Tuesday, September 27, 2011

秋のTV新シーズン(その1):Ringer, Unforgettable, The Hour + The Killing

9月から始まったアメリカのTV新シーズンで、面白そうな番組を録画。
先週からボチボチ観始めました。

新番組視聴の初めはサラ・ミシェル・ゲラーの産休後復帰第1作となるサスペンス・ドラマ「Ringer」(放映局:「ゴシップガール」と同じCW)。


**左側、髪をアップにしているのがシォバーンで、右がブリジット


番組タイトルのringerとは、「生き写し」といった意味で、主人公はシォバーンとブリジットという双子の姉妹。リッチな夫を持ってNYでハイソな生活をしているシォバーンに比べ、ブリジットは前科者という設定。当然ながら、2人はほとんど連絡を取っていない絶縁状態にあるが、或る日、シォバーンがブリジットを呼び出し、2人はシォバーンの別荘のあるリゾート地でバケーションを楽しむが...
ということで、観ている者の予想通り、或る事件をきっかけに1人がもう1人の替え玉になるという展開になるわけだが、演出・演技とも昼メロ仕立てで、こういうのに慣れている視聴者には別にどうということはないのだろうが、私と配偶者はかなりウンザリ。台詞も、何だかどこかで何度も聞いたような陳腐な文句が続いてげんなり。もう1つ、鼻白んでしまったのは、いくつかのシーンに使われていたスクリーンプロセスの御粗末さ。なんかヒッチコックの映画を観ているような幼稚な技術にビックリ。TV製作に予算が無いのはわかっているけれど、今どき、こんな御粗末なSFXを使う番組も珍しいかも。
配偶者には「僕はもう観たくない。君が観続けたいならどうぞ」とサジを投げられてしまったけれど、私の個人的ポリシーは「新番組には必ずセカンドチャンスをあげよう」というものなので、もうあと1エピソードを観てから、観続けるかどうか決めたいと思う。

次に観たのは、「Without a Trace(邦題:FBI 失踪者を追え!」に出ていたポピー・モンゴメリー主演の「Unforgattable」という犯罪ドラマ。(放映局:「CSI」と同じCBS)


**主演のポピー・モンゴメリー。子供を産んで、雰囲気がちょっと大人っぽくなったかな?


こちらの設定は、1度見聞きしたことは忘れることができない(ということでタイトルがUnforgettable)という元刑事のヒロインが、たまたま隣人の殺人事件に遭遇し、やはり刑事は天職だと悟って再出発することに決める、というのがパイロット(第1話)エピソード。ヒロインは、hyperthymesiaという超記憶力とでも呼べるような能力の持ち主で、それを犯罪捜査に活かすというのが、このドラマのウリである。これまでも、数学理論をFBIの捜査に活かす数学の天才学者や、サイキックにみまがうような行動心理学に通じた人間、嘘を見抜く天才などが活躍するドラマがあったことだし、hyperthymesiaというのは実際に存在することが立証されている能力なので、信憑性は“合格”。モンゴメリーも、スーパー能力を持っている人間にあるエキセントリックなキャラを体現できていたように思えたので、犯罪ドラマおたくの私としては、続けて観ていきたいと思わせられるドラマだった。

新着ドラマ3作目は、私の得意分野から少し外れてはいるが、とりあえずサスペンス的要素が入っている政治/陰謀ジャンルのドラマ「The Hour」。(放映局:BBCアメリカ)


**中央、ヘクター役のドミニク・ウエストの隣の緑のドレスがベラ、その隣がフレディ


製作はBBC。出演陣も全てイギリス人である。時は1956年。BBCテレビの報道部に所属しているフレディとベルは、野心的なジャーナリストで、それぞれ今のポジションからのキャリア・アップを狙っている。新番組「The Hour」で、取材すると同時にキャスターも務めたいと上司にかけあうフレディだが、キャスター役はハンサムでカリスマたっぷりのヘクターに取られてしまう。プレイボーイなヘクターは、フレディが憎からず思っているベルにも色目をつかい、フレディはそれも面白くない。そんなおり、フレディの幼なじみで最近婚約を果たしたデビュタンテが、不穏な政治的暗殺についてフレディに相談を持ちかけてくるが...
1950年代のイギリスのジャーナリズム界が舞台で、主人公たちが早口のイギリス英語をまくしたてるとあっては、私の英語力では会話のすべてを理解するというわけにはいかないところがちょっとつらかったが、それでも充分面白く、今後の展開に大いに期待したい。キャスト陣はほとんど知らない顔ぶれだが、唯一、ヘクターを演じているのが、個人的にTV史上ベスト・ドラマだと思っている「The Wire」のドミニク・ウエストで、ボルチモアの労働者階級出身のマクノルティから一転、彼本来のアッパーミドルな英国人英語で話しているのが、不思議であるやらおかしいやら。

最後、おまけ、というか、4月3日から始まったものの、録画しっぱなしで、8月からやっと観始めたことができた「The Killing」(放映局:「MAD MEN」と同じAMC)について一言。


**サラ役のミレイユ・イーノス。フツーの美人タイプじゃないところがイイ。


「The Killing」がデンマークのドラマ、 Forbrydelsen(「犯罪」の意だそうだ)のアメリカ版リメイク。シアトルで、女子高校生が行方不明になる。間もなく、そのティーンエージャー、ロージーは、溺死体で車のトランクから発見される。捜査にあたるのは、シアトル警察のベテラン刑事サラ。シングルマザーの彼女は一人息子を連れて、フィアンセと暮らすべくカリフォルニアのソノマに引っ越す直前だったのだが、彼女の若きパートナー、スティーヴンだけでは心もとないということで、上司に引き止められ、しぶしぶ捜査を続けていく...
「The Killing」のシーズン1は13話構成で、現在、5話目を見終わったばかりだが、実に面白くてぐいぐい引き込まれる。美しく人気があったティーンエージャーが死体で発見されてドラマが始まるという設定や、舞台がシアトルであることから、「ツインピークス」を想起させるところもある「The Killing」だが、前者がデヴィッド・リンチという作家性の強いクリエイターの作品でシアトルという北部の街が舞台ながら、どこか乾いたアメリカ西部の香りがしたのに対し、後者は太陽が照ることが少ない非常に湿った、いかにも北の街という彩りのドラマであり、作品のカラーはかなり対照的だ。デンマーク製のオリジナル版は観ていないけれど、非常に雰囲気が近いのだろうということが容易に想像できる。物語の展開が、犯罪捜査が中心となりながらも、犯罪そのもの自体よりも、その犯罪によって人生が変わってしまう周囲の人間にフォーカスが当たっており、大袈裟な喩えではあるが、ちょっとベルイマン作品を観ているかのようで、そのあたりもアメリカの刑事物ドラマに慣れている私たちにとっては非常に新鮮である。今、一番ハマっているドラマだ。

*今調べたら、「The Killing」は、「THE KILLING ~闇に眠る美少女」という付けなきゃ良い副題付きで、日本でも11月28日からFOX CRIMEチャンネルで放映が決まっているみたいですね。同局が観られる人は是非!
サイト:http://tv.foxjapan.com/crime/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/1336

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