Sunday, August 2, 2015

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」


「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を試写で観た。

1960年代のTVシリーズ「スパイ大作戦」を映画化したシリーズも、今回で5作目。フランチャイズ作品は、普通、製作を重ねるごとにパワーダウンしたり、マンネリ化したりすることが多いものだが、この「M:I」シリーズは数少ない例外の1つ。(ジョン・ウーが監督した2本目が一番物足りない作品だったというのが個人的な意見だけれども、それでも駄作というほどではなかったという記憶がある。)本作「ローグ・ネイション」も期待に応える上質な娯楽作に仕上がっている。

アクション映画の定石の1つに、しょっぱなからインパクトの強いシーンを見せて観客を映画の世界に一気に引きずり込むという構成の仕方があるが、「ローグ・ネイション」もそれに倣い、物語は背景などの前置き無しでいきなりトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが、テロリストが飛行機で毒ガスを持ち去ろうというのを止めようとするアクション・シーンから始まる。(このシーン、007映画をはじめとしたスパイ映画によくあるような荒唐無稽なアクションが披露されるが、驚くべきことに、CGなどは使わず、スタントマンすら使わず、クルーズが実際に敢行したとのことで、それを後で知ってド肝を抜かれました。)
ハント率いるIMFのメンバーが次に取り組んだのは、ザ・シンジケートと呼ばれる国際的な犯罪組織を追うことだったが、ロンドンで不意打ちをくらったハントは逆にシンジケートに捕まってしまう。“ボーン・ドクター”と呼ばれる男に拷問されそうになったハントを救ったのは、イギリスの諜報機関MI6の元エージェントでシンジケートの一員になったイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)だった。
一方、アメリカでは合衆国上院の監視委員会でCIA長官のハンレイ(アレック・ボールドウィン)が、ザ・シンジケートの存在を否定すると共にIMFの解体を提言。同席したIMF主任分析官ブラント(ジェレミー・レナー)の反対にもかかわらず、解体は受け容れられ、ハントはIMFのサポートを受けられないばかりか、追われる身になってしまう。そんなハントに出来る事は、シンジケートのリーダー格、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)を捕獲することだった...

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の見どころの1つは、何と言っても、トム・クルーズの身体を張ったアクションだろう。クルーズは今年の5月で53歳になったのにもかかわらず、その肉体派ぶりは御見事。上述した飛行機を追跡するシーンや、カー/バイク・チェイスシーン、潜水シーンなど、全てスタントマンを使わずに自ら挑んだ姿勢には拍手を送らざるを得ない。以前、会った御本人はかなり変わった御仁だったけれど、俳優としてのプロ根性には脱帽である。
クルーズ演じるハントを支えるIMFのメンバーたちを演じる俳優もイイ。ヴィング・レイムスは1996年に公開されたシリーズ第1作からずっと参加している唯一のキャスト・メンバーゆえ懐かしの友人に再会できたような嬉しさがあるし、第3作から参加しているサイモン・ペグは相変わらず可笑しくて善い人というキャラにはパーフェクト。前作の第4作から参加しているレナーも、シリアスな中に時々ユーモアをチラ見させるところがナイス。本作紅一点のファーガソン(イギリス人を母に持つスウェーデン人女優)は、筋肉がしっかりついたアスリート体型ゆえ、綺麗だけど細過ぎる今どきの女性のアクション・シーンよりも説得力があって良かった。

それにしても、これだけの質を保ちながらフランチャイズ化させていくというのは、作るたびにハードルの高さを上げていっているようなもので、製作者たちにはなかなかしんどい事なんだろうなあ、と要らぬ心配をしたりしてしまったのでした。



ちなみに、↑は日本向けの予告編ですが、0:25と1:18に登場するレナーは、別シーンから引っ張ってきたもので、あまり感心する編集ではないです。まあ、ネタばれするとか、誤解を招くほどのインパクトは無いのだけれど、ここに入れる必要も無いだろ、と存在理由の理解に苦しむ編集だったりします。

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