Friday, October 10, 2008

限り無くグレイな善悪


「ヒーローズ」のシーズン3を観始めた。

評判がイマイチだったシーズン2に比べると、ストーリーの展開のテンポが良くなっているし、アクションなんかも派手だったりするんだけれど、私が「困ったな...」と思っているのは、シーズン2で新登場したエル、マヤ、ウエスト、モニカといったスーパーたちに加えて、さらに“周辺的な”スーパーたちが新登場して、もう何が何だかわからん状態になりつつあること。まあ、モヒンダー父子の地図には世界中にスーパーが居ることになっているので、しょうがないのかもしれないけど、ストーリーが追う“主要スーパー”はシーズン1ぐらいの人数にしておいてくれた方が、観る方としては展開を追いやすいし、各キャラもしっかり描き込めるのではないかと思う。

それと、シーズン3になって、いきなり主要登場人物の性格付けやら設定が大きく変わってしまったことにも少し戸惑っている。それまでは、清く正しく明るいキャラだった人たちが、シーズン3になって、いきなりダークサイドを見せまくりなのだ。しかも、スーパーたちも、以前は、主要スーパーヒーローたちVSサイラー、それにスーパーたちを作った謎の組織が絡む、という図式だったのが、現在は、誰が誰と結託してどういう思惑なのか、ということがさっぱり解らない。これが、回が進むうち「ああ!そうだったのかっ!」と思えるなら良いけれど、そういう思わせぶりな伏線が活かせなかったら、怒るよ、あたしゃ。


思わせぶりな伏線と言えば、J・J・エイブラムスの新番組「Fringe」は、いきなり頭から思わせぶり。このドラマは、一応、1話完結型で、“今週の超常現象”をヒロインのFBIエージェントが捜査するというパターンになっているのだが、各エピソードを通して、「The Pattern」と呼ばれる組織だかプロジェクトだかの謎に迫るというストーリーラインも並行している。ところが、ヒロインと一緒に捜査に参加するマッド・サイエンティストとその息子、そして彼らの助手は、おそらく「The Pattern」にかんでいないだろうが、その他の人間は、どちらの味方なのか、そして彼らの目的は?というあたりが、全く見えない。まあ、エイブラムスのことだから、その辺りの謎は次第にスッキリと解読させていってくれるのだろうが、観ていると時として、プロットの霧の中に取り残されているような気持ちがすることも確かである。


その点、「Terminator: The Sarah Connor Chronicles」は、善悪が非常にハッキリしている。人間=Good、機械=Baaaaaad、以上、という感じ。でも、それでは面白くないので、人間、つまり善玉の方に、いつ悪い方に寝返ってしまうか全く予測がつかないターミネーターであるキャメロンという爆弾を付けているところがミソ。この間、観た「Allison from Palmdale」というエピソードでは、キャメロンの“前世”(?)が語られて、ターミネーターのようなアンドロイドにとっての記憶という、「ブレードランナー」で語られたテーマが盛り込まれていて、実に面白かった。こういう“仕掛け”をしてくれると、アクション系ドラマというのは俄然面白くなる。

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