Tuesday, December 25, 2012

ジャンゴ 繋がれざる者


クリスマス前の木曜日(12月20日)、クェンティン・タランティーノの新作「ジャンゴ 繋がれざる者」の試写に行った。

舞台は南北戦争数年前のアメリカ。
他の奴隷たちと鎖に繋がれて歩くジャンゴの前に、歯医者から賞金稼ぎに転身したドイツ人、ドクター・シュルツが現れ、自分が捜しているお尋ね者の三兄弟の顔を知っているジャンゴに彼らを捕まえる手助けをして欲しいと持ちかける。彼らを捕まえられたあかつきには、自由の身にした上にボーナスを奮発するからと。
こうして、シュルツとジャンゴの不思議なパートナーシップが誕生。2人は首尾良く三兄弟を仕留めるが、無事仕事を終えた後、ジャンゴはシュルツに別れ別れになってしまった妻のことを話す。ジャンゴはミシシッピへと売り飛ばされた妻を救い出すつもりだと言う。シュルツは、人種差別がことさら激しいミシシッピにジャンゴ独りで行くのは危険だからと、自分も同伴して手伝うことを申し出る...

「ジャンゴ」は、タランティーノによるマカロニ・ウエスタンのオマージュであることは明らかだけれど、思わず吹き出してしまうようなユーモアとこれでもかっ!というぐらいの誇張されたバイオレンスは相変わらず。特にバイオレンスは、好きな人は好きだろうけどダメな人はダメだろうなという描写がてんこもりだった。

この新作で特筆すべきことは、ドクター・シュルツ役のクリストフ・ヴァルツ。エレガントなヨーロピアンの香りを漂わせつつ、「やる時はやりますよ~」と言わんばかりに炸裂するバイオレンスは凄い。「イングロリアス・バスターズ」の時よりも凄い。演技、というより、その存在感に磨きがかかっているような気がする。
キャンディ役のレオナルド・ディカプリオも、珍しい悪役を楽しんでいる感じ。近年、貫禄がついてきてはいるけれど、まだまだボーイッシュな魅力が残っていて、それでいてワルだというアンバランスが素敵。
サミュエル・L・ジャクソン演じるディカプリオの召使頭も、とても巧い。いわゆる白人に媚びへつらう黒人の典型と思わせておいて、それだけではないというキャラを完璧に体現している。
この3人の存在感と演技力の前で、やや影が薄くなってしまっているのは主役のジェイミー・フォックス。決して悪くない仕事をしているのだけれど、彼を囲む3人のレベルが高過ぎてちょっと気の毒だった。





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