Saturday, February 19, 2011

UNKNOWN



CinemaNerdという名のブログなので、たまには映画の話を...(笑)

一昨日、試写で「UNKNOWN」というサスペンス・スリラーを観た。
主人公は、映画の冒頭で交通事故に遭って記憶を失う。記憶は間もなく少しずつ戻って来るが、彼は自分であるはずの人物が別の男に成り代わっているいることに気づいて愕然とする。
映画は、自分が陥れられた陰謀のからくりを解こうとする主人公の行動を追っていくのだが、格闘あり、殺人あり、カーチェイスありと、サスペンス・スリラーの王道的な仕掛けをふんだんに盛り込んだストーリーが、軽快なテンポで進んで観客を飽きさせない。無駄な人物の使い方や何で入れたか解らない、あまり意味の無いサブプロットもあることはあるが、それほど気にならなかった。

主人公の男はリーアム・ニーソンが演じているが、もう58歳なのによく頑張っていて、「ポスト・ハリソン・フォード」みたいな中年アクション俳優としてのステイタスは確立した感がある。
助演のダイアン・クリューガーも適役。普通だったら、もう少しボーイッシュな、例えば、若い時のサンドラ・ブロックがピッタリくるような役だが、国際都市ベルリンに住む違法移民というヨーロピアンな雰囲気は、ドイツ生まれながらフランス映画やハリウッド映画への出演をこなすようになったクリューガーだからこそ出せたのかもしれない。
脇役陣では、ブルーノ・ガンツが出ているけれど、「ベルリン/天使の詩」からほとんど25年後のベルリンを舞台にした作品ということで、もう少し活躍させて欲しかったかも...同じくドイツ映画界からは、「善人のためのソナタ」で反体制的な劇作家を演じたセバスチャン・コッホが生物化学者の役で出演。インテリ・キャラの役がよく似合う人だけれど、この作品を観ていたら、面影が何となくアントニオ・バンデラスに似ているような気がした。バンデラスは、インテリっぽいキャラはあまり似合わない(失礼!)気がするので、不思議な相似ではある。

追記:
「UNKNOWN」の日本公開題名は「身元不明」になったようだが、ちょっとビミョー。確かに、ニーソン演じる主人公は記憶を失っているために“身元不明”ということになっているわけだが、原題の単語unknownには、もっと広義の意味があり、それが後半のストーリーのひねりに利いてくる。そういう含みが無い「身元不明」というタイトルは、ちょっと残念。ちなみに、アメリカでは身元不明の死体などは、“John Doe”と呼ばれます。日本語で言う「名無しの権兵衛」さんですな。女性の場合は、ファーストネームだけを“Jane”に替えて使います。

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