Sunday, October 11, 2015

「オデッセイ」


リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演の「オデッセイ」を試写で観た。

「オデッセイ」は、火星探索に出向いた宇宙飛行士チームが突然の嵐に遭遇した際、チームの1人が宇宙飛行船に戻りきれずに置き去りにされたものの、持ち前の知恵と強い意志で生き抜いていくという、シンプルなストーリーだが、“宇宙版ロビンソン・クルーソー”とでも呼べる主人公をマット・デイモンが好演。監督のリドリー・スコットによる熟達なる演出と、完璧なCGI、脇を支えるジェシカ・チャステイン、マイケル・ペーニャ、キウェテル・イジョフォー、ジェフ・ダニエルズの的確な演技で、実に上質なSFサスペンス映画に仕上がっている。

ちなみに、「オデッセイ」の予告編で、宇宙に置き去りにされたマット・デイモンを見た途端、「インターステラー」のことが思い出されて、「あらまー、マット君はまたまた宇宙に置き去りですか」とちょっと気の毒になった。ジェシカ・チェステインまで出ているし、こんなキャスティングして良いのだろうか、と思ったら、案の定LAタイムズ紙のインタビューでデイモンも「僕はリドリーに『惑星に取り残された人間を演じたばかりだから、それに続いて惑星に取り残された人間を演じる映画に出演するべきじゃないと思うんだけど』と言ったんだよ」と語っていて、やっぱり〜〜と思ったのでした。(それに対するスコット監督の返事が、「そんな事、憶えてる人間なんて居ないから大丈夫だってば!」だったというのにも笑ってしまったけれど)

Wednesday, October 7, 2015

「ブラック・スキャンダル」


1970年代にボストンの“Southie”(サウジー)と呼ばれる南部地域を中心に暗躍したジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを主役にした犯罪映画。
最初は小悪党に過ぎなかったバルジャーが、FBIに務める幼馴染みのジョン・コノリーに声をかけられて、イタリア系マフィアに対する犯罪捜査に協力する密告屋になってからは、自分たちの犯罪は見て見ぬ振りをされるようになったのをいいことに、やりたい放題やらかして一気に権力を得ていく。
最終的には、地方検察官の人事異動をきっかけにバルジャーの手下の1人に密告されて、バルジャー一家のメンバーが次々に逮捕され、バルジャー本人は逃走。16年間の逃亡生活の後、2011年にサンタモニカのアパートに隠れ住んでいるところを逮捕されている。

映画化にあたっては、バルジャーの悪行が次々と描かれていくものの、事実に忠実にしようとしたためか、ストーリーに起伏が乏しく盛り上がりに欠けるのが惜しかった。
ただし、それを補って余りあるのはジョニー・デップの演技。特殊メイクアップを施して、デップ本人の面影はほとんど消えて(撮影現場入りしたデップを見た映画関係者が「で、バルジャー役のあの俳優は誰?」と聞いたほどだったとか)、完全にバルジャーになりきったうえに、途轍もない凄みを出していて素晴らしかった。これでオスカー・ノミネートは確実でしょう。
ベネ様こと、大好きなベネディクト・カンバーバッチが出ているのも楽しみにしていたんだけど、出番は少ないし、別にベネさんじゃなくても務まる役だったのは残念な限り。

「エベレスト 3D」

バレエのサマーインテンシブ中に痛めた足首を完治させるために娘がバレエを休んでいたのをいいことに9月に入っても映画三昧が続きました。

まずは、1996年に起きたエベレスト大量遭難事故を映画化した「エベレスト3D」。


冒険好きでリッチな素人登山家を募ってエベレスト登頂ツアーをコーディネートしてきたアドベンチャー・コンサルタンツのリーダー、ロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)は、テキサスの医師ベック(ジョシュ・ブローリン)、郵便配達員のダグ(ジョン・ホークス)、六大陸最高峰登頂に成功していた日本人女性の難波康子(森尚子)などのクライアントたちを引率していた。ロブらがベース・キャンプに到着してみると、スコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)が主宰するアメリカのライバル・ツアー会社マウンテン・マッドネスの一行も来ていることが判明。その他に南アフリカの登山グループ
なども居て、エベレストはいつにない混雑ぶりを見せ、登山ペースの遅れを心配したロブはスコットに協力し合いながら登山することを提案して、スコットも同意する。スケジュールに従って登山を開始したものの、荒れ模様の天候で一時は登頂が疑問視されたが、突然吹雪が止んだことで一行は頂上を目指して登山を開始する...

よく知られている事件を基にした映画では、観ているこちらも結末がどうなるのかはわかっているわけで、この「エベレスト」でも誰が生還して誰が生還ならないまま終わるのかを知りながら観ているのは、やや辛いものがあった。
それと、どうも自分個人は登山はもちろん、アウトドア・スポーツ全般にあまり興味が無いので、登場人物が危険にさらされたり困難にぶち当たったりするたびに、「なぜ、こんなにまでして山に登るかなあ...?」という問いが浮かんでしまい、よけい虚しくなった。同じ山岳遭難ジャンルの「八甲田山」も虚しい映画だったけれど、あの話は少なくとも軍隊の演習であり、参加した人たちも軍人の務めとして参加したという背景があったので、まだ納得(?)できる。でも、エベレスト登頂に臨んだ人たちはあくまで自分の意志で、しかも参加料6万ドル(約700万円)を支払って命を危険に晒していたということで、「Why??」という疑問符が何度も頭をよぎったのでした。

IMAX 3Dでの画面はさすがに迫力があったので、山岳映画が好きな人、主人公たちが困難に立ち向かっていくのを観るのが好きな人にはオススメできる映画ではあります。

Saturday, September 19, 2015

夏のTVドラマ:「MR. ROBOT」&「HUMANS」

かつてアメリカのTV界の1年間は9月に始まり5月に終わるものだった。
アメリカ人たちは夏はTVなんて観ないものという前提で、新エピソードの放映は5月に終え、6月〜8月は新エピソードの放映は無し。9月最初の月曜日であるLabor Dayが終わると、各局は前年度から続投する人気番組の新たなエピソードを放映し始め、終了した番組を埋め合わせる新番組の放映を開始する。

ところが、5年前ぐらいから、従来のスケジュールで放映されるドラマが夏休みに入った途端に開始する番組が増えてきた。
「Mr. Robot」と「Humans」は、今年の夏にデビューしたドラマの中でも特に優れもののドラマだった。

Mrロボット(クリスチャン・スレイター)とエリオット(ラミ・マレック)

「Mr. Robot」の主人公、エリオットはニューヨークのサイバー・セキュリティ会社オールセイフに勤めるエンジニア。天才的なハッカーだが、人付き合いが大の苦手。同僚のアンジェラに密かに好意を寄せているが、ぎこちない会話しかできない。或る日、エリオットは、オールセイフにとって最大のクライアントであるEコープのサーバへのサービス攻撃に対処するため、同社の施設に出向くがそこで「fソサエティ」という名の付けられたファイルに遭遇する。かねてから巨大企業であるEコープに不信感を抱いていたエリオットは、「こっそり残しておいて欲しい」というメッセージを発信するfソサエティのファイルを咄嗟に削除せずに休止状態にして残してしまう。その直後、エリオットは地下鉄でfソサエティのリーダーで「ミスター・ロボット」と名乗る中年の男から接触を受ける。fソサエティはハッキングによって人々の負債の記録を消すというデジタル革命を計画しており、エリオットはミスター・ロボットから仲間にならないかと誘われる...

私はコンピュータやサイバー・ワールドに疎い限りなくローテクな人間なので、「Mr. Robot」に出てくるちょっとした専門用語がわからなかったり、ハッキングの過程がすぐに飲み込めなかったりして、家族に迷惑をかけながらの視聴だったが、それを除けば、「Mr. Robot」は滅法面白いドラマだった。先読みのできないストーリー展開もさることながら、カメラの構図や照明などが全くTVドラマのスタイルとはかけ離れていて、むしろインディーズ映画かヨーロッパ映画(特にデンマーク映画あたり)を想起させるような映像が実に新鮮だった。




もう1つの「Humans」は、近未来のイギリスを舞台に、「シンス(=Synth、synthetic=合成品の略)」と呼ばれるヒト型人工知能に関わる人間たちを描いたドラマ。

ジェンマ・チャンが人間そっくりの人工頭脳を演じる「Humans」

シンスは、メイドや看護師など、人間たちの日常生活のアシスタントとして広く普及しているという設定になっていて、ホーキンス家で働くことになるアニータもその1人だった。ホーキンス家の母親ローラは弁護士業が忙しく、3人の子供たちを含む家族の世話まで手が回っていないと思った夫のジョーは、黒髪が美しい東洋系の顔立ちをしたシンス、アニータを購入したのだった。末っ子のソフィはすぐさまアニータになつき、ジョーも息子のトビーも魅力的なアニータが家族の一員になったことにまんざらではない様子だが、ローラだけはどこか他のシンスたちとは異なるように思えるアニータが自分の家庭に入り込んできたことに違和感を覚える。それもそのはず、アニータは他のシンスたちと違い、感情や記憶、自分の意志さえも有するという「知覚型シンス」だったのである...

ヒト型人工知能の在り方について問う作品では何と言っても「ブレードランナー」が有名だが、「Humans」でも、もし人工知能がほとんど人間と変わらない存在になったら?という問いが繰り返される。
ちなみに「知覚型シンス」の誕生の背景には、ほぼ手塚治虫の「鉄腕アトム」と同じバックストーリーが用意されていて、クリエイターたちは「鉄腕アトム」のことも知っていたりしたのかしら?と思ったりした。



Tuesday, September 1, 2015

これまたちょっと惜しかったアクション映画2題/「コードネームU.N.C.L.E.」と「Hitman: Agent 47」

8月も終わり、娘の学校も始まり、試写行き放題の夏が終わりました。
その夏の最後の試写で観たアクション映画2題は、ちょっと残念な出来でした。

まずは1960年代のスパイものTVドラマ「0011 ナポレオン・ソロ」を、ガイ・リッチーが映画化した「コードネームU.N.C.L.E.」。


「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「シャーロック・ホームズ」など、スタイリッシュな映像で小気味良くアクションを見せるのが得意なリッチーなので、60年代のオシャレめレトロな楽しいアクション映画を期待して観に行ったのだけれど、なんか全体が固い印象。悪くはなかったんだけど、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の時のように爽快感に欠ける気がしたのと、クスッと笑えるユーモアもそれほど無くて、味付けが薄過ぎる料理を食べた時のようになんか物足りない読後感ならぬ「観後感」があったのは残念。
その物足りなさの原因の1つはキャスティングかも。オリジナルのTVドラマ版でロバート・ヴォーンが演じたナポレオン・ソロは新スーパーマンのヘンリー・カヴィル、デヴィッド・マッカラムが演じたイリヤ・クリヤキンはアーミー・ハマーが演じているんだけど、この2人、妙に真面目くさっているというか、硬直している感じでスパイものヒーローに必要なしなやかさが無いような気がした。2人に絡むヒロインを演じているアリシア・ヴィキャンデルもそれほど美人でもないしセクシーでもないし、それを補うような愛嬌も無いし。
まあ、退屈はしなかったけれど、続編も観たい!と思わせる作品でも無かったかな。




それよりさらに惜しかったのは「Hitman: Agent 47」。


予告編を観たらスピーディなアクションが面白そうで、B級作品だというのを承知で観に行ったのだけれど、映画というよりはビデオゲームを映画のフォーマットに直しただけのような作品で、少し時間が経ったらどのようなストーリーだったかをさっぱり忘れてしまうのではないかと思うほど薄っぺらなストーリーだった。
観た後で知ったのだが、この映画、2007年の米仏合作映画「ヒットマン」のリブート作品だったようで。オリジナル版はビデオゲームを映画化したものだと知り、大いに納得。でも、オリジナル版も、映画評を総括したロトゥントマトズによると好意的な評を書いたのはアメリカ&カナダの映画評論家のうち14%。そんな作品をわざわざリブートする必要ってあったのだろうか??



映画本編は予告編を25倍の長さに延ばしただけってな感じの映画でした。

Saturday, August 22, 2015

ハズレの試写会/「ピクセル」と「ファンタスティック・フォー」

 言うまでもないけれど、試写会はタダである。
 私の場合は、映画雑誌に定期的に記事を書いているということで米国映画協会を通して大手の映画会社から試写の招待が来るのだが、その多くは一般公開の数日前に行なわれるので、いち早く新作が観られるという有り難みはあまり無い。
 でも、何と言ってもタダである。ロサンゼルスでも最近は映画の入場料は平均15ドルぐらいするので、家族と行けば30ドルの得である。30ドルと言えば、ランチ御二人様分ぐらいになる。映画会社によってはポップコーンと飲み物のサービス付きである。私は、飲み食いしなくても全く構わず映画を観られる人だが、配偶者などは「ポップコーンが無いと映画の楽しみが半減する!」と言い切る、典型的アメリカンなので、無料のポップコーン+飲み物は有り難い。

 というわけで、経済観念の発達した兼業主婦としては試写会を利用しないテは無い。
特に夏休み中は、娘の夕方のバレエクラスの送迎の必要が無くなるから試写会行き放題である。
 でも、そうやって無差別に試写会に行けば、当然、「ハズレ」の映画にも当たったりする。今年の夏は、80年代のビデオゲームにインスパイアされたという「ピクセル」と「ファンタスティック・フォー」がハズレだった。

 「ピクセル」は、フランス人アニメーターが2010年に作った短編映画「Pixel」を長編映画化した作品。80年代のビデオゲームを入手したエイリアンが、パックマンやスペースインベーダーなどのゲームは自分たちへの宣戦布告だと勘違いして地球を攻めてくるという設定で、アダム・サンドラーやケヴィン・ジェームズ、ミシェル・モナハンらが、ビデオゲーム・オタクのスキルを駆使して迎え撃つという内容になっている。
 80年代のビデオゲームにハマった人間だったら、パックマンやスペースインベーダー、ドンキーコングなどが登場するシーンにノスタルジーをおぼえて楽しめるところもあるかもしれないが、ストーリーもキャラクター設定もとにかく子供だましで、中学生以上の年齢の観客は飽きること間違い無し。
 原案の短編映画「Pixel」は確かに面白い。



 ヴィジュアル・アイディアはなかなかのものだし、見ていてクスリとさせられるオチも多い。でも、これはあくまで2分半の短編映画。人間のキャラは出て来ないし、なぜニューヨークが「ピクセル・アタック」に遭うのかという説明も無い。アートっぽく抽象的な作品である。映画「ピクセル」は、それを無理矢理コメディ映画にしてしまったという強引さが、失敗の原因だったように思えた。

映画版の予告編はこちら:


 それでも、「ピクセル」には、ところどころ笑えるシーンがあったからまだ良い。いわば他愛のない子供の絵本を読まされている気分になるだけで。しかし、「ファンタスティック・フォー」の方は、そういうユーモアのセンスすら乏しくて、子供時代に従弟に付き合わされて見させられた日本のチープなスーパーヒーロー・ドラマを思い出した。

 今回公開された「ファンタスティック・フォー」は、2005年に製作されて2年後に続編も作られた「ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]」のリブート作品という位置づけである。
 2005年版の「ファンタスティック・フォー」では、既に4人組がスーパーヒーローとしての地位を確立していたのに対し、今回のリブート版では、その4人がいかにして“ファンタスティック”になったか、という「ルーツを明らかにする」のに前半が費やされる。この前半は、「セッション」のマイルズ・テラーや「ビリー・エリオット」のジェレミー・ベルなど、素朴さがウリの若手スターの好演もあって、まだマシ。が、4人と後の悪役ヴィクター・フォン・ドゥームが実験事故に遭って特殊能力を身につけてからの後半が、完全に先読みできてしまう凡庸な出来で、とにかく退屈。ヴィジュアル・エフェクツも、今どきのテクノロジーのレベルを考えると低質な仕上がり。
 派手な娯楽作には採点が甘いアメリカ人映画ファンだが、さすがにここまで出来が悪いとそっぽを向いてしまうようで、公開後2週間の興行収入はアメリカ国内でわずか4700万ドル。その他の海外市場を入れても1億700万ドルで、製作費の1億2200万ドルに到達すらしていない。マーケティング費や配給にかかるコストを加えると約2億ドルの出費ということになるらしいが、劇場公開収入だけでそれだけの金額は取り戻せないだろう。
 この失敗で、製作サイドでは、新人監督の仕切りが悪かった、いや新人監督に不必要なプレッシャーを与えたうえ最終的な編集の権限を奪った映画会社側が悪い、といった責任のなすり付け合いが展開しているとか。やれやれ...

Sunday, August 2, 2015

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」


「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」を試写で観た。

1960年代のTVシリーズ「スパイ大作戦」を映画化したシリーズも、今回で5作目。フランチャイズ作品は、普通、製作を重ねるごとにパワーダウンしたり、マンネリ化したりすることが多いものだが、この「M:I」シリーズは数少ない例外の1つ。(ジョン・ウーが監督した2本目が一番物足りない作品だったというのが個人的な意見だけれども、それでも駄作というほどではなかったという記憶がある。)本作「ローグ・ネイション」も期待に応える上質な娯楽作に仕上がっている。

アクション映画の定石の1つに、しょっぱなからインパクトの強いシーンを見せて観客を映画の世界に一気に引きずり込むという構成の仕方があるが、「ローグ・ネイション」もそれに倣い、物語は背景などの前置き無しでいきなりトム・クルーズ演じるイーサン・ハントが、テロリストが飛行機で毒ガスを持ち去ろうというのを止めようとするアクション・シーンから始まる。(このシーン、007映画をはじめとしたスパイ映画によくあるような荒唐無稽なアクションが披露されるが、驚くべきことに、CGなどは使わず、スタントマンすら使わず、クルーズが実際に敢行したとのことで、それを後で知ってド肝を抜かれました。)
ハント率いるIMFのメンバーが次に取り組んだのは、ザ・シンジケートと呼ばれる国際的な犯罪組織を追うことだったが、ロンドンで不意打ちをくらったハントは逆にシンジケートに捕まってしまう。“ボーン・ドクター”と呼ばれる男に拷問されそうになったハントを救ったのは、イギリスの諜報機関MI6の元エージェントでシンジケートの一員になったイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)だった。
一方、アメリカでは合衆国上院の監視委員会でCIA長官のハンレイ(アレック・ボールドウィン)が、ザ・シンジケートの存在を否定すると共にIMFの解体を提言。同席したIMF主任分析官ブラント(ジェレミー・レナー)の反対にもかかわらず、解体は受け容れられ、ハントはIMFのサポートを受けられないばかりか、追われる身になってしまう。そんなハントに出来る事は、シンジケートのリーダー格、ソロモン・レーン(ショーン・ハリス)を捕獲することだった...

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の見どころの1つは、何と言っても、トム・クルーズの身体を張ったアクションだろう。クルーズは今年の5月で53歳になったのにもかかわらず、その肉体派ぶりは御見事。上述した飛行機を追跡するシーンや、カー/バイク・チェイスシーン、潜水シーンなど、全てスタントマンを使わずに自ら挑んだ姿勢には拍手を送らざるを得ない。以前、会った御本人はかなり変わった御仁だったけれど、俳優としてのプロ根性には脱帽である。
クルーズ演じるハントを支えるIMFのメンバーたちを演じる俳優もイイ。ヴィング・レイムスは1996年に公開されたシリーズ第1作からずっと参加している唯一のキャスト・メンバーゆえ懐かしの友人に再会できたような嬉しさがあるし、第3作から参加しているサイモン・ペグは相変わらず可笑しくて善い人というキャラにはパーフェクト。前作の第4作から参加しているレナーも、シリアスな中に時々ユーモアをチラ見させるところがナイス。本作紅一点のファーガソン(イギリス人を母に持つスウェーデン人女優)は、筋肉がしっかりついたアスリート体型ゆえ、綺麗だけど細過ぎる今どきの女性のアクション・シーンよりも説得力があって良かった。

それにしても、これだけの質を保ちながらフランチャイズ化させていくというのは、作るたびにハードルの高さを上げていっているようなもので、製作者たちにはなかなかしんどい事なんだろうなあ、と要らぬ心配をしたりしてしまったのでした。



ちなみに、↑は日本向けの予告編ですが、0:25と1:18に登場するレナーは、別シーンから引っ張ってきたもので、あまり感心する編集ではないです。まあ、ネタばれするとか、誤解を招くほどのインパクトは無いのだけれど、ここに入れる必要も無いだろ、と存在理由の理解に苦しむ編集だったりします。