕のプロローグとなる「天使たちの踊り(The Magic Castle)」、「スペインの踊り(別名:チョコレート)」、そして「葦笛の踊り(別名:マージパン)」の3役をいただきました。「天使」と「葦笛」は、練習への参加を名指しされていたので、おそらく1度は踊らせてもらえると思っていたのですが、「スペイン」はちょっと意外でした。しかも「天使」と「葦笛」は2回ずつ踊らせてもらえるようで、予想外の出演回数の多さに、娘も私も驚くやら喜ぶやら...
娘には、これで安心しないで、より一層、練習に励んでもらいたいものです。

4回公演中、3回でFeatured Roleを踊るので、踊る演目の違う回を2回、ダンナと観に行き(ダンナは「え〜、1回で良いじゃん」だって。娘の晴れ舞台っつーのに。プンプン!)、あと1回は友達でも誘って観に行こうかな〜と考えています。
もちろん、舞台リハーサルの際はママラッチ撮影班もしますよ〜。母も応援、頑張ります!

⬇ちなみに娘の教室の「葦笛の踊り」は、こんな振付です。(動画は去年の公演より。娘は真ん中の主役を囲む4人の1人を踊ります)


⬇「花のワルツ」はこちら。これも去年の公演からで群舞の中には娘も混じっております。

Friday, October 11, 2013

「キャプテン・フィリップス」


2009年、アフリカのソマリア沖で、アメリカ合衆国籍の貨物船が、ソマリアの海賊たちにハイジャックされた事件を映画化した「キャプテン・フィリップス」を試写で観た。

2009年4月、貨物船マースク・アラバマ号はソマリア沖でいきなりソマリアの海賊4人組に襲われる。乗組員たちは、フィリップス船長と数人のクルーを操縦デッキに残し、全員、エンジンルームに身を潜める。海賊4人組のリーダーは、“スキニー”と呼ばれる小柄なソマリア人、ムセ。4人の中で英語が一番堪能で、かつ度胸と判断力も備え持つ侮れない相手だった。海賊たちに船を思い通りにされないよう、フィリップス船長とクルーは、海賊たちの眼を盗んで、アラバマ号を動かないようにするが...

ソマリア沖2009年4月12日の事件のように、実際に起きた事件を基にした場合、観客はストーリーがどのように終わるか、判っていることになる。結末がわかっていながらも面白い映画にするためには、ストーリー・テリングをスリリングなものにしなければならないが、監督のポール・グリーングラスは無駄な時間をいっさい使わず、事件の最初から最後までをかっきりと追う。その構成は、スタンリー・キューブリックの「現金に体を張れ」と通じるところがあるように思えた。グリーングラスはドキュメンタリー出身だけあって、手持ちカメラを多用した撮影が効果的に使われているし、ソマリア人海賊役には、アメリカに移住したソマリア人コミュニティでオーディションして、演技経験の無い人間を起用したとのことで、それも作品のリアリズムを倍増させていたと思う。

1つだけ、ちょっとな〜と思ったのは、アメリカ海軍が出てくるシーン。まるで海軍のプロモビデオのような映像は、アメリカ人ではない私には軍事力を誇示しているかのように映って、興ざめしそうになった。

それにしても、秋は「ゼロ・グラビティ」や「キャプテン・フィリップス」のような力作が次々と出てくるから油断できない。派手なだけの大味な大作ばかりがハリウッド映画ではないと認識させられる時期でもあるが、興味深いことに、「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンはメキシコ人だし、「キャプテン・フィリップス」のグリーングラスはイギリス人。そういった海外の才能たちも積極的に取り込んで、アメリカ映画産業に貢献してもらうのも、昔からのハリウッドの得意技。映画界も移民の国アメリカの縮図になっているというわけか...






Wednesday, October 9, 2013

「くるみ割り人形」チケット販売開始!

写真は教室のサイトから拝借しました

娘の教室の毎年恒例の「くるみ割り人形」。
今年は40回目の記念すべき公演ということで、親たちによるファンドレイジングにも力が入り、なんと、サンタモニカ・カレッジの新しい劇場、ブロード・ステージにて、オーケストラの生演奏で上演されることになりました。
日時は、サンクスギビングの週末、11月30日(土)1時&5時、12月1日(日)1時&5時の4回。

生徒たちは9月の初めからリハーサルに励んでいますが、昨日から早くもチケット販売開始。今年が40周年記念公演であること、オーケストラの生演奏付きであることに加え、会場となるブロード・ステージは、座席数499席と、これまで上演してきたワズワース・シアターの約半数の席数であることなどで、チケットの販売ペースはすごいことになっている様子。
さっき、ちょっと数えてみたら、4回の公演中、毎年一番人気となる日曜日の昼の回は、なんと2日間で300席以上が売れていました。これじゃ、この回は一般の御客さんが当日チケットを買う前に、バルコニー以外の席は売り切れてしまいそうな勢いです...

ちなみに、娘はおそらく「雪の精」の群舞はおそらくキャスティング確定。でも、あとのfeatured roleと呼ばれる3〜5人で踊る踊りは、まだキャスティング待ち状態。「いったい、どの回を観に行けば良いんじゃっ!」と親の私たちは困り果てましたが、キャスティング決定を待っていたら、回によってはチケットが売り切れてしまうことは確実なので、半ばヤケクソで全回2枚ずつ買いましたよ、もう!
ま、これだけ売れていれば、買い損ねて「チケット買います!」状態になる親が出ることは間違いなさそうなので、当日、劇場前で「チケット、ありまっせ〜」なんて言って回る怪しいダフ屋もどきのことはしなくて済みそうですが。(苦笑)

Friday, October 4, 2013

「ゼロ・グラビティ」


アルフォンソ・キュアロン監督、サンドラ・ブロック主演の「ゼロ・グラビティ」(原題:「Gravity」)を試写で観た。

ブロック演じる医療技師のドクター・ライアン・ストーンは、初めてのスペースシャトル・ミッションに従事していた。随行しているのはベテラン宇宙飛行士のマット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。スペースシャトルの機器のチェックに専念しているストーンの傍らで、コワルスキーは呑気に宇宙遊泳をしているが、間もなくヒューストンの管制塔から宇宙ゴミの襲来を告げられる。ストーンたちに逃げる暇を与えずに襲来した宇宙ゴミは、彼らが乗って来たシャトルを破壊。ストーンとコワルスキーの他は乗員も死亡。宇宙に取り残されたストーンとコワルスキーは、宇宙服に搭載された酸素がどんどん減っていく中で地球への帰還を試みるが...

「ゼロ・グラビティ」は、或る意味、非常にシンプルな映画である。ヒロインが突然のトラブルに巻き込まれる。それを解決しようと頑張って何とか難局を乗り切るが、すぐに次のトラブルに見舞われる。映画全体がその図式で展開する。しかも舞台は宇宙空間のみ。回想シーンも何も無し。登場人物もほとんどストーンとコワルスキーだけ。
でも、ものすごく面白い。いっときも飽きる時が無かった。

その鍵を握っていたのは、映像のクオリティが超絶的に素晴らしかったことと、サンドラ・ブロックの圧倒的な親近感だと思う。

撮影監督はキュアロンと長年仕事をしてきたエマニュエル・ルベツキ。(余談だが、ルベツキ氏、実は、今年の春まで娘のバレエ・クラスメイトだったAちゃんのパパだったりする。)映画が始まって間もなく、スペシャル・エフェクツが使われていることなど全く意識しなくなってしまうかのごとく、観客たちは宇宙空間に吸い込まれていってしまう撮影マジックを経験する。ちなみに、試写は3Dの映画館で上映されたが、この映画ほど3Dで観て本当に良かったと思えた映画は他に無い。逆に、乗り物に酔いやすい人や高所恐怖症の人は要注意かもしれないけれど。(笑)

サンドラ・ブロックは、「スピード」での親しみやすいキャラ、アニーでブレイクした女優だが、「ゼロ・グラビティ」の親近感は別の次元のものだ。観客は、ブロック演じるドクター・ストーンが最初のトラブルに巻き込まれるや否や、彼女にどっぷり感情移入してしまう。この映画は、ヒロインに観客が感情移入できなければ、面白さが半減してしまうところがあると思うので、ブロックをヒロインにキャストできたのは、キュアロンにとって本当にラッキーだったと思う。(なんでも、最初はアンジェリーナ・ジョリーにオファーされた役だったとか。ジョリーも優れた女優ではあるけれど、ドクター・ストーンを演じるには美人過ぎるし強過ぎたかもしれない。)

「ゼロ・グラビティ」、劇場公開時に是非、大型スクリーンの3Dフォーマットで観て欲しい名作です。