Wednesday, June 5, 2013

「ザ・フォロウイング」をフォローするのを止めた件について



1月31日付けの日記で、ケヴィン・ベーコンがドラマ・シリーズに初のレギュラー出演している「The Following」(日本では7月にWOWOWで「ザ・フォロウイング」として放映されることになっているらしい)について書いたが、第9話「Love Hurts」を最後に観るのを止めた。(シーズン1は15話まである。)

理由は簡単に言ってしまえば、観ていて楽しむことができなくなったから。

どうして楽しむことができなくなったかという理由の理由は...


以下ネタバレ有りなので、これから観るつもりの人は御自分で判断して読み進めて下さい








1.ジョー・キャロルを崇拝する“フォロワー”=信奉者たちの設定が非現実的
エドガー・アラン・ポーの研究者であるジョー・キャロルには、彼のために自分には何の縁もゆかりも無い人間を惨殺することもいとわない信奉者たちが至る所に居るという設定になっているが、信奉者の面々のほとんどがミドルクラス〜アッパーミドルクラス出身の人間にしか見えない。そういう人間たちが狂信的なカルト集団を形成しないと断言できるわけではないが、キャロルを盲信する妨げになりそうな知性や分別が無く、自分の命さえ犠牲になるかもしれないリスクをおかしても構わない、自分の価値をそれだけ軽くみているような人間たちには見えないのである。(さらに細かい事を書くと、彼らが集まってキャロルと一緒に生活しているのは億万長者が住みそうな大邸宅だが、その費用はどこから出ているのか?カルト犯罪者集団が貴族のように暮らしているなんて首をかしげたくなる設定ではないか。)その疑問は、信奉者の1人が自分が指揮した作戦が失敗したからと言ってキャロルに自分を殺すよう懇願するシーンで頂点に達した。作戦失敗を誰かに責められているわけでも何でもないのに「あなたに殺してもらえば自分は本望です」って、何じゃ、そりゃ??? としらけちゃうのでは、やっぱり楽しめない。

2.ジョー・キャロルのカリスマ性に疑問
もしかしたら、個人的な好みの問題なのかもしれないけれど、ジョー・キャロルを演じるジェームズ・ピュアフォイにさっぱり魅力を感じない。老若男女を問わず人を惹き付けてやまないようなカリスマ性があるようには、どうしても思えないのである。信奉者たちに魅力的に微笑んでいるつもりなのかもしれない顔でさえ、目尻を下げた嫌らしい中年男にしか見えないんだもん。(ファンの人が居たらゴメンナサイ〜)
ドラマの質が主演俳優だけで決まらないのは、解ってはいるのだけれど、信奉者たちが今にもヨダレを垂らしそうなうっとりとした顔でピュアフォイを見つめているのを観ると、「ケッ!」としか思えないのでは、やっぱり楽しめない。
この人のためにあなたは死ねますか?(笑

3.感情移入できる人物が居ない
それだけキャロルと信奉者たちに嫌悪感を持つのであれば、反動でケヴィン・ベーコン演じるライアン・ハーディを応援したくなりそうなものだが、ライアンはライアンでキャロルの別れた妻クレアと恋仲である設定になっていて、逃亡したキャロルの再逮捕よりもキャロルに狙われているクレアの安全ばかり気にしていて「ちゃんと仕事しろよ!」とツッコミを入れたくなるようでは、やっぱり楽しめない。

4.不愉快な殺人
キャロルや信奉者たち、あるいは彼らが敵とみなすライアンには全く無関係な人たちがほぼ毎回むごたらしく殺されていくのだが、とにかく観ていて不愉快。例えば、FBIがかくまっているクレアをおびき出そうという意図で、クレアと同姓同名であるクレア・マシューズという女性をランダムに殺していくというエピソードがあったが、殺し方も銛を矢にした弓で射抜いたり、窓から突き落としたりと、容赦無い。サディストじゃない限り、不快を覚えるような殺人を見せつけられたのでは、やっぱり楽しめない。

5.血みどろの中にもユーモア、が無い
血みどろの死体や生々しい殺害シーンが出て来るのは、私たちお気に入りのドラマ「デクスター」も同じ。でも、「デクスター」にはユニークなキャラがたくさん出て来るし(特にデクスターの同僚、マスーカは最高!)、デクスターのドライなユーモアが滲み出る独り言、思わず吹き出したくなるほど口の悪いデボラの台詞の数々など、笑える部分もたくさんあって、陰惨な殺人シークエンスと対照的で一息入れることができる。が、「ザ・フォロウイング」ではそのようなシーンは全く無い。ライアンも周囲の人間たちもほとんど笑わないし、キャロルや彼の信奉者たちもまるで人間的な顔を見せない。こんな息が詰まってしまうようなドラマじゃ、やっぱり楽しめない。

と、「ザ・フォロウィング」の問題点を羅列してきたけれど、ここで観るのを止めて唯一後悔しそうなのは、キャロルと信奉者たちが崩壊していくところが観られないところかな。このドラマがどれだけ続くのかは判らないけれど、最後は絶対正義が勝つのがアメリカのドラマの常なので。

それにしても、こういう観ている者を不快にさせるようなドラマが続いて、丁寧に作られていた「Golden Boy」のようなドラマがキャンセルされてしまうのは、ちょっと納得できない。(「Golden Boy」については以下のサイトで簡単な解説が読めます: http://dramanavi.net/special/sp-61-la/06.html )







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