Saturday, January 1, 2011

2010年、見納めの映画



昨日の大晦日、友人宅でのパーティに行く前に、ずーっと観たかった「The King's Speech」(邦題「英国王のスピーチ」、日本公開は2月26日予定)を観に行く。

予想を裏切らない素晴らしい作品だった。
吃音症に悩んでいたバーティこと英国王ジョージ六世が、オーストラリア生まれのスピーチセラピスト、ライオネル・ローグの助けを借りて吃音症を克服していく過程を描く内容で、史実に基づいているだけに、物語上のひねりは無いし、演出もごくオーソドックス。ともすれば、優等生的で良くもなく悪くもない人畜無害な作品に終わっていた可能性もある作品だったが、それを秀作にしていたのは、ひとえに主演のコリン・ファースとジョフリー・ラッシュの深みとニュアンスに満ちた演技だった。視線1つ、顔の筋肉1つで、演じている人物の心象を鮮やかに体現する実力は、もう名人芸の域だと思った。脇を固める、ヘレナ・ボナム・カーター(「アリス」の女王の演技との何たる差か!)やデレク・ジャコビ、ティモシー・スポールらも、相変わらず上手いし(やっぱり英国の演劇界は層が厚い!)、バーティの兄、デヴィッドことエドワード八世役のガイ・ピアースも軽薄な(?)感じがよく出ていて良かった。

映画は脚本の質や監督の力量とともに、俳優の実力に依るところが大きい芸術なのだということを再認識させる作品でした。

No comments: