Saturday, March 19, 2011

嗚呼、勘違い...



上の写真は3月18日(金)付のロサンゼルスタイムズ紙の一面。
被災した陸前高田を去るムラカミさん御夫婦が親戚の人と別れているところ、だというキャプションが付いているが、その下には、「In Japan, it's about the group」というタイトルで、見出しには「日本の稀なる回復力と冷静さは危機状態においてはさらに明白になっている」とあり、東北大震災に遭遇した日本人たちが、助け合いを基調とする高潔な「ヤマトダマシイ」で頑張っていることを強調した記事が掲載されていた。

ところが、その下には何かをくれ!と手を伸ばしている群衆の写真が載っていて、「もしかして避難所での供給品の奪い合い??だったら、この記事の内容に合わないのに??」と思ったら、中国の蘭州というところでの塩の奪い合いでした。

でも、なんで塩???

中国では、今、日本の放射能が中国に流れて来るというデマが流れていて、被爆には安定ヨウ素剤が効くということで、じゃあヨードを加えた塩を摂取すれば放射線から身を守れる!と思ったらしい。
でも、WHOの発表したところによると、「ヨウ化カリウムは放射性ヨードの吸収は減少させることができるが、それ以外の放射性物質についてはなんら作用しない」とのこと。さらに、「腎臓の病気をわずらっている人がヨウ化カリウムを服用すると、合併症が起きる可能性もある」らしい。
だいたい、福島の原発の放射能は風向きや海流からいっても、中国に流れていく可能性はほとんど無いらしい。そんな、いわば“幻の放射能”のことを心配して、ヨード入りの塩を大量摂取して身体を壊したら、それこそ愚の骨頂ではないか。

日本でも、「ヨードを採っておけば放射能からの害を防げる」と信じて、うがい薬を飲もうとしたという例があったと、どこかで読んだので、勘違いしているのは中国人だけではないのだろうけれど...

放射能と言えば、1950年代、アメリカでは冷戦下の核攻撃に備えて、こんな教育短編映画が作られた。



今では、当のアメリカ人でさえジョークのねたにしかならない「duck and cover」というスローガンだが、当時はしごく真面目に教育されていたらしい。

無知というのは怖いものである。

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