Sunday, January 3, 2016

2015年最後の3ヶ月に観た映画

今年は10月から年末にかけて試写を利用してまとまった数の映画を観たのだけれど、その全てはブログに書けなかったので、ちょっと駆け足で一言メモ的に書いてみることにする。

10月7日:「スティーブ・ジョブズ」



アップル社の共同創設者スティーブ・ジョブズの伝記映画だが、ジョブズの半生を年代を追って描く代わりに、ジョブズにとってターニングポイントとなったアップル社の製品の発表を時間軸に見立てて、三幕ものの舞台劇のような構成にした点が新鮮だった。マイケル・ファスベンダーは相変わらず上手いです。


10月15日:「ブリッジ・オブ・スパイ」



冷戦時代に実際に起きた米ソの捕虜交換の舞台裏を描くスピルバーグ作品。スピルバーグだからツボはしっかり押さえているし、主演のトム・ハンクスも安心して観ていられる演技を見せているのだけれど、基本的に「アメリカ万歳」な映画なんで、そこが私のようなアウトサイダーには少々居心地の悪いところが無きにしもあらず。


11月4日:「007 スペクター」



冒頭のシーンの長回しショットに「おお〜〜っ!」となったのだけれど、その盛り上がりがその後に続かなかったのがとても残念。ダニエル・クレイグのスーツ姿、コート姿も「おお〜〜っ♡」となったのだけれど、ボンドとボンドガールの間に火花みたいなのが欠けてたというか... クレイグのボンドでは「カジノ・ロワイヤル」と「スカイ・フォール」が甲乙つけがたく良かったけれど、そのいずれにしてもボンドが女性に熱い思い入れを抱いている作品なんですよね。2作目の「慰めの報酬」にしても「スペクター」にしても、ボンドが熱い思いを寄せる女性の存在が無かったのが意外に敗因だったりするのかも??と思ったりした。


12月9日:「マネー・ショート 華麗なる大逆転」



経済のことなんてさっぱり解らない私でも楽しめた“エコノミー・サスペンス”(?)。ウィル・ファレルを多用して「俺たちニュースキャスター」シリーズや「アザー・ガイズ」といったオバカ系コメディを監督してきたアダム・マッケイが本気を出して(?)作ってみたら大評判になったという作品。キャストもクリスチャン・ベール、スティーヴ・キャレル、ライアン・ゴスリング、ブラッド・ピットという贅沢な顔ぶれ。


12月10日:「レヴェナント:蘇りし者」



力作というのは、まさにこういう映画のことを指すのだと断言できる映画。レオナルド・ディカプリオ演じる毛皮狩猟グループの1人が熊に襲われ、仲間に見捨てられたところを生き抜く本能と復讐の執念だけでサバイバルしていく過程を、ディカプリオの壮絶な演技とアレハンドロ・イニャリトゥによる容赦無い演出で描く。イニャリトゥ作品の撮影監督エマニュエル・ルベツキのカメラワークもいつもながら素晴らしかった。


12月14日:「Concussion」



プロ・フットボール選手が鬱病におちいったり暴力的な行動に出て、果ては自殺に至る例が続出。原因は練習や試合の際に何度も頭に衝撃が加えられることから脳細胞が異常をきたすことにあるのではという疑念を持ったナイジェリア出身の医師ベネット・オマルが、巨大な組織であるNFLを相手に孤独な闘いを挑むという、「インサイダー」のフットボール版といった映画。テーマ自体は意義あるものだと思ったけれど、主演のウィル・スミスの演技と本作が監督2作目だというピーター・ランデズマンによる演出も特にすごい!と感心するほどのものではなかったかも。


12月21日:「ジョイ」



独創的で発明が得意な少女だったジョイが、不本意にもシングルマザーになったうえ、エキセントリックな両親の面倒までみなければいけないという境遇で一念発起して起業家になるサクセス・ストーリー。ストーリー展開自体はありがちなアメリカン・ドリームをなぞっているところがあったけれど、ジェニファー・ローレンスの存在感と全身全霊でヒロインになっているのがこちらに伝わる演技がその足りなさを補って、特に若い女性には観た後、良い気分になれる作品に仕上がっていると思う。


と、この秋から暮にかけて観た映画でこれまでブログに書きそびれていた作品を駆け足で書いてきたけれど、「スペクター」以外の、つまり7本中6本までが、実話に基づいているという“実話率”は凄いですね。現実世界というのはそれだけドラマチックなのだと思うと同時に、そんな現実を超える作品を創り出せない今どきの映画界もちょっと寂しい気がする。

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