ベン・アフレックの最新監督作品「アルゴ」の試写を観に行った。
「アルゴ」は、1979年、イランアメリカ大使館人質事件のさなか、アメリカ大使館の裏口から密かに脱出してカナダ大使の自宅にかくまわれていた6人のアメリカ大使館員たちを無事に国外に逃がす救出作戦を描いた政治サスペンス・スリラーである。
1979年11月、イラン革命の敵だった国王を亡命させたアメリカに対するイラン人の不満は最高潮に達し、アメリカ大使館を急襲した暴徒たちは居合わせたアメリカ大使館関係者や海兵隊ら52人を拉致。その安否が気遣われていた。脱出した大使館員6人も身元がばれれば殺される可能性が高かったため、CIAはどのような救出作戦を取るか頭を悩ませるが、当時39歳だったCIAエージェント、トニー・メンデスは、突拍子も無いと思われる作戦を考え出す。それは、「アルゴ」という名の映画プロダクション企画をでっちあげ、大使館員6人はイランへロケハンに出かけたカナダ人映画クルーと偽って国外に逃がすという作戦だった…
と、設定を読むと「そんなバカバカしい作戦、成功しないに決まっている」と思いそうなものだが、この話は実話で、登場する人物たちも全員、実在の人物である。
「アルゴ」作戦は、長い間、公式の場で語られることはなかったが、1997年にようやく公表されたとか。
“ニセ映画企画”「Argo」の実物のポスター
「アルゴ」は、アフレックの監督作3本目だが、登場人物をそれぞれ丁寧に描きながらも、テンポを緩めずたたみかけていく演出は前作「ザ・タウン」の時と同様。今回は、ハリウッドをおちょくった台詞も随所にちりばめられていて(ハリウッド・プロデューサー役のアラン・アーキン、特殊メイクアップの達人役のジョン・グッドマンが実に良い味を出している)、御膝元のロサンゼルスの観客たちにはバカ受け。(試写場も、ハリウッドのど真ん中、チャイニーズ・シアターだったしね。)
シリアスなサスペンス・ドラマとなる救出劇と、ハリウッドをネタにした風刺コメディという、相容れにくい2つの要素もしっかりバランスが取れていて感心させられた。
エンディング・クレジットの際に、演じた俳優たちと実在人物たちとの写真を並べたスライドショーみたいなものが映し出されるのもナイスなアイディア。
ちなみに、出演陣にはとても多くのTV俳優たちが起用されているのも、個人的には嬉しかった。いつもはTVというsmall screenを活躍の場にしている俳優たちが、ハリウッドのA級作品に出ている!という感じで、一所懸命仕事していたんだろうなあ、なんて想像できて嬉しかった。
追記:6人の大使館員役の1人は「ゴシップガール」のレイトン・ミースターが演じていると思い込んでいたら、全然違う人でした。あちゃあ~~~(汗)ということで、そのように書いた部分を削除しました。ミースターだと思い込んでいた女優さんはケリー・ビシェというアメリカでも日本でもあまり知られていない人です。
オリジナル予告編:
日本語予告編はコチラ:
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