Thursday, January 27, 2011

1Q84


村上春樹の「1Q84」を一昨日読み終えた。

「1Q84」は1984年(年号の割りにはジョージ・オーウェルとの接点がイマイチ不明ではあった)と共存するパラレルワールドに入り込んだ青豆と天吾という2人の主人公の、不思議でサスペンスフルな9ヶ月の経験を綴る物語だ。
青豆は両親が証人会というカルト宗教に入っていたことで周囲から孤立した不幸な少女時代をおくり、天吾もまた父親がNHKの受信料集金係で毎日曜日の集金に強制的に付き合わされたことで幸せな子供時代をおくれなかった青年だという設定になっている。2人は小学校の時に同級生になるが、一度心を通い合わせたことがあっただけで、その後は全く接点の無い人生をおくるが、ある事件をきっかけに2人の距離が急速に縮まっていく。

したがって物語は青豆の周囲で起こる事柄と天吾の周囲で起こる事柄とを並行して描くために、青豆の章と天吾の章に分かれた構成で進行する。最初は、2人が全く離れた人生をおくっているために、2つの別の小説を読み進めているようなかたちになるが、次第に2人の人生が重なり始めていくと、映画のクロスカッティングを観ているようなエキサイティングな気分になる。

文学少女とはほど遠い読書歴を持つ私が読むのは専らミステリーばかりなのだが、村上春樹だけは別だ。彼の作品は文学にカテゴライズされるものだと思うのだが、文学慣れしていない私でも次々にページを繰りたくなるから不思議。「1Q84」でも、サスペンスフルな展開にぐいぐい惹き込まれていく最中に、ハッとさせるような含蓄のある文章や、何度も読み返したくなる美しい文章に出逢えるのがとても嬉しかった。

前述したように、この物語は青豆と天吾の4月から12月までの9ヶ月間のマジカル・ミステリー・ツアーを綴る小説で、1巻がそれぞれ3ヶ月をカバーしているのだけれど、現在、刊行されているのは3巻まで。3巻目の結末は、一応、それで追われる体裁をとってはいるものの、その後に続く可能性も秘めている。もしこの先があるなら、3巻までの物語の記憶が色褪せる前に読ませて欲しい。
村上さん、御願いしますよ。

2 comments:

Aqua said...

JBさん、こんにちは!
先日はコメントありがとうございました~。
早速遊びに来ました。

ロサンジェルスにお住まいなんですね。
私達も主人が大学生から8年間オレンジカウンティーに住んでいました^ ^
映画・TVのジャーナリストさんなのですね。
どうりで文章がお上手なはず!
娘さんもバレエ頑張っていらっしゃって素晴らしい~。
SAB受かっているといいですね~。

私は19歳からの村上春樹ファンなのですが
1Q84は三巻を読んでちょっとがっかりしました。二巻で終わってた方がドラマチックで
ロマンティックだったな~って。
読んだのは随分前なのでまた読み返してみたく
なりましたよ^ ^

これからもどうぞよろしく!

J.B. Ogihara said...

aquaさん
速攻コメントの早業にビックリ&感心しました。早速遊びに来てくださって、どうもありがとうございます!
私のブログは超気まぐれ更新のため、更新すると友人たちが多く登録しているミクシィの方でお知らせしなければ読んでいただけなかったりします。(汗)そんなわけなんで、これからも気長に御付き合いくださいませ〜〜。

aquaさんのブログは、まめにブログしている友人が教えてくれて以来、ずっと拝読していますが、とにかく毎回の写真の美しさにうっとり。グラフィックデザインを勉強なさっているそうですが、写真も勉強なさっているのでは?

「1Q84」、ガッカリでしたか〜〜...まあ、確かに三巻めは、ちょっと御都合主義で通俗的な展開だったかもしれませんね。ちなみに、私が好きなキャラはタマルなんです。小説を読み進めながら、ハリウッドで映画化したら誰にやらせようかな...なんて夢想したりしてました。(笑)