Wednesday, October 15, 2014
「セッション」
今年のサンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した「セッション」(原題:「Whiplash」)という映画を試写で観た。
「セッション」の主人公アンドリューは、プロのドラマーを目指して「ニューヨーク一の、つまりは世界一の」音楽大学に入学。練習室でドラムを叩いているところを、大学随一のジャズバンドを率いる教師フレッチャーに眼を留められ、バンドの練習に参加するよう誘われる。新入生なのにトップバンドのリーダーに誘われて意気揚々と練習に参加したアンドリューを待っていたのは、虐待に限りなく近いフレッチャーのスパルタ指導だった...
上にも書いたように、この映画の主人公はアンドリューで、演じるマイルズ・テラーは迫真の演技を見せているが(ドラムも短期集中で特訓したらしく、その成果は見事にスクリーンに反映されている)、それを喰ってしまう勢いの凄絶な演技を見せるのはフレッチャー役のJ・K・シモンズ。サム・ライミの「スパイダーマン」シリーズの新聞社の編集長ジェイムソンや「JUNO/ジュノ」のヒロインの父親役などで知られている俳優だが、警官やFBIの捜査官からドクター、囚人までと広い幅の役をこなし、出演作もシリアスな人間ドラマからサスペンス・スリラー、コメディと首尾範囲も大きい。
スパルタ教師タイプは、これまでも何度となく映画に登場してきたが、コメディでは揶揄されっぱなしで終わり、シリアスな作品だと、たいがい最後には主人公と「心を通わせる」という「感動的」な展開になるのがほとんど。「セッション」も、ある時点でそうなるかと思わせる部分があったのだが、嬉しいことに見事にそれを裏切ってくれる。
監督のデミアン・チャゼルは29歳。若いからこそのエネルギーに満ちた力作だと思う。
ちなみに、フレッチャーが言う「英語には『good job』という2語ほど有害な言葉は無い」という台詞には、思わずニヤリとしてしまった。
アメリカ人の教師も親も、本当に不必要なほど「good job」という言葉を頻繁に口にする。根拠の無い褒め言葉ほど子供をダメにするものはない、という点については、フレッチャーに大いに共感したのでした。
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