Monday, January 7, 2013

THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER


去年の10月にアメリカで劇場公開された際に見逃していた「The Perks of Being a Wallflower」をDVDで観た。

題名は日本語に訳すと「壁の花でいることの特典」といったところ。(同名原作は「ウォールフラワー」というタイトルで邦訳が出ている。)

この物語の「壁の花」的存在なのは、主人公のチャーリー。ライターの資質を持ち、頭脳明晰な高校1年生(日本では中学3年生にあたる)だが、シャイで無口、引っ込み思案なため、親友のマイケルが自殺してしまってからは、友達もおらず、学校でも独りぼっちで過ごすことが多い。
そんなチャーリーは、技術工作の授業で、自分を3度も落第させた教師に対しても平然とシニカルなユーモアで対処する4年生のパトリックが、実は「新入生たちをリラックスさせようとしている暖かい心の持ち主」であることを見抜く。
例によって独りでフットボールの試合を見に行ったチャーリーは、やはり一人で座っているらしいパトリックを見かけ、声をかける。パトリックの言葉に甘えて、チャーリーが隣に座って間もなく、魅力的なショートヘアのサムがやって来て、気さくにチャーリーの隣に座る。サムは、パトリックのステップシスターで、仲は良いが恋人関係ではないと言う。
年下で不器用にもかかわらず、自分を暖かく迎えてくれたパトリックとサムと一緒に時を過ごすようになって、学校に行く楽しみが出来るチャーリーだったが...

なんとなく、ティーンのロマコメという間違った印象を持っていたこの作品は、チャーリーや彼を取り巻く周囲の高校生たちが、笑ったり、泣いたり、怒ったり、傷ついたりしながら、子供と大人とのはざまで自分自身をどう扱っていいのか当惑するところを、実に真摯な眼で見つめる佳作だった。

監督のスティーヴン・チョボウスキーは、前述の原作の筆者で、この作品の前にはインディー系の低予算コメディを1本撮っただけだが、半自伝的な作品であることもあってか、非常に細やかな演出で登場人物たちを瑞々しく描いているところにとても好感が持てる。
主役のチャーリーを演じているのは、ローガン・ラーマン。映画を観終わって調べてみるまで、ダルタニアン役で出演していた「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」の取材で本人に会っていたことに気づかなかった。本人は、チャーリーほどシャイではないけれど、もの静かで知的な感じの良い青年でした。
パトリック役のエズラ・ミラー、サム役のエマ・ワトソンも、とても良い。ワトソンは、「ハリー・ポッター」シリーズの後に、こういう作品を選んでいることで賢さがよくわかる。

それにしても、アメリカで高校生をするのも大変なんだなあ。
我が娘は大丈夫なのだろうか...?

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