Monday, January 6, 2014

「ブレッチリー・サークル」


今年のエンターテイメント・ウィークリー恒例の“総決算号”で、同誌に寄稿しているスティーヴィン・キングがイギリスのミニシリーズ・ドラマ、「Bletchley Circle」をベスト10入りさせている。聞いたことが無かった作品だったが、図書館のサイトでサーチしたら見つかったで早速リクエストして借りる。

「Bletchley Circle」は、第二次大戦中のイギリスの政府暗号学校が置かれたブレッチリー・パークに勤務していた女性4人組が主人公。
優れた数学能力と分析力を持つスーザン(アナ・マックスウェル・マーティン)、一度見聞きした事は忘れない超正確な記憶力を備え持つルーシー(ソフィ・ランドル)、抜群の行動力とガッツがウリのミリー(レイチェル・スターリング)、そしてグループのリーダーを務める最年長のジーン(ジュリー・グラハム)は、ドイツ軍の暗号を傍受して解読。英国軍の大事な戦力になっていた。
しかし、終戦と共に彼女たちの役割も終わりを迎え、スーザンは退役軍人のティムと結婚して2児をもうけ、専業主婦として和やかだが退屈な日々をおくっていた。そんな彼女が密かに注目してきたのは、最近、世を賑わしている連続殺人事件だった。得意な分析力を活かして、自分なりの仮説を立てたスーザンは、夫のコネでスコットランドヤードの署長と面会。見落とされていると思われる犠牲者が見つかるはずと推測した場所を告げるが、捜索に出た警察官たちは死体を見つけられないまま終わる。
自分の仮説を信じて疑わないスーザンは、かつての仲間たちの協力を求めて、独自に事件の解決に乗り出すが...

ブレッチリー・サークルの面々。
左からミリー、ジーン、ルーシー、スーザン

「Bletchley Circle」は連続殺人犯を追う女性4人組という探偵物の醍醐味と共に、1950年当時のイギリス社会における女性の位置というものを鮮やかに描いていたところが面白かった。
4人組の中心となって動くスーザンは、殺人事件の解決に熱を上げるが、夫は「そんな物騒なことに関わりなさんな」とばかりやんわりとたしなめて彼女にクロスワード・パズルの本を渡す。彼女がスコットランドヤードの刑事たち顔負けの推理力や行動力を発揮すると、「君は第一に僕の妻であり子供たちの母だ」と言い切る。
もっと不運なのはルーシーで、人間離れした記憶力を持っているのに暴力亭主の世話ばかりする毎日。連続殺人犯を捕まえるために囮になった結果、ケガした彼女を見て変に勘ぐった亭主に酷い暴力を受けてしまう。
独身を通しているジーンやミリーにしても、単調な図書館の司書や、下衆な店主にこき使われるウェイトレスをして生計を立てて行くしかない。
戦争中は国のために大いに役立ったという自負がある彼女たちには耐えがたい生活である。
そのような彼女たちが、むごたらしく殺され続ける女性たちを同胞として見逃せない、なんとか殺人犯を捕まえねば、と立ち上がるところが良い。

「Bletchley Circle」のシーズン2も既に製作され、本国イギリスではこの1月から放映が開始されている。
アメリカのPBSでの放映が待ち遠しい。








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