Saturday, September 10, 2011

CONTAGION コンテイジョン



スティーヴン・ソダーバーグ監督の新作「CONTAGION」を試写で観てきた。

contagionは、日本語に訳すと、接触感染とか伝染という意味。要は病気がうつるということ。
「CONTAGION」は、まさにそのタイトル通り、それまで経験したことの無いほど強力な感染力を持つインフルエンザのような病気が、あっという間に世界中に広まってしまうという話。MEV-1と名付けられるこの伝染病、致死率も非常に高く、感染後、数日で死に至る。世界中の医療機関が、早急なワクチンの開発に乗り出すが、その間にも次々に世界各地で人々が死んでいくと同時に、パニックにおちいった人たちが薬局を襲ったり、普通の家に強盗に入ったりしていくところが非常に怖い。

話のスタイルとしては、同じソダーバーグの「トラフィック」のように何組かの登場人物たちの話が並行して描かれていく。
医療サスペンスとしては実に無駄が無く効果的に語られて観客は引き込まれっぱなしになり、非常に現実性の高い伝染病の恐怖を描くことには成功しているものの、この各組の登場人物たちの接点がほとんど無いので、テーマ的なもの、全体に1本通っているメッセージのようなものの不在が気になった。
もしかしたら、クセのある映画作家、ソダーバーグは、敢えてそのようなメッセージを排除して、純粋に人間たちが目に見えないほど微細な病原菌を相手に敗北感をおぼえていくところを描いていきたかっただけなのかもしれないけれど。

ちなみに出演陣はかなり豪華。上に載せたポスターの上段左から順に、ローレンス・フィッシュバーン(「CSI」でのドクター役のイメージが定着していることを前提にしたような巧いキャスティング)、マリオン・コティヤール(ちょっともったいない使い方だけど)、マット・デイモン、ジュード・ロウ(汚れ役。巧い)、ケイト・ウィンスレット、グウィネス・パルトロウらの出演。ポスターには載せられていないけれど、ワクチンの開発に奮闘努力するジェニファー・イーリー(「英国王のスピーチ」でジェフリー・ラッシュの奥方を演じた女優さん)がとても良い。

ところで、この映画の邦題は「コンテイジョン」となっているけど、そんなカタカナ題名にして映画の内容がわかる人がどれだけ居るのだろうか?そのものズバリ「感染」とか「接触感染」という名前にした方がインパクトも強いだろうし、わかりやすいだろうに...

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