Thursday, April 10, 2014

読書した本、2点

3月末から4月はじめにかけて、臨時の御仕事をいただいたため、珍しく多忙な日々。試写にも行けなかったし、ブログの更新もずっとサボってしまった。

久しぶりのブログ、ネタはこれまた久しぶりの読書ネタ。

まずは、以前、ダウンタウンの図書館のインターナショナル・セクションに立ち寄った時に目をつけていた宮部みゆきの「ソロモンの偽証」。
どっしり厚い上に三部作だから、まとまった時間が取れそうな年末年始を狙って図書館にリクエストし、借りて読み始めた。


物語の中心になるのは雪が舞うクリスマス・イヴに、通っていた中学校の屋上から落ちた少年の死。少年が登校拒否になっていたことで、警察も周囲も自殺だったとするが、そこに厄介者として忌み嫌われていた不良少年3人組が殺したという告白状が届いて、その波紋が子供たち、親たち、教師たちを大きく揺らす...

前述したように、「ソロモンの偽証」は3部構成になっていて、第一部は「事件」と題されて、少年の死が与えたインパクトを群集劇風に描く。第二部「決意」は少年の同級生だった女子生徒が、少年の死の真相が解き明かされないまま、うやむやに葬られていくことに我慢できず、自分たちの手で明らかにしようとする過程が描かれる。第三部「法廷」では、少年の死の謎を追及する手段として開かれることになった裁判が展開する。

とにかく、自殺である可能性が高い一少年の死だけを題材にして、2100ページ以上のドラマティックな大作に仕上げた宮部みゆきの筆力はすごい。特に、少年少女たちの人物描写は実に巧く、読み手の頭の中にそれぞれの人物像がくっきり浮かび上がる。私が中学生だったのはン十年前も昔のことだけれど、「こういうヤツ、居る居る」とうなずいたり思わずニヤリとなったり。
日本では映画化が進んでいるようだけれど、こんな大作を2時間ほどの映画にすることによって、登場人物像が薄っぺらくなってしまったり、物語のディテールが省略されてしまったりすることになりそうなのがちょっと心配。こういう作品は、TVドラマシリーズにする方がずっと向いていると思うんだけど。



もう1冊は柚月裕子著の「検事の死命」という短中編を3作あつめた本。


毎週のようにDVDや本を借りてくる近所の図書館の書架で見つけた。柚月裕子という作家の名前は聞いたことが無かったけど、宝島社の「このミステリーがすごい」大賞シリーズという謳い文句に魅かれて借りた。
地方検事が主人公のシリーズものの第3作とのことなので、主人公の検事の過去などを知っていればもう少し楽しめたのかもしれないけれど、扱っている事件が郵便物の紛失事件とか、主人公の父の横領事件、電車の中の痴漢事件、とあまり重大ではない犯罪なので、かなり地味。これも、登場人物の魅力とか作者の描写力で読ませていく類いのミステリなのだろうけれど、個人的な趣味から言えば、ちょっと物足りない気がした。

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