Tuesday, February 19, 2013

Hodejegerne(ヘッドハンター)


2011年ノルウェイ製のサスペンス・スリラー「Hodejegerne(ヘッドハンター)」をDVDで観た。
アメリカでも2012年4月に限定公開されたようだが、全然気づかず、某誌のコラムに書くネタを探していた際、ハリウッド版リメイクが作られるというニュースを読んでその存在に気づいた次第。

「Hodejegerne」の主役は、タイトルロールであるヘッドハンターのロジャー。一流企業の重役クラスになるような人材を捜して企業に斡旋する仕事をしている。その仕事だけでも充分な収入を得られるのだが、妻のディアナのアート・ギャラリーの商売を支え、彼女が好む贅沢なライフスタイルを満足させるためには、ずっと多くの収入が必要だった。その穴埋めをするのは、美術品目当ての空き巣強盗。面接した候補者に対し、「君の事をもっと知るために」という理由をでっち上げて、美術品のコレクションを持っているのか?家族は?犬は?などといった情報をさりげなく得て狙いを定め、警備会社勤務のパートナーの協力を得て、候補者の豪邸に忍び込んでは高価な美術品を模造品と入れ替えて盗んでいたのである。
そんな或る日、ディアナのギャラリーで開かれたパーティで、ロジャーはクラスというデンマーク人男性に出会う。クラスは40歳になるかならないかで監視・調査会社を引退して、今は祖母がオスロに遺した家の改修に取りかかっているというが、ディアナからクラスが祖母から幻のレンブラントを受け継いだことを聞きつけたロジャーは、クラスを次のターゲットに選択。大手の監視・調査会社の代表取締役の職を餌に接近して住所などを聞き出し、改修中の家に忍び込むが、クラスの寝室で妻の携帯電話を見つけてしまう。常々自分が小男であることに劣等感を持っていたロジャーは、長身でハンサムなクラスに激しい嫉妬心をおぼえ、クラスにオファーしていた代表取締役の仕事の話を反古にしようとするが...

「Hodejegerne」は、最初から最後まで無駄無くストーリーが展開していく。アメリカのサスペンス・スリラーは、途中で感傷的なシーンなどが挟まれていたりしてテンポがたるむことがままあるが、「Hodejegerne」では全くそういうことが無い。暴力描写も派手さは無いが、同時に容赦無く、実際に人が撃たれたらこうなるのだろう、現実の殴り合いはこうあるのだろうと思わせるドライなリアリティがある。
その一方で、一緒に観ていた配偶者と思わず爆笑してしまったシーンもいくつかあった。それもハリウッド映画によくあるように、観客のウケ狙いでわざとらしく付け加えられたような感じが全くしない、ごく自然でそれでいて、こっちが「あり得ね〜〜!」と思わず叫んでしまうような過激さを伴った可笑しさである。

スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」シリーズもそうだが、スカンジナビア産のミステリーには独特の味がある。(「Hodejegerne」もジョー・ネスボによる同名小説の映画化である。)「Hodejegerne」のハリウッド製リメイクが、それをどう料理していくのか...どうせ、いつものごとくアメリカナイズされて毒が抜かれたようなサスペンス・スリラーになってしまうのかもしれないけれど、興味をそそられることは確かだ。

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