前項に引き続き、観始めた新ドラマ・シリーズを簡単に御紹介。
まずは「Person of Interest」。
ニューヨークの地下鉄で、若いチンピラの集団に絡まれたホームレス風の男が、いきなりシャープな動きを見せて、一瞬の間にチンピラたちを叩きのめしてしまう。その様子はどこからか撮影されており、そのクリップは何万もの映像クリップの1つとして記録される。警察の取り調べを受けた後、解放された男を待ち構えていたのは、謎の億万長者。彼はホームレス風の男が、記録上は死んだことになっている元CIAの特殊工作員であることを知っており、或る仕事をしないかと持ちかけてくる。この億万長者Mr. フィンチは、9月11日テロのような事件を防止するために政府が世界中を監視できる装置を発明したが、政府が関心を寄せるのは国家を巻き込むような大事件であって、日常的な犯罪などは見過ごされていると言う。そこで、彼は元CIA工作員だったジョン・リースに、そのような犯罪を防ぐ仕事を依頼して来たのだった。フィンチには、政府が収集する情報へのアクセスがあり、それを基に近い将来犯罪に関わることになる人物を特定することができるが、問題はその人物が被害者になるのか加害者になるのか判らないということ。リースの任務は、その人物を追って犯罪を未然に防ぐことになる...
この政府の監視装置というのが映画「イーグル・アイ」に出て来たような監視カメラを用いたものなのだが、私たちが常に監視されているという「1984」めいた管理社会がちょっとSFっぽさを出していること、既に起きてしまった犯罪を解決するのではなく、これから起きる犯罪を未然に防ぐことにフォーカスが置かれているのが、この番組の新味。ここらあたりに、エグゼクティブ・プロデューサーを務めているJ・J・エイブラムスらしいクリエイティビティがうかがえて嬉しい。俳優も、フィンチ役に「Lost」のマイケル・エマーソンを、リース役にマッチョ・ヒーローとは一線を画すようなキャラを得意とするジム・カヴィーゼルを、それぞれ配したところが、なかなか巧い。フィンチにもリースにも、こみいった過去のストーリーが用意されていそうで、それが徐々に明らかになっていく予感がするのも楽しみだ。
リピーター確実なドラマですね、これは。
もう1つ、リピーターになるつもりなのが「Prime Suspect」。
こちらはヘレン・ミレン主演のイギリスの犯罪ドラマ「第一容疑者」のアメリカ版リメイク。ヘレン・ミレンに代わって、マリア・ベロが主役を務めている。残念ながらオリジナルのイギリス版を観たことが無いので、ミレンとベロの女刑事ぶりの比較ができないのだが、ベロが演じるジェーン・ティモネイは、能力もガッツも同僚の男性刑事たちに負けない女性刑事。彼女は、凶悪な犯罪者と共に男社会丸出しの署内の雰囲気とも戦っていかねばならないということが、初回のエピソードから前面に出されている。女刑事が登場する他の犯罪ドラマ(「LAW & ORDER:性犯罪特捜班」とか「CSI」シリーズとか)では、彼女たちは男性刑事たちとフツーに仲間扱いされているが、アメリカの警察も場所と状況によっては、ティモネイが経験しているような性差別があるに違いないだろうから、そういう警察のネガティブな現実も見せてくれるドラマとして評価できそう。ベロも、男勝りだけど繊細な弱さもあるヒロインをバランス良く演じていて好感が持てる。
ところで、初回エピソードを観ていてちょっと嬉しかったのは、脇役キャストになじみのある顔があったこと。その筆頭がベロの上司を演じているアイダン・クィン。(上の写真の左、座っているのが彼。写真はクリックすると大きくなります)昔はなかなか良い映画にガンガン出ていたものだったのが、最近は御無沙汰気味だったので懐かしく思った。(ただ、染めている髪の色が全然似合っていないのが残念。って、細かいことだけど...)それから、あまり知られていない俳優ではあるけれど、映画ファンだったら「観たことある!」ときっと思うはずの、名脇役俳優、ブライアン・F・オバーン。(上の写真の右端)「ザ・バンク 堕ちた巨像」での辣腕暗殺者やTVドラマ「フラッシュフォワード」での女性兵士の父親役が印象的だった。「Prime Suspect」では、ティモネイに反感を持っている刑事を演じている。ちょっと驚いたのは、同じくティモネイの同僚役を演じているカーク・アセヴェド。(上の写真では右から2番目)彼は「フリンジ」でセミ・レギュラー出演しているから。ネットワーク局のドラマでは、同じ俳優が違うドラマに同時期にレギュラー出演していることがほとんど無いので、新シーズン「フリンジ」の方での出番が削られたかな?と勘ぐったりして。(9月23日に再開した「フリンジ」新シーズンはこの時点では未見なので)
犯罪ドラマおたくの私としては、この2作品のようなドラマを観るたびに、毎年、いろいろな新手で犯罪ドラマの新番組を作ってくれるアメリカTV界に感謝したい気持ちになります。
Saturday, October 1, 2011
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