Saturday, November 17, 2012

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日


「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」の試写に行ってきた。

「ライフ・オブ・パイ」の主人公パイの一家はインドの元フランス植民地だったポンディシェリというところで動物園を経営していたが、息子たちの将来のために、と父親がカナダへの移住を思い立ち、動物連れで太平洋を船で渡航するが、途中、大嵐に巻き込まれてしまう。

物語は、中年男性になったパイの回想を、カナダ人のライターが聴くという形をとっているのだが、その設定がラストで活きてくる。

監督のアン・リーは、初期には台湾人としてのアイデンティティを感じさせる作品を作っているが、4作目にしていきなり、「いつか晴れた日に」でイギリスの階級社会を意識した人間関係の機微を細やかに描いて私たちを驚かせ、その後もアメリカ人監督以上にアメリカ人のことを理解しているのではないかと思わせる作品(「アイス・ストーム」、「楽園をください」、「ブロークバック・マウンテン」)を作って、私たちを感心させ続けてきたが、今度は、スケールの大きいファンタジー文学を見事に3D映像化させるという、さらに未知のジャンルに挑戦。息を呑むような映像もさることながら、俳優たちがそれに負けない存在感を出すよう導いている演出力はさすが。

小学校高学年からシニア世代まで揃って楽しめる上質の映画だと思う。

No comments: