Tuesday, March 19, 2013

禁断のゲイナー・ミンデン(笑)

娘の足の成長がほぼ止まった状態になったので、最近は、ポアントシューズを3足ぐらい使い回ししている。
去年はしばらく、グリシコとロシアンポイント(日本ではRクラスという名前)を交互に履いていたが、1月にフィッティングしに行った際に試したブロックが意外に気に入って、1月からはロシアンとブロック2足を使い回ししてきた。そのロシアンがまたつぶれてしまったのだけれど、今度はロシアンの代わりにまた何か新しいブランドを試したいというので、先々週末、再びフィッティングへ。

娘がフィッティングに行くのはロバートソン通りにあるThe Dance Storeというダンス専門店。いつもフィッティングを御願いするのは店長のジェニーさん。

The Dance Storeのジェニーさん(右、って判りますよねー笑)
写真はThe Dance Storeのサイトから御借りしました。

ジェニーさんは顧客の足を知り尽くしていて、安心して御任せできる。(この間はフィッティングの合間に世間話になったんだけど、ニューヨークシティ・バレエで踊っていた娘の教室の先生は某メーカーがカスタムメイドしてくれていて、お気に入りの生徒のためにも調達していたとか何とか、そんな話がどんどん出てきたりする。)
そのジェニーさん、ありとあらゆるメーカーのありとあらゆるモデルのポアントをあーでもない、こーでもないと試している娘を観て、「うーん、足がかなり疲れているみたい。どれを履いても履き心地が悪いということは軟組織を痛めているのかも...こうなるとゲイナーしかないかしらねえ」という診断を下した。

ゲイナー。深履き(?)モデル
私たちが買ったのはハードタイプ。それでもこんなに最初からしなってます。

ゲイナーとはゲイナー・ミンデンというアメリカのポアントシューズ・メーカー。
シャンクという靴の底にあたる部分にプラスティックを入れているため、他のシューズより柔らかく保ちも段違いに良い。そういうシャンクゆえ、足に優しく立ちやすいのが特徴。
と書くと良い事だらけのように聞こえるだろうけれど、問題は足に優し過ぎて楽に踊れてしまうこと。その結果、ポアントで踊るにあたって必要な筋肉が鍛えられないままになってしまうとか。そういう理由で、ゲイナー禁止にしている先生も居ると聞くし、なんでもニューヨークシティ・バレエの付属校SABでもゲイナーは御法度だとか。去年、日本でカスタムオーダーのポアントシューズを作ってもらった綜芸の職人さんも、ゲイナーは筋力が落ちてきた年配のダンサーのためのポアントだから、トレーニング中の若いバレエ生徒には良くないという意見だった。

それゆえ、ずっと避けてきたゲイナーだったけれど、足が疲れてきている時に無理をさせない方が良いというのも確かに一理ある。なにせ、普段は月、水、金に1時間15分ずつあるポアントのクラスに加えて、火曜日に1時間半、土曜日に1〜2時間の春公演のリハーサルがあって、週5日間もポアントシューズを履かねばならないのだから、足が疲れるのもむべなるかな。
ジェニーさん曰く、確かにゲイナーは初心者向けではないけれど、ポアントを履き始めてから今年の6月で丸3年になる娘は、もはや初心者ではないし、ゲイナーと他のポアントとを交互に履いていく分には全く問題が無いだろう、と。

というわけで、娘もついに禁断のゲイナーに手を出す、じゃなかった足を入れる(笑)ことになりました。

ちなみに、ゲイナーは高いです。原産国アメリカでも定価は116ドル(約1万1000円)。The Dance Storeはバレエ教室割引があるので、10%ディスカウントしてくれるけれど、10%近い消費税がつくから結局100ドルを超しちゃう。まあ、保ちが良いということなので、例えば60ドルのブロックが15時間も保たないところ、ゲイナーなら30時間以上保つということなのであれば、かえってオトクということになるわけだけれど、どうでしょうか...
それとゲイナーは、サテン地も丈夫そう。でも、丈夫ってことは厚いってことで、ゴムとリボンを縫い付けるのがとにかく大変で、指がボロボロになってしまった。(涙)

ゲイナーのサテン地、クローズアップ。テクスチャー、見えるかな?
中の白い生地はフワフワとしたフェルト。気持ち良さそうです。
右上端っこにリボンが付いているけど、これを表地に見えないようかがり縫いするのが大変だった〜

とまあ、そんなゲイナーを今日、いきなりリハーサルに履いていった娘。感想は?「うん、良かった、良かった。特に回転わざがしやすいみたい」とのことで、とりあえず100ドルの投資が無駄にはならなかったようで、ホッとしたのでありました。

4 comments:

はにバニ said...

ゲイナーだぁ。足が疲れてる時にってのは、ホント良いアドバイスですね。うちも前まで一足持ってたけど、もう駄目になっちゃったわぁ。(やっぱり、足がきつい時に履くと楽だったみたい)一足、そういうポイントシューズを持っておくのも手ですよね。

J.B. Ogihara said...

「足が疲れている時用のポアント」というアドバイスは、ホント、目ウロコでした。ゲイナーは足が楽→筋力がつかない、という事ばかりが気になってこれまで拒んできたわけですが、逆に、足が疲れている時には楽させてあげようという考え方もあるんだ、と。
で、現在、月、水、金のポアントクラスの時は、トレーニングできるようにブロック、火、土の春公演のリハーサルの時はゲイナーと、使い分けています。違うタイプの靴を使い分けるというのも、脚、足の疲れる所が違うから、それも脚・足のためには良いんだそうですよ。

ymomen said...

バレエに関する記事、多くを興味深く拝読しました
娘はほぼ2年、ゲイナーを履いています
別の記事で指摘なさるように、プラスチックの部分が露出するようになると、滑る原因にもなり、危険だし、すでに書かれている難点を思うと、もともと履いていたグリシュコのほうが足のためにはいいのではないかと思っています
サテンが破れてプラスチックが露出した部分に、モールスキンというテープをその大きさに合わせて貼り付けると、もうしばらく履けますよ
娘の足の成長はまだ止まっていないので、まだオンラインでは買えません
高価でもしかたがないですね
そちらのスタジオは、ここで娘が通うスタジオとは規模が鯨と金魚みたいに違います 笑

J.B. Ogihara said...

ymomenさん、こんばんは。
早速ブログを御覧いただいたようで嬉しいです。ありがとうございます!
お嬢さん、グリシコだったんですね。娘も「グリシコ時代」、ありましたよ〜。娘は足の成長は止まったようなのですが、現在お気に入りのカペジオは、ネットで買っても店で買ってもほとんど値段が変わらないので、試し履きをして安心して買えるという利点を考え、ダンスストアまで買いに行っています。そうそう、誰に聞いたのか忘れましたが、グリシコに限っては日本で買う方が安いのだそうです。
ymomenさんのブログ、これからも寄らせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしく御願いいたします。(^^)