Thursday, September 15, 2016

HBOによる力作ドラマ:「The Night Of」


夏の間の限定シリーズ「The Night Of」を先週、観終わった。素晴らしいクオリティのドラマだった。

「The Night Of」の主人公はクイーンズに住むパキスタン系の大学生、ナズ(リズ・アーメッド)。或る夜、いとこの車でパーティに繰り出すはずだったのに、ドタキャンされてしまう。どうしてもパーティに行きたかったナズは、タクシーの運転手をしている父親と同僚2人が共同所有するタクシーを内緒で拝借してマンハッタンに向かうが、天井灯の消し方を知らないために、道に迷って停車している際に、客待ちタクシーだと思った客が乗り込んできてしまう。営業中でないことを説明して降りてもらうナズだったが、3回目、若い女性が乗り込んできた時には彼女の物憂いな美しさに魅かれてつい乗車を許す。
その女性、アンドレア(ソフィア・ブラック=デリア)は「ビーチに連れて行って」とせがむが、マンハッタンにビーチは無い。仕方ないので、 ハドソン川のほとりに連れて行く。アンドレアは、そこでナズにドラッグ(エクスタシー?)を渡す。躊躇うナズだが、アンドレアに誘われるまま飲むナズ。2人はその後、アンドレアの家に向かい、一夜を共にするが…

ナズを演じるアーメッドは、ラッパーとしてスタートしたパキスタン系のイギリス人だが、眼だけで演技できる生来の俳優。最近は、ラッパーとしての活動より俳優としての仕事の方が多いそうだが、むべなるかな。
リズ・アーメッド
眼力がすごい

アーメッドをはじめとして、「The Night Of」はとにかくキャストが素晴らしい。後にナズを弁護することになるしがない弁護士にジョン・タトゥーロとナズを追及する刑事に舞台俳優として知られるビル・キャンプが、報われることの多くない仕事なのに力のある限りを尽くさずにはいられない中年男たちを演じて、とりわけ良かった。
弁護士のジョン・ストーン役のジョン・タトゥーロ
「ザ・ソプラノズ」の故J・ガンドルフィーニが演じるはずの役だったとか

刑事デニス・ボックス役のビル・キャンプ
ストーンが”狡猾な動物のような男”と称したベテラン刑事を好演

こういう役者たちの演技を見ると、やっぱりアメリカの俳優のストックって凄いなあ、と思わざるを得ない。

「The Night Of」は、一応、犯人探しのジャンル、who-done-itに該当する推理ものゆえ、これ以上、ストーリーを語るのは”反則”になりかねないので、とりあえずHBOによる予告編のリンクを貼っておきます:



予告編を見るとわかると思うけれど、寒々しい蒼色を基調とした映像も、作品全体のムードによく合っていて賢い選択。

あと、オープニング・クレジットの音楽が私はとても好きだった。
我が家は、基本的にはドラマは録画して見るので、最初のクレジット・シークエンスはたいがい早送りするのだけれど、「The Night Of」だけは音楽が良かったので、早送り無しでした。音楽を担当しているのは、TVドラマ版「ファーゴ」の音楽を担当したジェフ・ルッソ。



オープニング・クレジットは映像も美しい。

「The Night Of」、日本でも放映されるといいのですが…

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