Sunday, February 7, 2016
「ヘイル、シーザー!」
ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の新作「ヘイル、シーザー!」を試写で観た。
コーエン兄弟は、基本的にノーテンキで楽観的なハリウッド映画とは一線を画し、ダークなユーモアを交えながら人間の本質をえぐるような作品を撮るところが大好きな監督/脚本家デュオなのだが、「ヘイル、シーザー!」も、大笑いしながら「うーん、鋭い...」と思わせるところがある作品だった。
舞台は1950年代のハリウッド。「ヘイル、シーザー!」の主役、エディ・マニックス(ジョシュ・ブローリン)は、キャピタル・ピクチャーズの製作部長だが、映画の製作陣頭指揮を取るだけに留まらず、駆け出し女優のスキャンダルを未然に防いだり、演技力ゼロの西部劇スターにキレる大物監督をなだめたり、未婚の人気女優の妊娠問題を解決したりと、フィクサー的な役割も果たす毎日をおくっている。そんな或る日、ローマ時代を舞台にした史劇「ヘイル、シーザー!」の主演スター、ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が誘拐されるという事件が起きる...
この映画の楽しみの1つは、何と言ってもコーエン兄弟お気に入りのクセのある俳優が揃っているキャストだろう。前述のブローリン(過去のコーエン兄弟出演作は「ノーカントリー」+「トゥルー・グリット」)、クルーニー(「オー・ブラザー!」+「ディボース・ショウ」+「バーン・アフター・リーディング」)の他にも、スカーレット・ヨハンソン(「バーバー」)、ティルダ・スウィントン(「バーン・アフター・リーディング」)、そしてジョエルの妻でコーエン兄弟作品常連のフランセス・マクドーマンドらの面々が、相変わらず強烈な演技を見せてくれる。
もう1つ見逃せないのが、1950年代にハリウッドで量産されていた映画のオマージュ的パロディの数々。タイトルになっている史劇「ヘイル、シーザー!」は明らかに「ベン・ハー」のパロディだし、他にも「水着の女王」やジーン・ケリー風ミュージカル(誰が主演スターを演じているかはお楽しみに!)、歌うカウボーイが出てくる西部劇、白黒で撮影されたメロドラマなどなどと、映画通だったらニヤリとしてしまうシークエンスが連続して飽きることが無い。
同じハリウッドを舞台にしたコーエン兄弟の「バートン・フィンク」のダークさは無いが、その分、文句無く楽しめるコメディになっている。
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