Thursday, November 21, 2013

ボリショイの闇



昨日のロサンゼルスタイムズの束からエンターテイメント関係記事が載るCALENDARセクションを引き抜いてビックリ。アメリカ人女性として初めてボリショイ・バレエに入団したジョイ・ウォマックが同バレエ団を辞めた記事が、一面に大きな写真入りで掲載されていたから。
ジョイ退団のニュースは、バレエおたくのママ友さん(Kちゃん、あなたのことよん♪)が教えてくれたダンスマガジン誌のサイトで読んで既に知っていたけれど、ハリウッド城下町のロサンゼルスの主要紙でバレエの話題がこんなに大きく採り上げられるとは予想していなかったから。

ジョイは、娘のバレエ教室に通っていたことがあり、その縁で今は亡き校長先生の遺志をくみ、去年、娘のバレエ教室の「くるみ割り人形」でゲストアーティストとしてシュガープラムを踊ったバレリーナ。
アメリカで行われたボリショイ・バレエ・アカデミーのサマープログラムに参加した際に認められて、本国のアカデミーに入学。激しい競争を勝ち抜いてバレエ団に入団した経緯は、アメリカのメディアでも誇らし気に報道されていた。

LAタイムズの記事に依ると、ソリストとして契約して入団したものの、ソロのパートはおろか、群舞の役すら回って来ない。代役要員としてリハーサルには出ても、舞台には立たせてもらえない。ボリショイに在籍した1年間でジョイが踊ったのは、「くるみ割り人形」のスペインの踊りを1回、そしてその他の3公演に群舞として計7回出ただけ。いつも舞台袖で他のダンサーたちが踊っているのを眺めるだけの彼女について、意地悪なロシア人の同僚は“アメリカン・チアリーダー”とジョークのねたにしたとか。

思いあまったジョイが団の上層部の人間たちに相談した際、返って来た答は「もっと頭を使って上手く立ち回れ」、「短いヴァリエーションを踊りたいなら1万ドル払って自分が真剣であることを訴えろ」と、暗に賄賂を示唆するものだったと言う。

ボリショイで成功していくにはそれしか無いことを思い知らされたジョイは、団に辞表を出した。それは「初恋の人に別れを告げるぐらい辛いことだった」とジョイはLAタイムズのインタビューに答えている。

世界三大バレエ団の1つとして讃えられるボリショイ・バレエ団だが、華やかな舞台裏にはこういう闇も潜んでいるということか...


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