Friday, November 12, 2010

UNSTOPPABLE



トニー・スコットの新作「UNSTOPPABLE」の試写に行った。

「UNSTOPPABLE」は、ペンシルバニアの操車場の怠惰な一労働者のアホらしいミスで、1つの街を破壊してしまうぐらいの量の有害ガスを積んだコンテイナーを含む貨物列車が暴走してしまうという話。(これほどすごい規模では無かったようだが、実際に2001年にオハイオで起きた事件を元にしているらしい。)

これまで観た“暴走列車もの”、たとえば黒澤明の原案をアンドレイ・コンチャロフスキーが映画化した「暴走機関車」(1985)とか「大陸横断超特急」(1976)とかは、主人公たちが暴走する列車に乗っており、スピードアップしていく列車を内側から停めようとしてハラハラドキドキさせる作品だった。しかし、「UNSTOPPABLE」は暴走する機関車が或る意味、パニック映画ジャンルのモンスターやエイリアン、あるいはサメのような"外敵”として捉えられているところが新鮮で面白かった。

スコットの演出は相変わらずキレが良くて、一瞬たりとも気を抜かせないエンターテイメント性の高さはさすが。
主演のデンゼル・ワシントンは、列車の重量感に負けない存在感を見せていて、彼以外にこんな役を演じられる俳優は居ないっしょ、と思わせるハマり役。彼をアシストする列車運行管理者役のロザリオ・ドーソンもとっても良かった。従来だったら、男性の俳優を割り当てそうな役に彼女を起用したキャスティングは賢い。

深みのある名作ではなかったけれど、上映時間1時間38分の間、ずっと楽しめる、ハリウッドの映画製作職人芸の賜物みたいな作品です。

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