Sunday, April 8, 2012

DRIVE ドライヴ



去年の秋、うちの近くのビルボードに広告が載って以来ずっと気になっていた映画「ドライヴ」をDVDでやっと鑑賞した。

「ドライヴ」の主人公(映画では名無しで"kid"とか"he"とか呼ばれている)は、昼間は自動車修理工場で働き、たまにボスがスタントコーディネーターとして参加する映画のスタント・ドライバーをしているが、闇にまぎれて強盗の逃走車のドライバーのバイトなどもこなす無口な青年だ。
彼は同じアパートに住む、子供と2人暮らしをしている女性と楽しい時をすごすようになるが、彼女の夫が刑務所から出所すると同時に、ヤクザな人間たちにつきまとわれるようになるのを見過ごすことができずに手を貸したことから、平穏な日常が崩されていく…

この映画、まずキャストが素晴らしい。無口ながら、そのまなざしに感情が込められているのが判る抑制された演技を披露している主演のライアン・ゴスリングは、アカデミー賞にノミネートされなかったことがサプライズだとされたほどの名演。同様にアカデミー賞ノミネーションに漏れたことが話題になったアルバート・ブルックスも、非常に良い味を出しているし、「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストンがそれに負けず劣らずの印象的な演技を見せている。

どこからともなくふらりとやって来た男が、悪党どもに虐げられた一家を無償で助けて、自分の仕事をまっとうするとどこへともなく去って行くという設定は「シェーン」を思い起こさせたし、容赦無く「生な」バイオレンスは「タクシー・ドライバー」やサム・ペキンパー作品を思い出させたという意味では、非常にアメリカっぽいのだが、同時になんとなくヨーロッパの香りがすると思ったら、監督はデンマーク出身だった。
そんなストレンジャーが目から捉えているからか、舞台となっているロサンゼルスもなんとなく違って見える。マイケル・マンの「コラテラル」と同じぐらいロサンゼルスがクールに(カッコいいという意味のcoolでもあり、冷たいという意味のcoolでもあり)見える映画だった。

余談だが、監督のニコラス・ウィンディング・レフンは、自動車免許試験を8回も受けたが全て落ち、いまだに無免許のままらしい。(笑)

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