Saturday, November 20, 2010

NUTCRACKER Season



娘のバレエ教室での年末恒例の「くるみ割り人形」の公演日が、いよいよ2週間後に迫り、今日と来週の土曜日は、スタジオでドレスリハーサルです。
今日は、地元カルバーシティのコミュニティ無料紙の記事のための写真撮影があり、カルバーシティ在住の我が家とDさん御一家の姉妹がモデルになりました。

今年、踊るのは、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の中には入っていないけれど、同じチャイコフスキー作曲の小品を使った「Crystal Bell」という演目。2分足らずの短い曲ですが、8人だけで踊るので、しっかり観られるのが親には嬉しかったりします。(親バカ状態全開中)

Friday, November 12, 2010

UNSTOPPABLE



トニー・スコットの新作「UNSTOPPABLE」の試写に行った。

「UNSTOPPABLE」は、ペンシルバニアの操車場の怠惰な一労働者のアホらしいミスで、1つの街を破壊してしまうぐらいの量の有害ガスを積んだコンテイナーを含む貨物列車が暴走してしまうという話。(これほどすごい規模では無かったようだが、実際に2001年にオハイオで起きた事件を元にしているらしい。)

これまで観た“暴走列車もの”、たとえば黒澤明の原案をアンドレイ・コンチャロフスキーが映画化した「暴走機関車」(1985)とか「大陸横断超特急」(1976)とかは、主人公たちが暴走する列車に乗っており、スピードアップしていく列車を内側から停めようとしてハラハラドキドキさせる作品だった。しかし、「UNSTOPPABLE」は暴走する機関車が或る意味、パニック映画ジャンルのモンスターやエイリアン、あるいはサメのような"外敵”として捉えられているところが新鮮で面白かった。

スコットの演出は相変わらずキレが良くて、一瞬たりとも気を抜かせないエンターテイメント性の高さはさすが。
主演のデンゼル・ワシントンは、列車の重量感に負けない存在感を見せていて、彼以外にこんな役を演じられる俳優は居ないっしょ、と思わせるハマり役。彼をアシストする列車運行管理者役のロザリオ・ドーソンもとっても良かった。従来だったら、男性の俳優を割り当てそうな役に彼女を起用したキャスティングは賢い。

深みのある名作ではなかったけれど、上映時間1時間38分の間、ずっと楽しめる、ハリウッドの映画製作職人芸の賜物みたいな作品です。

Wednesday, November 10, 2010

Boardwalk Empire


<<主演のスティーヴ・ブシェミ。「ファーゴ」では「変な顔の人」呼ばわりされていたけど、今やアトランティック・シティのドンだぜ。>>


今シーズンから始まった番組の中で、実は一番期待していたのは、この番組「Boardwalk Empire」。
だって、何たって、名匠マーティン・スコセッシがプロデュースしているんだから、期待が膨らまないわけはない。
しかも、パイロット(第一話)はスコセッシ師匠、自らが監督しているんだから、もうファンにとっては垂涎ものなのでございます。

「ボードウォーク・エンパイア」の舞台は、1920年のニュージャージー州アトランティック・シティ。主役のナッキー・トンプソン(スティーヴ・ブシェミ)は、市の財務部長で地元ではちょっとした顔の男。郡保安官の弟を通じてのコネもあって、法律違反すれすれのことをしている。折しもアメリカは禁酒時代に入り、酒の密売に乗り出そうとするトンプソンだが、第一次大戦の戦線の記憶を拭えない弟子のジミー(マイケル・ピット)の予想外の行動によって、自分でも気づかぬうちにアウトローの世界に惹き込まれて行く...

といったところがパイロット・エピソードの展開だった。
スコセッシの演出だから、シネフィルの彼らしい過去の作品を彷彿とさせる映像や、1920年代の雰囲気を見事に再現しているカメラワークなど、TVドラマのレベルを遥かに超えた上質なドラマになりそうでワクワクさせられる。もちろん、スコセッシのトレードマークと言っても良いバイオレンスやFワード連発の会話もしっかり入ってます。


<<スコセッシ師匠>>


最近は聞かなくなったけど、HBOのキャッチフレーズは「It's not TV. It's HBO.」。「Boardwalk Empire」は、それをまさに証明するドラマの1つになりそうです。

Friday, November 5, 2010

PROJECT STEINWAY

配偶者の叔母が8月に亡くなった。
デンマーク人の叔母は、アメリカ人と結婚して故郷から遠く離れて暮らす私を同志のように思ったのか、何十年も知っている姪や甥と同じように私のことを可愛がってくれた。
私を気に入ってくれたもう1つの理由に、私が彼女のスタインウェイで夫が好きだったというベートーベンのソナタを弾いたこともあったのではないかと思う。子供に恵まれなかった彼女は養女をもらったが、その子はピアノが嫌で嫌でしょうがなくて結局、叔母もすぐにレッスンを受けさせることを諦めたらしい。
私の娘もピアノを弾くようになり、叔母にも何度か習った曲を聴かせた。

そんなこともあって、叔母は遺書の中で、「スタインウェイは甥の一家に譲ること」という一文を遺してくれたという。

それ自体は、非常にありがたいことで、私たちは叔母の配慮に心から感謝したのだが、問題は、このスタインウェイ、90歳という「高齢」で、修復が必要だったことである。

このピアノは、配偶者の父方の祖母が結婚祝いに贈られたというもので、祖母が亡くなった際、一家の中で唯一ピアノが弾けた叔母が譲り受けた。骨董に非常に目が利いた叔母は、スタインウェイのグランドピアノの価値についてもよく知っていたのだと思う。ただ、彼女は子供の時にピアノレッスンを受けたきりという程度の腕前だったので、このピアノはあまり弾かれることなく歳を重ねていた。私が弾いた時にも、さすがにスタインウェイなので素晴らしい質感の音を出していたが、鍵盤のタッチは鈍く、音の出ないところも何カ所かあった。

ピアノの修復にはすごいコストがかかるということは、覚悟していたのだが、1万5000ドルという見積もりを聞いた際は、配偶者も私も「うーん...」と唸ったきりになってしまった。1万5000ドルと言えば、程度の良い中古車が1台買える。私は別にピアノで生計を立てているわけではないし、娘だって将来、音楽を専門にすることはまず無いだろう。そんな私たちが、そんな大金を出してスタインウェイのグランドピアノなどという身分不相応な物を所有するべきなのか...

配偶者も私もそんな気持ちを抱えたまま、先月、叔母を偲ぶ会に出席するついでに、そのスタインウェイを再度、見に行った。試しにピアノの蓋を開けて、少し弾いてみた。うーーーん、やっぱり欲しい...損得を考える頭とは別の身体の中のどこかでそういう気持ちが沸き起こって、配偶者と私は、叔母の遺品を整理していた彼女の恋人に「このピアノ、いただきます」と宣言。
私は、いったん気持ちを決めるとすぐに行動する人間なので、LAに戻るとすぐに、娘が以前習っていたピアノ教師に紹介してもらったスタインウェイの修復師に連絡を取り、彼の工房まで配偶者と2人で会いに行って、修復を依頼した。ロシア生まれで、ピアノ修復歴40年という修復師、ジーンは、叔母の恋人が問い合わせてくれたピアノ業者よりも少し安い1万2500ドルで修復を約束してくれた。

修復には1ヶ月と1週間かかるということなので、このスタインウェイ、私たちにとっては最高のクリスマス・プレゼントになりそうである。


ピアノの仕上げ塗装の色を決めに、ジーンの工房を訪れたら、私たちのピアノは、中身を抜かれた状態になっていた。


取り外されたプレート。このカーブとかも、スタインウェイ独自のもので、内部の部品の多くが特許製品なのだとか。


修復師のジーンさん。ピアノだったらどんなメーカーの製品も扱うが、特にスタインウェイの修復が得意。彼のピアノ談義は非常に面白い。