Saturday, January 17, 2009

Hotel for Dogs


映画雑誌に記事を書いているということでアメリカ映画協会(MPAA)に登録すると、大手の映画会社によるほとんどの作品の試写会に招待してもらえる。ほとんどの試写は、平日の夜7時とか7時半開始なので、主婦の私にはちょっと行きにくいのだが、家族向けの映画だと子供が行きたがるので、ちょっと夜更かしになってしまうけれど、行くことが多い。

先日、観に行った「Hotel for Dogs」という映画もそうだった。

「Hotel for Dogs」は、孤児になった16歳のアンディ(エリック・ロバーツの娘でジュリア・ロバーツの姪でもあるエマ・ロバーツ)と11歳のブルースの姉弟が犬を飼うことを許可してくれない里親(リサ・クドロー&ケヴィン・ディロン)に隠れて愛犬フライデーを飼っているが、或る日、フライデーをかくまっておくのに格好な廃業したホテルが近所に見つかる。元からそこに住んでいた犬2匹とフライデーを飼い始めた2人だが、冷酷な動物管理局の職員たちからレスキューした犬もどんどん増えていって…という御話。

映画の根幹は、それまで里親たちとうまくいかずに、住む家庭を転々としているアンディとブルースが決して犬たちを見捨てないというところにある(と思う)のだが、そのメッセージはいたって前向きであるものの、いかんせん、設定に無理があり過ぎる。まず、架空の街(NYにもシカゴにもLAにも見える)のダウンタウンのど真ん中に、かつては高級ホテルだったという建物が、中の家具・調度、食器などに至るまでそのまま、手つかずに残っているということ。犬たちの住処にするにあたり、発明の天才のブルースがいろいろな装置を考案するのだが、その多くが“犬はそんなこと、しないっしょ”と突っ込みたくなるものばかり。ドッグフードにしたって、あんな頭数の犬をまかなっていこうと思ったら毎日、すごい出費になる。ストーリーの展開にも、かなり無理が多いし、クライマックスにいたってはリアリティが失われるほどの楽観的。またまた“世の中、そーゆーもんじゃないってば~~”などと突っ込みたくなる。

子供向けとはいえ、映画の設定、展開にはある程度、リアリティが必要だと思う。もちろん、「チャーリーとチョコレート工場」や「ナルニア国物語」のようなファンタジー系の作品だったら、ある程度“ありえね~~”と思えてしまうようなことがあっても、それほど不自然には映らない。が、「Hotel for Dogs」のように、他の部分がリアリスティックに作られているような映画で、犬たちが揃って便器にまたがるようなシーンを見せられても、正直、困るのだ。

まあ、同伴した8歳児はそこそこ気に入ったようだから、子供向け映画としてはそれで良いのかもしれないけど、子供だましの作品に付き合わされる大人の身にもなって欲しい。そういう点で、やっぱりピクサーは偉い。

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