Tuesday, March 17, 2015

「チャッピー」



「第9地区」で注目されたニール・ブロンカンプの新作「チャッピー」を試写で観た。

「チャッピー」の舞台は、「第9地区」と同じ近未来の南アフリカのヨハネスブルグ。極めて治安の悪いヨハネスブルグは、もはや人間の警察官では取り締りしきれず、警察はテトラヴァール社の人間型ロボットに頼っていた。ロボットを発明した技術者のディオン(デヴ・パテル)はテトラヴァール社のブラッドレイ社長(シガニー・ウィーヴァー)に高く評価されていたが、それとは対照的に、巨大な戦闘型ロボットを開発したムーア(ヒュー・ジャックマン)は、役立たずの商品を開発した技術者として社長からは冷たくあしらわれ、嫉妬からディオンを逆恨みする。人間のような思考能力を持った革新的なロボットの開発を自宅で密かに進めていたディオンは、プログラミングを完成させ、不良品としてお払い箱になったロボットを実験用に払い下げてくれるよう社長に頼み込むが、そのようなロボットなど商品価値は無いとして断られてしまう。
新型ロボットを完成させることを諦めきれないディオンは、こっそりお払い箱になったロボットを車に積み込んで自宅に持ち帰ろうとするが、その途中で警官ロボットを開発したディオンに銀行強盗ロボットを作らせようと企むチンピラ3人組に誘拐されてしまう...

「チャッピー」は、かなり過激な暴力描写もあったりするが、物語の中心はチャッピーの成長物語であり、ロボットにとっての自我とは何か、という問いである。その点では、レプリカントが生きる意味を探る「ブレードランナー」と似ているが、映画としてのスタイルはもっと単純で解りやすい。
その点が映画評論家たちはお気に召さなかったのか、「チャッピー」に対してポジティブな映画評を書いたのは1/3に過ぎなかった。ストーリーのテンポは良いし、ハラハラさせるところ、笑えるところ、ホロリとさせるところが沢山あって、すごく楽しめたんだけどなあ。何より、無垢なロボットのチャッピーがすごくキュートで愛らしくて良かった。
「チャッピー」は、「kawaii」文化が根付きやすい日本の観客の方が、案外、良さを解ってあげられる映画かもしれない。


Sunday, March 8, 2015

「アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場」



「glee」のクリエイター、ライアン・マーフィが手がけたホラー・ドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」は非常に評判の良い番組だが、ホラー映画が苦手な私は、シーズン1「呪いの館」のパイロット・エピソードを見始めたけれど、あまりの恐さに最後まで観られず挫折。
シーズン2の「精神科病棟」もいかにも恐そうなポスターを観ただけで、もうダメ。病院ってタダでさえ、恐ーい雰囲気の場所なのに、そこを舞台にホラー・ストーリーが展開するなんて聞いただけで気絶しそうなくらい怖い。

と、最初の2シーズンは観ないまま終わっていたのだけれど、ブロガーの御友達から「シーズン3は、それほど恐くないからJBさんでも観られるんじゃないかな〜」と言われ、一応録画。そのシーズン3「アメリカン・ホラー・ストーリー:魔女団」は、2013年10月から2014年1月にかけて放映されたのだが、1年以上遅れた今年の1月に昼間の時間限定で(だって夜だと恐くて眠れなくなったら困るもんね〜笑)観始めてみたら、これが滅法面白い!まあ、クリエイターがマーフィで、出演陣がジェシカ・ラング、キャシー・ベイツ、フランセス・コンロイ、ダニー・ヒューストン、アンジェラ・バセットなんて面々が揃えば、面白くないわけがない。比較的暇な日のランチタイムは「アメリカン・ホラー・ストーリー」タイムになった次第。

「魔女団」に続いて2014年10月から2015年1月に放映された「アメリカン・ホラー・ストーリー:フリークショー」も観始めたけれど、これも「魔女団」に勝るとも劣らない面白さで、第1話からハマりましたねえ。
「フリークショー」の舞台は、1950年代、フロリダ州マイアミの郊外の町ジュピター。ジュピターにやってきたフロイライン・エルサズ・キャビネット・オブ・キュオシティのオーナーで団長のエルサ・マース(ジェシカ・ラング)は、世界各地で発掘してきた“フリークス”たちで構成された見世物小屋ショーを開催していた。エルサが集めてきた団員には、“ヒゲ女”のエセル(キャシー・ベイツ)と奇形の両手を持つ“ロブスター・ボーイ”のジミーの母子、両腕が極端に短い“アシカ男”のポール、身長が約60cmほどしかないインド人女性のマ・プティ、下半身の無いレッグレス・スージー、2mを超える身長を持つ女性アマゾン・イヴなどが居たが、エルサは母親殺しの容疑で病院に拘置されていた双頭のシャム双生児、ベットとドットを連れ出して仲間入りさせる。
そんな折、ジュピターの町では殺人・誘拐事件が連続発生して町民たちを震え上がらせていた...

「アメリカン・ホラー・ストーリー」の面白さは、物語の中心に殺人や狂気や暴力といったホラー的要素を配しながら、サブストーリーとして、母と娘の確執や同性同士のライバル意識、権力への欲求といった人間ドラマをうまく織り込んでいるところに負うところが大きいと思う。ありきたりのホラーものでは、主人公たちがいかに恐怖の連鎖をくぐり抜けて行くかということだけに終始するから、登場人物たちはゲームの駒に過ぎず、見ている側の興味を魅き付けることはほとんど無い。が、「アメリカン・ホラー・ストーリー」の登場人物たちは、善い行いをすることもあれば悪行に手を染めてしまったりすることもあるし、人間関係も複雑だから、ストーリーの先読みもできず、エピソードを観終わるたびに「次はどうなる?」という期待ともどかしさの入り交じった気持ちで続きを観たくてしょうがない気持ちにさせられる。

「フリークショー」は今、半分ほど観終わったところだが、今年の10月に放映が開始される新シーズンはホテルが舞台だとか。
うーん、ホテルかあ〜〜
ホテルと言えば、ホラー映画の名作「シャイニング」のこともあるし、呪われた家や精神病院と同じぐらい恐そう... 観る度胸があるかどうかは自信が無いけれど、少なくともトライするだけの価値は絶対ある!と思っています。