Thursday, June 21, 2012

「チャイと兵隊と羊」


村上春樹の旅行エッセイ「遠い太鼓」は、えらく面白い旅行記で3度ぐらい読み返したが、彼のエッセイが読みたくなって、近場の図書館が属するLos Angeles County Libraryのサイトで検索をかけて出てきたのが、「チャイと兵隊と羊-21日間トルコ一週」という本だった。(本書はギリシア旅行を綴った「アトス-神のリアル・ワールド」と組で「雨天炎天」という2冊組の本になっているというのを後で知った。こっちも図書館のデータベースで検索してみよう。)

村上氏は写真家の村松映三氏と共に、トルコという国の外周をほぼ一周回る旅に出て、本書はその旅の記録なのだが、その土地土地の風俗・人々を観察して鋭い洞察、考察を加えたかと思えば、フェイントをかますかのような軽妙洒脱な描写が出てきたりして、楽しい。「遠い太鼓」もそうだったが、だいたい旅行というものからして、見知らぬ土地で思索に耽るような気持ちになることもあれば、バカな事をやってみたい気持ちになることもある行為なのだと思う。だから、きっと村上氏の旅行エッセイは自分も同行しているような気持ちに浸れることが多くて、読んでいて楽しいのだろう。

ただ、トルコ一周は、その長期滞在が「遠い太鼓」で綴られているギリシャやイタリアなどに比べて国の性格上、苦行を強いられる旅行だったこともあってか、憂鬱な気分になったことも多かったようで、「遠い太鼓」ほど可笑しいところが無いのがちょっと寂しかった。

それにしても、水を好むという金目銀目の白猫、ヴァン猫には一度で良いから会ってみたいものです。

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