Thursday, December 31, 2015

「スポットライト 世紀のスクープ」


キネマ旬報誌の「冬の増刊号」という臨時号に2016年のオスカー候補作の予想記事を書くのにあたり、いろいろとリサーチした中で「絶対、観たい!」と思ったのが、「Spotlight」(邦題「スポットライト 世紀のスクープ」)という作品。

“スポットライト”というのは、長期に渡ってリサーチ、取材が必要なトピックを追って記事にする4人の新聞記者から成るボストン・グローブ紙の特捜記者チームの名称。
フロリダからやってきた新任のエディター、マーティン・バロン(リーヴ・シュライバー)は、グローブ紙の小さなコラムで採り上げられていたボストンのカトリック司祭が子供の信者たちを性的に虐待していたという事件に注目。スポットライト・チームのロビー(マイケル・キートン)、マイケル(マーク・ラファロ)、サーシャ(レイチェル・マクアダムス)、マット(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)に、事件を掘り下げて追ってみるよう指示する。カトリック教会が絶大なる権力を誇るボストンで、司祭を犯罪者として糾弾するような取材は容易なものではなかったが、スポットライト・チームは持ち前のカンと粘り強さを発揮して、真相を究明するべく取材に乗り出す...

監督のトム・マッカーシーらが、ピューリッツァー賞に輝いたボストン・グローブ紙のスポットライト・チームに映画化の話を持ちかけた際、ロビーことウォルター・ロビンソンをはじめとした記者全員、「映画化してくれるのは構わないけど、コツコツとリサーチしたり取材したりする地味〜な我々の仕事を再現しても退屈なだけ」と思ったそうだが、退屈どころか、無駄なシーンなどいっさい無しに遅過ぎず速過ぎずのペースで進んでいくドラマはミステリ小説の映画化作品ばりにスリリングで超一級のエンタテイメントだった。
私にとっては、2015年ベスト1の作品になると思う。

日本用の予告編はまだ出回っていないようなので英語版で:


余談だが、いつも御仕事をさせていただいているスーパードラマTVさん放映の「レイ・ドノヴァン」の取材でリーヴ・シュライバーに電話グループ・インタビューした際、途中で電話が切れてしまったことがあった。またつながってインタビューが再開した時、シュライバーが「今、電車でボストンに向かっているところなので電波が切れちゃったみたいだね」と言ったので、ジャーナリストの1人がボストン行きについて聞いたところ「カトリック牧師の児童虐待についての映画を撮っているところなんだ」という返事が返ってきたのだけれど、今思えばそれが「スポットライト」だったんですねえ。

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