Saturday, March 10, 2012

INSIDE JOB インサイド・ジョブ



遅まきながら2011年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー受賞作「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」をDVDで観た。
私は、経済のことなど全くわからないし、市場とか株価とかの話もちんぷんかんぷん。だから、このドキュメンタリーは敷居が高くて今まで観ていなかったというところがある。DVDを観る際にも、まがりなりにもMBAを持っている配偶者に「解らなくなっちゃったら質問攻めにするからよろしくね~」とあらかじめことわっておいた。

「インサイド・ジョブ」は、2008年に起きた世界的規模の金融危機の経緯とその背景にある米国経済の仕組みを、素人でも解るような構成と言語で説き明かしていく。途中、細かいところが解らなくなって、何度か一時停止して、自分の理解が正しいかどうかを配偶者に確認したりしたところもあったけれど、正直言って経済の話にこんなにはまり込めるなんて!ということにまずビックリ。それというのも、結局、2008年の金融危機の本質は、投資会社のお偉いさんたちが政府の官僚や経済学者たちを抱きこんで、合法ではあるが倫理的に大いに問題があるやり方で私腹を肥やしていたという、言わばたちの悪い銀行強盗だったからなのだろう。それは、この映画のタイトルに「内部の者の犯行」という意味のinside jobという用語がそのまま使われていることからも判る。こんな事がまかり通ってしまうなんて、アメリカが民主主義国家などというのは「大いなる幻影」であり、実際には、ごく一部の人間たちが良い思いをして残りの国民たちが苦しんでいた日本の封建時代や、革命直前のフランスとほとんど変わりないのではないか。アメリカ人のほとんどは、毎月の給料を使い果たしながらギリギリで生きている。それは、徳川幕府が農民を「生かさぬよう殺さぬよう」に支配していた状況と驚くほど似ているのではないか、とさえ思えてきた。

アメリカ経済についてのドキュメンタリーを観て、こんなにも感情的になるとは… 優れたドキュメンタリーは劇映画より遥かにドラマティックだったりする。

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